はい懲りずに書きました
拝啓
おじいさん、おばあさん、御元気ですか。早いもので「駒王町」に越してきて八年、そんでもって私立駒王学園で教職について三か月ホドになります。
当初はエラソーに他人に絵教えるなんて
生徒会長が悪魔でした。そんで悪魔に勧誘されました。…人間って悪魔になれるんですね。
長生きも地位もキョ―ミないんで断りましたが、男子の役員メッチャ睨んできました。でも当の生徒会長は特になんも咎めず笑って納得もしてくれたし、断ったから即クビとか言い出さないので良い人だと安心しました。そしたらなんでか更に役員男子にメチャクチャ睨まれました。なんやっちゅーねん。
しかし知的なメガネの真面目そうな子でしたが、悪魔でも視力って落ちるんですね。悪魔に一番近いのは人間とかって聞きましたが、本当みたいです。ドキドキします。
広げた羽根はすぐに閉じて消えましたが、服とか突き破らないみたいです。聞けば尻尾とかはないみたいですが、あの飛べそうにもない羽根って触ったらどういう感触なんでしょう。気にはなりましたが、社会的にも後が怖いのでヤメました。
で、やっぱりそんな学校なだけあって他にも生徒には何人か悪魔がいるらしいです。というかこの街を管理してるらしいです、大変です父さん。
…知っての通り諸々の事情があってこの世には「そういう存在」がいるのは知っていたわけですが、見分けることは出来なかったので素直に驚いた半面、メンツ聞いたらキャラ濃かったんで納得した節もありました。
最後に今聞いたことの記憶だけの消すかと聞かれました。ヤバイです母さん、わかっちゃいましたが悪魔思ったよりなんでもアリです。
とりあえずそっちもお断りしたら、普通に了承されました。手紙に書いてしまっているが大丈夫でしょうか?もしもの時は弟よ、後のことは頼む。
その後は放課後まで悪魔の彼女たちと、悪魔関係の話でもなく学校の話やら絵についての話をして楽しかったです。不思議なことはいろいろありますが、初対面の「悪魔」がいきなり魂とってくるような類でなくて安心しました。いえ、素直にうれしかったです。
そんなカンジでそれなりに元気です。おじいさん、おばあさん、お体に気をつけて、いつまでも長生きしてください。
――――――――福太郎より
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「………。」
学園の屋上。
そこは時に秘めたる想いの憩いの場にもなり得れば、古くから伝わる由緒正しきサボリの場でもある。しかし学園生活という日常の中においては限りなく不要、立ち入り禁止の学校も多く、解放されていたとしても現実としては「何もない」というだけの普段であればまず訪れない場所であり…故にこそ、多くの人間を惹きつけてやまない場所。謎と日常の両極に位置する、最も身近で最も遠い、「不思議」を感じさせられる場所である。
そしてそんな「不思議」に惹かれ、何となく訪れるのはなにも人間に限った話ではないのだ。
中天に坐す太陽からの陽光が肌を焼き付ける、昼休みの最中。生徒会長にして「
その表情は普段の凛々しさも何処へやら。その眼差しをどこかボンヤリと物憂げに、転落防止とは名ばかりのごく普通の鉄柵に肘をつき、眼下に広がる光景…その一点を見つめている。
その一点。そこには、つい先日自らの勧誘を断った見知った人物がいた。午後の授業に美術の項目はないらしく、楽しそうにキャンバスの前に立ち、絵の具を音符交じりに走らせる人物…。
「田村・福太郎…先生ね。そんなに熱心に見つめてるなんて、相当ホンキだったのね。」
「…リアス。」
隣から浴びせかけられた声に、固定されていた視線がゆるゆると外される。接近に気付けなかったことをボンヤリ反省しながらも、見慣れた深紅の幼馴染を視界に捉え…認識し、再び視線は福太郎へと戻っていく。
