地味で最弱なパーティは最強の勇者パーティを超える 作:スーパーかみ
最新話です!
どうぞ!
龍哉の外道発言に怒った秋からの、強烈なチョップを頭に叩き込まれてしまった龍哉は、叩かれた箇所を両手で押さえると同時に、呻き声をあげながら床の上にうずくまってしまう。
「ぬぐおぉぉぉぉぉ……」
「ふんっ!」
苦痛に顔を歪めて床の上にうずくまっている龍哉に、秋は彼を睨み付けながら鼻を鳴らす。
「あの……、王様。ランドロック王国の城に、桃条愛鯉さんと聖正義君、後、海道博孝君は転移されて来ていないでしょうか? この三人も僕達と同じように、足下に魔法陣が現れていたんです。だから、この場に転移されていると思うんですけど……。桃条さん達は、何処にいるのですか?」
「桃条……。聖……。海道……。ううむ……。すまぬが勇綺殿、そのような三人は、この城に転移されて来ていない……」
「「!!?」」
「いてて……。くそ〜〜……、強く叩きすぎだろ……。頭に、たんこぶができてんじゃねぇのか? これ……?」
秋と龍哉のやりとりを他所に、勇綺は王様に愛鯉達が何処にいるのかを尋ねた。
勇綺の質問にオドワルドは、愛鯉達が城の中に転移されて来ていない事を、申し訳なさそうな表情をしながら勇綺達に告げる。
王様から、愛鯉達が転移されて来ていない事を告げられた勇綺と秋は、二人揃って目を大きく見開く。
愛鯉達が転移されて来ていない事に、勇綺と秋が驚いている最中、未だに床の上にうずくまっている龍哉はと言うと……。秋に聞こえないように、頭を叩かれた事への文句を言っていた。
「桃条さん達……、何処へ転移されたのかしら……。心配だわ……」
(桃条さん……)
愛鯉達が転移されて来ていない事を王様から告げられた秋と勇綺は、この場にいない愛鯉達の安否を心配する。
すると……。
「勇綺殿? ちょっとよろしいでしょうか?」
「えっ!? は、は、はい!!」
突然、王様の側にいた巻き髭の大臣が、勇綺に話しかける。
勇綺は、今まで静観していた大臣にいきなり話しかけられたので、狼狽えながら大臣に返事をしてしまう。
「勇綺殿、桃条殿達の足元に出現した魔法陣の色を覚えておりますか?」
「へ? 桃条さん達の魔法陣の色? えっと……、確か……」
大臣から、愛鯉達の足元に出現した魔法陣の色について質問された勇綺は、何とか魔法陣の色を思い出そうとする。
「あっ! そ、そうだ! 確か青だった! うん! 魔法陣は青く光ってました!!」
「……青? そうですか……。ふむ……」
そして、愛鯉達の魔法陣の色を思い出す事が出来た勇綺は、その魔法陣の色を大臣に伝える。
勇綺から愛鯉達の魔法陣の色を告げられた大臣は、顎に手を当てながら考えだす。
「……勇綺殿の記憶が間違っていなければ、桃条殿達はおそらく【アクアマリン王国】に転移されているかもしれませんね」
「「!?」」
大臣が魔法陣の色だけで愛鯉達が転移した場所を特定した事に、勇綺と秋は驚く。
「魔法陣の色だけで、桃条さん達が転移した場所が分かるのですか!?」
「おほん……、桃条殿達の居場所を特定する事ができた理由について、お答えしましょう。先ずは、魔法陣が放つ光の色について説明します。転移魔法が発動した時に現れる魔法陣の光の色は、【王族の血】によって魔法陣が放つ光の色が違うのです。この、王族の血とは言葉通り王の一族の血です。王の一族の血は、転移魔法を発動させるのに必要な物。ランドロック王国の王族である、オドワルド王の血を聖杯に入れて、それを魔導師達が長時間、膨大な魔力を注ぎ続けて転移魔法を発動させると、魔法陣は黄色い光を放ちます。そして、アクアマリン王国の王族の血が入った聖杯に、膨大な魔力を長時間注いで転移魔法を発動させたら、魔法陣は青い光を放つと言われています。ですから私は、青い光に包み込まれた桃条殿達は、アクアマリン王国に転移していると判断したのです」
(王族の血によって、魔法陣の光の色が違うのか……。なるほど……。しかし、転移魔法を発動させるには、王族の血が入った聖杯に、魔導師達が膨大な魔力を長時間注ぎ続けるとはねぇ……。つまり、僕らの周りに座っている魔導師達が、先程から疲れた表情をしていたのは、転移魔法を発動させるのに長時間、魔力を使ったせいなのね……。この辺は、ゲームとか創作物とかと一緒だな。魔力を使うと、やっぱり疲れたりするんだなぁ……。なんと言うか……、魔導師達の皆さん、長時間の魔力の使用、お疲れ様……)
秋は大臣に、魔法陣の色だけで愛鯉達が転移した場所を、特定する事ができた理由について質問をする。
大臣は秋の質問に答えるべく、一度、咳払いをしてから秋達に愛鯉達の居場所を、特定する事ができた理由について丁寧に説明をしていく。
大臣の話を興味津々に聞いていた勇綺は、大臣の話によって、自分達が立っている魔法陣の周囲に座っている魔導師達が、先程から疲れた表情をしていた理由を察する。どうやら勇綺は、この城に転移してから、先程から疲れた表情をしていた魔導師達の事を、一応気にはなっていたようだ。かなり大変そうな仕事をこなした魔導師達に、勇綺は心の中で労いの言葉をかけていた。
「じゃあ、桃条さん達は無事なんですね?」
「はい。アクアマリン王国の王は、とても穏やかな人ですから、桃条殿達を丁重に扱うはずです。ですから、桃条殿達はきっと無事だと思われます」
秋は大臣に、アクアマリン王国に転移した愛鯉達が、無事かどうかを質問する。
秋の質問に、大臣は彼女を安心させる為に、アクアマリン王国の王についての人柄を説明した。
「良かった〜〜……。桃条さん達が無事で」
(桃条さん達が無事なのは良いんだけど……。どうしよ……。できれば桃条さん達と、合流したいんだけど……。でも、やっぱ無理かなぁ……。リコーダー泥棒の事があるしなぁ……。特に、聖君と海道君は、僕達と協力するのを絶対に断るだろうな……。この二人は、いくら話し合っても、僕の事をリコーダー泥棒の犯人だと疑っていたし……。ああ、本当に困ったなぁ……)
大臣の口から愛鯉達の無事を聞いた秋は、ホッと胸を撫で下ろす。
愛鯉達の無事を喜んでいる秋とは対照的に、勇綺の表情は何故か曇っていた。愛鯉達が無事である事に、勇綺は不満があるわけではない。では、どうして曇った表情をしていたかと言うと。この世界に転移する前に、学校で愛鯉達とリコーダー泥棒の事で、一悶着があった事を思い出したのだ。勇綺は、できれば愛鯉達と合流して、お互いに協力したいのだが、リコーダー泥棒の事で一悶着があった事や、未だに勇綺を犯人だと疑っている可能性がある正義と博孝の存在によって、それが難しい事に頭を悩ませるのであった。
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