響介「ブラッドスタークと合流する事が出来た俺だったが、ヤツは護るべき少女を見捨て、見知らぬ少女と行動を共にしていた」
スターク《前々回のあらすじと似た事になってるが、そこに今回のモノレール暴走を引き起こしていたトレインスマッシュを撃退ってのが追加だ》
響介「んで、このモノレールはいつ止まるんですか?」
スターク《止まりません♪》
響介「どうすんだよ……」
スターク《取り敢えずだ。はてさてどうなる第7話。始まるぞ》
響介「不安しか無い件について……」
暴走の原因であったトレインスマッシュを倒しても尚、IS学園へと迫る暴走モノレール。
その情報が響介達にも共有されていく中、IS学園では篠ノ之束の忠告を聞いて尚、格納庫にて学園に配備されているISを用意し動こうとしている織斑千冬と、それを止めようとしている山田真耶の姿があった。
「駄目です、織斑先生! さっき篠ノ之博士が言ってたじゃないですか!!」
「後30分しかないのだぞ!? そんな事を言ってる場合か!!」
そんな時、他の教師が再び篠ノ之博士から通信がきていると千冬に連絡が入り、繋いでくれと頼むと、千冬の目の前に束の顔が映ったウィンドウが浮かび上がった。
『ごめん、ちーちゃん。暴走の原因は何とかなったんだけど、制御不能になってて今はまだ止めれてないんだ―――』
「なんだと!? だが、お前でも大変だった原因がどうにかなった以上、私も―――」
束から簡潔に話を聴いた千冬は暴走の原因が何だったのか訊く前に、未だ爆走しているモノレールを止める事に焦点を当てる。
束ですら直ぐにでも何とかしたいが出来ないと言い切っていた謎の原因が何とかなったのだ。
千冬が理解出来るかどうかは別として、話を聞く必要がある。
だが、それは今ではないだけの話。
爆走しているモノレールに対し、私も暴走を止める、と言おうとしたが、
『―――だから、ちーちゃんに頼みたい事があるの』
「―――なんだと?」
束からの言葉に止まり、困惑をしてしまう。千冬の知る束は本来、人に頼る事の無い自分史高主義な人間。故にISを生み出し、結果的に世界を変えてしまった。女尊男卑という、今の世界に。
しかし、今の人に頼る束は悪くない、そう感じた千冬は束から話を聞く。
そして束からの話を聞き、束は宜しくと告げ、通信を切った。
残された千冬は目くじらを押さえつつ多少頭痛がしていたが、何故か口元が嬉しそうに浮かんでいた。
「―――全く、天災なのは変わらず、か……真耶、至急今の話通りに動いてくれ。私も動く」
「わ、判りました!!」
束から頼まれ事を聞いた千冬は即座にとある人物に連絡をとり始め、真耶もまた、千冬のフォローに動き出した……
―――暴走モノレールがIS学園衝突まで、残り20分。
そして時は、10分前に遡る―――
△ ▲ ▽ ▼
「――それじゃあ、作戦を説明するね?」
私の目の前には複数のウインドウが展開されていて、一つにはきょーちゃん(ビルド)と真剣な表情を浮かべたまーちゃん、端で心配そうな表情の箒ちゃんの顔が映ってるモノ、二つ目は憎(にっく)きブラッドスタークと詮索しない事を条件に顔出ししてくれているちーちゃんを幼くした様な顔の少女が真剣な表情を浮かんでいる顔、三つ目には無表情だけど可愛いクーちゃんの顔が映し出されていた。
因みに余談だが、きょーくんは箒ちゃんだけでなく、スマッシュになっていた男達も機を失っている状態だが【爆走ターボくん】に連れてきており、保護(という名の拘束)をしている。
話を戻すが、暴走の原因である異形ことトレインスマッシュを撃退したのも束の間、運転席は破壊されており操縦不可。
恐らく、トレインスマッシュが前以て破壊し、自身が操縦出来る様にしたと推測したけど、あくまで推測だから実際は判らない。
だけど、未だ暴走しているモノレールを止めなきゃ、ちーちゃんの居るIS学園に衝突してしまう。
その被害はかなりの規模が想定されており、先ず間違いなく半壊に近い勢いでIS学園が崩壊する。
それを防ぐにしても、唯一の交通機関である以上復旧作業や日本政府や世界への報告等が最小限の被害として考慮する事になる。
その為、最小限の被害に抑える作戦を立てた。
簡単に説明すると、モノレールをガス爆発させる。たったそれだけ。
