スピリッツ第一部隊、アークエンジェル隊は地道な調査を続けていた。とある海域の海底鉱山を調べ、海底火山を調べ、ある証拠を掴んだ。
「それで、間違いないのですね? 奴らの基地に」
『データ照合し、98%の確率で確定しました。規模から察するに、MS生産工場だと思われます』
アークエンジェルからの問い掛けに、フェニックスが答えて、メインモニターにそのデータを表示させた。
それを見たアークエンジェルは、暫く黙考し
「……エウクレイデスとの通信は出来る?」
と通信妖精に問い掛けた。
通信妖精は、少し機器を操作して
「少々距離が離れている為に、リアル通信は難しいですが、メッセージなら可能です」
と返答した。
「なら、メッセージを……現在地のポイントと敵の予想規模を記載して、集合するように伝えてください」
「分かりました。すぐに」
アークエンジェルの言葉を聞いて、通信妖精は機器を操作。エウクレイデス隊に対して、メッセージを送った。
エウクレイデス隊は、パラオ付近で海中用MSの試験中である。それを呼び寄せるということは、攻撃を仕掛けるのだろう。
そう判断したフェニックスは
「部隊に対し、整備を受けて待機するように伝えておきます」
と言って、艦長室から出ていった。
一方、エウクレイデス隊。
エウクレイデス隊は、パラオ近海の海底付近で水中仕様にしたハイザック。ザクマリナーの試験を実施していた。装備は、対MSキャピテーピング魚雷と対艦魚雷。そして、新規開発した高周波クローになっている。
その高周波クローは、緊急時にはパージすることも出来るようにしてある。
『……試験は良好……今のところ、発見した深海の潜水艦も一撃でした……』
監督しているのは、水中仕様に換装したヘビーアームズだ。水中での移動用に、機体各所にハイドロモーターとスケイルモーターを装着し、水中での移動速度を上げている。
その試験結果は、今のところ良好。先行して改修された四機で小隊を編成し、運用。まだ搭載AIの経験が少ない為に動きは拙いが、調査の為にか侵入してきた深海棲艦の潜水艦数体を相手に気付かれる前に撃沈させることが出来た。
『後は、経験を積ませて、そのデータを複製し、量産機に搭載すれば、大丈夫そうですね』
ヘビーアームズがそう判断し、ザクマリナー隊に帰還するよう信号を出した時、ヘビーアームズも帰還信号を受信した。
『このタイミングで、帰還信号……敵基地を見つけましたかね……』
ヘビーアームズはそう考えながら、ザクマリナー隊と共にエウクレイデスに向かった。そして数日後、エウクレイデス隊はアークエンジェル隊と合流。ブリーフィングを始めた。
「これより私達は、敵の海底基地を攻撃します。その基地は、調査により海底資源の回収と量産型MSの生産工場だと思われます」
アークエンジェルからの説明と同期して、モニターにその基地の規模が表示された。地下にも広がっているようで、相手の戦力も不明。本来は相手の基地の三倍の戦力を用意するのが、拠点攻略の基本なのだが、難しいだろう。
「こちらの狙いは、最善は生産工場の確保。最悪でも、この基地の破壊になります。生産工場を確保すれば、その量産機をこちらの戦力とするのも容易になります。何より……あの敵が何処に居るのかがまだ分からず、何処に現れるのかも分からない……ならば、今の我々に出来ることを積み重ねていくしかありません」
アークエンジェルのその言葉に、フェニックスが代表して頷いた。はっきり言って、比我の戦力差は如何ともし難い。しかも、スピリッツ側には、対MS戦では不安がある。艦娘達だ。
彼女達の武装は世界大戦期の物が中心な為に、性能としては比較に為らない程の差が開いている。少しずつだが、スピリッツの技術も導入することにより、対処出来るようになってきているが、差は歴然である。
「更に、可能ならば敵の拠点の位置の把握。または、相手MSの詳細データの確保が出来れば、なおよしです。しかし、欲張りは身を滅ぼします。無理ならば、生産工場のみとします」
『了解!』
アークエンジェルの決定に従い、スピリッツは斉唱で返す。そしてアークエンジェルはエウクレイデスと顔を見合せて
「作戦開始は、今から12時間後。生産工場の制圧と全機の帰還をもって、作戦の成功とします!」
『了解!』
その宣言の直後、スピリッツは準備に入った。
今までは、相手に好き勝手されたが、ここからが反撃になる。