佐世保鎮守府内に突入したフェニックス隊とヴァルキュリア隊は、一路執務棟を目指した。
やはり、提督が最も居る可能性が高いのは執務棟の執務室か地下司令部だろう。
『雑魚に構うな! 最短で進むぞ!』
『了解!!』
フェニックスの指示に従い、進む二隊。
道中には設計図に無かった防衛システムがあったが、そんな物で止まる程弱くはない。
簡単に破砕突破し、まずは執務室を目指した。
『エピオン!』
『任せよ!』
短い呼び掛けに応え、エピオンはビームソードで扉を切り裂いた。その直後、執務室は大爆発を起こした。それはスピリッツによる攻撃ではなく、綾坂が仕掛けた罠だった。
だが、その程度で損傷する程ガンダムは柔ではない。
『執務室では無かったか……』
『地下司令部へ向かいましょう』
ハルファス・ベーゼはそう言って、地下司令部に向かおうとした。しかし
『待った……何かあるぞ』
とフェニックスはそのまま、執務室に入った。
そして向かったのは、執務用の机。爆発により黒く焦げて、破損している。
フェニックスはその机を退かし、ある一ヶ所に蹴りを叩き込んだ。
すると床が抜けて、地下へと続く通路が見えた。
『これは……』
『恐らく、直通だろうな……見せてもらった設計図には無かった通路だ……元来の通路もあるだろうが、そちらは罠だらけだろう……進むぞ』
フェニックスはそこまで言って、通路を進み始めた。
通路の幅は、MSのフェニックスでも余裕で通れる位に広い。
流石に回避等は難しいだろうが、MSの装甲に有効な攻撃を与えられる防衛システムは考えられない。
『警戒は崩すな……この先、何やら熱源がある』
少しすると、フェニックスはそう言った。
何かあるのは確かだろう。
二隊は警戒態勢のまま、通路を進んだ。すると、不意に広くなったと思ったら
『これは……!』
『潜水艦だと……!?』
その先にあったのは、SLBMが搭載された大型潜水艦だった。
『まさか、攻撃型潜水艦とは……』
『恐らく、搭載されてるのは大量破壊兵器でしょう……何処から……いえ、リボーンズからでしょうね』
リボーンズガンダムとの取引は、パペットのMDシステムから既に判明している。
『この潜水艦……ボズゴロフ級をベースにしているのか……まさか』
とフェニックスが呟いた時、潜水艦が動いた。
艦正面と甲板が動き、MSが出撃してきた。
『ディンとグーンを視認した!』
『潜水艦が動き始めた!』
動き始めた潜水艦は、ゆっくりと潜航しながら隔壁の方に進んでいく。出撃したディンとグーンは時間稼ぎで、外洋に出るのが目的だろう。
外洋に出てしまえば、潜水艦の特性上、発見は困難になってしまう。
本来ならば、出港させないで撃沈させるのが望ましい。
だが
『MSの排除を最優先!』
『了解!』
フェニックスは、敢えてその潜水艦を見逃すような指示と布陣をした。
ディンとグーンの数は、合わせて8機。
たかが量産機。それも数は同じ。
戦いはあっという間に終わった。ディンとグーンは残骸に成り果て、通路に転がっている。
しかしその間に潜水艦は殆ど潜航し、隔壁から出ようとしていた。
『なるほど、中々に足は速いな……しかし、外にはマザーが居る』
リボーンズから与えられた潜水艦は、フェニックスの予想より動きは早く、見えるのはシュノーケル部分だけになっていた。
しかし、フェニックスは落ち着いていた。
その理由は簡単。佐世保鎮守府の港を塞ぐように、アークエンジェルとエウクレイデスが布陣しているのだ。
そして、スピリッツの母艦二隻には潜航機能だけでなく、海中での攻撃オプションも存在する。
アークエンジェルは艦首と艦尾に魚雷発射菅、バリアント、そしてフォノンメーザー砲がある。
エウクレイデスは万能ではあるが、やはり工作艦な為に武装種類数ではアークエンジェルには敵わない。しかし、艦首には多数の魚雷発射菅があった。
二隻は全武装を解放し、先に出していたのかグーンをまずアークエンジェルがバリアントとフォノンメーザー砲で容易く撃破。そこから、二隻のハイパーキャピテーピング魚雷が一斉に発射され、潜水艦に次々と命中。
潜水艦は艦首から弾け飛んだ。
このタイミングで、地上でも変化が起きていた。
ウィルスにより動きが鈍っていたパペット群が、完全に動きを停止したのだ。