艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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迎撃戦 終

『目標確認……データ照合から、あれは空母水姫と防空悽姫と確認した……あれらが旗艦だ……あれを撃沈するぞ!』

 

『了解!!』

 

フェニックスの指示を受けて、MS隊は突撃を開始した。それに対し、深海側も迎撃を開始。防空悽姫を筆頭にして、濃密な対空砲撃を放った。

普通だったら、回避のために大きく動かざるをえないだろう。しかし、スピリッツは普通に非ず。動きは最低限のみで、形成された弾幕の隙間を的確に通り抜けて、接近していく。

 

『捉えた』

 

フェニックスはそう言うと、ビームライフルを構えて放った。放たれたビームは、一体の重巡洋艦級の頭に直撃し、消滅させた。それが引き金になったのか、更に対空砲撃が激しくなる。

 

全機散開(ブレイク)!』

 

そこでようやく、スピリッツは大きく動いた。それまで保っていた陣形を解除し、散開した。それに合わせるように、対空砲撃も散っていく。

そこを、二機のガンダムが駆け抜ける。

 

『我等に』

 

『斬れぬモノは無い!』

 

ミコトガンダムとラセツガンダム。二機は海面ギリギリを最高速で飛びながら、深海の砲撃を最低限の機動のみで、前衛迎撃艦隊に突撃。そこからは、蹂躙だった。

ミコトガンダムが振り下ろした長刀はリ級Fを頭から両断し、次に蹴りでへ級の頭を蹴り飛ばした。

それに続くように、ラセツガンダムは両手に持った長刀で二体のイ級後期型を両断し、腕に内蔵されていたGNチャクラム発生器を起動させて、GNチャクラムを発射しチ級の首を切り飛ばした。

そして、最後に二機は同時にネ級F改を撃破した。

その間に、本隊はフェニックスを先頭に再度陣形を展開。二体の姫級に迫った。

しかし、それをさせまいと後衛の迎撃艦隊が全ての火力を一斉に解き放った。

四体の戦艦級と二体のヲ級の迎撃機が、スピリッツに火力を集中させる。

まさに、暴虐の嵐と呼称出来る凄まじい密度の弾幕。

恐らく、並の練度の艦娘だったら、直ぐ様轟沈の憂き目に遭うだろうことは間違いなく、そして攻撃機だったら全機撃墜されていただろう。

しかし、今進攻しているスピリッツは、並の練度ではない。

スピリッツは陣形を保ったまま、機体を砲撃の隙間に滑り込ませるように、進んでいく。

 

『刈り尽くせ!!』

 

フェニックスのその号令の直後、本隊は牙を剥いた。

戦艦ル級F改、通常級の中では非常に高い攻撃力と防御力を兼ね備えた個体で、倒すのは並大抵の練度と装備では成しえない。

だが

 

『遅ぇぇ!!』

 

接近していたオーガカラミティが、一対の対艦刀を抜刀。ル級が構えた盾兼主砲諸とも、一刀両断した。

まさに、一刀両断。一切の抵抗もなく、ル級F改を撃破。それを皮切りに、今度はフリーダムゴスペルが主武装たる両手のビームライフルを構えた。

 

『照準、ロック……外しません』

 

静かに告げると同時に、ビームライフルを撃った。放たれた数発のビームは、一体の軽巡洋艦ツ級の全身を貫通。ツ級は、その身を名前の通りに深海へと消していった。

たった四機に、二体の姫級を守っていた迎撃連合艦隊は、あっという間に事実上の壊滅的大打撃を受けた。しかも、スピリッツはまだ余力を残している。

しかし、迎撃連合艦隊の行動は無駄ではなかった。

二体の姫級の危機に気づいたのか、周囲から更に数十体の深海悽艦が集まってきていた。

詳細か数など、数えるのが億劫になるほどに。

しかし

 

『一気に片を着ける!』

 

フェニックスはそう言って、機体をバードモードに変形。一度上空に上がると

 

『避けてみせな!!』

 

その身に焔を纏い、深海悽艦艦隊に突撃した。

フェニックスの必殺技、バーニング・ファイアである。全身に超高温の液体金属を纏い、相手に体当たりするというシンプルな技だが、シンプルだからこそその威力は絶大だった。

数体の深海悽艦が砲撃を集中させるが、放たれた砲弾はフェニックスに当たる前に蒸発し、意味を為さない。

その光景に固まっていたリ級を、フェニックスは見逃さずに攻撃。直撃を受けたリ級は、瞬く間に蒸発し、世界から存在を消した。

 

『まだまだ!!』

 

その勢いのまま、フェニックスは更にナ級、ホ級、ロ級を次々と蒸発させていく。

その間、他のスピリッツはただ待っていたわけではなく、迎撃を続ける他の深海悽艦艦隊を残骸へと変えていく。

まさに、蹂躙劇。圧倒的数を誇り、人類から制海権を奪った深海悽艦が、蹴散らされていく。長らく対深海と戦い続けた者が見ていたら、信じられなかっただろう。

しかし、今起きているのは夢に非ず。現実だ。

そしてフェニックスが突撃開始してから、僅か数分足らずで、集結した深海艦隊は全滅。

その間に、二体の姫級は姿を消していた。

それを確認したフェニックスは、一度周囲を見回した後

 

『残敵の掃討に移る! 最後まで気を抜くな!』

 

と号令を下し、自らも動いた。

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