艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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考察と暗躍

祐輔が泊地の再建に着手し始めてから、数日。祐輔が連れてきた明石と夕張は泊地をところ狭しと駈けては

 

「搬入してきた資材から、コンクリート持ってきて!」

 

「その鋼材は、第一倉庫に!」

 

と妖精達に指示を出していた。

そして祐輔は

 

「……よくもまあ、こんな無謀な運用をしたもんだ……二代前の提督が育ててた有用な娘達の、半数が沈没してるじゃないか……」

 

と呆れていた。

祐輔は二代前の提督が育ててた艦隊の最終育成結果と、最近自分達で調べた今の艦隊の練度を見比べていた。

数は二代前と変わらないものの、全体的練度は大幅に下がってしまっている。

しかも、そのことを大本営に知らせていなかったのだ。

パラオは、攻略の最前線たるトラックの重要な後方支援基地。

そこで成功すれば、昇進するのは間違いなしとも言われている。だから、無謀な運用をしたのだろう。と祐輔は予想した。

そして、祐輔はその中から暫く戦闘に復帰は無理と判断された艦娘が書かれた書類を見た。

その人数は、泊地に居る全体の約三割に達する。軍人面から見れば、壊滅に当たる数字になる。

補足すれば、エウクレイデスのお陰で肉体的な傷は治っているものの、海上に出ると恐怖を思い出して動きが固まってしまうのが殆どで、中には精神力で克服し、志願してきている者も居るが、練度が低いために暫くは教育の必要があると神通が判断している。

 

「問題は……長門さんか……」

 

二代前の時点から艦隊の旗艦を勤めていた、戦艦娘の長門。

その練度は、二代前の時点で60を越えていた。

しかし、先代の提督が強い光を当てたことにより、トラウマが刺激されてしまい、今は目が見えていない状況だ。

 

「……暫くは、エウクレイデスさんに任せるしかないか……」

 

祐輔はそう結論して、見ていた書類を置いた。

そこに、パラオの大淀が

 

「失礼します。トラックから、資源を融通してほしいと連絡が来ました」

 

と言って、脇に挟んでいたバインダーを祐輔に手渡した。

それを受け取った祐輔は、暫くその書類の内容を見て

 

「……即は無理だけど、二三日すれば送れますって、伝えておいてください」

 

と言いながら、書類にサインした。

即座に送らないのは、やはりトラック泊地の再建をしている最中だからだ。

特に、先代提督が賄賂として上層部に顔が利く提督に資源を密売していたために、全体的に大幅に足りていないのだ。

そのことは既に元帥に報告してあり、そちらは元帥が私兵を動かして調査中である。

 

「さて、遠征艦隊がそろそろ……」

 

と祐輔が、時計に視線を向けた時だった。

ドアが勢いよく開き

 

「提督さん大変です! 第二遠征艦隊が、海賊の襲撃を受けています!」

 

と由良が報告してきた。

それを聞いた祐輔は、勢いよく立ち上がり

 

「足が速い娘達で、艦隊を編成! 相手が退かない場合は、撃滅も許可する!」

 

と指示を下した。

このパラオ近海だが、小さい無人島が幾つか点在しており、そこを拠点にする海賊が多数居るのだ。

本来はその海賊も対処するのが、パラオ泊地の仕事である。

しかし、他の泊地は未だにまだ小規模艦隊かまだ低練度の艦娘しか居らず、海賊対策は祐輔が一手に引き受けていた。

深海悽艦が現れてから、海上の治安はガタガタになってしまい、それを境に深海だけでなく海賊までが跳梁跋扈するようになってしまったのだ。

勿論、深海悽艦は海賊にも牙を剥くものの、海賊達はそんなこと知るかと言わんばかりに行動を起こしていた。

祐輔達にとっては、正に頭痛の種だった。

深海悽艦だけでも手一杯なのに、更に海賊と来た。

最近では、海賊専門の部署を設けようかという案すら出る始末になっている。

だが祐輔は、1つ気になることがあった。

それは

 

「この近海の海賊……やけに装備が整ってる……」

 

祐輔が再建を開始してから、約二週間。その間数回海賊と交戦しているのだが、海賊達の装備が艦娘にも通用する、そんな武装だったのだ。

普通の銃器ならば、大して効かない。

だが、海賊達の放った銃撃は確かに艦娘に損傷を与えていたのだ。

明石が艤装に残っていた弾丸を調べた結果、12.7mmと25mmだったことが分かっている。

 

「……まさか、艦娘の武装を流している奴が居るのか……?」

 

祐輔はそう思案しながら、緊急出撃していった艦娘達を見送った。

その頃、ある場所では

 

「あんな小僧が、パラオ泊地で指揮を執るなど……調子に乗りおって……!」

 

と一人の男が、怒りを滲ませていた。

そして男は、手に持っていたナイフを祐輔が写っていた写真に突き立てて

 

「所詮庶民出の者など、軍事の家系のワシらに敵うものかっ! 今に見ていろ……貴様など、ワシの踏み台にしてくれるわ!!」

 

と語気を荒げた。

その男の肩には、大佐を示す階級章が着いていた。

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