「当たり前でしょう。大事な大事な眷属選びに、本気で挑むのは…。」
「…そうね。でも、正直ソーナらしくはない気がしたのよ。」
鉄柵に背を預け、赤い髪が風に揺らめく。仰ぐように傾いだ首を僅かに傾けながら、リアスの言葉は静かに続いた。
「あなたは前に進む人よ。目的へ向かって、夢に向かって、明日に向かって「今」を考え生きる。そんなあなたが…彼を選んだ理由って何かしら?そこまで
「……。」
「私にとってあなたは親友でありライバル。冷静な判断力や理性的な考え方で言えば、悔しいけど私よりもずっと「王」らしく思える。嫉妬してしまいそうなホド…ね。」
「…リアス…。」
「だからこそ気になるのよ。あなたの眷属から、三日ほど前に田村先生への勧誘と…ソレを断られたムネは聞かされたわ。記憶を消さなかった事に関しては、誠意に対して誠意で応じるあなたらしいケド。自分の眷属に心配されるほど消沈するのは違うわよね?」
「リアス。」
「私の知っているあなたならスッパリ頭を切り替える…そうでないなら、諦めないという選択肢をとるハズよね。そうでなくとも、あくまでも合理主義のあなたが…言い方は悪いけど「ただの人間」にそこまで固執する理由が――。」
「———リアス!!」
思わずと発せられたソーナの怒声に、リアスの言葉が静かに止まる。そこに驚きはない…「情愛」を冠するグレモリーだからこそ、気に入った相手へ向けられる侮辱とも言える言葉への憤りは、十二分に理解しているからだ。
二つの視線が交差する。まずはリアスより、言霊が再び躍った。
「…ごめんなさいね、ソーナ。無神経だったわ。」
「…いえ、今の言葉が私への発破だということは理解しています。そうですね…些か腑抜けが過ぎました。友や眷属にまでこうも心配をかけてしまっては「王」失格でしょうね。」
一呼吸置き、純粋にこちらを案ずるリアスの視線から逃れるようにして再び福太郎に向けられ…ソーナは再び口を開いた。
「…絵、よ。」
「……?」
「だから絵、よ。私があの人を気に入った、少なくとも最初の理由。」
発せられた言葉にポカンと、リアスが呆けたのがわかる。無理もない、とソーナは思った。少なくとも逆の立場で同じセリフを聞いたならば、失礼な話だが私も相手の正気を疑ったことは想像に難くない。
眷属とは基本的に一生のモノであり…互いに命を預けながら生きていく存在だ。「本気になるのが当たり前」といった
だが。
「描きたいものがピリピリ伝わってきたの。絵から、先生を感じた…あの人が伝えたい事、描いた夢想。その色鮮やかさに、心奪われた。だからかしらね…思った以上に私は凹んでるし、願わくば…意思を尊重してあげたいのよ。」
自分には夢がある。きっと多くの同族たちに荒唐無稽と笑われるような、形すら未だ定まらぬ夢が。
あの人は、私が抱えたこの夢を「肯定」はしないだろう。それでもあの人が「肯定」するとすれば、それはきっと夢へ向かうことへの自由…私の「選択」、その「自由」。あの「人間」は、そんな人だ。…そう、きっと、信じているのだ。
非力でも無力ではないと知っていて。自分が信じている「何か」を、逃げたり泣いたりしながらも信じ続けている人だ。それが他者からどのように見られたとしても、その「信じている」という思いを曲げはしないだろう。
だから、一緒にいて欲しいと。私の「夢」の先を一緒に見て、あの人に描いて欲しいと思ったのだ。
だから、私は―――。
「…駄目ね。上手く言葉に出来そうにないわ。」
「いいえ、伝わったわよソーナ…あなたの気持ち。私が焦がれて焦がれて、未だ手にしていない、羨ましい…その気持ち。」
ソレは―――。
「その気持ちの名前はね―――――――――。」
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「ふぇくし、ふぇくし、ふぇくし!あ――……くしゃみ三回?どっちやったっけ…!」
続きますよ