海中から出撃したスピリッツは、近づいてきていたマラサイとハイザックの混成中隊と交戦を開始した。しかし、相手は量産前提の機体。それに対して、スピリッツは全機がワンオフのガンダムタイプ。性能面では、比較にならない程にスピリッツが有利である。
『SFSを一機、確実に滷獲しろデータを見て、相手の拠点を見つける』
『了解!』
フェニックスの指示を受けて、スピリッツは行動を開始した。SFSというのは、正式名をサブフライトシステムと言い、大気圏内で長距離飛行が出来ない機体が長距離飛行をするために乗る無人機(有人タイプもあるが、殆んどが無人タイプ)で、それに乗れば、長距離飛行が可能となる。しかし欠点として、相手に奪われたらコンピュータに残された航跡データから、拠点の位置が露見してしまうのだ。フェニックスは今回、それをすることで相手の生産兼整備拠点を発見しようとしているのだ。
『今のうちに、貴女方は離脱を!』
「ありがとうございます!」
ザンライザーXXXXの言葉を聞いて、長良を背負った時雨は離脱を開始。そんな時雨を狙い、一機のハイザックが銃。ザクマシンガン改を指向したが、その胸部を光の刃が貫通。エピオンはそのハイザックを蹴り飛ばし
『フェニックスよ、一機確保したぞ!』
と先のハイザックが乗っていた、ドダイ改を確保した。それを見たフェニックスは
『確認した! 他は、撃滅する!』
と一気に、フェザーファンネルを展開。残っていたハイザックとマラサイを、同時に撃破した。その後、他に残っている機体が無いか確認してから、母艦に帰還。ドダイ改の航跡データの確認を始めた。それから、数十分後
『敵の拠点が分かったんですか!?』
「はい……場所は、ここ……です」
祐輔からの問い掛けに、アークエンジェルはモニターの隅に海図を表示させ、その一ヶ所に光点をオーバーラップさせた。そこを見て、祐輔は
『そこは……海のど真ん中の筈……』
と不思議そうにした。
「しかし、間違いなくここでした」
『……分かりました。今から艦隊を編成し、その海域に向かいます。途中で合流しましょう』
「分かりました」
祐輔との通信を終えたアークエンジェルは、直ぐに行動を始めた。MS群は整備を開始し、艦隊は全速力で件の海域に向かい始めた。
「……総員に通達します……我々はこれより、対MS、対拠点、対艦戦闘を始めます。対地装備を確認。特に、自己鍛造弾と対地榴散弾頭の二つは念入りに確認を」
「ハッ! 通達します」
アークエンジェルの言葉を聞いて、副長妖精は敬礼してから受話器を取った。それを視界の端で確認しながら、アークエンジェルは
(嫌な予感がします……なんですか、この感覚は……まるで、今まで戦ってきたあの強敵達と相対した時のような、この感覚は……)
と黙考していた。それから、数時間後
「全艦、急速浮上! 衝撃に備えよ」
「メインバラスト、ブロー! 急速浮上!」
アークエンジェルの指示を受けて、副長妖精が復唱気味に指示を出した。そして、アークエンジェルとエウクレイデスの二隻は海上に出た。その少し離れた位置には、二隻の船が停泊していた。一隻は、祐輔の船のおおすみ型の二番艦のおおしお。そしてもう一隻は、艦娘用母艦のうずしおだった。
「まさか、提督自らが前線指揮を?」
『元々、帝国海軍は陣頭指揮が伝統と言えますね。まあ最近は、通信技術の発達で後方での指揮が増えましたが、今回は何が起きるか分かりませんからね』
アークエンジェルが少し驚きながら問い掛けると、祐輔はそう返した。なんと今回、祐輔がおおしおに乗って出撃してきていたのだ。どうやら、不測の事態に備えた結果らしい。しかし、おおしおが攻撃されたらと考えると、余りにリスクが大きい。
『大丈夫ですよ。操舵が得意な妖精を選びましたから』
祐輔はそう言うが、やはり不安は拭えない。しかし、時間を掛ける訳にはいかない。だから四隻は目的の海域に向かった。