祐輔が第三パラオ泊地の立て直しを開始して、約3ヶ月。第三パラオ泊地は、立て直しをほぼ完了し中間拠点として稼働を始めた。
なおその3ヶ月の間で何もトラブルがあった訳ではないが、その全てを解決してきた。時々、スピリッツの力も借りてだが。
「アークエンジェル艦長、助かりました」
「我々は傭兵です。代価を貰えれば、請け負います」
祐輔が感謝の言葉を述べると、アークエンジェルはあくまで事務的にそう返答した。
すると祐輔は
「そうですが、侵入者の捕縛……してくれてますよね?」
「……よく、気付きましたね」
「まあ一応、軍人の端くれですから」
3ヶ月の間に、実は何回か侵入者が来ていて、その全てをスピリッツが捕縛。憲兵に直接引き渡していたのだ。
「しかし、3ヶ月の間に18人ですか……んー……セキュリティ、見直すべきかな」
「そのほうがよろしいかと」
祐輔の呟きに、アークエンジェルは同意しながら用意されていた御茶を一口飲んだ。
最近は海賊による被害も無くなり、補給がきちんと入るようになっていた。
過去の旧日本軍は補給線の確保を疎かにしたために、補給が滞ってしまい、前線基地は干上がってしまった。
「何か、必要な物はありますか? 融通しますが……」
「……強いていえば、弾薬と食料位ですね」
「わかりました。後で、そちらに引き渡します」
アークエンジェルの言葉を聞いた祐輔は、メモにサラサラと走り書きした。
そうして、定期会談が終わり二人は会議室から出ようとした。
だがその時、甲高い警報音が鳴り響いた。
すると祐輔は、入り口の電話の受話器を掴み
「誰か、詳細を」
と鋭く告げた。
『こちら、管制室の大淀です! レーダーにIFF反応に応答無しの艦隊が接近! 数は、優に50!』
「大至急詳細を調べてください! それと、今居る子達で迎撃戦を開始します! 呼び出しておいてください!」
祐輔はそう言うと、受話器を戻してから
「さて、これは参ったな……」
と声を漏らした。立て直しを終えた祐輔は、次に艦隊全員の練度上げを開始。そして今は、練度上げのために主力艦隊は殆どが出払っているのだ。
タイミングが悪かったとしか、言い様がない。
「どうやら、お困りの様子ですが……?」
「……実は、主力艦隊が殆ど出払っておりまして……今居る子達は、まだ練度が低いか修理待ちばかり……勿論、戻るように連絡はしますし、他のパラオ泊地にも救援要請は出しますが、間に合うかはわかりませんし、他のパラオ泊地は練度に不安が有ります……多分ですが、今回の襲撃は姫級が指揮している筈です……」
アークエンジェルの問い掛けに、祐輔は苦々しい表情を浮かべながら返答した。
するとアークエンジェルは、スッと祐輔の前に指を出して
「ここに、戦力が居るではないですか……特大の戦力が」
と微笑んだ。
すると祐輔は
「しかし、皆さんは傭兵……つまりは、要請をしろと言いたいわけで?」
アークエンジェルの狙いを察したようだ。
そして、アークエンジェルは
「情報は見てますが、姫級の詳細なデータは見れていないんです……ですから、丁度良い情報収集チャンスです」
と告げた。
つまり、今侵攻してきている深海艦隊を実験台にするつもりなのだ。
「……わかりました。では、要請を出します……そちらの望む物を、後程融通することになります」
「承りました……お任せくださいね」
アークエンジェルは芝居掛かった仕草で、スカートをチョコンと持ち上げながら返答。そして、胸元からヘッドセットを取り出して
「依頼が入りました。今こちらに、深海艦隊が接近中。それの撃退、または撃滅をします。総員、第一種戦闘配置!!」
とアークエンジェルは、号令を発した。