ただ、単にガス爆発させるのは線路も巻き込んでしまうので、それを避ける為にモノレールを線路から切り離す必要がある。
なので、モノレールをガス爆発させる役割と、モノレールを線路から切り離す役割、後はモノレールとIS学園の距離を観測したりするサポートの三つに分けて行う。
「ガス爆発させるのはスターク。と言うか、ガス出せるのがお前だけ。切り離すのはきょー君とスタークの協力者である少女T。サポートには観測と狙撃でまーちゃんとクーちゃんが引き続き担当。その他多数への連絡等の一切はてぇんさい科学者な束さんがやるよ♪」
『少女Tって、もしかして私?』
「そだよー。仮称だから特に深い意味はナイヨ?」
『……分かりました』
『ところで、オレの扱いだけ酷くないか?!』
『『酷くないけど?』』
『虐め、駄目、絶対!』
スタークが何かほざいてるけど、時間に猶予は全く無い。迅速な行動によって奇跡を起こすしかない。
私は改めてウインドウに映っている皆を見る。
「皆、宜しくね……作戦開始!!」
私の言葉と同時にスタークは車内でガスを巻き始め、きょーくんは箒ちゃんをまーちゃんに預けてから再びモノレールへ跳び降りて、女と合流する。
箒ちゃんが何か言いたげな顔をしてたけど、現状を聞いてか言葉が出ない様で、まーちゃんの指示に従って大人しくしている。
さて、私も自分の役割を果たす為に連絡を入れないとね。取り敢えず、先ずはちーちゃんかな?
そう考えてちーちゃんの居るIS学園へ連絡を入れる。
「ごめん、ちーちゃん。暴走の原因は何とかなったんだけど、制御不能になってて今はまだ止めれてないんだ―――」
△ ▲ ▽ ▼
再びモノレールへ突入した俺はスタークと少女に合流すべく、迷宮の無くなったモノレール内を一直線に走り出す。
そう言えば、たーさんの妹を俺が合流するまで護ってたっていう蛇は粒子化して消滅したんだが、アレもスタークが呼び出した存在だったんだろうか。ま、伊達に蛇じゃないって事の証明にもなるんだろうが……等と考えていると、迷宮化していた時と違い、一分ちょっとの時間で直ぐにスターク達と合流した。
ただ、合流はしたんだが……
「何してんの?」
《いや、ちょっとな……っと》
「早くして、維持するのキツいんだから」
作戦の為に車内へガスを放出している【補完葛城データin束】にも記載されていた、スタークが使っている銃【トランスチームガン】を片手に持ちつつ、紅い剣で空間に裂け目を生み出している少女Tと、その裂け目に身体を入れて何かしているスタークの姿があった。
どう見ても間抜けな光景にしか見えない。時間が無いのにナニシテンダ。
《っと、あったあった。ほれ、ビルド》
何かを見つけたスタークは裂け目から身体を出すと、俺に何かを放り投げてきた。
俺は慌てて受け取ると、それは全体が赤く、メーターと青いボタンを透明な蓋で囲った装置だった。
《ソイツは【ハザードトリガー】って言ってな? ビルドドライバーの機能拡張デバイスだ。ソイツに使われてる万能強化剤のお陰で戦闘力とハザードレベルを飛躍的に向上。ただ、使い続けると万能強化剤の浸透レベルが危険域に達して脳が刺激に耐えられなくなり、そのまま変身し続けると理性を失い、目に映るもの全てを破壊しようとする暴走状態に陥る危険性を持つ諸刃の剣なアイテムだ。もしもの時用に、今回の間だけ貸してやる》
「説明は有難いが、暴走したらどうしてくれる!?」
《そんときゃ、オレが止めてやるよ》
スタークの軽い返事に対し少女Tが盛大にツッコミを入れる中、俺は盛大に溜息を吐きながら投げてきた赤い装置【ハザードトリガー】を見る。
ビルドの力を手にして1週間が経ち、未だ未知な能力や機能、スタークの持つ【トランスチームガン】や実物の見ていない武器等がある事は【補完葛城データin束】を参照しながら徐々に把握してたが、こんな状況下で記載されてない機能拡張デバイスの登場は流石に頭を抱えざる得ない。
しかも、時間差で必ず暴走するとかいう問題付き。
正直現状で無ければ使いたくない一品だが、欲は言えないので仕方なく所持しておく。
