トラック泊地迎撃戦から時は経ち、パラオ泊地。
「……第三遠征艦隊が、襲撃を受けた?」
「はい……それも通常とは違う攻撃で、見たことない敵からだったと」
大淀からの報告に、祐輔は手を組んだ。嫌な予感をひしひしと感じ、祐輔は暫く黙考し
「第三遠征艦隊は?」
「なんとか帰還し、今は入渠中です」
祐輔の問い掛けに大淀はそう答えながら、書類を差し出した。損傷規模が書いてあるようだ。それを一読し、祐輔は
「旗艦の矢矧さんを呼んでください。バケツの使用を許可します」
それから数分後、矢矧が執務室に現れた。
「提督、申し訳ありません……遠征を失敗してしまいました……」
「いえ、構いません……それで、聞きたいのは貴女達が遭遇したという敵に関してです」
「それに関しましては、こちらをご覧ください」
矢矧はそう言いながら、USBメモリーを祐輔に差し出した。それを受け取った祐輔は、そのUSBメモリーをパソコンに挿し込み、開いた。
画面に映ったのは、巨大なマンタのような物に乗った人型機だった。
「これは……」
「その人型が、最低でも12は居ました……その人型が所持していた武装はとても強力で……」
「駆逐艦の子達は?」
「今は、入渠中ですが……中には、今回が初出撃の子も……」
「分かりました……入渠が終わりましたら、執務室に連れてきてください。大淀さん、すいませんがアークエンジェルさんとエウクレイデスさんを呼んできてください。呼びましたら、第三会議室に案内してください」
『分かりました』
祐輔の指示を受けて、二人は執務室から退室した。それから、十数分後
「し、失礼します!」
「だ、第三遠征艦隊です!」
矢矧を旗艦にした第三遠征艦隊が入室してきた。編成は、舞風、野分、峯雲、初風、江風だ。
しかし、江風以外は今回の遠征が初出撃だった。
「皆さん、お疲れ様でした。無事の帰還、嬉しかったです」
祐輔が微笑みながらそう言うが、ガチガチに体を強張らせているのが分かり
「大丈夫ですよ、失敗は責めはしません……」
祐輔は優しく言いながら、駆逐艦娘達に歩み寄った。そして、優しく五人を抱き締めて
「怖かったですね……」
と優しく言いながら、頭をゆっくりと撫でた。その直後、五人の目元にみるみると涙が溢れてきて
「こ、怖かった……怖かったです……!」
「も、もう……帰れないかもって……!」
「う、うぅ……あぁぁぁぁぁ……!」
と嗚咽を漏らした。それから暫くの間、祐輔は彼女達が泣き止むまで頭を撫で続けた。そして、第三会議室
「すいません、遅れました」
「いえ、構いませんよ」
申し訳なさそうに入室した祐輔を、アークエンジェルとエウクレイデスが出迎えた。そして祐輔が座ると、アークエンジェルが
「何やら、火急の要件と聞きましたが……何が?」
と祐輔に問い掛けた。祐輔は、USBメモリーを会議室のパソコンに挿し込み
「今から流す映像を見てください」
と正面の大きなモニターに表示させた。アークエンジェルとエウクレイデスの二人は、モニターに表示されたオレンジ色と緑色の光る一つ目が特徴の人型機を見て
「これは……間違いないわね」
「ハイザックとマラサイですか……」
とその人型機を断定した。
「やはり、MS……」
「はい……」
「ようするに、貴方の艦隊が遭遇した……ってことね? 艦娘達は?」
「なんとか帰還を果たしまして、今は休んでいます……」
祐輔の話に、エウクレイデスは安堵した表情で深々と息を吐いた。面倒見がいいエウクレイデスは、一部の艦娘と仲が良く、時々相談も聞いていた。
だから、無事なことに安心したようだ。
「それで……これを我々に見せてきた……ということは……」
「はい……依頼は、艦隊の護衛……そして何より、このMSの排除です」
「……範囲としては、MSの生産・活動拠点も?」
「はい。お願いします」
「依頼、確かに受諾しました……我々にお任せを」
アークエンジェルのその力強い宣言に、祐輔は微笑みを浮かべた。これが、戦争拡大の一歩となる。