艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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技術

フェニックスの号令に合わせて、フェニックス小隊とヴァルキリー小隊、ブリュンヒルデ小隊が突撃を開始。

他の隊は、パペット群に対して陽動を始めた。

一度前に出てから攻撃の圧力を上げて、引き付けながら僅かに後退。それにより、殆どのパペットが上空に上がった三小隊に気付かずに陽動に掛かった。

 

『マザー1から陽動部隊に通達。そのまま陽動を継続! 三小隊が敵提督を制圧・捕縛するまで持ちこたえろ!』

 

『了解!!』

 

アークエンジェルからの通達に陽動部隊は答えながら、更に激しく動き始めた。トライアド隊の後方には帝国陸軍と工兵部隊が展開しており、工兵部隊はパペットが空けた穴に対して速乾性のコンクリートを流し込んで穴を塞いで地下侵攻を止めようとしている。

陸軍部隊は陽動部隊と共同でパペットに攻撃しているが、やはり微々たる損傷しか与えられていない。

 

「くそっ……分かってはいたが……!」

 

「対深海弾も試作品だからな……! 今回の事で改良に繋げる筈だが……!」

 

帝国軍が総力を挙げて開発している対深海兵器の一つ。

10式試製深海弾・改は、確かに駆逐艦系の装甲は確実に穿ってはいる。しかし、最低でも20発近く撃ち込まないと撃沈には繋がらない。

しかも艦娘には、ようやく少しだけ皮膚が破れるか否か、というレベルのダメージにしかなっていない。

 

「くそっ! 02式小銃だと大したダメージにはならない! 08式軽機関銃はまだか!?」

 

「後少しです!」

 

弾切れになった小銃に乱暴に新しい弾倉を叩き込みつつ、一人が怒鳴るように後ろに問い掛けたら、展開中の隊員の一人が返答した。

工兵部隊が乗っていた大型ヘリで、コンクリートの他に分解した状態の軽機関銃を5挺程積み込んでいたのだ。

 

「なるべく集中弾幕射撃をしたい! 全部組み立てたら射撃開始する! それまで、小銃隊は撃ち続けろ!」

 

「小銃から火が出そうですよ!」

 

隊長の指示に、若い隊員が泣きそうな声を挙げた。

既に一人の隊員が持っている小銃の銃身からは、白い煙が上がり始めており、どれ程撃ち続けているのかが伺える。

それを把握したフレスベルグは

 

『トライアド1よりマザー2、陸軍の武器が長く持ちそうにない。トライアド第1小隊は突撃し、機動撹乱で時間を稼ごうと考える』

 

と具申した。

 

『許可出来ないわ。幾らなんでも、リスクが高過ぎる。未だにそちらには、数百近いパペットが流入を続けてる。たった三機では、処理が間に合わない』

 

しかしその意見は、エウクレイデスにより却下される。

今も母艦からの支援砲撃は続いているが、撃破数より流入数が上回っているのだ。

 

『しかし、このままでは……』

 

『大丈夫。切り札を動かしたから』

 

『切り札?』

 

エウクレイデスの言葉に、フレスベルグは僅かに困惑した。その時

 

『アンチMDウィルス、広域散布』

 

と声が聞こえた。

その直後、劇的に変化が起きた。パペットの動きが悪くなり、中には完全に動きが止まった個体も居た。

 

『そうか……モビルドールの技術だったのか!!』

 

考えてみれば、佐世保の提督はどうやってパペットの技術を確立したのか。答えは簡単。リボーンズガンダムからモビルドールに関する技術供与があったからだ。

 

『今よ! 一気に畳み掛けなさいな!!』

 

『了解!』

 

そこからは、いい鴨撃ちだった。

しかもパペットはモビルドール。特に、メリクリウスやヴァイエイト。ビルゴのように特化しているという訳でもない。確かに艦娘や深海の防御力の高さはあるが、射撃が一切効かないという訳でもない。

確かに、帝国軍の攻撃は微々たるダメージしか与えられていないが、それでも数で補っている。

 

『しかし、リボーンズから技術供与されているという事は……もしかして、近くに居るのか……?』

 

とフレスベルグが呟いた。その時

 

『緊急事態! こちら帝国陸軍第20大隊! スピリッツの量産型MSの一機が、何者かにより撃破された! 敵はスピリッツと同じような頭部の……』

 

と通信が来たが、途中からノイズが酷くて聞こえなくなった。

 

『これは、まさか……!』

 

『マザー1よりスピリッツ全機! 該当区域にて、ミノフスキー粒子の散布を確認! 近くの動ける部隊は、大至急支援に向かってください!』

 

フレスベルグが最悪を考えていると、アークエンジェルからオープンチャンネルで通信が入った。

この世界の通信は、ミノフスキー粒子に対応していない。誰か向かう必要があるのだ。

 

『こちらジェミニ1! 自分たちが行きます!』

 

『トライアド第3小隊、カバーに回ります!』

 

トライアド隊は隣の地区に居たのだが、確かにジェミニ隊が向かう方が早い。そしてジェミニ隊が抜けた穴のカバーに、トライアド第3小隊が動いた。

スピリッツの中で、トライアド隊だけが中隊規模の編成なので、分派が可能なのだ。

 

『トライアド第3小隊、無理は厳禁です。相手の撃滅が出来ないと判断したら、すぐに付近の友軍をコールし、帝国軍の撤退支援に移項をするように』

 

『了解!』

 

返答しつつ、トライアド第3小隊は該当区域に入った。

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