兎意添変   作:悠畏

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【前回のあらすじ】

響介「不思議な国の少女な服装をした自称天才科学者であるたーさんから、俺とお下がりの巫女服を着たクーの検査結果を聞いた。とりあえず、俺は原因不明として、クーはISコアが耐性を補助してるから、無理は禁物だな」

クロエ「改めて考えると意外です。ISコアにそんな機能があったなんて……」

響介「まぁな。たーさんも驚いてたし、知られてなかったから仕方ない。さて、これから龍ヶ崎がカレーを作るって事だし俺達暇だな」

クロエ「私はお手伝い行きます(先ずはお手伝いから頑張って学びます!)」

響介「楽しみにしとくよ。さて、そろそろいくぞ?」

響介・クロエ「「はてさてどうなる第4話!」」

クロエ「状況開始です!」

響介「……あれ? 俺だけ暇人になってない?」


【第4話】暴走するトレイン 壱

 夕食にまーちゃんが作ってくれたビーフカレーを皆で食べて、食後休憩をしつつ手元のタブレットで私ことてぇん↑さい↓科学者である束さんは【吾輩は猫であるMk-2(まだ改修が2回出来るヨ♪)】を次の行き先に向けて変更を掛ける。

 この【吾輩は猫であるMk-2(まだ改修が2回出来るヨ♪)】は以前の【吾輩は猫である(名前はまだ無い)】よりもIS機能の一つ【量子変換機能】を応用して大幅に確保した居住空間や、対各国及び奴等が所持しているであろう潜水艦対策であるハイパーセンサー内蔵電探や何一つ音を漏らさない様に過剰に改良を加え過ぎて何しても音が防げる様になった究極アルティメット防音多重壁、迎撃用の超長距離ミサイルや掃除や洗濯もしてくれるオールマイティなアクション可能のゴーレムシリーズを含めた防衛システム、他にも数多い機能を詰め込んだ【もしもシステム】を搭載していて、今まで以上に個人的にもさい最っこー高に過ごし易い潜水艦になった!

 流石束さん! 自画自賛ながら、天才っしょ! さい最っこー高っしょ!! 夜は焼き肉っしょょょょ!! と思わず盛大に自画自賛しながら、タブレットを操作する。

 今、ふと思ったけど何で焼肉食べたかったんだろ……まぁ、いっか。まーちゃんに駄目もとで明日の夕食リクエストしてみようと思いつつ、台所へとチラッと視線を向ける。

 すると、洗い物を拭いて手伝っているクーちゃんが洗い物をしているまーちゃんに何やら話していたのが聞こえていた。

 

「えっと、真白様。少々お尋ねしたいのですが」

 

「なにかな? あ、私の事は様付けじゃなくても良いよ? 何なら、お姉ちゃんでも可!」

 

 私だって束様とかじゃなくてクーちゃんにお姉ちゃんとかお母さんとか呼ばれたいのに何言ってるの~!?と思わず大声を上げようとして、隣で資料を読んでいる筈のきょーちゃんに横目でジロッと見られた。

 大声を上げるのを止めようとすると、きょーちゃんはスッと読んでいた資料に視線を戻す。

 きょーちゃんが読んでいるのはビルドについて僅かながら記載されていた資料に束さんが調べ、考察を加えたもの。()()が持っていたであろう本来の資料の一つ【葛城データ】は現在行方不明であり、束さんの手元に残っていたのは僅かな単語やビルドドライバーに関する一部の情報だけだった。

 そこに、私が調べたドライバーの機能を考察と一緒に載せているけど、このドライバー自体解っている事がである束さんでもあまりにも少ない。必ず【葛城データ】を見つけないと……()()()()の為にも。

 

「えっと……では、真白姉様で。真白姉様が魔法使いって、本当ですか?」

 

 ちょっ、クーちゃん!? まーちゃんを姉様呼びとかなにそれ羨ましって違う!!

