大本営の情報省から、帝国にロシアのスパイが入り込んだ可能性大、という書類を読んだ祐輔は、青葉と衣笠の二人を呼んだ。
青葉と衣笠だが、広報班として行動しており、日刊・週刊・月刊青葉という新聞を発行しており、様々な情報を集めている。
艦娘に人気な各種特集から、提督向け、秋雲の描いた四コマ等、様々なコラムがある。
しかし、その広報班の姿は表向き。裏では、
「青葉、来ました!」
「提督、呼んだ?」
青葉と衣笠が来ると、祐輔は頷き
「帝国情報省から、これが来ました」
と情報省からの書類を、二人に差し出した。それを受け取った二人は、一読し
「また、あの国からですか……」
「しつこいねー」
と軽く呆れていた。実を言うと、ロシアから諜報員が送られてくるのは、珍しいことでも無いのだ。
「少し前に別の鎮守府でですが、艦娘の体内に発信器が……艤装の妖精を脅迫して、情報を流させていたそうです……あの国も、躍起なのでしょう……自国の防衛の艦娘が全然居ないことに」
今現在、ロシアの艦娘は三名。しかも、その内一名は実質日本の艦娘なので、実際は二名だけだ。
戦艦娘、ガングート、駆逐艦娘、タシュケント、ヴェールヌイ(響)だ。
たった二名で守れるわけがなく、ロシア近海も日本が担当しているが、ロシア政府は良く思っていない。
自国の海は、自国で守る。そう考えたロシアは、強引にでも艦娘を増やそうと画策し、艦娘の誘拐を度々行っている。
艦娘の誘拐は、今現在国際法で禁止されており、ロシアは度々非難されているが、知らぬ存ぜぬを貫いている。
「そういう意味だと、中国も要注意だけど……」
「一応、両方を警戒してください」
「了解」
艦娘の誘拐、という点では、実は中国も行っていた。ロシアより頻繁ではないが、中国も誘拐を企てている。
中国方面は、台湾の
だが、中国は違う。中国は台湾ば自国の領土であり、中国の支配下だ。今は日本に治安を頼んでいるだけであり、独立を許した訳ではない。
と告げている。
そしてその中国だが、艦娘の保護と銘打って戦域ではぐれた艦娘を連れていこうとする事態が何回かあった。
だが中国は知らないことに、地上に上陸出来るのは、《艦娘が味方だと認識した人が居る場所》。もしくは、《妖精が居る港湾施設》になる。
そして、中国はその強硬な姿勢からほぼ全艦娘から信用されておらず、中国に妖精は居ないのだ。
では、中国に《保護された》艦娘は、どうやって帰ってきたのか。それは、台湾の艦隊が迎えに行ったのだ。
「では、青葉と衣笠は防諜活動を開始します!」
「お願いします。何かあれば、適宜報告を……緊急時は、秘匿回線を使って暗号通信を……周波数は、9番を使ってください」
祐輔の指示を聞いて、青葉と衣笠は部屋から退室した。
そして祐輔は、パソコンの画面を見ながら
「……こんな時でも、人間は一つに纏まれない……か……」
と呟いた。
事態が動いたのは、それから数日経ってからだ。
『祐輔さん、聞こえますか』
衣笠から、秘匿回線で通信が来て
「こちら祐輔……どうですか?」
『アタリです……現在パラオの一ヶ所に、ロシアのGRUを確認しました……』
祐輔の問い掛けに、衣笠が答えた。
ロシアの諜報機関で、破壊活動もする
「GRUでしたか……」
『ごめんね、祐輔さん……私達が見付けるのが遅かったから……』
「いえ……情報省が情報を掴んだのが遅かったのが、大元の原因です……何人居ますか?」
衣笠が謝ってきたが、それを祐輔はやんわりと受け止め、人数を聞いた。
『15人だそうです』
「……厄介な……」
特殊部隊相手に、普通の陸戦隊を差し向けても敵う訳が無い。上手くいっても、大損害を被るのが見えている。
手をこまねいていると、GRUが動いて最悪はパラオ泊地に対する破壊工作をされる、だが、どう対処する。と祐輔は考えていた。
そこに
『祐輔さん……その、スピリッツの天さんが、私達が対処すると……』
と衣笠が、言い淀みながら告げた。
「そこに居るんですか?」
『その、居場所を教えてくれたのが天さんなんです……』
どうやら、青葉と衣笠にGRUの居場所を教えたのは、天ミナ改のようだ。それを聞いた祐輔は、少し黙考してから
「スピリッツに任せます……と、伝えてください」
『分かりました』
そこで通信は終わり、スピリッツによる