佐世保鎮守府、その外れの一画。
その壁を乗り越え、三人の少年が入った。
スピリッツのトライアド隊第一小隊、デルタカイ・フレスベルグ、バーストストライクフリーダム、00ザンライザー・XXXXである。三人は背負っていた鞄から作業着を取り出し、着替えた。
これからこの三人は、内偵の為に鎮守府の要員に変装する。
目的は、佐世保鎮守府内外に流れる莫大な金額の調査だ。
三人は着替え終わると、周囲に人影が無いのを確認してから
「行動開始だ……抜かるなよ」
「おうよ」
「あいよ」
と短く会話し、鎮守府施設に入った。
まず入ったのは、倉庫だった。様々な機械や箱が置かれてあり、何かを隠すにはうってつけだろう。
軽く倉庫内を歩き回り
「どうだ?」
「……一部、変な間取りがあるな……こっちだ」
どうやら、いきなり当たりを引いたらしい。
フレスベルグは二人を先導し、ある場所に向かった。
「ここだ……この階段」
「……なるほど、この壁、明らかに厚いな」
それは、二階に上がる為の階段の下。階段は平均より少し広い位なのだが、その下の壁が明らかに厚かった。
XXXXは軽く壁を触っていき
「ここに、別の質感があるな」
とそこを強く触った。するとガコンという音がして、壁が開いて地下への階段が現れた。
それを見たフレスベルグは、一度周囲を確認してから
「行くぞ」
と階段を下りた。
「随分と、長い階段だな」
「ああ……螺旋状になっているし、少し高さも分かりづらいが……」
「いや、見えたぞ」
数分間下りると、そこに到着した。
最初に見えたのは、何らかの実験施設だった。
大量のポットが規則正しく並び、中には深海棲艦や艦娘が浮かんでいる。その様は、ジェネレーションワールドでもよく見た悪魔の研究。強化人間の実験と同じだった。
「まさか、この世界でも似た研究か……」
「まだ分からんがな……」
「奥に進むぞ」
人気は感じられず、三人は更に奥へと進んだ。
暫くポットの間を歩き続け、一つのドアをゆっくりと開けた。そしてその先の光景に、息を飲んだ。
ロボットが深海棲艦や艦娘の頭を開き、頭蓋骨の内側に何らかの機械を取り付けて、元に戻していっている。
そんな常軌を逸した光景に、バーストストライクフリーダムが
「なんだ、これは……!」
と怒りに拳を握りしめていた。
あまりに、狂気な光景だった。XXXXは一つのモニターに近づき
「……深海棲艦と艦娘のパペット化計画……」
と呟いた。
「なんだと……?」
「……深海棲艦と艦娘を意のまま操る為に、脳に機器を埋め込む……目的は、我々が日本を……否、世界を牛耳る為……」
「国家転覆どころじゃねぇな」
綾坂大将の大それた計画に、フレスベルグ達は更に調査を進めた。すると、ある一つのファイルを見つけた。
それは、パペット化手術に失敗した個体に関するレポート。
それを読んだXXXXは、思わず壁に拳を叩き付けた。
「どうした」
「……綾坂大将って奴……人間とは思えない事をやってやがる……! パペット化に失敗した個体は、食糧生産プラントで分解し、疑似食糧にして街に出荷してる……!!」
それが、佐世保市内で食べ物が安い理由だった。
日本帝国内では食糧危機を脱する為に、食糧生産プラントを開発し、その生産プラントで疑似食糧を生産し、近くの町に出荷していた。
しかし佐世保では、通常では海中のプランクトンを利用しているのではなく、パペット化に失敗した深海棲艦や艦娘をバイオ分解し、食糧にしていたのだ。
「……なるほどな……」
「データの吸出しがされた形跡があるな……」
「誰か、内偵したんだな……」
三人は周囲の警戒をしながら、データの吸出しを始めた。その時、フレスベルグが
「なんだ、この信号は」
と呟いた。その直後、モニターから離れた位置の隔壁が開き始めた。それに合わせて、ポットが開き始めた。
「まさか……!?」
「既に、計画は実行段階なのか!?」
中から出てきたのは、朝潮型駆逐艦娘の大潮だったのだが、まるでロボットのような無機質さを感じた。