悪魔と契約という名の融合を果たしたアンク君。彼はこれから目の前を遮るものを敵と認識しますが、そこに1人向かうのは……
視点としてはアンク君以外の場合sideを入れて入ります。
では第2話お楽しみくださいな。
サリア side in
ザワザワ
「先程アンジュ君の行ったインク工房で爆発事故が起こったようです。我々教師で様子を見に行きますから皆さんはこのまま下校してください。決して現場に近づいてはいけませんよ」
先生が機械的にそう告げて行ってしまった。インク工房にそんな危険物があるっていうの? いやそんな事は重要じゃない。
アンクが爆発に巻き込まれた……! アンクが……死んだ? 嫌、そんなことない。アンクが死ぬなんて無い! アンクは私が守るって決めたんだもの。死ぬなんて……ダメ……ダメだよ……アンク
「サリア。大丈夫だよ。アンク君が死ぬわけないじゃないか。だから俺たちと帰ろう? 明日には学校に来てるって」
ドムがそう言って私の肩に触れる。正直言ってやめてほしい。あんたたちに触られたくない。私に触れていいのはアンクだけ。アンクがどれだけ凄いのかあんたたちは全く理解してないのに分かったような口聞かないでよ!
「大丈夫よ、私は1人で帰るから。じゃあね」
私は早くここから立ち去りたかった。ここじゃ気が触れてしまいそうだから。
でもあいつらはしつこく私に言い寄ってくる。私が嫌な顔をしてるって気づかないのかな。
「あんな爆破があったんだ。気が触れた魔闘師がいるかもしれないよ。ここは俺たちが護衛するよ!」
1人でいいっていうのになんでこんなにしつこいの。こいつらアンクを悪だなんだ言ってるけど私からしたらアンクをいつも苛めるこいつらの方がよっぽど悪人だわ。
「いいって言ってるじゃない。私は1人で大丈夫だから1人にさせてよ」
「そうもいかない。危険だってのはサリアも分かっているだろう? だったらここは俺たちの出番じゃないか」
「……もういいから1人にしてよ」
私は冷たくドムに言い放ってその場を後にした。やっぱり自分の目で見ないと気が済まない。現場に行くなって言われてるけどアンクの無事の確認をしなきゃ!
「ドム、どうすんだよ。サリア全然振り向いちゃくれねえぜ」
「クソッ、なんだってサリアはあんなクズを気に掛けるんだよ! あんなクズより俺の方が優れてんだ! 見てろ……絶対に俺のものにしてやる」
私は爆発現場の工房に来た。そこには先程まで建物だったであろう残骸が残っているだけだった。
「ああ、あああああ……」
「アモロソさん!? 来てはいけないと……!」
先生も何かを察して口を噤んでくれた。
「ごめん……ごめんなさい……アンク……!」
「アモロソさん……」
こうなってしまってはもう……現実を受け入れるしかないの? ねえ、あの約束まだ果たしてもらってないよ? まだアンクとしたいこといっぱいあるんだよ?
