束「私ことてぇん↑さい↓科学者である束さんは、親友であるちーちゃんの願いであるIS学園へ向かう暴走モノレールを止める事に成功するけど、代償としてスタークがきょーちゃんに渡したハザードトリガーによる暴走を引き起こしてしまう。だが、スタークやまーちゃんの活躍で暴走は停まり、きょーちゃんは気絶。スタークはハザードトリガーを回収して姿を消した」
千冬「おい、何をぶつくさと呟いているんだ?」
束「きょーちゃんが気絶してから一週間が経ち、再び私達の物語が」
千冬「ソイヤッ!」
束「オレンジッ!!?」
千冬「やれやれ……では、そろそろ目覚めたらしい奴を確認に行くか。お前も学園長と話をしておけよ? では、第9話。始まるぞ。それと、令和になって初の投稿となるが、今後ともこの作品と作者を宜しく頼む。では、私はもう行く」
束「……(気絶中)」
?「……ツンツン」
束「…………(反応が無い)」
?「……気絶してる?」
?『適当な部屋に突っ込んでおけば良いだろ』
?「……うん」
【暴走モノレール事件】から一週間が経ち、俺はたーさんや龍ヶ崎、クーと別れて、独り牢屋に収容されられていた。
此処は【IS学園】とやらの地下に存在している懲罰房とやらだそうで、本来は学園内で起きた事件等に使われるそうだ。
そんな場所に俺は意識を失った状態で【暴走モノレール事件】の容疑者として収容されたらしい。
と言っても、俺の記憶には少しずつ曖昧になっていた意識がモノレールを停めてる最中に電源が落ちたかの様に途切れており、次に目を醒ましたのが昨日の夜であるので実感は湧かないが。
なお、たーさんが常時バイタルチェックをしていてくれた御蔭で目を醒ました直後に連絡が来て、全てを聴かされた訳で、今日は取り調べを受ける事になっているらしい。
「おい、目を醒ましたそうだな」
状況整理をしている時に聞こえてきた声のした方を見ると、大きな鞄を持っている黒いスーツを着熟した女性が檻の向こう側に立っていた。
外見は20代後半から30代前半位で、多分たーさんと同い年位じゃないか?
というか、もしかしてこの人……
「……ちーちゃんさん?」
俺がモノレール突撃する際にたーさんが連絡を入れていた【ちーちゃん】って人だと思い女性に訊くと、女性は頭を抱えながら盛大に溜息を吐いた。
あれ、多分だが合ってる反応だよな……それとも、違ってたか? 確かに可笑しな訊き方とは自分でも思ってるが。
「どうやら、本当に束の知り合いみたいだな。私の名前は織斑千冬だ」
「あぁ、だからちーちゃん……」
遺憾ながらな、と素っ気なく返してきた女性こと織斑千冬さんは牢屋を開けて入ってきた。
というか今、鍵開けずに入って来なかったか……?!
「……何時から開いてた?」
「何だ、気付かなかったのか? お前を運び入れた日からずっとだが?」
「えぇ……そりゃないよ、ちーさん」
「……ちーさん?」
「だって、ちーちゃんはたーさんだけの呼び方だろ? 同じ呼び方だと親友のたーさん以外に呼ばれて欲しくないかなーと」
俺とやり取りをした直後、織斑千冬さんことちーさんは再び盛大に溜息を吐いてから、俺に鞄を投げ渡してきた。
思わず首を傾げながら投げられた鞄を受け取ると、直ぐに中を確認し始める。
えっと、洗面器、歯ブラシ、歯磨き粉、黒いつなぎ服三着含めた着替え一式、俺の写真付き証明書……ナニコレ?
「雰囲気が束寄りっぽいから簡潔に説明する。風呂場に案内するから着替えろ。写真付き証明書については後程説明する」
ついてこい、と言ってちーさんは牢屋から出て行った。というか、話ついて行けてないんだけど……あれ? 取り調べするんじゃなかったの?
