地味で最弱なパーティは最強の勇者パーティを超える 作:スーパーかみ
読者の皆様は、忘れていると思いますが……。
あのキャラクター達の話になります。
それでは、どうぞ!
正義と博孝、そして愛鯉は、教室に、突然出現した魔法陣から発せられる青い光を遮ろうと、両手で顔を庇いながら目を閉じていた。すると、ざわざわと多数の騒がしい声に反応した三人は、つぶっていた、まぶたをゆっくりと開いてゆく。そこには、三人が、いつも知っている教室ではなかった。
(何だ? ここは……? 僕達は、教室にいたはず……。それに……、この人達は……、誰なんだ?)
いつの間にか見知らぬ大広間に立っていた正義は、周囲をキョロキョロと見渡す。
先ず最初に、正義の目に映ったのは、白い壁だ。白い壁には、金色の装飾が施されており、その上に、金色の刺繍がされた豪華な赤いタペストリーや高価な絵画が掛けられていた。次に、正義が視線を移したのは、綺麗な光沢を放つ大理石の床に描かれた魔法陣だ。正義と博孝、そして愛鯉は、床に描かれている魔法陣の上に立っており、更によく見ると、魔法陣は正義達の教室に突然現れた、青く光る魔法陣と似ているのである。その魔法陣の周囲には、座り込んだ状態で、疲れた表情を浮かばせている、金色の刺繍がされた黒色のローブを身に着けている魔導師のような人達と銀色の鎧を纏った騎士達が立っていた。
突然、目の前に現れた、知らない大広間と変わった衣装を身に着けている人達に囲まれた異様な光景に、正義は戸惑ってしまう。この異様な光景に戸惑っているのは、正義だけではない。正義の後ろにいる、博孝と愛鯉も、この光景に戸惑いを隠せずにいた。
すると……。
「よくぞ来てくださいました! 【救世主様】!」
「「「!」」」
突然呼び掛けられた正義達は、声がした方へと視線を移す。正義達の目に飛び込んだのは、豪華な金色の装飾をされた赤い椅子に座っている、穏やかそうな表情をした五十代後半の男性だ。その男性は、金色の装飾が施された高そうな西洋風の青い衣服と高価な宝石がちりばめられた金色の王冠を身に着けており、ファンタジー系の物語等に登場する、王様のような格好をしていた。
正義が次に視線を移したのは、王冠の男性の右側に立っている、右目にモノクルを着けた、茶色の口髭が特徴的な中年の男性だ。年齢は、王冠の男性と同じく、五十代後半位で、身に着けている緑色の衣服には金色の刺繍がされており、とても気品がありそうな雰囲気を漂わせていた。
モノクルの男性の次に、正義が視線を移したのは、王冠の男性の左側に立っている、水色のポニーテールの二十代後半位の女性騎士だ。金色の装飾がされた銀色の鎧を身に纏い、その上には青いマントを身に付けており、勇ましそうな雰囲気を放っていた。
「アクアマリン王国へようこそ。私は、アクアマリン王国の王、ドレイク・バブル・アクアマリンと申します。以後、お見知り置きを……。救世主様……」
ジッと、こちらを見据える正義達に、ドレイクは、自己紹介をしながら優しく微笑んだ。
「僕の名前は、聖正義といいます」
「俺は……、海道博孝だ……」
「え、えっと……、私は……、桃条愛鯉……です……」
優しい微笑みを浮かべて自己紹介をするドレイクに、正義と博孝、そして愛鯉は、訝しみながらも自己紹介をしていく。
「さて、先ずは……、救世主様達がこの世界に召喚された事について、私が、今から説明させてもらいます……」
お互いの自己紹介が終えると、ドレイクは、正義達を、この世界に召喚した理由について語りだす。
ドレイクの話によると、この世界は、邪悪な魔物を束ねる闇の王達が人々を苦しめているようだ。アクアマリン王国の人達が調査した限り、人々を苦しめている闇の王は、【甲王(こうおう)イッカク】、【爬王(はおう)アリゲイト】、【鳥王(ちょうおう)シルフィーヌ】、【巨王(きょおう)ギガドルゴ】、【魔王ベールゼルブ】の五体である。その闇の王の一人である、爬王アリゲイトは、過去に一度、アクアマリン王国を支配しようと襲撃してきたらしいが、その時は、何とか敵を撤退させる事ができたが、代償として多くの民の命と兵士の命を失われてしまったようだ。もしもまた、アリゲイトがアクアマリン王国を狙いに来たのなら、戦力が足りない状態で国や民を守りきるのは難しいらしく、ドレイク達は、この状況を打破するために最後の手段である、【救世主召喚】を実行しようと思ったようである。