「アンクぅ……アンクぅ……」ポロポロ
「よんだか?」
「!」
サリア side out
「アンク!!」
そう言いながらサリアは俺に抱き着いてきた。珍しいこともあるもんだな。
「おいおい、どうした? そんな死に別れの恋人を見るような面して」
「? あ、アンク? いつもと雰囲気が違うみたいだけど……」
「アンジュ君!? 無事だったんですね。一体何があったんですか?」
「無事……とは言い難いな~。一回死んじゃったっていうか殺されたし」
「「!!??」」
おお~う、まあ死んだって言ったらこんな反応普通か。
「アンジュ君! 死んだというなら何故あなたは生きているんですか!? 冗談でも死んだなどと、笑えませんよ!」
「冗談でこんな事は言いませんよ。まだ身体中に火傷跡も残ってるし」
「アンク。それ本当なの? だとしたらそれは誰? 私ちょっとそいつ殺して来ないといけないから早く教えて」
サリア、先生の前でそんなこと言っちゃダメだよ。先生サリアの殺意で恐怖マシマシじゃん。
「アモロソさん! そんな事言ってはいけません! こういう事は先生たちに任せてーーー」
「先生に任せたところで犯人が学園内にいたら? 貴族の多い魔闘師を育成する学園なら体裁の為にもみ消さないといい切れないでしょう? そもそもこれは私とアンクの関係を妬んでやった可能性がありますなら私が探して殺す方が手っ取り早いですそれとも先生まで私とアンクの邪魔をするんですか? そんなわけないですよね? そんな事したらどうなるか先生がどうなるかも理解してますもんね私は今すぐにでもアンクを殺そうとした奴を冥府に送らなければいけませんので無駄口を叩くくらいなら少しでも情報を整理して寄越してください」
サリア、喋るのはいいがハイライトなんとかしてくれ。先生もう涙目じゃんかよ。
「わ、わかりました。あなたも調査に入って構いません。しかし、こちらの指示に従うことが条件です。いいですね」
「……はい。では調査の続きよろしくお願いします。私はアンクを介抱しなければいけませんからこれで」
そう言ってサリアは俺の腕を掴んでそそくさと帰ろうとする。
このまま帰宅……ならよかったんだがそうもいかないのは経験則。邪魔者がやって来る。
「サリア! よかった。無事だったんだね! 急にどこか行くから心配したんだよ!」
そう、ドムの4人組である。性懲りもなくサリアを狙ってるのか。いい加減飽きねえのか?
「アンク! 爆破に巻き込まれたって聞いたけど無事みたいだな。じゃあサリアは俺たちが送っていくからこれで。じゃあな」
ドム、笑顔で繕っていても分かるぞ。その裏で苦虫を噛み潰したような面してるのが。計画通りに行かなかったのは残念だったな。だがここから恥かいてもらうぞ♪
「お~誰かと思えば『工房のおっちゃんを殺した』ドム君じゃないか~。よくまあおめおめとここに来られたものだねえ。恥ずかしくないの?」
瞬間、4人組がこっちに鋭い殺意を向けた。本当の事だろうが。何怒ってんだよ。
「アンク……それどういうこと?」
サリアが錆びた首振り人形のようにこっちに顔を向ける。そのモーション怖いからやめて。
「どういうことも何も、ドム含めた4人が工房のおっちゃんを殺して工房を俺ごと爆破した張本人だよ」
「「「「「「!!!!」」」」」」
「ド、ドム君! それはどういうことですか? それは立派な殺人です! 隠さずに話しなさい!」
「ドム、返答次第ではあなたの命は無いけど早く答えて。私は今、冷静さを欠こうとしてるの。さあ早く」
「おいおい待ってください先生。それはこいつが勝手に言ってるだけでしょう? そんな奴の言うことに信憑性なんかないでしょ。」
ドム、言い逃れ出来て安堵してるけどお前は1つ知らない事がある。
俺は今、
「試運転だ。記憶魔術〈シアター〉展開」
俺の身体はインキーと融合してからインクが体内から出るようになった。よく考えたら気持ち悪いなこれ。
「ん? なんだそれ」
「アンク……何やってるの?」
「強くてニューゲームの特典試運転」
「「?????????」」
「気にすんな。新しく魔術覚えたから試運転がてらドムの悪行を暴いてやる」
「はあ? そんなもの無いし、第一出来損ないが魔術なんて使えねえだろ」
「それは見てからのお楽しみってな。因みに今からやるヤツは対象の記憶を劇場公開する魔術だ。これから俺が死んだ時の一部始終を見せてやる。集中すれば演者の顔も本人そっくりに似せられるぞ」
「それで俺がやったように見せかけるってか。第一お前の記憶っていうのも怪しいもんだ」
「ならお前の記憶でも公開しようか?」
「やってみろよ。どうせ出来ない事を何を自慢げに」
「じゃあやるぜ」
そう言って俺はドムの頭を鷲掴んだ。そこでインクを流し、記憶を読み込む。どうやってるかって? 俺も知らん。インキーの不思議☆パワーだろ。
「うおぁ! てめえ! なにしやがる!!」
「うるせえだまれ。これでお前の記憶は理解した。後は開演だけだ」
そして俺は詠唱してステージを作る。というかなんで詠唱が歌っぽいんだ? インキーの趣味か……
俺から流れたインクは徐々に形作り、舞台と演者が出来上がる。ついでに演者の顔をドムの記憶通りに作り上げる。
「? これって……今朝の」
「そう。これならサリアも知ってるからこれの少し後の話を見せてやる。勿論音声付きでな」
「「「「「!」」」」」
おっほお~ようやっと顔色が変わったな♪ さあ、楽しい時間の始まりだ!
