昨日は、マトモに動けなかった
「……どう計算しても、色々と資材が数字と合わない……」
そう呟いたのは、パソコンに向き合っていた祐輔である。祐輔は膨大な書類を捌きながら、備蓄資材の差異を確認していたのだが、パソコンに記録されていたのと、実際に確認してもらった量が違った。
「……これは、流したかな……」
と祐輔が頭を掻いていると、執務室のドアが開き
「祐輔さん、傭兵部隊の方々と面会の時間です」
と川内型軽巡洋艦娘の神通が、入室してきた。その姿は、改二だ。
「ん、分かった……」
神通の言葉を聞いて、祐輔は立ち上がり
「……変な気分だな……」
と呟いた。
そして、数分後
「お待たせして、すいません」
と祐輔は、アークエンジェルとエウクレイデスが待つ会議室に来た。
「いえ、大丈夫です」
「私達も、ついさっき来たからね」
祐輔の言葉に、アークエンジェルとエウクレイデスはそう返答したのだが
(やっぱり、よく似ています)
(というより、所謂並行世界の本人よ。体格からなにから、全く同じなんだから)
と小声で会話していた。
その直後
「……それとも、おひさしぶり……と言うべきでしょうか?」
と祐輔は、笑みを浮かべた。
それを聞いたアークエンジェルとエウクレイデスは、驚愕で固まった。
「いやまあ、あの二隻を見ましたら、記憶が呼び起こされましてね……グランド小隊隊長の榊原祐輔……」
「……魂の転生……ということですか?」
「多分ですが」
アークエンジェルの問い掛けに、祐輔は頷いた。
本人も、まだよくわかっていないようだ。
「お二人のことに関しましては、元帥より一任されています……とは言っても、基本的には余程のことが起きない限り、此方からは不干渉になりますが……よろしいですか?」
「はい、構いません」
祐輔の言葉に、アークエンジェルは頷いた。
基本的には、スピリッツは傭兵。
確かに、金で雇われて組織に所属することはあるが、やはり部外者になる。
そうなると、扱いに困ってしまう。
上層部の一部は、強制的に戦力として接収してしまえと言ったが、それは元帥によって止められている。
「ただ、僕個人としては仲良くしたいと思っています」
「……私達としましても、懇意にはしたいところです」
祐輔の言葉に、アークエンジェルは微笑みを浮かべた。
祐輔の人柄は、前の世界でよく知っている。
まだこの世界の祐輔のことは分からないが、アークエンジェルとエウクレイデスの所感では変わっていない。
「では、補給品に関してですが……燃料と鋼材、弾薬はそちらから要請されたら適宜提供する……という形になりますが……どうでしょうか?」
「……此方としては有難いですが……いいので?」
祐輔の言葉に、アークエンジェルは困惑した表情を浮かべた。
アークエンジェル達でも調べていたが、今の世界は海運ルートの殆どが深海悽艦に制圧されている。
今は艦娘により輸入出きるようになっているが、やはり以前より乏しくなっている。
故に、島国たる日本は民間で一部物資が制限されている。
「構いません。既に、元帥からは許可を得ています。代わりに、此方が要請したら、救援等をしていただくことになります」
アークエンジェルの問い掛けに、祐輔はそう答えた。
それが、妥当な線になるだろう。
ある意味で、傭兵を雇うことになるだろう。
少し黙考した後、アークエンジェルは
「分かりました。それで手を打ちましょう」
と提案を了承した。
それを聞いた祐輔は、安心した様子で
「では、以後よろしくお願いします」
とアークエンジェルと握手したのだった。