《さて、このモノレールを線路から切り離す手段だが、モノレールに電力を供給しているパーツと切り離せば供給されているモノレールは徐々に止まりだす筈だ。後は、それを博士が何らかの方法で隔離して線路から切り離せばいい。もし止まるよりIS学園への衝突が近いのであれば、無理矢理にでも止める必要がある。ハリウッド映画とかでよくあるだろ? あんな感じだ》
「解り易いが、説明雑だな。てか、その時は手伝えし」
《良いぞ? じゃ、始めようかぁ!》
スタークの解り易い説明に少女Tが首を傾げているが、俺とスターク間は伝わったので即座に行動に移る。スタークはトランスチームガンからのガス放出料を上げ、俺と少女はモノレールの外に出て、サポートの龍ケ崎の指示でそれぞれ取れる手段を使い、モノレールに電力を供給しているパーツを取り外(破壊)しながら、何とか20分以内で全て処理終えたが、時間が掛かり過ぎたのか、モノレールは一向に止まる気配がしなかった。
それは即ち、スタークの言っていた強行手段である、無理矢理止めるしか無いという事。
「済まない、どうやら私はここまでみたいだな。後は健闘を祈る」
少女Tは悔しそうにそう言うと、モノレールの中に戻っていった。どうやら、さっきのトレインスマッシュに為っていた男を連れて、空間に裂け目を入れて脱出しに行った様だ。
さて、状況的に使わざる得ない状況下、どう為べきかハザードトリガーの見つめて居ると、スタークが車内から蛇に乗りながら穴を盛大に開けて出てきた。
《おいおい、まだ決心が出来てないのか?》
「そう簡単に出来たら苦労しない」
《そりゃそうだっと》
蛇から俺の目の前に飛び降りてきたスタークは、俺の眼前にトランスチームガンを突きつけてきた。しかも、御丁寧にガンメタカラーのフルボトルを装填した状態でだ。
何のつもりか訊くまでも無い。この状況下で悩んでいる俺に対して決断をさせる為だろう。このまま悩んでいるお前は邪魔だ、と。
俺はドライバーからラビットとタンクのフルボトルを抜くと、変身が解ける。それを見てスタークが小さく唸るが、そんな事を気にしてられる状況では無いので、スタークの顔をジッと見る。
《何のつもり、と訊くのは本来オレではなんだがな?》
「………頼んだぞ」
巫山戯た口調で訊いてくるスタークに、ハザードトリガーを握った手を胸元に軽くぶつけながらハッキリと告げる。暴走したら、後は頼むぞ、と思いを込めて。
本来、敵であるスターク(こいつ)に頼むのは御門違いだろう。だが、頼めるのは現在共闘しているスターク(こいつ)しか居ない事も事実。
そして此方の意図を察したのか、スタークは溜息混じりに肩を竦めるとトランスチームガンを下ろす。
《やれやれ、本当なら聞かない頼みなんだがな? 今回は特別サービスってやつだ。任せておけ》
そう言って数歩下がったスタークを見届けてから、俺はハザードトリガーの蓋を開け、青いスイッチを押した。
トレインスマッシュと化していた男性を連れ、姿を消した少女―――その姿は、何処かの港にあるコンテナの一角にあった。
少女の目の前にはトレインスマッシュと化していた男性がコンテナを背に座り込んでおり、少女から鋭い視線に怯えていた。
「だ、だから、俺は知らないんだよ!」
「嘘だな。お前にはとある取引の運び屋をやっていた事が判明している。それを教えろ」
幼女の問いに怯えながら知らないと言い張る男子だったが、少女が不意に自身の背後に跳んだ直後、男性は悲鳴をあげる間もなく左胸を撃ち抜かれ、前のめりに倒れながら粒子となって消滅した。
少女が腹部から紅い光の球体を出して件となった直後に構えて辺りを警戒していると、何処からか足音が聞こえてきた。
「死人に口なし、という事か」
『いや、其奴はスマッシュになる前の記憶が無かった。何故なら、そういう風にボトルを調整してあったからだ』
少女の問いに暗闇から答えてきた声はエコーが掛かっており、足音は少女へと確実に近付いていた。
そして、少女は足音のする方へと振り向くと、其処には一体の異形が歩いていた。
その異形の特徴として、胸元と顔に金の蝙蝠が描かれており、異形の手には少女も見たことのある機械仕掛けの銃―――トランスチームガンが握られていた。
「あんた、一体何者だ?」
少女が警戒しながら訊くと、異形は立ち止まって少女にトランスチームガンの銃口を向け、
『―――ナイトローグ、とだけ名乗っておこう』
引き金を引いた。