アークエンジェルが撃った砲弾やミサイルは、確かにアイランドに向かって飛翔していく。だが、実弾は全て撃墜され、ビームは拡散した。
「ダメです! こちらの攻撃、一切効果を成していません!」
「今のビームは……いえ、攻撃続行! エウクレイデス、おおしおと呼吸を合わせなさい!」
「はっ!」
アークエンジェルの指示を受けて、副長妖精は復唱しながら指示を飛ばした。その後、空中で幾つもの閃光が走り始めた。
「MS隊、敵MS隊との交戦を開始しました! 敵の編成は、ハイザックが24、マラサイが12……それと、ガデッサとガラッゾです!」
「おおしおに打電! 迂闊に前に出過ぎないように、なるべく我々の後ろに居るようにと! MS隊は、敵MS隊を撃破! 一機たりとて抜かせるな!」
アークエンジェルの号令の直後、スピリッツのMS隊は一気呵成に動き始めた。攻めてくる敵MS隊を次々と撃破し、進軍する。
『こちらも、艦隊出撃! 対空警戒を厳に! 目標、アイランド!』
祐輔の指示を合図に、おおしおから次々と艦娘達が出撃。艦隊を編成し、進軍を開始する。その直上に、エウクレイデスから出撃したMS隊が布陣し、艦隊を狙ってくる敵MS隊を次々と焔の華に変じさせる。
もちろん、祐輔艦隊も守られてばかりではなかった。空母艦娘たる蒼龍と飛龍が戦闘機を発艦させ、アイランドに向かわせる。それを狙い、数機の敵MSが向かうが
『全主砲斉射! 凪ぎ払え!!』
戦艦娘の大和、武蔵、長門、陸奥の四人が一斉に主砲から砲弾を打ち出し、敵MS隊の殆どを撃墜する。
「流石は、かの大戦で世界一の火力とビッグ7と呼ばれた火力です……凄まじい」
アークエンジェルは四人の火力を見て、思わずといった感じで呟いた。大和、武蔵、長門、陸奥。この四隻は、第二次世界大戦時にその名を世界に轟かせた艦だ。
大和と武蔵は、世界最強級の火力。長門と陸奥は、ビッグ7という世界でも最高峰の火力の七隻の二隻だった。
その火力の高さは凄まじく、幾ら高い防御力を誇るMSでも直撃を受ければ、撃墜は必至というレベルだ。
そしてそれは、アークエンジェルも同じだ。アークエンジェルの防御力はこの世界の艦に比べたら非常に破格だ。しかし、流石にその四隻の火力の直撃を受けたら、大打撃は確実だ。
その砲撃が、今度はアイランドに向けられた。その直後、アイランドから閃光の奔流が祐輔艦隊に襲い掛かる。亜光速で迫る破壊の奔流、艦隊に回避することは叶わない。しかし、艦隊の前にフレスベルグが出て、盾を構えた。盾に閃光が当たると、閃光が拡散される。
数秒後、閃光をフレスベルグが防ぎきると、今度はケルディム・アンダインがライフルを構えて狙撃。
ガデッサを攻撃した。
しかし、ガデッサは悠々と回避した。それを確認したフレスベルグは
『アレは、こちらで押さえる。貴艦隊はそのまま砲撃を敢行されたし』
と言って、突撃していった。それを見送った大和は
「なんとも、心強い方々です」
と呟いた。その呟きに、長門が同意するように頷き
「傭兵と聞くと、自らの利益のために戦う輩と思えるが……彼等は、平和のために戦っている……傭兵の概念が変わりそうだ」
そう口にした。そこに、通信で
『新たに、アイランドから敵MS隊が出撃! 艦隊は充分に警戒されたし!』
と大淀から注意喚起された。確かに、対空電探が十数機の新たな反応を捉えており、熟練妖精からもかなりの数を捕捉していた。
「艦隊、新三式弾装填! 有効打になるかは分かりませんが……目標、接近する敵MS隊……撃てぇ!」
大和の号令の直後、四人は新たに砲弾を放った。
新三式弾、それはエウクレイデスの協力で用意された新しい砲弾だった。
今回は試験運用ということらしく、データ収集を頼まれた物だ。そして今回の結果次第により、調整等が入る。
「彼等にばかり、頼むわけにはまいりません!」
大和は飛翔していく砲弾を見ながら、そう意気込みを述べたのだった。