襲撃の有った海域から離れて、暫く。上空をアークエンジェルが飛ばしたUAVが飛んでいた。
「艦長、例の海域にUAVが到着しました」
「映像をメインモニターに」
「はっ」
アークエンジェルの指示を受けて、CIC妖精の一人がメインモニターにUAVが撮影している映像を表示させた。
そしてアークエンジェルは、息を飲んだ。そこに映されていたのは、完全に予想外だったからだ。
「ファクトリー艦……!」
そこには、トラマリン構造など目ではない巨大な艦が映されていた。まるで、小さな島と表現出来る艦だった。
『な、なんなんですか、これは……!?』
その映像は、通信を通して祐輔が座乗する艦のモニターにも回されており、その映像を見た祐輔も、驚いていた。そこに、エウクレイデスが
『そうか……メガフロートを使って、艦を作ったのね!?』
と驚きながらも、その艦の構造に気付いた。
『エウクレイデスさん、メガフロートとは?』
『つまりは、人工的な島よ。あれは、様々な素材を使って作られた人工の島を艦として利用しているのよ!』
祐輔の問い掛けに、エウクレイデスはそう答えた。
その間にアークエンジェルは、その艦の大きさを表示させた。横幅だけで、優に5km。奥行が20kmを超えている。艦というには、余りにも巨大な艦だった。
その艦は、工場施設、港湾施設を有しており、言うなれば移動式拠点だろう。
しかし何より、その一ヶ所には駐機されているMSが有った。それも、中隊どころか、大隊規模の数のMSが。
『この数……それに、まだ製造している可能性が高いわね』
『今討たないと、後々危険です!』
エウクレイデスに続き、祐輔もこの状況を放置するのは危険だと判断し、アークエンジェルも同意するように頷いた。
「本艦隊はこれより、このファクトリー艦を攻撃。破壊する作戦を開始します! 総員、第一種戦闘配置!
対艦並びに対MS戦闘用意!!」
「はっ! 総員第一種戦闘用意! 本艦隊はこれより、敵ファクトリー艦の破壊作戦を行う!」
アークエンジェルの指示を副長が復唱した直後、艦内で鳴り響く警報音。それを受けてか、艦内を妖精達が走り回り、配置に就いていく。
「対空警戒を厳に! 相手は恐らく、こちらのUAVに気付いている筈!」
「了解! 些細な反応も見逃しません!」
アークエンジェルの指示に、CIC席に座っていた妖精が意気込んだ様子で答えた。やはり、スピリッツの妖精達も何か感じているのかもしれない。
これからの戦いは、今までのように一方的にはならないと。
それから、数十分後。
「レーダーに異常! レーダーがジャミングされています! モードを切り替えます!」
CIC妖精の一人が、そう言ってキーボードを操作。少しすると
「これは……GN粒子による干渉です! 間違いありません!」
と別の妖精が報告してきた。
「GN粒子!? まさか……MS隊、全機出撃! 操舵手、回避運動任せます!」
「了解!」
アークエンジェルの指示に、操舵手妖精が返答し、アークエンジェルとエウクレイデスの二隻からは、次々とガンダム達が出撃していく。その時、ようやく見えた敵ファクトリー艦。仮呼称、アイランド。
そのアイランドの上空で、閃光が確認された。その直後
「アンチビーム爆雷、発射!!」
とアークエンジェルが、怒鳴るように指示を飛ばし、CIC妖精も即座に応じ、アンチビーム爆雷を放った。
広がったアンチビーム幕は、迫ってきていたビームを拡散させた。
それを見たアークエンジェルは
「副長!」
「推定威力……GNメガランチャー! ガデッサです!!」
アークエンジェルの意図を察した副長妖精は、データベースから敵の武装を特定。そして、光学カメラがその機体を捉えた。
アイランドの上空に、巨大な火砲たるGNメガランチャーを抱えた黄緑と白が特徴のMS。ガデッサが居た。
しかも、既に次撃の準備に入っているようで、砲口にGN粒子が貯まっている。
その直後、ガデッサが一撃を放った。その閃光は、祐輔の艦に迫る。
「トライアド1!」
アークエンジェルが呼んだ直後、フレスベルグが祐輔の艦の前に布陣。楯のIフィールドを全開にした。
Iフィールドにぶつかり、拡散されるGNメガランチャー。
アークエンジェルは、それを見ながら
「敵の気勢を削ぐ! 主砲並びに副砲、砲撃用意!」
「ゴッドフリート、バリアント両舷起動! イーゲルシュテルン、自動照準モードで起動! ミサイル発射管、全門榴散弾頭装填! ゴッドフリート、バリアント照準、敵MS!」
「撃てぇ!!」
アークエンジェルの号令の直後、砲撃が放たれた。
これが、新たな戦争の幕開けとなる。