艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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勃発

現れた無表情な大潮が、その手に持っていた連装砲を向けてきた。その直後、XXXXが一気に肉薄し、大潮を殴った。XXXXに殴られた大潮は、思い切り壁に激突し動かなくなった。

 

「データの吸出しも終わった! 離脱するぞ!」

 

フレスベルグの指示を受けて、バーストとXXXXは階段の方に向かって走り始めた。そうしている間にも、次々とポッドが開いて中から艦娘や深海棲艦が出てくる。その全てが、無表情だ。

 

「くそっ! 遅かったのか!」

 

「嘆いてる暇があったら、走れ!」

 

バーストの言葉に、フレスベルグは叱責しながら、柱や壁に次々と何かを投げて付けていく。

 

「階段だ!」

 

「速度を緩めるなよ!」

 

ポッドから出た艦娘や深海棲艦は、フレスベルグ達を無視して大型エレベーターに乗っていく。

恐らくだが、そのエレベーターは外に出るものだろう。

地下に何人居るか分からないが、全て出たら大惨事なのは間違いない。

 

「そのまま走れ!!」

 

三人は一足飛びに階段を駆け登りながら、フレスベルグは懐から小さい機械。起爆スイッチを取り出した。

フレスベルグが壁や柱に投げていたのは、プラスチック爆弾だ。

それを、リュックの中に大量に入れていたのだ。

 

「残酷かもしれん……だが、無辜の民を傷付けさせない!」

 

フレスベルグは階段を登りきって、外に向けて走り始めた直後、起爆スイッチを押した。

すると、仕掛けたプラスチック爆弾が次々と起爆。

佐世保鎮守府は地響きを立てながら、敷地内の様々な所から火柱が上がり始めた。

 

「これで……」

 

「いや、ごく一部だろう。急いで隊長に通信だ」

 

XXXXは全滅したと思ったようだが、フレスベルグは一蹴し、右耳に手を当てた。

地下では通信が届きにくかったので、今から通信するのだ。

場所は変わり、佐世保市街地。

町中を歩く一度は、突如として佐世保鎮守府内から立ち上ぼる火柱を見上げていた。

その火柱に、町中の人たちは呆然としているが

 

「何かあったか」

 

「端末には、まだ」

 

フェニックスとハルファスは落ち着いた様子で、行動の準備を始めた。その時

 

『隊長! 緊急事態です!』

 

「何が起きた」

 

右耳に装着していた小型通信機から、フレスベルグの声が聞こえた。

 

『佐世保鎮守府の提督、とんでもない事を計画してました! 既に、その計画は実行段階です! 今から、詳細を送ります!』

 

普段は冷静沈着なフレスベルグが慌てている事から、余程だと思いながらフェニックスは、送られてきた計画情報を見て、舌打ちした。

 

「パペット化した艦娘や深海棲艦で、国家転覆だと?」

 

「既に実行段階って言ってたわね? もしかして、先ほどの爆発は……」

 

『少しでも数を減らそうと、プラスチック爆弾を使いました。ですが、他にもあると予想します』

 

フレスベルグの報告の向こうから、時々爆発音が聞こえてくる。恐らく、爆破の余波だろう。

 

『トライアド第一小隊は、佐世保鎮守府から脱出します!』

 

「了解した」

 

フェニックスがそう言った直後、フェニックスとハルファスが持っていた端末に新たに文章が表示された。

送信主は、アークエンジェルからだ。

内容は

 

《至急、指定座標に合流。総力で対処する》

 

アークエンジェルは、どうやら今回の事件に全力で対処する事を決めたようだ。

 

「フェニックス1より、総員に通達(オールユニット)! 大至急、マザーからの指定座標に合流! 総力を以て、対処に当たる!」

 

フェニックスはそう言って、ハルファスと一緒に走り出した。

場所は変わり、佐世保鎮守府。その執務室。

その窓辺にて、一人の男が悠然と立っていた。

その男こそが、佐世保鎮守府提督。綾坂遼大将だ。

彼の製菓の綾坂家は、歴史ある家柄である。

今や陸軍の名家だが、その昔は多くの政治家を輩出し、時には大臣や首相になった者も居た。

そういった歴史ある家で産まれ育った遼は、小さい頃から英才教育を受けてきて、ある思想が産まれた。

 

「世界は……私のような優れた人物が支配するべきだ……」

 

選民思想とでも言うべきか、遼は自分が世界で最も優れた人物だと思っている。

事実、遼は過去に学校では常にトップの成績だった。

そして遼は、自分の思想に同調する者達を集め、パペット化計画を立案した。

 

「何やら、倉庫の地下で爆発が起きたようだが……まあ、影響無かろう……捨て駒ならば、掃いて捨てる程にある」

 

遼にとって、パペット化された存在は捨て駒だった。

それは、深海棲艦だけでなく、艦娘と鎮守府に居る自分以外(・・・・・・・・・・)は。

恐ろしい事に、パペット化は人間にも施術出来る(・・・・・・・・・)のだ。警備兵だけでなく、整備士や事務員という非戦闘要員もパペット化する事により、常に最大効率で鎮守府を運営し、常に高い戦果を挙げてきた。そして、いよいよ日本三大鎮守府の一つ。佐世保鎮守府の大将。三大将になった。

 

「くくく……さあ、私の時代と世界の始まりだ……!」

 

遼は歪な笑みを口元に浮かべ、自分の計画が最終段階に入ったと確信していた。

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