艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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迎撃戦 1

「傭兵……部隊……?」

 

と瑞鶴が呆然としていると、一人の艦娘。

軽巡洋艦娘の長良が

 

「霧島さん、瑞鶴さん! 海中に反応! 凄い大きいのが、浮上してくる!」

 

と声を張り上げた。その直後、海中から二隻の白亜の巨艦が海水をまるで滝のように降らしながら、姿を現した。

 

「なっ……」

 

「で、デカイ……」

 

霧島と瑞鶴が驚いている間に、その二隻は更に動きを見せた。まず、各所の武装を解放。戦闘態勢に入った。そして、次々と人型を発艦させた。

 

「味方……?」

 

瑞鶴が呆然としていると、霧島が

 

「瑞鶴、あれ……翔鶴さんでは?」

 

とその二隻から発艦された一機を指差した。

近づいてくる白地に青いラインが特徴の緑色の光を撒き散らす機体がお姫様抱っこしているのは、間違いなく瑞鶴の姉。翔鶴だった。

 

「翔……鶴姉……翔鶴姉……?」

 

最初は信じられないといった様子の瑞鶴だったが、徐々に明確になるその長い白い髪は、間違いなく翔鶴だった。

 

「瑞鶴!」

 

「翔鶴姉!!」

 

機体、ダブルオーザンライザー・XXXXが海面に立たせると、翔鶴は斜めになっていた瑞鶴を抱き締めた。

その段階になり、瑞鶴はようやく自身が知る翔鶴だと分かり、涙を流した。

それを横目に見つつ、霧島はXXXXに

 

「貴方方は……」

 

と問い掛けていた。するとXXXXは

 

『俺達は、傭兵部隊。スピリッツ……要請により、君達の救援に来た』

 

と答えた。この時、霧島のレーダーは一切効かなくなっていたので分からなかったが、現海域に集結していた深海艦隊は凄まじい勢いでその数を減らしていた。

 

「要請……?」

 

依頼人(クライアント)の詳細は言えないが、君達の救援を依頼された……これより、撃滅戦を開始する』

 

XXXXはそう言うと、一気に高度を上げると多数のミサイルを放った。放たれたミサイルは海面ギリギリを這うように飛んでいくと、霧島達を狙っていたらしい軽巡洋艦級に直撃、轟沈させた。

そこに、数人の駆逐艦娘が現れたのだが

 

「霧島さん、瑞鶴さん、ご無事ですか!?」

 

「久し振り、って言えばいいかしら?」

 

「貴女達は!?」

 

霧島が驚くのも、無理はない。そこに現れた朝潮、霞、満潮、荒潮は少し前に轟沈(KIA)認定された艦娘だからだ。

 

「味方の危機に死んだ振りして無視なんて真似、私には出来ません!」

 

「そういうことよ!」

 

「本当、あんな物を飛ばして喜ぶとか、深海は変態よね!!」

 

朝潮の後に、満潮と霞がそう言いながら、向かってくる敵艦載機に対して弾幕を形成した。

しかし、その弾幕を掻い潜って接近する敵機が居た。明らかに、他の敵機と動きが違った。

 

「つっ!? 敵機、直上!! 瑞鶴さん!!」

 

その内の数機の狙いを気付き、朝潮が荒潮と翔鶴が曳航している瑞鶴が狙いだと教えた。

それを聞いた翔鶴は迎撃機を発艦させ、荒潮は機銃を撃ち始めた。しかし、敵機はそれすら掻い潜り、機体下部の爆弾を投下させようとした。

だがその直後、分厚い弾幕がその敵機群を蜂の巣にして、撃墜した。

その濃密な弾幕を形成したのは、両手に連装式ガトリング砲を装備した機体。

ガンダムHA改EXだった。

 

『空の敵は、こちらで引き受けます! 後退を続けてください!』

 

HA改EXはそう言いながら、更に濃密な弾幕を形成し、続々と敵機を粉砕していく。

まさに、蹂躙と言える光景を見ながら、霧島は砲撃し近づいてきていた敵軽巡洋艦級を轟沈させる。

 

「しかし、あれほどの戦力を有しておきながら、今まで知らなかった……朝潮、彼等は今までどこに居たのですか?」

 

「彼等は……パラオに居ました」

 

「パラオ!?」

 

朝潮の答えに、霧島は驚いた。

パラオ泊地はつい最近、ようやく戦力や施設の再建が終了し、活動を再開した拠点だと、霧島は記憶していた。

そのパラオに、常識はずれの戦力を有する傭兵が居た。

となれば、パラオ泊地の指揮官が気付かなかったのか、それとも秘匿していたかのどちらかになる。

しかし、新しくパラオ泊地の指揮官となった人物の評価は霧島も知っている。

だから、気付かなかったという可能性は低いと霧島は思った。ならば、あり得るのは秘匿していたということになる。

だが、秘匿していた理由も察することが出来る。もし、そんな傭兵部隊が居ると主義者や強硬派に知られれば、下らない権力争いの末に敵対する可能性が高い。

 

「……流石は、横須賀の要と言われた提督です……見事な先見の明です……」

 

霧島は称賛しつつ、更に砲撃。対空砲撃していた重巡洋艦リ級を撃沈させた。

 

「つっ……残弾が……!」

 

残弾が、残り一割を切った。後数回砲撃したら、弾切れになるだろう。そんな時

 

「そちらは、第三トラックの艦娘ですね?」

 

と霧島に、声を掛けてくる一人の艦娘が現れた。

それは、北海道の民族衣装を纏った後方支援艦娘の一人。神威(かもい)だった。

 

「貴女は……」

 

しかし、第三トラックに神威は在籍していなかった筈で、霧島は思わず問い掛けた。すると、神威は

 

「私は、パラオ泊地所属の神威です。提督の指示を受けて、あの傭兵部隊の艦に乗せてもらっていました。予備の兵装や燃料、弾薬を持ってきています」

 

と説明し、手に持っていた鞄から、弾薬の入った弾倉を取り出すと、霧島の艤装に装填した。

 

「使ってください!」

 

「感謝します! 弾種91式徹甲弾、装填……照準……敵戦艦級……主砲一斉射……撃てぇ!!」

 

霧島の号令の直後、霧島の艤装の全主砲が火を噴いた。

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