「身勝手な事を言っているのは、重々承知です……。それでも、どうかお願いです……、救世主様……。闇の王を倒し、この世界を救って下さい……」
説明を終えたドレイクは、正義達に、闇の王を倒して世界を救って欲しいと頼み込む。
「なるほど……。それで、僕達を、この世界に召喚したんですね……。分かりました、僕は、この世界の為に戦おうと思います。多くの命を奪った闇の王達には、正義の鉄槌を与えねばならない!」
「ああ、正義の言うとおりだ! 闇の王って連中は、許せねぇな! 俺は、こういった弱い者いじめをする悪党は嫌いなんだ! 正義! 俺も、やるぜ! 一緒に、闇の王を倒そうぜ!!」
「多くの人の命を奪うなんて酷すぎるよ……。正義君、私も参加するよ。闇の王達を止めないと……」
ドレイクの説明を聞いた博孝と正義、そして愛鯉は、闇の王達の悪行に、怒りをあらわにする。どうやら、正義感の強い三人は、闇の王の退治にやる気満々のようだ。
「闇の王の退治を、引き受けてくれるのですか!? ありがとうございます!! 救世主様!!」
闇の王の退治を引き受けた正義達に、ドレイクは、頭を下げて感謝をする。
そして……。
「では、大臣。救世主様達に、例の物を渡してくれ」
「かしこまりました……」
ドレイクは、下げていた頭を戻すと、
直様、右側に立っていたモノクルの男性に、あるものを渡すように指示を出す。
命令を受けた大臣は、軽く会釈しながら王様に返事をする。
「使用人達よ、入りなさい」
すると大臣は、正義達の背後から見える、金色の装飾が施された焦げ茶色の大きな扉の向こう側で、待機している使用人達を呼び出す。
大臣の呼び出しと共に扉が開くと、三人のメイド達が姿を現した。三人のメイド達は、男達の理想を絵に描いたような美少女であり、もし正義達の教室に居たら、間違い無くクラスメイトの男子達の目を釘付けにしていただろう。その三人の美少女メイド達は、無言のまま軽く会釈をした後、王様達がいる部屋へと入って行く。
「美しい……」
「綺麗……」
(メイドのねぇちゃん、何か持ってるな……。何だろ?)
正義と愛鯉は、部屋に入ってきたメイド達を凝視していた。美少女メイドの美しさは、男性である正義だけじゃなく、同性の愛鯉までも、夢中にさせていたのだ。美少女メイドの魅力に心を奪われている二人とは対照的に、博孝は平然としていた。博孝は、色恋沙汰に興味が無いだけじゃなく、
女の子のアプローチに気付けない鈍感な男なのだ。その証拠に、博孝は先程から、美少女メイドよりも、メイド達が持ってきた物に興味津々なようである。
「使用人達よ、王様からの命令です。救世主様達に持ってきたアイテムを渡すのです」
大臣からの命令を受けた美少女メイド達は、指示されたアイテムを黙々と正義達に渡してゆく。そして、アイテムを正義達に渡し終えた美少女メイド達は、王様達に軽く会釈をすると、そのまま部屋から静かに退出する。
「茶色の袋? 液体? 宝石? 金属板? 何だ? これは……」
「まさか……、食いもんか? いや……、食いもんでは無いな……。絶対……」
「えっと……。何に使うんだろう……。これ……?」
メイド達が退出すると、正義達は、渡されたアイテムに視線を移す。正義達がメイド達に渡されたアイテムは、魔法陣が描かれた布製の茶色な袋が三つと透明な液体が入った小瓶が十五個、そして朱色で親指サイズの卵型の宝石が一つと五百円硬貨が入りそうな丸いくぼみが三つと親指サイズの楕円形のくぼみが一つ付いた、B5サイズのノートと同じ大きさの、銀色に輝く三枚の金属板である。
正義と博孝、そして愛鯉は、メイド達に渡された用途が不明のアイテムに、当惑しながらマジマジと見つめるのであった。
第二章は、もう少しお待ち下さい。
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