『なんだその目は。まあいいさ。これに懲りたらもう近づかないこった。これは忠告なんだから俺たちに感謝しろよ? これはお前のためなんだからな』
「ここは私も知ってる所ね。アンクが今朝やられてた」
「そう。そんでここからは俺たちも本来知らない部分だ」
「……」
ドム。冷汗ダラダラだぞ。後ろの3人も全く喋ってねえな。顔真っ青だしwww
『よし、行ったな。行くぞ』
『おし。でもなんでこんな周りくどいことするんだ? 普通にボコせばいいじゃんよ』
『わかってねえな。あいつはたとえ腕折ってもサリアにくっ付いたまんまだ。サリアに付く悪い虫は文字通り駆除しないとな』
『おっほお~悪い顔してんねえ! まああいつには悪いけど、これも俺たちがサリアと付き合うようになるためと思って退場してもらおうかねえ』
『『ヒッヒッヒッヒ/クックックックック』』
『アンクゥ、お前は皆の邪魔なんだよ。お前がいるからサリアと喋ることだってできねえ。悪いけど消えてくれ。それが、皆のためなんだ』
「という訳だ」
「そんな……こんな理由で……」
「ドム君……」
「い、言いがかりだ! これだってこいつが見せた幻だ!」
「ほう。ならお前の他の記憶をここで全公開でもするか! 安心しろよ。サリアや先生にも見てもらうから」
「!」
「さあ! 第2幕の始まりだ!」
「止めろおおおおおおお!!!」
「もういい……止めてくれ……止めてくれよお……」
「ッフ」ドヤァ
「あ、アンク……やりすぎ……」
あの後ドムの恥ずかしい過去をフルボイスで全話公開した。途中ドムが割り込んで来そうになったが、そこはサリアや先生が止めてくれた。てかサリアも喜々として足止めしてたじゃねえか。
「さて、これで俺の魔術の信憑性は上がったかな? かな? 何ならもう一回全話公開に加えて番外編も流すけど」
「わかった! わかったからもう止めて!」
どうやら懲りたようだ。これで安心。
「じゃあ改めて、おっちゃんを殺して俺を工房ごと爆破したのはお前らだよな?」
「……」コクン
「そんな……ドム君、なんでそんな事を!」
「……こいつが許せなかったから」
「え?」
「こいつがサリアといるのが許せなかったんだよ! 出来損ないのクズの癖して、幼馴染ってだけでいつもいつもサリアといやがって! 当てつけかっての。だから殺してやろうって思ったんだ。だってのになんだよこれ……」
「ドム君……」
「……」
サリアは黙っている。自分のせいで俺が死にかけたのを気に病んだのか?
「ふざけるなよゴミ虫が」
……?
「アンクが出来損ない?クズ?低能の虫の分際でよくそんな物言いが出来たものねあんたたちはアンクの優しさに救われていただけだというのにそれをさも自分の力で今の立場を得たと言わんばかりの言い草に虫唾が走るわそれで私に近づくなんておこがましいとは考えなかったのかしら全くおめでたいことそんな考えなら魔闘師が聞いて呆れるわこれに懲りたらもう私にもアンクにも近づかないことね本当に死ねばいいのに」
……
……いやまさかサリアがここまで言うとは……てかなんで俺込み?
「……」
ドムなんか固まっちまってるよ。後ろ3人も呆気に取られてるし。
「さあアンク、行こう♡」
……逆らわない方がいいか。何しでかすかわからん。
今回はここまで。なんかサリアがキャラずれてきたなあ。ここまで病ませるつもりなかったんだけど……。
次回は病みだしたサリアがアンク君を問い詰めます。問い詰めるだけ。
インキーの魔術は考えときます……
では次回をお楽しみにー