消耗が激しいトライアド隊と順番を入れ換えて、ヴァルキリー隊が先頭になって基地の最奥に向かった。
海底基地は予想以上に広く、中には掘削場、資源保管所も合った。
そして最初に見つけたのは、部品の生産ラインだった。
『この部品は……ハイザック型のか』
『近くに、情報の吸出しが出来るのは……』
ハルファス・ベーゼは部品の規格を確認し、エピオンは操作端末を探した。すると、グランド隊のアルケーが
『有りました! 情報の吸出しを始めます!』
とジャックにコードを差し込んだ。
それから少しして
『あちらに、更に地下に行くエレベーターがあります! MSの生産ラインは、その先に!』
とある通路を指差した。それを聞いたハルファス・ベーゼは
『進みましょう。罠と待ち伏せに警戒を』
と指示して、進み始めた。
その先には確かに、MSの搬出もする為にか大きなエレベーターがあった。
スピリッツはその中に入り、更に地下に向かった。
『外は、どうなってましたか?』
『敵が随時投入されてましたが、問題は無いかと……ザク・マリナーの経験値稼ぎもしていました』
XXXXからの問い掛けに、ハルファス・ベーゼは突入する前の状況を教えた。どうやら、改修機のAIの強化の為に実戦投入したようだ。
『それより……気付いてますか?』
『はい……この下から、高い熱源を確認しました……MAか最低でも10機以上のMSが展開しています』
それは、熱源探知で分かったことだ。
最下層らしい場所の通路に、高い熱源を確認したのだ。
間に岩がある為に正確には分からないが、間違いなく敵の待ち伏せだろう。
『このままじゃ、確実に先手を取られますが……』
『策なら、あります』
バンシィ・クロスの言葉に、ハルファス・ベーゼが返答した。場所は変わり、最下層。
そのエレベーター前通路には、片手に連装式ガトリング砲を持つ量産型MS。
サーペントが20機近く展開していた。
前後に10機ずつ並び、前側のサーペントは膝立ちして構えていた。
このサーペント達は、侵入してきたスピリッツの迎撃の為に展開された。
ゆっくりと降りてくるエレベーターの中では、まともに戦闘態勢など取れる訳がなく、入ったままならばただの良い的でしかない。
その状態ならば容易く撃破出来る、と判断した深海の姫級。戦艦棲姫の独断で、新型量産MSのサーペントが投入された。
「イイカ……構エロ……」
戦艦棲姫の指示に従い、サーペント部隊はガトリング砲を構えた。そして、エレベーターが到着した音がした瞬間
「撃テェ!!」
戦艦棲姫の号令に従い、サーペント部隊は一斉にガトリング砲を撃ち始めた。数えるのも困難な程の大口径砲弾が、次々とエレベーターに吸い込まれていく。
その火力は凄まじく、エレベーターのシャッターは意図も容易く穴だらけになり、普通だったら中の物も無事ではない。
数十秒は続いた砲撃に、満足したのか
「砲撃止メ!」
戦艦棲姫は砲撃を止めるように指示し、戦果を確認する為に前に出た。
最初は煙で見えなかったが、見えた光景に驚きで固まった。何故ならば、見えたのは無残に壊れたエレベーターのみで、エレベーターの中はもぬけの殻だったからだ。
「バカナ!? 奴ラ、何処二消エタ!?」
戦艦棲姫はそう言いながらエレベーターの中を見て、気付いた。エレベーターの天井に、穴が空いている。
それに気付いた直後、後方で轟音が響き渡った。
「ナニ!?」
後ろを見てみれば、サーペント部隊は消滅。代わりに、スピリッツが居た。
「バカナ! ドウヤッテ!?」
『簡単な話です。天井に穴を空けて脱出し、岸壁をビームで掘削しただけです』
ハルファス・ベーゼはそう言って、メガビーム砲を指向し、他のガンダムも続くように武器を向けた。
多勢に無勢とは、まさにこの事だった。
しかも、艤装すら無い戦艦棲姫にはなす術は無かった。
だが、彼女も姫級としてのプライドがあった。
だから
「舐メルナアァァァ!!」
とハルファス・ベーゼに飛び掛かった。
『愚かな……』
それが、戦艦棲姫の聞いた最後の言葉だった。