スターク《またしても俺があらすじ紹介する事になるとはな。と言っても、オレが謎の少女と行動を始めて、妹さんは蛇と留守番って話だけどな》
響介「なんで救助依頼したヤツが率先して動いてんだよ。合流とか面倒になるだろうが……あ、俺はビルドになって突入直前だ」
スターク《雑なあらすじ紹介で済まない。本当に済まない》
響介「お前謝る気ほんとにあんの?」
スターク《というか、こんだけあらすじでおふざけ出来る状況に何も思わんのか? お前》
響介「……言われてみれば」
スターク《さてはお前……馬鹿だなぁ!?》
響介「その台詞をお前が言うんかい!?」
スターク《ではさて、どうなる第6話。始まるぞ》
響介「ところで、お前今どこなの?」
スターク《ん? 秘密》
響介「ぶっ飛ばす」
「天井が見えてきたな……突入開始」
ビルドに変身して【爆走ターボくん】から跳び出した俺は、もうじき見えてくるモノレールの天井との距離がある程度狭まってきたのを確認すると、ドライバーのレバーを握って回し始める。
たーさんの予測では、今のモノレールはスマッシュに乗っ取られた影響によって強度が上がっているそうで、必殺技である蹴りを使い内部に突入する必要がある。
降下している最中に妨害がある可能性も考慮して、ある程度の距離で妨害含めて蹴り抜けば良いという結論があった為、レバーを回し始めたが………まあ、結果的に妨害は無かったが。
そしてレバーを回していると、本来なら空中ダイブな状況では聞き取りにくいであろうドライバーから軽快な音がビルドに変身しているからかハッキリと聞こえてくる。
【Ready go!】
ドライバーからの合図と同時に、俺とモノレールの間に急な坂みたいなグラフ型のエネルギー滑走路が現れ、俺は空中ながらも蹴りの姿勢をとる。
そして、モノレールの天井に向かって勢いよくグラフに沿いながら降りていき、天井を蹴り抜いて突入した。
【ボルテックフィニッシュ! ―――イェーイ!!】
「さて、と………たーさん、妹さんのGPSはどっち?」
『おっけー♪ それじゃ、案内を開示するよ♪』
「カーナビかっての……」
モノレール内に無事に突入出来た俺はたーさんの指示に従い、妹さんとブラッドスタークに合流すべく行動を開始するが、内部は乗っ取られた影響なのか迷宮の様になっており、真っ直ぐ目的地に行こく事が出来ないでいた。
「たーさん、迷子じゃね? 俺」
『迷宮化は最悪の想定だったけど、直ぐに解析するから、ちょーっとだけ時間が必要かな………待ってて』
たーさんに解析を依頼してから暫く警戒しながら歩いていると、先程まで歩いていた後ろの方の道にあった壁が突然何かを切り裂いた様な音が聞こえてきた。
突然の事で即座に振り返ると、壁に先程まで無かった大きな裂け目が出来ており、そこから紅い刃の剣を持った少女と、何故か少女と一緒に行動しているブラッドスタークが出て来た。
「……っておい、何でSOSを出した遭難者がほっつき歩いてるんだ。そんな行動してるから救助隊の助けれないし、遭難する犠牲者が減らないんだぞ。いい加減にしろよ、赤蛇」
《会って早々に罵倒というか、説教していくるのは想定外なんだが。というか、オレはブラッドスタークって名前があってだな?》
「なんだ、お前赤蛇って名前なのか。自己紹介してない身だかが、そう呼ばしてもらうぞ? 赤蛇」
俺の声に反応したブラッドスターク(赤蛇)だったが、剣を持った自ら自己紹介してない身と言い出した少女の言葉を聞いてか、しゃがみ込んで頭を抱え出した。
