今日は週に一度の定休日だ。
休みな訳だから、妻とデートする事だってある。
だが、俺と鈴だけに限っては嫌な予感をしていた。
こんな定休日に狙ってやって来る元同級生が一人だけだが心当たりがある。
そう、気配でも解るが、店まで全速力で走って向かって来る現デュノア社の女社長であるシャルロット・デュノアだった。
扉が壊れるのではと疑問になる勢いで開くと
「イチカ!!助けて!!」
シャルが困る度に、某アニメの眼鏡を掛けた少年の様に青色の狸モドキに助けを求めて来るのだ。
「だから、俺はドラ○もんじゃねぇ!!」
「お玉じゃ無ければ!!」
飛ばしたのはお玉ではなく、朝ご飯を作る為に熱したばかりのに中華鍋を投げつけたのだ。
シャルは何時もとは違い、鍋を軽やかに躱して突進。
俺にそのまま抱き着いてゴールしようとした。
別に、サッカーの様に蹴りでクリアしても構わないのだが、俺の隣にはGK(妻)がいる。
そして、突進するシャルの頭を鈴が片手で摑んだのだ。
鈴のスーパーセーブによりゴールを阻止し、そのままアイアンクローをシャルに決めるのだった。
「ギャァァァ!?
降参するから、手を離して頭が割れる!!」
「朝っぱらから、私の旦那に抱き着くなんて、いい度胸じゃない?」
「おっ、お慈悲を…」
「死にさらせ!!
怒りの炎が真っ赤に燃える!!
貴様を倒せと真っ赤に燃える!!
灼熱!!
○○○○フィンガー!!」
某格闘家の○○不敗と対等に渡り合えるだろう必殺技で鈴が決めると、頭からグッシャっと鳴らしてはいけない音を立てて、シャルは浮いた体を宙ぶらりんにされたまま気絶した。
シャルを床に投げ捨てた鈴は、何も無かった様に俺の隣で包丁を握り朝食の準備と夫とのデートで一緒に食べる為に広東風酢豚弁当を作ったのだった。
そして、鈴が店内の床に投げ捨てたシャルを今は2階の客間で寝ている5人が見ると流石に良からぬ疑いが掛けられるので店の椅子に座らせて寝ている様に誤魔化したのだ。
朝食を向かえる頃にはシャルが復活。
「ねぇ、僕の扱い酷いよ!!」
「うっさい!!これでも食らいなさい!!」
「鈴!?
それ、黒椿のコッドフィンガーだよね!?
やっ、止めて!!
頭が溶けるから勘弁して!?
ねえ、正直に話すからさ‼
ギャァァァァァァ!?」
「ヒートエンド」
と抗議するが、朝っぱらからシャルが騒いで来た理由を話しつてくれた。いや、鈴がゴッ…あっ、はい判りました…アイアンクローにして置こう…吐かせたが正解だった。
(姐さんに脅されて…誰か来たようだ…)
どうやら、デュノア社がまたピンチらしく、シャルが持参したISは3,5世代型のカスタム機でサーペントカスタムと言うらしい。今では4世代型が主流の時代だが、このサーペントカスタムは3世代型のサーペントをカスタムいや魔改造により0,5世代ほど世代アップ出来たが、これは研究成果らしくて量産するにはコストが高いので量産向きではないらしい。
しかし、低コストで同じく出来る様になれば会社が存続するらしい。
今では、旧式化したラファールを販売していたデュノア社も最近では3世代型の汎用型支援タイプのサーペント開発に成功して量産していた。
サーペントはデュノア社製の4世代機は全く作れず、他国が試作型の4世代型の中で未だに量産型の3世代型にも関らず、デュノア社製では傑作機のラファールの汎用性を拡大し、ウエポンシステムでどんな場所でも対応する事に重点にして開発された機体だった。
だだ、機動性能だけがラファールの強化に留まる程度なのが欠点だが、高い汎用性とウエポンシステムによる対応能力だけなら4世代型には引けは取らなかった。
シャルが持って来たのは会社の研究所で魔改造して3,5世代型まで改修したサーペントカスタムだったのだ。
そして、シャルが欲しいのはサーペントカスタムの戦闘データや稼動データだった。
今、俺の家にいる専用機持ちの機体を簡単だが纏めよう。
白椿改、4,5世代型高機動型マルチタイプ
黒椿、4世代型重装甲高機動型近接格闘タイプ
アテナ、六世代型高機動型広範囲殲滅タイプ
アルテミス、六世代型高機動型長距離狙撃タイプ
サイレント・ゼフィルス、3世代型高機動型射撃タイプ
シュヴァルツ・レーゲン、3世代型重装甲型長距離射撃タイプ
ブルーティーアーズ、3世代先行試作型長距離射撃タイプ
ヴァルキリー、5世代型高機動広範囲殲滅型近接特化タイプ
流石にやりはしないが、千冬姉並の人外元女王のワンマンアミーまで居るから国の一つや二つ位は滅ぼせる戦力だろう。
そして、サーペントカスタムのデータを取りたいと来たシャルだったが、実際の問題上では協力は出来ない。
先ずは、娘の十夏の専用機は本人が生徒会長である限り、学園の防衛の観点から情報漏洩になり兼ねないし、妹の千秋も同じだ。
次にラウラ親子も軍属であり、レナスは軍属のテストパイロットだ。特に、トライアル中のレナスのヴァルキリーはドイツの最新鋭技術の塊であり論外。
セシリアとマドカはメアリーが女王だった時に権力でマドカの国際指名手配は外されたが、専用機であるブルーティーアーズとサイレント・ゼフィルスは旧式で論外。
残る、俺と鈴の専用機は条件に当て嵌まるがリミッターを掛けての4,5世代型の白椿と黒椿。承諾したら束さんが怒りかねないから無理だ。
これでも、娘達が何かあった際の備えでもあるし、俺も鈴もセシリアとマドカの件では暴れたが白椿も黒椿も使う気はない。
だから、シャルには悪いが断りとある人物を紹介する事にしたのだ。
そう、束さんの愛弟子であり、あの学園長いや変態痴女の妹の簪なら解決出来るだろと紹介しようと思った矢先だった。
シャルを獲物にして獰猛な瞳で見つめる一人の少女が居たのだ。
「レナス、シャルを見つめても駄目だぞ」
「えっ、えぇぇ!!
