地味で最弱なパーティは最強の勇者パーティを超える   作:スーパーかみ

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はい、最新話です!

それでは、どうぞ♪


第31話 服選びは、時間が掛かる?

「どれにすっかな……」

 

「え〜〜と……」

 

「う〜〜ん、服がこんなにあると、迷うわね……」

 

 ラズからのお礼で、衣類を一人一着、無料で売ってもらえる事になった龍哉と勇綺、そして秋は、店内の棚や木製のハンガーラックに並べられている、異世界の服を眺めていた。勇綺達は、この中から異世界で生活して行く為に必要な衣服を探しているのである。

 龍哉と勇綺は、店内の壁側に配置されている陳列棚の中から服を選んでおり、そして秋は、中央に二列ずつ配置されている木製のハンガーラックの一列目と二列目の真ん中にある、二人の人が横に並んでも入れそうな位の幅になっている通り道で、ハンガーラックのポール部分にかけられている沢山の衣類の中から、欲しい衣服を選んでいた。

 

「これにすっかな……」

 

「僕は、この服にしようかな?」

 

 龍哉と勇綺は、陳列棚の中にある衣服を手に取る。

 棚の中から選んだ服を手に持ったまま二人は、店内の奥に設置されている、三つの試着室に向かって歩き出す。勇綺が、右側の試着室のカーテンを開けて部屋の中に入ると、龍哉は、一番左側の試着室のカーテンを開けて部屋の中へと入って行く。

 試着室の中に入った勇綺は、学校の制服を脱ぐと、陳列棚の中から選んだ異世界の衣服に着替える。

 着替え終わった勇綺の服装は、オレンジ色のワイシャツの上に黄土色のベストを纏い、首の回りには赤いスカーフが巻かれていて、下半身には青いズボンを着用しており、足には灰色のロングブーツを履いていた。

 異世界の衣服に着替えた勇綺は、脱いだ学校の制服をマジックポーチの中に収納すると、試着室のカーテンを開けて、部屋の中から出て行く。

 

「お! 着替え終わったな?」

 

「!」

 

 試着室から出てきた勇綺は、声を掛けられた方へと振り向くと、既に異世界の衣服に着替え終えていた龍哉が、一番左側の試着室の出入口近くに立っていた。

 声を掛けた龍哉は、勇綺の方へと近付く。

 勇綺の視線にいる龍哉の服装は、白いワイシャツの上に黒いベストを纏い、頭には黒いバンダナが巻かれていて、首と手首には、動物の骨や牙で作られたアクセサリーを身に付けており、下半身には焦げ茶色のズボンを着用していて、足には黒いブーツを履いていた。

 

「後は、秋だけか……。全く……、適当な服を選べば良いのに……。服を選ぶのに時間掛け過ぎだろ……」

 

「まぁ、これだけ服がいっぱいあるんだから、欲しい服を一着だけ選ぶのに、時間が掛かるのは仕方がないんじゃないかな?」

 

 龍哉は、未だに欲しい服を一着選ぶのに時間を掛けている秋を見据えながら、ため息をつく。

 ため息をついている龍哉とは対照的に勇綺は、欲しい服を選ぶのに時間を掛けている秋に、余り気にしていないようである。

 

「う〜〜ん……、欲しい服が全然決まらない……」

 

 龍哉と勇綺がやり取りをしている最中、秋はハンガーラックのポール部分にかけられている沢山の衣類の中から、欲しい衣服を一着だけ選ぶのに手間取っていると……。

 

「おい、秋!」

 

「!」

 

 龍哉は、服を選ぶのに手間取っている秋に呼び掛ける。

 呼び掛けられた秋は、龍哉がいる方へと振り向く。

 

「いつまで服を選ぶのに、時間を掛けているんだよ? はやく選べ!」

 

 服を選ぶのに手間取っている秋に、龍哉は、はやく選ぶように促そうとするが……。

 

「そんな事を言われても、こんなに沢山服があると、どの服を選べば良いのか迷っちゃうのよ!」

 

「逆ギレかよ!?」

 

 こちらに文句を言い出す龍哉に、逆ギレした秋は負けじと言い返す。

 龍哉は、逆ギレした秋に目を丸くしながら驚いた。

 

