艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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救助

レイグ隊のカバーに向かったトライアド第三小隊。

小隊長はストライクノワール・ナハト。

ナハトは通信に酷いノイズが入ったのを確認すると

 

『通信をレーザー通信に変更! レーザー通信周波数も定期的に変更する! 離れるなよ!』

 

と指示を下した。

ナハトを先頭に、V2ガンダム・デュークスとセラフィムガンダム・エルフィーが続く。

少し進むと、空に閃光が走った。その色は、疑似GNドライブ特有のオレンジ色だった。

 

『リボーンズが居るね……』

 

『……余り離れない方が良い』

 

『我々は陸軍部隊の後退を支援する……場合によっては、レイグ隊の援護だ』

 

『了解!』

 

三機は他に敵が居ないか確認しながら進み、佐世保市内の広めの公園に入った。

そこに帝国陸軍が居たのだが、酷い有り様だった。

近くには戦車の残骸があり、無傷な兵士は確認出来なかった。

 

『こちらはスピリッツはトライアド第三小隊。そちらは、帝国陸軍第20大隊か?』

 

とナハトが呼び掛けながら着地すると、トラックのタイヤに背中を預けていた顔の半分を包帯で巻かれた一人の軍人が

 

「スピリッツの者か……手間を取らせた……ここに居るのが、第20大隊の生き残りだ……」

 

第20大隊は総数400名は居た部隊だが、確認出来たのは100人程だった。

 

「我々は……そちらが送ってきた量産型と共に、市民の避難の為に……あのパペット達を攻撃していたのだが……突如現れた敵に、量産型を撃破され……小さな移動砲により、戦車を破壊され……大隊長は戦死なされ……中隊長だった私が何とか指揮していたが……」

 

『無理に喋るな……確か、もう1小隊が援護に向かっていた筈だが……』

 

中隊長を休ませる為に、ナハトは中隊長を一旦黙らせた。すると、右腕を吊っていた一人が

 

「先に来た四機ならば、我々を攻撃してきた敵を引き付けて、あちらに」

 

とある方向を指差した。その直後、こちらに向けてオレンジ色の砲撃が来たのだが、それは前に展開したエルフィーがGNフィールドを展開し弾いた。

 

『……今の威力は……』

 

『どうしたの?』

 

『……リボーンズじゃない?』

 

『なに?』

 

エルフィーの言葉に、ナハトとデュークスが困惑した。

 

『……出力が低い……確か、リボーンズもツインドライブ機……だけど、この威力は低い。低過ぎる』

 

エルフィーは語りながら、データリンクで先ほどの砲撃の威力を共有すると同時に、リボーンズガンダムのライフルの威力と比較した。

確かに、バスターライフルどころか、前のGNビームライフルよりも低い。

その威力は、むしろGNーXⅢに近いものだった。

 

『どういう事だ……』

 

『小さな移動砲ってことは、GNファングだと思ったけど……』

 

『……もしかしたら、だけど……リボーンズ達が用意した、新しい量産型機かもしれない……』

 

ナハトとデュークスが話し合っていると、エルフィーが自身の予想を告げた。

確かに、それが一番可能性が高いだろう。

恐らくリボーンズじゃないは、新しく疑似GNドライブ搭載型かGNコンデンサー搭載型の量産型機の試験機を開発して、佐世保市内に投入したのだろう。

ガンダムのような頭というのは、見た目だけ変えれば済む話であり、その目的は恐らく帝国内に於けるスピリッツの信用の失墜かと考えられた。

 

『とりあえず、まずは第20大隊を後方に移送する。信号弾を上げる』

 

ナハトはそう言って、赤と青の順番に信号弾を高く打ち上げた。

意味は、要救助対象発見。回収の為に、来られたし、になる。

母艦が来るまでの間、第三小隊は周囲を警戒した。

時々だが、上に向かってビームが走る。

それを見ていたナハトが

 

『……待て、レイグ隊が手こずっているのか?』

 

と呟いた。

レイグ隊の一番機と二番機は歴戦の猛者であり、少々複雑な経緯は有ったが、仲の良い双子の兄妹だ。

双子故にその連携は凄まじく、並みの相手では瞬殺間違い無しである。

その二機が居ながら、撃破に手こずっている。

 

『……警戒を強めろ……もしかしたら、数が多いのかもしれん』

 

ナハトはその理由を、数が多いからと判断した。

三機は周囲を見回しながら、他に敵が居ないか警戒を強めた。

今の自分達の優先任務は、第20大隊の生き残りの後退支援。まずは、第20大隊を母艦に収容させる方が大事とらナハトは判断した。

すると、3時の方向からエウクレイデスが姿を現し、ゆっくりと着陸を始めた。

空を飛ぶ艦艇を初めて見た第20大隊の兵士達は驚くが、エウクレイデスは着陸すると左舷側の近くの装甲ハッチを開放し、ラダーを出してから妖精達が担架を持って降りてきた。

 

『全員負傷している。中でも中隊長殿が特に重傷だ』

 

ナハトが手短に説明すると、妖精達は敬礼してからまずは軽く処置をして、担架に乗せた。

その間も、第三小隊は周囲の警戒を続けた。

 

『レイグ隊はどうしたの?』

 

『それがどうやら、敵に手こずっているようでして……08の分析では、リボーンズガンダムではないようですが……データ送ります』

 

エウクレイデスの問い掛けに、ナハトは答えながら先ほどのデータを送った。

リボーンズガンダムに関してのデータは、スピリッツ全体で共有している。

 

『……これは確かに……リボーンズじゃなさそうね……』

 

『は。08の予想では、敵の新型量産型機かと』

 

『その可能性はあるわね……GNファング搭載型の新型か……確かにちょっと面倒だけど……それでも、レイグ隊が手こずる……?』

 

どうやらエウクレイデスも、ナハトと同じように疑問らしい。そうこうしている間に、妖精達が負傷者の収容が終わったらしく

 

『エウクレイデスは離脱する。護衛、任せるわよ?』

 

『了解!』

 

エウクレイデスが上昇し始めて、第三小隊も続いた。

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