『数は多いが、動きは単調だ! いいか、油断するな! 佐世保の人々を守るんだ!』
『了解!!』
フェニックスの号令を受けて、スピリッツは更に圧を強めた。パペット部隊は確かに数は非常に多く、何時途切れるか分からない。
少しでも早く佐世保鎮守府の提督の所に行き、制圧する必要がある。
それと平行して、パペット部隊を佐世保市民に近付かせないようにする必要もあった。母艦二隻から、AIの書き換えが終わった量産型機部隊が順次出撃する予定ではあるが、それまでは本隊と先行して出撃した量産型機部隊が抑える必要がある。
今先行量産型機部隊は、母艦から下ろされた補給物色で補給している最中で、最短で後240秒掛かる。
『マザー1から
アークエンジェルの通信妖精から通信が来た直後、戦術データリンクでポイントが指定された。
指定されたのは、佐世保鎮守府に三つある門と港湾施設だ。
戦況マップを拡大してみると、港湾施設付近にかなりの数の反応がある。確かにパペット部隊は深海棲艦と艦娘の為に、海上に展開されたら面倒だ。
三ヶ所の門にはビームとレールガン等が撃ち込まれ、遥か上空をミサイルが飛んでいく。恐らくだが、二隻のミサイルが港湾施設付近に、まるで雨のように降り注いでいる事だろう。
『マザー1からフェニックス1』
『こちらフェニックス1、なにか?』
『恐らく撃ち漏らしが出る可能性がある。注意せよ』
『了解』
若干過熱気味になりかけていたビームライフルを休ませながら、フェニックスガンダムは近付いてきたパペットの一体をビームサーベルで切り捨てた。
そこに、クロスボーンガンダム・フルクロスが近寄り
『フェニックス、分かりにくいが震動計を見ろ』
『……これは、地下を何かが進んでるのか?』
『ああ……揺れが不規則だから、地下鉄って訳でも無さそうだ……そろそろ浮上してくるぞ!』
支援砲撃の着弾の震動で分かりにくいが、不規則に揺れが起きていて、それを震動計が検知した。揺れの感じから、大分地表に近い感じであった。
『……02、少し離れろ』
『……なるほどな』
フェニックスガンダムがメガビーム砲の砲口を斜め下に向けたのを見て、クロスボーンガンダム・フルクロスは離れた。
『震動計の揺れから判断して……ここだ!』
フェニックスガンダムは、メガビーム砲を収束させて一点集中砲撃した。ビームは容易くコンクリートを貫通し、地面を融解させながら大きな穴を穿った。
『フェニックス1! 何を!?』
『03! 地下から来るぞ! 構えろ!』
ハルファスに注意喚起した直後、穴から片腕を失った艦娘型のパペットを筆頭に、次々とパペットが現れた。
『フェニックス1より
『了解!!』
フェニックスガンダムの指示の直後、色んな場所で激しく土煙が上がった。恐らく、火力が高い機体が地面に穴を穿ったのだろう。
地下と地上の双方からの侵攻を阻止する為に、部隊は別れて攻撃を開始。
しかし、数が多い相手に対して戦力を分散させるのは愚策である。
『さて、どうするか……』
とフェニックスガンダムが考えていた時
『こちらは帝国軍! そちらは、傭兵部隊か!?』
とノイズ混じりだが、通信が届いた。それに遅れて、後方から複数の敵味方不明を示す黄色の光点がレーダーに現れた。
『我々は、帝国陸軍第18歩兵連隊だ! これより、貴官らと共闘したい!』
『同じく、帝国軍第一空挺大隊! 我々も共闘させてほしい!』
そう聞こえた直後、レーダーの反応が黄色から青に変わった。マザーが不明勢力から味方に書き換えたのだろう。
『ありがたい。地下からも敵が現れて、侵攻速度が落ちていたところだ……手を貸してほしい』
『了解した!』
上空に何機もの武装ヘリが展開し、攻撃を開始した。
『とはいえ、そちらの武装では有効打にはなりにくいか……』
「対深海は開発していたが、こんな事は想定していなかったからな……これは、我々の怠慢だ。意地でもこの場は死守する。貴官らには、佐世保の提督を抑えてもらいたい」
佐官らしい陸軍軍人がそう言って、佐世保鎮守府のある建物を指差した。どうやらその建物が、司令部棟のようだ。
『あそこか』
「こちらに、佐世保鎮守府の地上施設と地下施設の設計図がある。とはいえ、再建当時の物で、今の地下施設は分からないが」
隊長はそう言って、フェニックスガンダムに設計図を差し出した。それを手早く確認したフェニックスガンダムは
『我々は、あの司令部棟と地下司令部の制圧を行う……量産型機部隊は、貴方方の支援に残す……何かあったら、量産型機部隊に言えば我々かマザーに伝わる……生きてくれ……我々も短期決戦を目指す』
件の海底基地を制圧してから、かなりの数の量産型機部隊がパラオとスピリッツに回されて、後は試験をする予定だったが、そんな余裕は無い。
何より、市民を死なせる訳にはいかないのだ。
『フェニックス1より、
そう言って、フェニックス小隊は佐世保鎮守府敷地内に突撃した。