地味で最弱なパーティは最強の勇者パーティを超える   作:スーパーかみ

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第30話 ラズからのお礼

 ランドロックの森から脱出した勇綺達はクランを連れて、ランドロック城下町にある、ティエラの服屋に到着した。

 服屋に到着した勇綺は、ラズが待っている店の扉を開ける。

 扉を開けると、勇綺達はクランを連れて、店の中に入って行くと……。

 

「お母さん!」

 

「!?」

 

 クランは、店の中で待っていたラズを呼び掛ける。

 ラズは、店の中に入ってきて、こちらを呼び掛けるクランに、目を大きく見開く。するとラズは、クランの元へ急いで駆け寄ると……。

 

「クラン! ああ、クラン! 心配したんだからっ! もう一人で、森の中に入ったりしないで? もし、クランに何かあったら、私……、私……。ううぅ……」

 

「あう……。お母さん……。ぐすっ……、心配かけちゃって、ごめんなさい……。ぐすっ……」

 

 駆け寄ったラズはクランを抱き締めながら、大粒の涙を流す。そして、涙を流しながらラズは、クランに説教をする。

 ラズに説教されて、クランはしゅんと落ち込んだ。おそらくクランは、ラズを心配させてしまった事に、相当後悔したのだろう。するとクランはラズに、心配を掛けてしまった事について、目に涙を浮かべながら謝罪をする。

 

「一件落着かな?」

 

「うん」

 

「ああ」

 

 ラズとクランのやり取りを、秋と勇綺と龍哉、そして売り子のチョコは、嬉しそうに見据えていた。

 

「クランを探していただき、本当にありがとうございます!」

 

「ありがとう! 秋お姉さん、勇綺お兄さん、龍哉!」

 

「ありがとうございます!」

 

「おい、俺だけ呼び捨てかよ!? この小娘!?」

 

 ラズとクラン、そしてチョコは勇綺達に、会釈しながら感謝をする。だが何故かクランは、龍哉にだけは呼び捨てにしたのだ。

 勇綺と秋には敬称で呼んで、こちらには呼び捨てにするクランに、龍哉は悪態をつく。

 

「ふんっ! ランドロックの森で、あんたが、あたしを小娘呼ばわりした事、あたしは許さないんだから! レディーを小娘呼ばわりする奴は、呼び捨てで十分だよ! べぇ〜〜だっ!」

 

「はぁ……。何だお前……、ランドロックの森で、小娘呼ばわりされた事を、気にしていやがったのかよ……。反応ねぇから、てっきり気にしてねぇと思ってたんだけどなぁ……。全く、そんな事で根に持つとは、やっぱ小娘だな……」

 

 どうやらクランは、ランドロックの森で龍哉に小娘呼ばわりをされた事が、相当不愉快に感じていたようである。クランは背伸びをしたい年頃であり、小娘呼ばわりをして、こちらを不愉快にした龍哉に、生意気な態度をとってしまうのも仕方がないと言えよう。

 するとクランは、龍哉に向けて、右目の下まぶたを人差し指で引き下げながら舌を出して挑発をする。

 子供っぽい挑発をするクランに、龍哉は溜め息をつきながら呆れていた。更に龍哉は、またもやクランを小娘呼ばわりをしてしまう。

 

「あ―ーっ!! また、あたしを小娘と言ったぁぁぁっ!! うわぁぁぁん、お母さ〜〜ん、あの糞馬鹿アホタレ最悪ぅぅぅ!!」

 

「クラン、あなたを助けてくれた人に、悪口を言っちゃ駄目でしょ?」

 

「ガハハハハハハ、そうだぞ〜〜。小娘〜〜」

 

 龍哉から、またもや小娘呼ばわりされたクランは、目から涙を浮かべながら怒りを露にする。するとクランは、ポロポロと涙を流しながらラズにしがみついた。そして、小娘呼ばわりをしてこちらに不愉快な思いをさせた龍哉に、クランは指を指しながら悪態をつく。

 涙を流しながら龍哉に悪態をつくクランに、ラズは優しくたしなめようとする。

 龍哉は、ラズに優しくたしなめられているクランを見据えながら、ヘラヘラと笑っていた。おそらく龍哉は、小娘と呼ばれて怒りを露にするクランを、からかって楽しんでいるのだろう。

 すると……。

 

「女の子を泣かせて、ヘラヘラと笑ってるんじゃないわよ! この、お馬鹿!!」

 

「オボァッ!!?」

 

 クランをからかってヘラヘラと笑っている龍哉に、秋は怒りを露にする。すると秋は龍哉の後頭部に、強烈なチョップを叩き込んだ。

 秋にチョップを叩き込まれた龍哉は、断末魔をあげる。

 

「もう大丈夫よ、クランちゃん。あの糞馬鹿アホタレは、あたしがやっつけたから!」

 

「ありがとう! 秋お姉さん!」

 

 龍哉にチョップを叩き込んだ秋は宥めるように、泣いているクランの頭を、優しく撫でながら微笑んだ。

 宥められて泣き止んだクランは、龍哉を叩きのめした秋に、笑顔で感謝をする。

 

「あの……」

 

「「「?」」」

 

 クランが秋に感謝をした後、ラズが勇綺達に呼び掛ける。

 呼び掛けられた勇綺と秋、そして、叩かれた箇所を擦っている龍哉は、ラズの方へと視線を移す。

 

「勇綺様達は、クランを探してくれました。だから、そのお礼として当店の服を一人一着、無料でお売りします。どれか好きな服を選んで下さい!」

 

「「え!?」」

 

 どうやらラズはクランを探してくれたお礼として、勇綺達に服を一人一着、無料で売ってくれるそうだ。

 ラズの言葉に勇綺と秋は、目を大きく見開く。元々勇綺達は、ティエラの服屋で、異世界の服を買うつもりだった。だが、まさか異世界の服を、人助けをしたお礼として、只で入手できるとは、勇綺と秋は思ってもいなかったのだ。

 

「只で貰っても……、良いのかな? 勇綺?」

 

「う、う〜〜ん……、お店の商品を只で貰うのは……。何かねぇ……」

 

 ラズから、異世界の服を無料で売ってもらえる事に、秋と勇綺は気が引けていた。いくら、助けてくれたお礼だからと言って、只で店の商品を素直に受け取れる程、勇綺と秋は図々しい性格はしていないのだ。

 すると……。

 

「何、遠慮してんだよ? 二人とも? ラズさんが、お礼として服を只で売ってくれるって言ってんだ。だったら、ラズさんからのお礼を素直に受け取ろうぜ? ここで、お礼を受け取らなかったら、ラズさんが心苦しいだろ?」

 

「龍哉様の言う通りです。私達に、遠慮はしないで下さい。助けてもらっておいて、何のお礼もしないのは心苦しいんです。私達は、危険を顧みずクランを探してくれた勇綺様達に、是非ともお礼がしたいんです! どうか、私達からのお礼を受け取って下さい! お願いします!」

 

 遠慮をしている勇綺と秋に、龍哉とラズは、お礼を受け取るように説得をする。

 

「じゃ、じゃあ……、お言葉に甘えよう……かな?」

 

「う、うん……」

 

 先程まで遠慮をしていた秋と勇綺は、二人の説得に根負けをしたのか、ラズからのお礼を受け取る事に納得する。

 

「よっしゃっ! じゃあ、服を選びますか!」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

 龍哉と勇綺、そして秋は、欲しい服を探そうと、店の中を意気揚々と歩き出した。

 




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