「そんなに文句を言うんだったら、あんたがあたしの服を選びなさいよ!」

 

「!? ちっ、面倒くせぇな……。まぁ……、このまま秋に服を選ばせたら、時間が掛かりそうだし、仕方ねぇから俺が選んでやるよ」

 

 怒った秋は龍哉に、自分の代わりに服を選べと、理不尽な要求をする。

 龍哉は秋の理不尽な要求に、しぶしぶながらも従った。

 

「え〜〜と……、お、これだな!」

 

「はやっ!」

 

 龍哉は、ハンガーラックに掛けられている沢山の衣類の中から、何の迷いもなく一着の衣服を手に取る。そして、選んだ衣服を手に持ったまま、秋の方へと近付く。

 龍哉の衣服を選ぶスピードに、秋は目を丸くしながら驚いていた。

 

「ほいっ!」

 

「何かその顔、スッゴくムカつくんだけど……。挑発してんの?」

 

 手に持った衣服を、龍哉は得意気な表情で、秋の目の前に突き付ける。理不尽な要求をした秋に、一泡吹かせた事が相当嬉しかったのだろう。

 服を目の前に突き付けられた秋は、得意気な表情をしている龍哉に、苛立ちを覚えながら悪態をつく。どうやら秋は、龍哉の得意気な表情が、こちらを挑発しているように見えたようである。

 

「どうだ、秋? 言われた通り、俺が、お前の服を選んでやったぜ? 心を込めてありがた〜〜く感謝しろよ? ほれ? 恥ずかしがらずに言ってみろ。お? お?」

 

 こちらに苛立つ秋に、龍哉は面白く感じたのか、調子にのってやたらと煽りまくる。

 すると……。

 

「調子に乗んな! お馬鹿!」

 

「ぶべらっ!?」

 

 調子にのってこちらを煽りまくっている龍哉に、秋はついに怒りだす。そして龍の頭に、おもいっきりチョップを叩き込んだ。

 秋に、頭を叩かれた龍哉は、珍妙な断末魔をあげる。すると、秋に頭を叩かれた衝撃で、龍哉は右手に持っていた衣服を床の上に落としてしまう。

 

「ふん!」

 

「うごごご……」

 

「りゅ、龍哉、だ、大丈……夫?」

 

 龍哉の頭を叩いた秋は、床の上に落ちている衣服を拾う。そして、叩かれた箇所を両手で押さえながら呻き声をあげて、床の上にうずくまっている龍哉を、秋は一瞥した後、鼻を鳴らして試着室の方へと歩き出す。

 秋が歩き出すと同時に、勇綺は龍哉の方へと慌てながら駆け寄る。呻き声を上げて、うずくまっている龍哉が心配になったのだろう。勇綺は恐る恐る、うずくまっている龍哉に声を掛けると……。

 

「くっそ〜〜、秋の奴……。今日で何度目だよ……。全く、容赦なく何度も頭を叩きやがって……。今時、理不尽暴力ヒロインなんて流行らねぇぞ……」

 

「理不尽暴力ヒロインって……。そもそも龍哉が調子に乗って、秋を煽ったりするから叩かれるんじゃないのかなぁ? とりあえず、ちゃんと秋に謝っときなよ?」

 

 叩かれた箇所を龍哉は右手で擦ると文句を言いながら、試着室に入って行く秋を見据えていた。

 頭を叩いた秋に文句を言っている龍哉に、勇綺は、たしなめようとする。

 

「はぁ……。あ〜〜、はいはい。わかった、わかった。後で謝っとくよ……」

 

 勇綺の説教に龍哉は、しぶしぶながら納得する。

 勇綺と龍哉がやり取りをしている最中、秋は試着室で学校の制服を脱いでいた。

 

「龍哉が選んだ服……。何か地味ね……。もうちょっと、可愛い服を選べなかったのかしら?」

 

 制服を脱いで下着姿になった秋は、龍哉が選んだ衣服を手に取る。だが秋は、龍哉が選んだ服があまり気に入っていないのか、愚痴をこぼしながら不満げな表情で、手に持っている異世界の衣服を見据えていた。

 




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