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この場を借りて、今作と読み切りを含めてお気に入りや評価をくださいました皆様に感謝の言葉を述べさせていただきます。
拙作はまだまだ続きます。そして思い付きの一発ネタもたまに出すと思います。どうか皆様、これからも呼んでくださると嬉しいです
ここで、作品としてはいささか足早ではあるが田村・福太郎という人物について少しばかりのオサライをしておこう。
リアス・グレモリーが自らの使い魔、「女王」、民間の探偵事務所などを使って作らせた資料に記載されていた通り、田村・福太郎は単体のスペックに限って言えば、「普通の人間」でしかない。
彼は至って普通のごくごくありふれた人間の一個人であり、間違っても自ら闘える者でなければ、極端に傾倒した善人でも悪人でもない。絵を描く特技という本人さえも認めるほど「それだけ」しか持っていない人間だ。優しくて臆病、野望もなく、時には道に迷ってばかりの人間だ。
だが忘れてはならないのが、人間は多くの「可能性」に満ちた生き物だというコト。
そして彼は「普通の人間」であると同時に、「田村・福太郎」なのだ。
無力を呪いもした。しかしその弱さを認め、出来る術をもって「やりたい事」に進む事を決めた。
「悲劇」を
そして多くの縁が繋がっていった。経験があって成長があった。過去無くして今はなく、今があるから行動できる。行動の先には「進化」が存在するものだ。
この
この
「月ノ子《アンティクリスト》」もおらず、「十支王《ベスト・テン》」による混在世界召喚の儀「大召喚《ビッグ・ショッカー》」は起きていない。その経歴、過去や生い立ちには似通ったことこそあれ、共通したものは存在しない。
故にこそ二人の田村・福太郎は、同一の存在ではない。
それでも彼は「田村・福太郎」だ。異なる多くの出逢いを経験し、悲劇を、喜劇を経験し、成長した「田村・福太郎」だ。
ならば、彼は立ち止まらない。逃げても負けても、止まることだけは許さない。
かつて「英雄」と称され、「神」となった「王」の男の言葉をあやかるならば。
———「足」があるのだから。
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「
血だまりに沈んだ一誠を視認した瞬間、噴き出すように溢れ出した冷や汗に倣うように、喉を破裂させるような声が口から飛び出した。
黒翼の女が振り返る。対し、こちらが駆け出すのは同時だった。半ば無意識に首から提げられた
不可解、もしかしなくても侮られているから…だが、より正確には違うと、もっとゲスい理由だと福太郎は判断する。その
だがなんにせよ、「今は」手を出す気がないならば好都合と考えて倒れ伏す一誠へと駆け寄り、うつぶせの彼を仰向けに抱き起す。
「兵藤…!おう、俺や!わかるか…!?」
半ば予想は出来ていたが返事はない。しかしとにかく意識の確認をすべく声をかけながら、間に合うことを祈りつつ、いざとなれば手に取っている「力」を迷わず使うと決意する。遠目にもわかるほど流れ出ていた血液は、未だ流動して地面に流れ続けていた。服を引き開き、傷口を…胸元の大穴を確認する。
素人であっても理解できた。「間に合わない」と。
傷口が大きすぎる。深すぎる。どうにもできない。…つまり。
兵藤・一誠。「人間」である彼は、ここで死ぬ。
「あら、あらあらあら?アナタ、もしかして「福ちゃん先生」って方かしら?」
身の毛もよだつ声が背後から浴びせられ、恐らくは見たくもないモノがあると理解しながらゆっくりと振り返る。そこには想像していた通り、必死にこらえようとしている笑みがこらえられていない黒翼の女の姿があった。一瞬で脳が熱を帯びるも、冷たくなっていく一誠の身体に倣うように頭が急激に冷えていくのがわかった。大きく深呼吸をし、これ以上苦しませるわけにはいかないと一誠を地面に寝かせる。
「だったらなんやっちゅーねん。ってか気安く呼ぶなや、誰やねんオマエ。」
「あら態度の大きいこと。下等な人間風情がハラの立つ…でもいいわ、どうせ殺すし、すっっごく面白かったから。それと、私の名前はレイナーレ。その短い生涯に刻み付けて逝けることを光栄に思う事ね。」
妖艶な様子で顎に手を添え、嘲笑いながらこちらを見下す異形の女。その口ぶり、黒翼に古い記憶が呼び起こされ、吐き気がこみ上げてくるのを実感する。忘れようとして一度は忘れ、再び背負った「悲劇の記憶」だ。
故にこそ吐き気を飲み込み、体勢を相手に向ける形に向き直す。しゃがんだ態勢のまま、一誠を背後に相手を睨みつけながら…その名を口にする。
「堕天使が、どない理由でオレの生徒殺しとんねや。」
「…意外。知ってるのね、我々の事。ただの人間じゃないのかしら、「福ちゃん先生」?」
「呼ぶなや。そんでもってただの人間や…オレは昔オマエらに縁があっただけ、多分その場にオマエいなかったけどな。」
「フーン?まあいいわ。それで理由…イッセー君を殺したワケ、だったかしら?」
恐らくは一誠を殺したであると推測される得物…「光の槍」を手元に呼びだし、殺意と嗜虐心を新たにしながら堕天使の女…レイナーレと名乗ったそいつは、軽い口調でその理由を口にする。
「神器《セイクリッド・ギア》。彼がその所持者だったからよ。」
「せい…?」
「そっちは知らないのね。神器とは聖書に記された唯一神が生み出し、どういう意図かは知らないけど人間の生誕の際にランダムに宿す
だから、と。レイナーレは口にした。そしてその口は軽く、止まる様子はなく続いていく。
「これからの私の計画に万が一にでもジャマになったら嫌だもの…でも単に殺すなんてツマラナイじゃない?だから彼の望むようなシチュエーションで付き合ってあげたの。楽しかったわぁ、イッセー君とのごっこ遊び。
楽しそうに笑いながら、レイナーレは笑い、語り続ける。ソレを聞いて福太郎は、ようやく相手が「誰」なのかを理解した。
「夕麻ちゃん」。嬉しそうに、泣いたり笑ったりしながら一誠が口にしていた女性の名前。愛しい可愛いと口にして、どうしたら
再び、頭が沸騰しそうな熱に侵されるのがわかった。それが表情に出ていたのか、ようやく軽快な語りを止めるレイナーレ。
「っと、殺すからって喋りすぎてしまったわね。そろそろ一誠君も完全に事切れちゃってるでしょうし———」
光の槍が持ち上がる。何をする気かなど容易に理解できたから驚きはない。レイナーレも、その未来が確定されていると確信しているのか動きは緩慢だ。
見惚れるような美しさでレイナーレが微笑む。想像でしかないが、恐らくは一誠を殺した時と同じであろう、男を蕩かし、堕落させる表情だ。
「二人一緒に、せいぜい仲良く消えてくださいな。さようなら、「福ちゃん先生」——————!!」
光の槍が動かなくなった一誠と、右手を大きく走らせる福太郎めがけて振り下ろされた。
話が進みすぎるような進まないような。ままならない