 私は再びきょーちゃんに横目でジロッと見られた事で冷静になり、まーちゃんを羨ましく思いながらクーちゃんの言った言葉の意味を思い出す。

 確かに、私を助けてくれた際に何処からか剣を取り出して戦ってくれたし、その剣もいつの間にか消えてた。

 後から本人に聞くと、魔法使いッぽい何かかな?という謎の返答だったからクーちゃんも気になってるんだと思う。因みにきょーちゃんは聞いても無反応だった。というか、きょーちゃんは無表情過ぎて反応が偶に読めないんだよね……それ以外は普通?ぽいのに。

 

「まぁ、魔法使いと言えばそうなのかな? 私自身よく解ってないけど」

 

 まーちゃんは軽々とそう言うと、また何も無い空間から一冊の本を取り出してクーちゃんに渡した。表紙からして、恐らく料理本だと思う。というか、剣だけじゃないんだね……と、余所見してる場合じゃなかった。早く次の行き先を設定しないと。

 

「たーさん、何か鳴ってない?」

 

 きょーちゃんの言葉で部屋から聞こえてくる和風な音で、私の携帯が鳴ってる事に気付いた。

 しかも、この音に設定してあるのはただ一人!

 私は直ぐに部屋に戻って電話に出る。この音は、愛しの妹こと―――

 

『済まない、愛しの妹さんではないんだ。本当に済まない』

 

「スタークッッッ!!」

 

 アイツの特徴的な声が聞こえてきたので思わず怒鳴り声を挙げてしまい、私の怒鳴り声が聞こえたのか、きょーちゃん達が急いで部屋にやってきたけど、それに一々反応する訳にいかない。

 何でコイツが、あの子の携帯から電話を掛けてきてる……!?

 

『おうおう、そんな怒鳴りなさんな。折角おふざけで泣き止んだ隣の妹さんが泣いちまうぜ?』

 

『な、泣いてないぞ! 出鱈目を言うなぁ!!』

 

 スタークの言葉に苛つきを、聞こえていたあの子の声に安堵したので、一度冷静になる為に深呼吸をする。

 電話越しの状況把握や、それを元にあの子を救出する作戦とか考えないといけない。

 少なくとも、向こうにはスタークが居る。それだけで警戒しないと此方がやられる。

 そして私が冷静になり、あの子の救出プランを考え始めてるのを見計らう様に、スタークは通話の続きを始めた。

 

『今な? お前さんの妹さんを拉致ろうとした連中が全員スマッシュに変わったんだが、面倒な事に一体が電車と一体化する能力を持ってたみたいで閉じ込められてしまったんだわ。予想外過ぎて慌てて妹さんと車内逃げてんだが、助けに来れないか?』

 

 一瞬にして、私は冷静じゃなくなった。

 

 △ ▲ ▽ ▼

 

『ちょっと待って!? 何でお前が護ってんの!? 訳分かんないんだけど!! ちょっと頭冷やそうか』

 

《おう、博士が冷やしなさいな。そんな動揺してダサいぜ?》

 

 オレの言葉に博士が電話越しでウガァーと大声が聞こえてきたから、更に苛ついてるのだと思いクックックッと声の漏れた悪役っぽい笑い声が出てしまう。

 それを見て、俺の隣で泣き止んで睨み付けてきていた博士の妹さん―――篠ノ之(しののの) (ほうき)がキョトンとした表情を浮かべた。

 

「姉さんが動揺……?! あの姉さんが!?」

 

《あぁ、中々電話の向こうは慌ただしくなってる様だぜ?》

 

 今日は妹さんが中学校を卒業し、日本政府によってIS学園で4月から入学(保護)する為にモノレールで移動するという事だったが、一部の政治家がモノレールでの移動を利用して拉致ろうと独断で動いたのを知り、どうなるか様子見に来たんだがなぁ……この計画を裏から操ってたのが()()()とは知らなかったもんで結果的に巻き込まれてしまった。

 結果、オレ本来の目的から大幅にズレて余計面倒な事に……アイツめ、こういう計画は先に教えとけよ。

 しかも、このモノレール内を迷宮化出来る程に能力を使ってるって事は、相当ハザードレベルが高めなスマッシュなんだろう。それも踏まえてとても面倒臭いんだが。

 

《なぁ、そこんとこどう思うよ?》

 

「いや、それを私に愚痴られても困るんだが……」

 

《そりゃ、そうだ。いやぁ、済まんね》

 

 化物に愚痴られて困る妹さんに思わず笑ってしまう。いやはや、こりゃ生きて帰ったらアイツとは一戦やらないとストレスで禿げてしまうってもんだ。

 ま、禿げる毛があるかどうかはさておいてだが。取り敢えずこれで、博士とビルド、後は訳の解らん少女とかが救出に来る筈だ。それまでは妹さんには悪いが悪役が護らせて貰おうかね?