頭抱えたいのはこっちなんだが………取り敢えずフルボトルをドライバーから抜いて暫くすると変身が自動で解除され、剣を持った少女が警戒心を抱かない様にする。
「俺は沖兎響介。其処の蹲って頭を抱えながら自己反省している赤蛇から救助依頼された者だ」
「そうなのか。済まない、私は訳あって名乗れない者だが、其処で蹲って頭を抱えながら自己反省している振りをして内心次の行動を考えている外道な赤蛇に協力を要請して、この異変を解決しようとしている。証明になるか判らないが、先程3体程スマッシュ?とかいうのを撃退し、其処で蹲って頭を抱えながら自己反省している振りをして内心次の行動を考えつつ私達のやり取りにツッコミを入れたくて仕方ない構ってちゃんな赤蛇の持ってたボトルを使い、人間に戻してきたところだ」
《お前達、オレの事嫌いだろ!?》
「「いや、全く?」」
俺と少女との会話を聞いて隅っこでのの字を書き始めたブラッドスタークは放っておくとして、この少女とは初対面ながら中々面白い即興が出来た事に内心満足していたが、少女の言葉から幾つかハッキリしている事が判明した。
既に敵は減っており、恐らく残りはモノレールを乗っ取っているヤツが最後である事、赤蛇と協力出来る程の実力が目の前の少女にある事、妹さんは一人で放置してきているという事。
《あ、一応妹さんには護衛を置いてきたから心配ないぞ?》
訂正、どうやら一人ではないらしい。たーさんにとって安心したであろう懸案は解決したが、ちょっと困った事に為ってしまった。
どうやら状況的に俺は妹さんを救助しに、少女とブラッドスタークはモノレールを乗っ取っているスマッシュを倒しに動く。そこに問題は個人的にないし、方角が逆なのも先頭での安全面を考慮するに問題にはならない。
では何故困った事になったのか? 理由は実に簡単。
「赤蛇(こいつ)に任せるの……まじで?」
実力で言うのならブラッドスタークは問題なく、少女は未知数だけど安心は出来る。だが、信用で考えると安心出来ない。
特にブラッドスターク(こいつ)が、だけど。
「そこんとこ、どう思ってる?」
《今更過ぎてどう返事しようか悩んでるんだが?》
「信用出来ないのは最もだが、信じて貰うしかない。安心しろ、赤蛇が問題を起こせば私が斬る」
《え》
少女の物凄く力強い言葉を信じて、少女に予備の通信機を渡してから、上空で待機している龍ケ崎へ連絡を取る。
「サポートを俺からこの二人に変更。ブラッドスターク(赤蛇)が変な事したら撃ってよし」
『了解です!!』
《え》
「沖兎さん、貴方の捜している少女はこの先だ」
俺と龍ケ崎真白との通信内容を聞いて呆然としているブラッドスターク(こいつ)は放っておいて、俺は少女から教わった、少女達が出てきた壁を潜り抜ける。
すると、潜り抜けた先の壁が切り裂かれているのを見つけ、その先を覗き込むと同様に切り裂かれた壁が存在しているのが見えた。
『きょーくん、解析が―――』
「たーさん、もう大丈夫そうだ」
『―――できた、よ?』
どうやら、あの少女は脳筋なのかも知れない、と思わずにはいられなかった。
△ ▲ ▽ ▼
《此処が運転席のある車両か……まさか内部が迷宮化しているモノレールを一直線に突き抜けてくる事になるのは実に面白かったぞ? 本当はちょっと驚いたが》
オレは目の前で剣を振るう少女を見ながら言った。妹さんを蛇に任せて少女を追い掛けてみたものの、まさかの剣で壁を切り裂いてはその先の壁を切り裂くという一直線突破という脳筋開拓を目撃してしまったからだ。
途中でのやり取り? オレの記憶には何も残ってないな。本当ダゾ?
