艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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兵器の定義

「大本営の特務憲兵隊……」

 

「なんで、ここに……」

 

提督を含めた大多数の要員を連行している特務憲兵を見て、第三パラオの艦娘達は困惑した様子で話していた

すると、降りてきたアークエンジェルが

 

「私達が、あの提督達に関する情報を流させてもらいました」

 

と言った

それを聞いて、鋭い視線を向けながら陸奥が

 

「貴女は? 艦娘みたいだけど……?」

 

と問い掛けた

そこに、時雨と吹雪が現れて

 

「待って、陸奥! 彼女達は敵じゃない!」

 

「スピリッツの皆さんは、私達の依頼を遂行してくれたんです!」

 

と言った

 

「スピリッツ?」

 

吹雪の告げた名前に、陸奥は首を傾げた

スピリッツという名前に、聞き覚えがなかったからだ

 

「平たく言えば、傭兵です……依頼を受けて、その依頼を完遂するためにあらゆる手段を行使します」

 

アークエンジェルがそう言うと、陸奥は

 

「つまり、時雨と吹雪が依頼をした……と?」

 

と問い掛けた

それに対して、アークエンジェルは

 

「正確には、お願いでしたが……私達はそれを受理し、あらゆる手段を持って、あの提督の排除に動きました」

 

と答えた

そこに

 

『終わったわよ。旗艦』

 

とAGF天ミナが、不意に姿を現した

それに、近くに来た駆逐艦娘の一人

初月が

 

「そんな……今、レーダーに反応が一切無かったのに……」

 

と驚いた表情を浮かべていた

それを聞いたAGF天ミナが

 

『私には、あらゆるレーダーと光学的に見えなくなる特殊装備があるのよ』

 

と答えた

ミラージュ・コロイド

ジェネレーションワールドで生まれた、極めて高いレベルのステルス装備だ

これを見つけるのは、至難の技だろう

 

「……それだけじゃなく、あの黒いの……」

 

「フレスベルグですか?」

 

陸奥が視線を向けた先では、フレスベルグが小さい艦娘

駆逐艦娘や海防艦娘達に群がられていた

それの対処が、いやに様になっている

 

「そう……彼の発した光で、私達の艤装が動かなくなった……明石の話じゃあ、機関が完全に分解されていたらしいけど……あれも、そう言った特殊装備なのかしら?」

 

「まあ、副次効果ですがね……」

 

陸奥の問い掛けに、アークエンジェルはぼかしながら答えた

機密を喋る訳にはいかないから

そこに

 

「ねえねえ、この装備って外せるの?」

 

と金髪の駆逐艦娘

皐月が、フレスベルグに問い掛けていた

その問い掛けに、フレスベルグは

 

『……楯やライフルは外せるが……』

 

と答えた

それを聞いた皐月は

 

「持たせて!!」

 

と目を輝かせた

それを聞いたフレスベルグは、頭をアークエンジェルの方に向けた

どうやら、判断を仰いでいるようだ

アークエンジェルが頷くと

 

『……重いぞ、気を付けろ』

 

と言って、ライフル

ビームマグナムを差し出した

それを受け取った皐月は

 

「お、おお……本当に、重い……」

 

となんとか、両手で持ち上げた

それを見たフレスベルグが

 

『……力持ちだな』

 

と少し驚いていた

それに対して皐月は

 

「まあ……ボク達は、兵器だからね……力は、かなり有るよ……」

 

と表情を俯かせた

それを聞いたフレスベルグは、周囲を軽く見た

皐月だけでなく、近くに居た駆逐艦娘や海防艦娘は、落ち込んでいた

恐らく、提督からそういった扱いをされてきたからだろう

そんな皐月の前で、フレスベルグは膝を突き

 

『……君たちは、兵器ではない……兵器というのは、俺達のことだ……』

 

と言いながら、皐月の頭をその機械の手で優しく撫で始めた

機械で体温など無い筈なのに、皐月には温かく感じた

 

「……え?」

 

『兵器というのは、戦う為だけに作り出される存在だ……俺達MSのように、戦うことしか出来ない存在……それこそが、兵器だ……』

 

皐月が驚いていると、フレスベルグがそう言った

ふと気付けば、周囲の多くの艦娘達がフレスベルグを見ている

 

『……君たちには、感情がある……今みたいに悲しくなれば、怒り、笑い、楽しむことが出来る……それが、兵器ではなく、君たちが生きている証拠だ……』

 

「フレスベルグさん……」

 

フレスベルグの言葉を聞いて、何人かは泣きそうになっている

そんな彼女達を、フレスベルグは優しく抱き寄せて

 

『今まで、よく頑張ってきた……泣いていい……』

 

と優しく頭を撫でた

その直後、その艦娘達は泣き始めた

今まで溜まっていた感情が、爆発したようだ

それを見た陸奥が

 

「彼、優しいのね……」

 

と呟いた

それを聞いたエウクレイデスが

 

「かつてのパイロットの思いを、受け継いだのね……」

 

と言った

それから少しして、一人の駆逐艦娘が

 

「情けないところを……見せました……」

 

と頭を下げた

 

『構わない……というより、すまんな。俺のような兵器が相手で……』

 

その駆逐艦娘

陽炎型駆逐艦娘、不知火に、フレスベルグは頭を下げた

すると、不知火は

 

「いえ……貴方で良かったと思います……名乗り遅れましたが、私は陽炎型二番艦の不知火です。よろしくお願いします」

 

と言って、右手を差し出した

それに対して、フレスベルグは

 

『改めて、ガンダムデルタカイ・フレスベルグだ。フレスベルグとでも呼んでくれ』

 

と握手に応じた

そしてフレスベルグは

 

『陽炎型か……データでは、全部で19隻存在した甲型駆逐艦……つまり、姉妹は19人のはすだが……こちらが認識した限り、6人……か? しか居ないが……』

 

と周囲を見回した

フレスベルグが認識したのは、不知火、雪風、時津風、天津風、浜風、浦風だけだ

すると、不知火は

 

「……以前までは、陽炎と黒潮も居ましたが……陽炎は轟沈……黒潮は、提督からの暴行で、重傷のまま放置されています……」

 

と声を震わせながら言った

それを聞いたフレスベルグは

 

『すまない……辛いことを聞いた……』

 

と謝罪

そして、エウクレイデスに視線を向け

 

『エウクレイデス艦長』

 

と呼んだ

 

「はいよ。行きますか」

 

フレスベルグの意図を察したエウクレイデスは、不知火に歩み寄り

 

「不知火ちゃん、だったわね? 案内してくれる?」

 

と問い掛けた

すると、不知火は

 

「し、しかし……」

 

と躊躇った

するとエウクレイデスは、人好きのする笑みを浮かべ

 

「大丈夫! 私に任せなさいな!」

 

と胸元を叩いた

そして、周囲の他の艦娘達に

 

「他に重傷を負った姉妹や仲間が居るなら、私に教えて! 絶対に、治すわ!!」

 

と力強く言った

それを聞いた周囲の艦娘達は、顔を見合わせてから

 

「私の姉の名取姉さんが……」

 

「ボクは妹の村雨が……」

 

と続々と集まってきた

それを聞いたエウクレイデスは

 

「全員、任せなさい! 必ず治すわ!」

 

と言って、右手を高々と上げた

 

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