「哨戒艦隊との通信が途切れた……?」
『はい……このポイントの哨戒を担当していた艦隊からの通信が、突然途絶えたそうです。同時にレーダーも効かなくなりました……今現在、確認の為に新たに艦隊を向かわせようとしているところです』
祐輔からの報告に、アークエンジェルは黙った。
ジェネレーションワールドには、通信とレーダーを同時に無効化する技術は多数ある。だが、この世界ではまだそんなには無い。
多少考えたアークエンジェルは
「我々が対処します。艦隊は出撃して構いませんが、そのポイントには決して入らないように」
『分かりました。お願いします』
通信が終わると、アークエンジェルは
「全艦、第一種戦闘配備!」
と号令を下した。それを受けて、アークエンジェルとエウクレイデスの艦内で出撃を報せる警報が鳴り響き、妖精達やMS隊は臨戦態勢に入った。
「恐らく、ミノフスキー粒子かGN粒子が散布された可能性が高い……」
「つまり、奴らが動いた……ということですか……」
アークエンジェルの呟きに、副長妖精が続いた。
恐らく、例の新型機が関係している。と、アークエンジェルは考えていた。
佐世保動乱の折に、リボーンズ達が投入したと思われる新型機。スピリッツでは、仮にだがスターダストと呼ぶ事にした。
データ解析では、スターダストは機動性重視の構成となっており、幾つかはガンダムの技術が使われていると分かっている。
推力変更ノズルに、ムーバブルフレーム。それによる高い格闘戦性能には、歴戦の二機も手こずってしまった程だ。
それらから考えるに、もしかしたらスターダストはリボーンズ達の強化に使う技術の試験機なのではないか、とスピリッツでは考えている。
「……最高戦速! 操舵手、回避は任せます!」
「了解! 全て回避してみせます!」
アークエンジェルの指示を受けて、艦は最大加速で目標ポイントに向かって進む。僅かに遅れて、エウクレイデスが続く。
二隻はポイントに近付くと
「……計測機器に反応感知! ミノフスキー粒子です! 間違いありません! 戦闘濃度!!」
とCIC妖精が告げた。
「MS隊、全機出撃! 艦隊の発見と保護を最優先! そして、敵対する者を撃滅せよ!!」
アークエンジェルの号令の直後、二隻から次々とMS隊が出撃。散開し、艦隊の捜索を開始した。
少しして、上空に赤1、青2の信号弾が打ち上がった。それは、スピリッツ独自で対象発見を報せる信号弾だった。
「発見したのは、どの隊か!?」
「方角から……レイグ隊です! 他の隊も急行している模様!」
アークエンジェルからの問い掛けに、CIC妖精が答える。それを聞いたアークエンジェルは、素早く
「ミノフスキー粒子逆探知装置起動! 恐らく戦艦が居る筈!」
と指示を下した。
ミノフスキー粒子逆探知装置、それは名前の通りにミノフスキー粒子の発生源を辿る装置になる。
広範囲にミノフスキー粒子を戦闘濃度で散布するには、ミノフスキー粒子を散布した存在の居る場所は殊更濃くなるので、その濃さから発生源を探し出すのだ。
このミノフスキー粒子逆探知装置は、一年戦争期に旧ジオン公国軍によって開発され、ザクフリッパーに搭載されて運用された。
今回使用しているのはそれの改良版で、元々のよりもより広範囲・精密にミノフスキー粒子の発生源を特定出来るようになっている。
「……発生源特定……本艦直上!!」
「対空砲火!! 弾幕を形成!!」
CIC妖精の報告に、アークエンジェルは即座に砲撃を指示した。そして対空砲撃が始まった直後、真上で爆発が連鎖し、艦が激しく揺れた。
「アンチビーム爆雷発射!! 連続広範囲!!」
立て続けに、アークエンジェルは指示を出し、妖精達は斉唱を省略し、従った。すると今度は、ビームが連続して弾けた。
「敵艦捕捉! CG補正有りですが、表示します!」
その報告の後、メインモニターに敵艦が表示された。
艦の見た目は、プトレマイオス2に酷似しているが、大型化に伴い原型のプトレマイオス2より砲撃能力が強化されているようだ。そして色も青と白から濃紺一色に変えられている。
「上を取られた……!」
大気圏内戦闘で上を取られるというのは、致命的である。だから
「本艦直援のジェミニ隊とエウクレイデス直援のヴァルキリー隊が敵艦に向かいます!」
「高度を上げて、砲撃戦闘!」
二隊が敵艦に向かっていき、その間に二隻は高度を取り始めた。