艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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締結

パラオ泊地での激戦から、少しした帝国海軍大本営。そこのある会議室では、会議が紛糾していた。その内容は、パラオ泊地に侵攻してきた未知の敵と協力態勢のスピリッツに関してだ。

 

「あの敵と味方はなんだ!? 人型の機械だと!?」

 

「敵はともかく、味方のは即座に管理下に置くべきだ! 国に属さぬ戦闘集団など、テロリストに等しい!」

 

「傭兵だと言うのならば、安い金で雇って、捨て駒にしてしまえばいい! 傭兵ならば、損失にもならないからな!」

 

やはり、その議論の中心になるのは、スピリッツに関してだ。スピリッツを脅威と見るか、接収すべきか、捨て駒に使い潰すか、大きく纏めると、この3つになる。

将官達が紛糾する中、一人沈黙を保っている人物が居た。現帝国海軍司令長官、神林十蔵元帥である。

十蔵は、刀で軽く床を叩いた。その瞬間、紛糾していた将官達の視線が全て十蔵に集まった。

現在、帝国海軍に存在する三大派閥。艦娘は兵器なのだから、使い潰してでも戦うべきだ、と主張する強硬派。

深海側と何とかして和平を結ぼうとしている、ハト派。

最後に、艦娘は人間と同じ、もしくは神の使いなのだから親密にし共に戦おうという、穏健派。

十蔵はその中でも、穏健派のトップに当たる。

十蔵は全員の視線が集まったのを確認し、立ち上がると

 

「彼ら……スピリッツに関しては、こちらは前々から接触しており、艦娘が居ることも確認した」

 

「艦娘!?」

 

「以前から知っていたということですか、元帥!?」

 

十蔵の発言に、その場に居た殆どの将官が驚いていた。十蔵は、静かに頷き

 

「傭兵部隊スピリッツ……彼女達は非常に高い理想と理念を抱き、それに従って行動している……彼女達のおかげで、トラック・パラオ両泊地での悪事が判明し、対処してくれた……そして、その戦力の中心となっているのは、人型機……MSと呼ばれる存在で、数は約30機程だが、その全てが我々の有するあらゆる兵器を遥かに凌駕する性能を有している……もし、強引な行動をすれば、簡単に全滅する可能性が高い」

 

と言外に、強硬派に対して牽制した。先ほど強硬派達は無理やり接収するか、使い潰すかと言っていた。そうなれば、スピリッツは敵対して全滅する可能性が高い。

それで殆どの強硬派は黙ったが、一人が十蔵を小馬鹿にした様子で

 

「おやおや、元帥ともあろうお方が随分と弱気ではありませんか……たかが傭兵風情、我々の精鋭艦隊を全て投入すれば、服従させるなど容易いと考えますが?」

 

と半ば挑発するように告げてきた。しかし十蔵は、その将官を哀れんだように見て

 

「今から見せるのは、加工など一切していない実際の映像だ……」

 

そう言って、パソコンを操作した。すると、楕円形の机の真ん中に置いてある数台のモニターに、ある映像が流れ始めた。それは、先のとは違うトラック泊地での攻防戦。相手は、姫級二体が率いる100以上の深海艦隊だ。

 

「元帥、これは……」

 

「……今から、約3ヶ月程前に起きた深海艦隊の大規模侵攻……その時の映像だ……」

 

穏健派の将官が問い掛けると、十蔵は淡々と答えた。そして、戦闘。否、蹂躙が始まった。

十数線の閃光が走ったかと思えば、容易く深海艦を貫通し、一撃で海に沈めた。

 

「なんだ、今の閃光は!? 一撃で、戦艦級を撃ち抜いただと!?」

 

「それだけじゃない! その後ろに居た、他の深海艦も容易く!?」

 

将官達が驚くが、まだ映像は続く。次に現れた人型機、MSガンダムが次々と斬り込み、容易く艦隊が撃破されていった。それも、全て一撃だ。

あまりにも衝撃的な映像に、将官達は最早言葉は出なくなった。

この時、将官達の脳裏に過ったのは、同じ考えだった。もし、自分達だったらどうなっていた? であり、そして答えは苦戦必至だ。しかも、最悪は犠牲すら出る可能性があるという結論が出た。

そして、一時間程で100を越える深海艦隊は姫級二体を残して全滅した。映像が終わったのを確認し、十蔵は

 

「さて、今のを見ても先と同じことが言えるかね?」

 

と先ほどの将官に視線を向けた。将官は何か言おうとしたが、結局は何も言えずに俯いた。それを見た十蔵は

 

「故に傭兵部隊スピリッツとは、契約を結ぶ。契約内容は、未知の深海艦が出た時や大規模侵攻の際の共闘。そして何より、敵MS襲撃の際に戦ってもらうこと……以上を契約内容とし、見返りに資源を渡す……何か異論はあるか?」

 

十蔵は並み居る将官を見るが、誰もが黙ったままだった。異論は無いと判断した十蔵は

 

「では、スピリッツと契約を結ぶ」

 

と宣言した。

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