「早く来い」
あ、はい。
【
牢屋から移動含めて約一時間後、下半身を黒いつなぎ服で着込み、上半身部分を腰で縛って青い半袖シャツを上に着た俺がちーさんの目の前に居た。
入浴シーン? ねぇよ、んなもん。
後、何故か伸びていた髪の前髪を後ろに流してから黒いヘアピンで留め、後髪を
「何をどうしてこうなったんだ……」
「いや、着替えろって渡された中に入ってたから」
俺の言葉に3度目の溜息を吐いたちーさんと一緒にIS学園の廊下を一緒に歩く。
今日は学園という事で休校なのか、廊下は人気がなくとても静か。そんな中を歩いていると、俺とちーさんは【校長室】と標識のある部屋の前に着いた。
ちーさんがノックしてから、失礼します、と言って入っていく。俺? 入らないけど。
「おい、早く入れ」
「……失礼します?」
先に入ったちーさんに呼ばれたので、恐る恐る【校長室】に入っていく。
すると、校長室にはソファに座っている知らない男女一組、それと対面してソファの背もたれに座っている頭に大きなたんこぶを生やしたたーさんの姿があった。
取り敢えず、知らない男女に軽く頭を下げてからたーさんの方を見る。多分だけど、あの男女が校長と教頭だと思うから。
「たーさん、落ちるよ?」
「うん、元気そうで良かった! それとツッコミも有難う!! 実はバランス取れるの限界だったんだ……目の前の奴等何も言わないからツッコミ待ち状態キツかった……しかも、いつの間にか気絶してて空き教室で倒れてたし」
よく見ると、たーさんの目尻に涙が溜まっていた。
あぁ、大好物の餌を前に待てを飼い主に言い渡された犬みたいに思えてくる。
この状況にちーさんは4度目の溜息を吐いた。
「……大丈夫ですか?」
「……私に構うな。面倒だ」
さっさと座れ、とちーさんに言われて俺はたーさんの隣に座る。
その直後にたーさんが普通にソファに座り直し、改めて目の前の2人、その内の女性を見る。
「で、結局。私の要望は聞いてくれるの?」
「全てとはいきません。貴女の保護している少女、龍ヶ崎真白さんをIS学園に入学させる事については黙認します。但し、もう一人の少女もですが、そこの青年はIS適正もなく、この間の事件により危険性が高い。そんな人物を置いておくことは容認出来ません」
どうやら、たーさんは交渉(という名のお願い)をしていた様で、保護している少女ってのは恐らく龍ヶ崎とクーだろう。
んで、何故かクーもだけど、俺は危険人物だからIS学園自体に置いておきたくないと。
てか、俺と目の前の男性、会話に入れてないな。取り敢えず無言で机の上に置いてあるお茶菓子をそっと手渡してみると、優しい表情で受け取ってくれる。
すると、今度は逆に男性の方が何処から取り出したのか解らないが、小袋に入った飴玉を手渡してくれるので、素直に受け取る。
「だーかーらー! その代わりに私が彼に首輪を着けるって話したじゃん!!」
「それはあくまで 博士、貴女からの提案です。私達からしたら、そういう問題ではないのです」
「(首輪って何だよ……)……すいません、どういう事なんでしょうか?」
場違い感が否めない俺が恐る恐る訊いてみると、男性が優しい表情のまま目を細め、たーさんと話していた女性は鋭い視線で睨みつけてきた。
この女性、むっちゃヒステリック感出してるなぁ。
「駅のホームで貴方の黒い姿を見た教員の何人かが恐怖しているんです! しかも貴方は、襲い掛かろうとした!! だから、この学園自体に置いておきたくないのです!!!」
「そうなんです?」
段々声量の上がっていく女性の言葉を聞くと、思わず他人事の様に反応してしまった。
申し訳無いが、そこの部分は既に意識の無いところだから知らぬ存ぜぬでしか対応出来ないのが事実。
その結果、恐怖を感じて以降、どの様な状態か解らないが、その職員の方々ら御愁傷様です、としか俺は言えない訳で。
俺の他人事と取れる返事を聞いて女性が机をダンと叩き、俺と男性は慌てて机の上に置いてあったお茶菓子の入った容器やお茶をキャッチする。
「巫山戯るのも大概にしなさい!! 貴方のしでかした事は大変な事なんですよ!!」
「そんなの結果論じゃん! きょーちゃんはモノレールを止めたんだよ?!」
「それこそ結果論です。暴走する可能性のある道具を使い、結果職員へ被害が出ているんです!!」
俺の事なのに女性とたーさんがヒートアップしていく中、俺はちーさんに視線を向けると肩を竦まれ、次に男性を見ると、男性が何やら決心した様に俺へ頷いてきた。
男性はパンパンッと軽快に手を叩いて、女性とたーさんのヒートアップしている討論を止めた。
「では、彼とクロエ・クロニクルさんについては私が責任を持ちまひょう。龍ヶ崎真白さんについてはお任せします、学園長」
「しかし、十蔵さん!!」
男性こと十蔵さんの言葉に驚いた女性、学園長の反応を見て俺はふと疑問に思った。
もしかしたら、十蔵さんの方が学園長より上の立場だったりする……?