 

《さて、妹さん。乗り掛かった蛇舟で申し訳ないが、ここを出るまでは助けてやる》

 

「なんで、そこまで……それに、蛇舟?」

 

 疑問だらけであろう妹さんに携帯を切ってから渡すと、片手でトランスチームガンを取り出して、青色に似た水色に近い色で、ロケットの描かれたフルボトル【ロケットフルボトル】を装填する。

 そして、即座に片手で妹さんを抱えながら背後に跳び、目の前の壁に向かって即座に引き金を引く。

 

【フルボトル! ―――スチームアタック!!】

 

 トランスチームガンの銃口から放たれたロケットが壁を壊して現れた3体のスマッシュ共に向かって飛んでいき、直撃する。

 コイツら、面倒な事に妹さんを狙う事だけに執着する様にアイツがプログラムしたと思われる試作品特製()()()フルボトルを使ってるから狙いやすいけど、逆に面倒なんだよなぁ。

 しかも、ロケットフルボトルの力を使っても愚直に妹さん狙いで向かってくるし。こんな時に限って武器はトランスチームガンしか持ち合わせなが無いという。まぁ、あくまで武器はだが。

 

《やれやれ、我ながらドジっちまったな》

 

 オレは態とらしく溜息を吐きながらスマッシュ共から距離を取り、胸元の蛇マークから生み出した水色の蛇に妹さんを護らせる。

 そして妹さんを背にしてトランスチームガンに装填していたロケットフルボトルを抜き、機関銃の銃口が描かれたガンメタカラーのフルボトル【ガトリングフルボトル】を取り出して、何度か振ってからトランスチームガンに装填する。

 

【フルボトル!】

 

《乱れ撃つぜぇ? 止めてみなァ!!》

 

【スチームアタック!!】

 

 トランスチームガンの銃口をスマッシュ共に向けて引き金を引く事で、無数のエネルギー弾がスマッシュ共へと飛んでいく。

 エネルギー弾の雨によって足を止めざる得ないスマッシュ共に一気に近寄り、懐に入りながら再びロケットフルボトルを装填し、銃口を向けて引き金を引く。

 0距離のロケットによる衝撃でスマッシュの一体を倒した後、残り2体の内の一体に向けて、ロケットフルボトルを抜いて新たに錠前の描かれた金色のフルボトル【ロックフルボトル】を装填し、銃口をスマッシュへ向けて再び引き金を引く。

 

【フルボトル! ―――スチームアタック!!】

 

 金色のエネルギー弾がスマッシュへと飛んでいき、そのエネルギーは形状を変化し、金色の鎖となってスマッシュを拘束。

 その間を使い、即座に近付いて回し蹴りを腹部へと食らわせる。

 身動きの取れないスマッシュはそのまま電車の壁へ飛んでいき、背中からぶつかって倒れ、動かなくなった。

 そして最後の一体が通路へ後退りして逃げようとしているのが見えたから、逃がさない様にロックフルボトルを装填したままのトランスチームガンの銃口を向けるが、スマッシュは突然動きが止まり、そのまま前のめりに倒れた。

 

「―――やれやれ、まさか面倒事に巻き込まれるなんて」

 

《ん? 一体お前さんは何かな?》

 

 倒れたスマッシュの後ろにある通路から、一人の人間の姿が溜息を吐きながら姿を見えた。警戒しながら人間の観察を行うと、その人間の服装は青のジーンズに黒のTシャツ、その上に焦茶色のジャケットを着込み、茶色いハット帽を被っており、手には紅い刃の剣を持つ―――外見年齢10代後半な少女だった。

 

 ―――暴走モノレールがIS学園衝突まで、残り2時間。

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