艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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これが、今年最後の作品かな?
皆さん、良いお年を!


揺らぎ

『付近に残敵無し』

 

『全機帰投するぞ』

 

『了解!』

 

深海悽艦が侵攻してきてから、約数時間後。スピリッツの介入により、深海悽艦は逃げた姫級以外は全滅。トラック泊地側の艦娘達は、司令部が陥落した第三泊地の艦隊以外は、全員大小の損傷は負ったものの全員無事。第三泊地の艦隊は、過半数が沈み、生き残ったのは少数だった。しかし、スピリッツが介入していなければ、トラック泊地は壊滅していただろう。

それを考えると、まだ幸運だったと言える。

トラック泊地が陥落し、深海悽艦の拠点と化したら、大規模化するのは間違いないからだ。深海悽艦はかつての世界大戦で大規模海戦が起きた海域か、大きな被害が出た地域で強力な個体が産まれることが確認されている。

そしてトラック泊地は、かつての世界大戦時に旧日本帝国海軍の一大拠点となり、末期には連合軍の空爆により大きな被害が出ている。

そこから予想すれば、深海に占領されれば強大な陸式の深海悽艦個体が産まれていただろう。

 

『隊長、帝国海軍の艦隊が接近……このIFFは……パラオの艦隊です』

 

『来たか』

 

ケルディムの報告を聞いて、フェニックスはパラオ艦隊が来た方向を見た。確かに、ようやく視認出来る距離にパラオ艦隊を見つけた。その速度から、どうやら速度に秀でた艦娘で艦隊を組んだようだ。

 

『こちら、パラオ艦隊旗艦の霧島です! トラック泊地の皆さん。スピリッツの方々、ご無事ですか!?』

 

『こちら、スピリッツのフェニックス。敵軍は殲滅完了した。ただ、トラックの艦隊に数多くの被害が出ている。至急、整備を要請する』

 

霧島の問い掛けに、フェニックスは簡潔に答えた。少し間を置いて

 

『了解! 後方の指揮船から派遣してもらいます!』

 

と霧島から返答が来た。どうやら、後方にて祐輔が指揮をしているらしく、その指揮船に支援艦娘が乗っているらしい。

 

『しかし……トラック第三は壊滅か……』

 

フェニックスは、激しく燃えている庁舎を見ながら一人呟いた。

場所は変わり、南方。深海悽艦の拠点のひとつ。

 

「イ、以上ガ報告ニナリマス……南方悽姫様……」

 

先のトラック泊地襲撃を指揮した空母水姫と防空悽姫は、南方海域を取り仕切る姫。南方悽姫の前で片膝を突き、顔を蒼くしながらガタガタと震えていた。

二人は、もう自分達の命は助からないと思っていた。一度のミスも許さないのが、南方悽姫なのだ。

 

「ソウ……御苦労ダッタワネ……」

 

「アノ……粛清ハ……?」

 

「シナイワ……今回ハ、トンデモナイイレギュラーガ起キタミタイダシネ……空ヲ飛ブ人型……彼等カラ話ヲ聞イタ時ハ、マサカト思ッタケド……」

 

南方悽姫はそう呟きながら、目を細めた。

 

「南方悽姫様……彼等……トハ?」

 

命の危機が去ったと安堵した空母水姫が問い掛けると、南方悽姫は指を鳴らして

 

「ソウイエバ、言ッテナカッタワネ……貴女達ガ出撃シタ後、出会ッタ奴等ガ居ルノヨ……呼ンデキナサイ」

 

南方悽姫が近くのル級に命じて、数分後

 

『なんだい、南方悽姫……僕達の扱い、決まったのかい?』

 

その部屋に、数体の人型が現れた。その内の一体は、腰辺りからオレンジ色の光りを撒き散らしている。

 

「ネエ、貴方……彼等ヲ知ッテイテ?」

 

南方悽姫は、部屋の巨大なモニターに映されている防空悽姫の戦闘記録の映像を指差した。すると、その人型は

 

『おや、あの英雄気取りの傭兵部隊じゃないか……彼等も、この世界に来ていたんだね』

 

と嘲るように言った。

 

「知ッテイルノナラ、教エナサイ……アイツラハ、何者ナノカシラ?」

 

南方悽姫が問い掛けると、その人型は

 

『あいつらは、傭兵部隊のスピリッツ……英雄気取りのバカな奴等さ』

 

と心底侮蔑したように、そう告げた。

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