トラック泊地迎撃戦。
そう呼ばれることになる大規模深海艦隊の侵攻と迎撃戦。その被害は、トラック泊地が開いて以来の深刻なものであった。
三つあった内の第三泊地は、壊滅。第一と第二も艦娘に多大な被害が出て、もし近い内に再度侵攻が起きれば、全滅は免れないレベルだった。しかし、パラオ泊地から来た祐輔の艦隊の一部がしばらく逗留し、再建を図る間は防衛の任に就くことが決まった。
そして、トラック泊地の再建にあたり、金瀬少将が逮捕された。
主な罪状は、敵前逃亡。霧島からの証言で発覚し、緊急逮捕となった。
それに合わせて、トラック泊地全体の憲兵達も収賄罪で逮捕された。第二泊地の金城大佐は無茶な出撃による資源の無駄遣いを指摘され、厳重注意と降格処分を言い渡されたが、そのまま第二泊地の指揮を執ることを許された。
暫くの間は大本営から派遣された特務艦娘の監視が着くものの、金城中佐は、トラック泊地の再建を開始した。
なお、壊滅したトラック第三泊地の残存艦娘達は、一度大本営預りとなり、身の振り方を決めることとなった。
そして、元金瀬少将配下の艦娘達に関しては、本人達の意志に委ねた。
解体するもよし、異動するもよし。その選択権は、彼女達が決める。しかし、残存の内の約半数が一度本土の艦娘用の療養施設に後送される。金瀬元少将からの精神的苦痛が理由で、休まざるをえなかったのだ。
これに関しては、大本営が療養費を負担することを決定。主に療養することになったのは、幼さが残る駆逐艦娘と海防艦娘が殆んどだった。
そして、パラオ泊地
『また映像越しになるが……此度の救援、感謝する』
「我々は、依頼を果たしたまでです……報酬さえ頂ければ、否やはありません」
その会議室の一室にて、アークエンジェルはモニター越しだが、大本営に居る元帥と会談していた。
先のトラック泊地迎撃戦でスピリッツが出撃したのは、元帥からの依頼があったからだ。報酬は、スピリッツが必要とした資材だ。
『しかし、貴艦隊は本当に早いのだな。予想よりかなり早く迎撃戦に参加していたようだ』
「それが、我らが艦の自慢ですから」
元帥の称賛の言葉を受けて、アークエンジェルは秘かに誇らしくなった、幾多の戦闘を支えた艦の速さを誉められたからだろう。
「それで、そちらの作戦の状況はどうなのですか?」
『……流石に、耳ざといな……』
アークエンジェルの問い掛けに、元帥は僅かに驚いた後に口を開いた。元帥が開始した主義者一斉検挙作戦。
まず、本土の各拠点の主義者は全員検挙。それに連なり、主義者達に買収されていた憲兵達も全員検挙。
海外の拠点は、トラック泊地は今回のどさくさ紛れに検挙した。他の拠点は、多少時間は掛かるが、3日以内には検挙を完了する予定となっている。
『これで、我が海軍の膿は出しきる……後の歴史研究者達に何と評価されるか分からんが……ワシは、この行いが正しいと信じる』
その言葉を最後に、元帥との通信は終了。それを見計らい、祐輔が
「此度は、本当にありがとうございました。また何かあれば、依頼するかもしれません」
とアークエンジェルに頭を下げた。
しかし、この時は誰も気づいていなかった。この世界で、世界を賭けた戦いのレベルが、一段上がることに。