「あの、済みません……」
「えっと……沖兎君で良かったかい? 如何したのかな?」
「つかぬ事を伺うんですが……十蔵さんって、其方の学園長さんより上の立場だったりしちゃいますか?」
俺の日本語になってない言い方を聞いて、十蔵さんは大声で笑い出す。
それを見て学園長は盛大に溜息を吐き、たーさんは首を傾げていたが、一しきり笑った十蔵さんが真顔で俺を見ると、急に威圧感が増した気がした。どうやら俺にしか威圧してないからか、他の人達は態度が変わっていない……あ、ちーさんは目を見開いている。
「良いですか、沖兎君? 世の中には知らなくても良いことがありますが、今から言うのは他言無用ですよ? 私は学園長の夫であり、この学園の理事長です。そして、貴方とクロニクルさん、龍ヶ崎さんの身元引受人を博士から依頼され直ぐに用意出来ます。後は言わなくても解りますね?」
「さらっと言ってるよ……」
威圧感に困惑してたらさらっととんでもない事を話されてしまった……これ、敵に回しちゃ駄目な人じゃん。
俺は即座に何度も頷き、十蔵さんからの威圧感は消失した。
そしてたーさんと十蔵さんが話していく中、俺はちーさんに同情的な視線を受けつつ一刻と早い話の決着を望んだ……学園長さんの視線もキッツいし。
△ ▲ ▽ ▼
「お茶ですよ、箒さん」
「あ、あぁ、有難う」
私は湯気の上がっている見るからに温かいだろうココアの入っているコップを受け取りながら辺りを見回す。
私、篠ノ之箒は今、姉さん―――篠ノ之束が乗っていた【吾輩は猫であるMk-2】と呼んでいた内装がとても潜水艦の中に居るとは思えない程に快適な空間の一室に居る。
姉さん自体は私を暴走するモノレールから連れ出し、モノレールを止める為に自らも暴走する力を使い、最終的には暴走し、気絶した赤と青の戦士の変身者の女性みたいな外見の男性と共に私が強制的に通わされる事になるIS学園に居る。
私としては、私や千冬さんにしか興味を持たず、千冬さんの
それと、あの男性の外見にも驚きを隠せなかった……そんな中、私を更に驚かせたのは先程私に温かいココアを出してくれた私と同い年位の茶髪の少女【龍ヶ崎真白】、そして端で仮想ウィンドウ相手にパソコンで用いる既存のキーボードを高速で打ち込んでいる銀髪の少女【クロエ・クロニクル】の存在だった。
変身者の男性と併せてこの3人が姉さんに保護されている、という事実に対し、私の中には驚愕と嫉妬が渦巻いていた。
―――何故、姉さんはこの3人を保護したのだろうか?
―――何故、私や両親を保護しなかったのだろうか?
そんな嫉妬が私の考えを浸食していっている中、目の前に座った龍ヶ崎が私同様に湯気の上がっているコップを一口飲み そして笑顔でクロニクルに振り向いた。
「クーちゃん? これは何かな?」
「……ナンノコトデスカ?」
「何で私の飲み物だけ味がしないのは何のかなぁ?!」
龍ヶ崎は立ち上がるとクロニクルへと走り出し、逃げ出そうとするクロニクルを抱え込み、その場でグルグルと回り始めた。
徐々に加速している回転を見て、考えている事が馬鹿らしくなっていく私を、私自身思わず呆れてしまう。
こんな程度で嫉妬の薄れる自分に対し、軟弱者と感じてしまう……が、不思議と腸が煮えくりかえる事はなく、微笑ましそうに呆れる自分が居た。
そんな事を考えながら、ココアの入ったコップを持ち上げ、一口飲み―――余りの苦さに顔を顰めた。
「お、おい、これ、苦いんだが」
「クーちゃーん?! 箒さんに何入れたのかなー!?」
「か、カカオはちじゅーごーでーすー!!」
そうか、カカオ85か……
「龍ヶ崎と言ったか? 構わん、続行してくれ」
「りょーかい! あ、後、箒さん! 私は真白で良いですよー!!」
「では真白、続行してくれ」
先程以上に回転速度の上がる龍ヶ崎―――いや、真白と楽しく会話をしつつ見る光景から、何気に此処ならやっていけそう……そんな気がしてきていた。
地下の研究所に突入した俺は着地点に残されたトラックを確認するが、中は無人になっており、即座に研究所内の探索を始める。
この研究所は結構な金が注ぎ込まれてる様で、しっかりとした構造で出来ており、しかも途中で探索していた部屋の壁に貼られていた緊急脱出経路が記載された見取図には首都の地下水や地上で店を構えている隠し壁が記載されており、何かあった時を想定している為、相手からしたら直ぐにでも逃げれる様になっていた。
場所によっては他国との境界ギリギリの場所にもあり、そこは俺が突入してきた場所の様に荷物の搬送経路として使っているみたいだった。
「さて、面倒だな……」
面倒と言っても、構造自体は縦ではなく横に広い為か地下深くに行ったりしなくて済むから多少は楽だが。
そんな事を考えつつ見取図を頼りに探索を続けていると、開発室と書かれた部屋に行き着いたので取り敢えず覗き込んでみる。
そこには、この世界に来てから見掛ける存在 ISが鎮座しており、他にも組み立て途中と思われる部品が散らばっている床や、資料が散々された資料の載っている机、天井から垂れている鎖に繋げられている首輪を着けて眠っている少女が居た。
「って、おい!? 大丈夫か!?」
敵地であるのにも関わらず思わず声を掛けて起こそうとする。というか、敵地で鎖の首輪な時点で強制的に何かしらの作成等をやらされていた可能性が高い という言い訳をしつつ声を掛け続けていると、その少女がゆっくりと目を開く。
「ん~……貴方はだぁれ? 組織の関係者~?」
「いや、その前に君が何者か訊いても良いか?」
此方か聞き返すと、少女は笑みを浮かべながら、先程の伸びながら喋る口調で答える。
「私の名前は