ママ、良いじゃん!!
ヴァルキリーの例のシステムのデータを取れってドイツの開発局から命令書が来てるじゃん!!」
「レナス、お前は栄養改善の為に療養中だ。母親である私が許さん!!」
「私が直接やる訳じゃないじゃん!!」
と母親のラウラがレナスを嗜めるが聞こうともしない。
「駄目な物は駄目だ!!」
「ママ?
千秋ちゃんや十夏ちゃんとも模擬戦で引き分けたのに3,5世代機の量産機に負けるとでも?」
シャルや俺達の存在を忘れ、ラウラ親子は二人で親子喧嘩が勃発。
肝心な事だが、レナスは娘二人と俺か鈴に許可なく模擬戦をしていた事も暴露。
馬鹿娘二人は顔を逸して誤魔化そうとするが、鈴は見逃さなかった。
「十夏?千秋?
ママとあちらでOHANAHSIしようかな?」
「「ひっ!?
レナスちゃんのバカァァァァァ!!」」
襟元を掴まれ、叫びながら鈴に連行される馬鹿(戦闘狂)娘二人。
結局、ラウラがヴァルキリーのエンフェリアシステムの戦闘データを取る条件でレナスの意地に折れた。
仕方なく、地下アリーナを開放する事になりレナスのヴァルキリーとシャルのサーペントカスタムが模擬戦をする展開となったのだ。
アリーナ中央に展開する2機の機体。
レナスは例のシステムを最初から使う気の様でヴァルキリーを囲う様にISを纏う人型のエンフィリアと呼ばれるビットを展開していた。
「えっ!?5対1なの!?」
シャルは驚愕する。
これはエンフィリアシステムと呼ばれるモビルドール型のビットで脳波感応システムを用いるBT兵器である。
ヴァルキリーには最大4機の専用のビットが拡張領域に入っており、ヴァルキリーに存在する二つの単一仕様の一つの『英霊召喚』により強制展開される。
ただ、ビットは過去の大会参加機のデータやシュヴァルツェア・レーゲンの学生時代からの戦闘データを元に出現するが基本は元日本国家代表の更織簪の専用機『打鉄弍式』や元ロシア代表の更織楯無の専用機『ミステリアスレディ』フリーランスの旧織斑一夏の専用機『白式』に元中国代表の専用機でもあり、鈴が使用していた専用機『甲龍』などの今では旧式扱いの3世代機である。
しかし、ビットにはAI処理されており集めたデータを元にパイロットの癖や戦い方などはバターン化され脳波で命令を出してビットに積まれているAIで処理するのだ。
レナスのヴァルキリーに積まれる脳波感応システムにより脳に負担が凄いとはいえ、何の問題もなくトライアル(他のトライアルのテストパイロットは脳に異常を起して入院)では同時処理で最大8機を従え、ヴァルキリーの専用パイロットに選ばたのだ。
そして、BT兵器であるため人型のビットはアラスカ条約にすら抵触していない。
さらに、ヴァルキリーはこの単一仕様が無ければ只の高機動型近接特化だったが機体に積まれる脳波感応システムやこのBT兵器の所以で広範囲殲滅型を付けられていると過言ではない。
シャルとレナスの模擬戦はと言うと、サーペントカスタムは凄まじい弾幕を張り奮戦するががAI処理されたインフェリアドールビットの4機のチームワークにより、奮戦虚しく数分でサーペントカスタムはスクラップにされ、アリーナの片隅で膝を抱えていじけるシャルをレナスは勝ち誇り眺めて居たらしい。
しかし、双方には凄まじい量のデータが取れたらしくサーペントカスタムはウエポンシステムでは無く、ハードポイントシステムにてコストダウンしてデュノア社はサーペントの改修とサーペントカスタムにより持ち直したらしい。
そして、レナスのヴァルキリーもドイツからとある国の国家代表の専用機(イタリアのテンペスターMk−Ⅱとフランスのラファール・リブァイブカスタム)を模範したモビルドールビットを作りレナスの元に送ったのだった。