さて、そんな脳筋開拓者である少女と共にやってきたが、運転席のある車両に着いた早々、少女が握っていた剣の切っ先を前に向けるのを見た。
その切っ先を辿ると、尻尾が床に突き刺さっている全身に線路の様な模様の描かれたスマッシュ―――トレインスマッシュとでも仮称為べきスマッシュが立っていた。
「おい赤蛇、コイツがモノレール乗っ取ってるので間違いないか?」
少女が此方に視線だけを向けて聞いてくる。というか、赤蛇ってなんだ。ビルドのやつが言ってきたが、全体的に赤い外見的特徴から付けた呼び名か? 此方も名乗ってないとは云え、流石に安直過ぎやしないか? そして、それで呼んでくる少女もどうかと思ったが、名乗っていない以上何を言われても恐らく聞く耳持たずだろう………泣きたくなってきた。
《恐らくな?》
「何で泣きそうな声なんだ? 赤蛇」
少女の残酷で素直な言葉に泣きそうになるのを堪えると、トレインスマッシュへとトランスチームガンとロケットフルボトルを構える。
それと同時にトレインスマッシュの全身に描かれた線路が光り始め、線路から幾つもの電車の形をしたエネルギー体が此方へと放たれた。
《成程、あのスマッシュ自体がホーム(駅)そのもの、そっから伸びる線路から電車は走り出すって動作が攻撃になっているのかっと!》
オレはトレインスマッシュの攻撃手段を解読しながら幾つもの電車を避けたり、直撃しそうなのはトランスチームガンを撃って破壊したりしていたが、不意に少女の姿を捜す。
しかし、少女の姿はオレの周りにはなく、何時の間にかトレインスマッシュの背後にあった。
《うそーんってか》
「よく判らないが、攻撃の標的が赤蛇になっているのは好都合だ」
少女はトレインスマッシュの背後から剣で斬り掛かる……しかし、トレインスマッシュが硬かった様で、剣が弾かれてっしまった。
それを見た少女は驚きを隠せずにおり、目の前にトレインスマッシュの放った電車が迫ってきているが、会費の間に合わない状況だった。
しかし、その電車は何処からか放たれた狙撃によって全て落とされ、少女は傷一つもなく無事であった。
「い、今のは………?」
『私の狙撃です! 一旦距離をとって下さい!』
少女はビルドから渡されていた通信機からの声に従い、即座にトレインスマッシュから距離をとった。
少女に対し追撃しようと電車を放つトレインスマッシュだったが、再び狙撃によって妨害され、全ての電車が消滅した。
少女に狙いを集中している内に俺はロケットフルボトルをトランスチームガンに装填し、銃口をトレインスマッシュへ向けて引き金を引く。
【フルボトル! ―――スチームアタック!!】
トランスチームガンから放たれたロケットがトレインスマッシュへと放たれたのと同時に、トレインスマッシュの動きが天井を貫通して当たっている狙撃によって妨げられる。というか、どうやって見えない相手を狙撃しているんだ……?
そんな事を考えつつもトランスチームガンに装填していたロケットフルボトルを抜いて、即座にロックフルボトルを装填。改めて引き金を引く。
《タイミングを合わせろよ!》【フルボトル! ―――スチームアタック!!】
「言われなくても!!」
オレの言葉に反応した少女が剣を構え直すのと同時にロケットがトレインスマッシュに直撃し、怯んでいる間に金色のエネルギー弾が直撃、そのままエネルギー弾は鎖となって拘束する。
トレインスマッシュが拘束されたのを確認した少女は再び斬り掛かり、それを阻止しようとトレインスマッシュが電車を放とうとした―――
『無駄です。狙い撃ちます』
だが、それは天から撃ち込まれる狙撃によって線路を破壊され、少女の剣は遂にトレインスマッシュへと当たる。そして少女はそのまま剣を振り抜いて数秒後、トレインスマッシュはゆっくりと前のめりに倒れるのだった。
ブラッドスタークと少女、そして龍ケ崎真白の狙撃援護によってトレインスマッシュは無事に撃退され、ブラッドスタークはエンプティボトルのキャップを開封し、トレインスマッシュの成分を回収する。
《さて、これにて一件落着だな》
回収し終えたボトルのキャップを閉まると同時に迷宮化していたモノレールが元の姿へと変化していき、言葉通りに一件落着となった……筈だった。
モノレールが元に戻った直後、通信機から聞こえてきた声と、少女の言葉を聞いてブラッドスタークは盛大な溜息を吐く事になった。
『此方は先程、束さんの妹さんを救出した響介さんを回収! だけど、モノレールが止まってないです!!』
「おい赤蛇! 運転席が壊れててモノレールが止めれないぞ!!」
《……おいおい、マジかよ》
―――暴走モノレールがIS学園衝突まで、残り30分。未だ、モノレールは止まらない……