中華料理店織斑   作:ロドニー

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ラウラに中華スープを

 

 娘とシャルの模擬戦の後、戦闘データを纏めたり各国へ報告するモビルドールビットの稼動データをPCに纏める作業していた。

 

 モビルドールビット

 

 イギリスが手掛けたBT兵器を我がドイツが高性能化させた兵器だった。その兵器を作るに居たり、私のシュヴァルツア・レーゲンにあるデータは学生時代から蓄積した学友のデータが大量に使われた。

 

 そう、一夏の元専用機の白式、簪の打鉄弐式、鈴の甲龍、生徒会長のミステリアスレディーなど数えるだけでも面倒だ。

 

 そして、各国政府にはモビルドールビットから得た戦闘データと稼動データを渡す代わりに、それらを渡す条件で機体を製造していた。

 

 それが、旧式の第三世代機でもだ。

 

 そして、国内と織斑家以外では極秘であるBT兵器の反応性能を向上すべく積まれたヴァルキリーの脳波感応システム。

 

 BT適正や空間把握能力値が幾ら高くても常人が扱えば忽ち、脳に多大な負担を掛けてしまい廃人になる恐ろしいシステムだ。

 

 実際、レナスの八号機以外の試作一号機から七号機は脳波異常からトライアルしたパイロットは使い物にならなくなった。

 

 だから、娘であるレナスが恐ろしい程に脳波感応システムに異常なまでに適応する事に恐怖すら感じる。

 

 多分だが、セシリア以上のBT適正と空間把握は最初から有ったのだろ。そうでなければ、4機同時操作で滑らかな動きには説明出来ない。

 

 あの嫁の妹のであるBT兵器の申し子のマドカの様に…

 

 それでも、マドカがヴァルキリーのスペックを知ると

 

 「あんな物、脳が焼き切れるから絶対に乗りたくもない」

 

 と一蹴していた。

 

 幾ら、AI制御はしてはいるが同時に動けるのはレナスからの話だと4機が限界でトライアルの時は動く必要が無いからと8機の同時使用が出来たらしい。

 

 ある程度、報告書が纏まり振り向けば嫁がお盆を抱えて待っていた。

 

 「ほれ、差し入れだ」

 

 嫁が持って来たのは温かい中華スープだった。

 

 ふっくらと浮かぶのは卵。

 

 香りは胡麻油だろう。

 

 「あぁ、すまない。それと、白式の稼動データだ。多分、篠ノ之博士は今時になって3世代機のデータは要らないと言うだろうが、約束は約束だからな」

 

 「ありがとな。十夏に渡して束さんに渡しておくよ」

 

 やっぱり、狡い。

 

 だから、だろうな。

 

 今の私の身も心はハンスの物だ。

 

 ハンスと出会っていなければ、嫁をずっと追い続けただろう。

 

 例え、鈴が立ち塞がろうとも…

 

 だが、嫁には鈴がいる。

 

 悔しいが、例え追い続けても鈴には全てに負けている。

 

 嫁に捧げる愛にしても、一緒に走り続ける気概にも…

 

 だけど、ハンスとのいちゃいちゃだけは誰にも負けないと自負する。

 

 だって、ハンスが生きていれば猫耳カチューシャをして一晩中甘えられる自信がある。

 

 

 「ハ〜ン〜ス〜今日も抱いて欲しいニャァ〜」

 

 とクラリッサに言われた通りに猫耳カチューシャに下着姿で誘惑(クラリッサ曰く、合法ロリのラウラと)して見れば、ハンスはやはり男だった。

 

 誘惑に負けたケダモノハンスが出来上がり、ベッドにお姫様抱っこでベッドに連れて行かれ一晩中抱いてくれた。

 

 いくら、絶頂で気絶しても赦してくれなかっただろう。

 

 

 今では、良い思い出だろう。

 

 だから、嫁と呼ばずにお兄様だろうか?

 

 それだと、重度のシスコンのクロエお姉様が許さないだろうな。

 

 だが、今でも嫁はクロエお姉様を苦手としている。

 

 理由は知らない。

 

 だけど、あの頃のクロエお姉様は心臓が弱く目も見えなかった。義母上である束さんでなけば死んでいたし、私と再会して姉妹に戻る事は無かった。

 

 今は、義母上の尽力で目と心臓は移植手術で治す事が出来た。そう、私の細胞で時間が掛かったが人工培養で目と心臓を作ったのだ。

 

 余談だが、私も目の移植手術をしている。

 

 あの忌々しい能力を捨てる代わりに…

 

 だから、両目で見て娘を抱けたのだから感謝しても仕切れない。

 

 それよりも、嫁の作ったスープだ。

 

 胡麻油からの香りが疲れた体を刺激する。

 

 レンゲでスープを飲めば、出汁は乾燥ホタテの貝柱と鶏ガラをベースにしているのだろう。

 

 フワリと浮かんだ卵に旨味が絡みなんとも言えない美味さを感じさせてくれる。

 

 こんなスープが、この店では普通に定食のスープに付いて来るのだ。

 

 全く持って狡い。

 

 気付けば、何時の間にか飲み干していた。

 

 お代わりしたいが、部屋の時計は18時を指して夕飯時だった。

 

 「恨めしい…」

 

  と呟いていたが、一階から美味そうな匂いに限界だった。PCの電源を切り下へとおりる。

 

 夕飯は油淋鶏に今度はわかめスープだった。

 

 私は嫁に餌付けされている感を感じながらも箸とお茶碗を片手に、このご馳走を食べるのだ。

 

 そして、視線の先には幸せそうに夕飯を食べるレナスの姿と織斑家の一家団欒で心温まる情景に感謝するのだった。

 

 

 

 

 場所は変わり、成田空港。

 

 ラウラと瓜二つの女性が到着ロビーについた。

 

 その女性の名前は、クロエ・S・ボーデヴィッヒ。

 

 ラウラの姉に当たる女性だった。

 

 ただ、気になるのはトランクからはみ出ている衣類だろう。中身が全て衣類なら恐怖すら感じる。

 

 何故、クロエが日本にと思うが本人であるクロエでなけば判らない。

 

 「あぁ、待ってて下さい。

 

 愛しいラウラ。

 

 可愛いレナスちゃん♪

 

 会ったら、いっぱいお着替えを…」

 

 だだ、彼女の呟きから想像が出来るだろう。

 

 絶対、着せ替え人形にする気だろうと周りの乗客は内心、ツッコミを入れていたが本人は知らぬ顔だ。

 

 ただ、気になるのは行き先がIS学園だった事だろう。

 

 「それにしても、衛生から監視してましたが束様はまたも食生活を乱して先にお仕置きを…それに可愛い妹に美味しそうな料理で餌付けをする一夏様にも少々お仕置きを…」

 

 と何か怖い事をサラリと言ってはいるが知らぬが幸せだろう。

 

 だが、先に言っておこう。

 

 IS学園の職員寮に木霊する二つの悲鳴。

 

 それは、学園の寮で酒盛りする馬鹿な教師である二人から出た物だと。

 

 「ユーちゃん…助けて…おっ、鬼が…出たよ…」

 

 「きっ、きゃァァァ!?

 

 しっ、篠ノ之先生!?

 

 えっ、衛生兵!!」

 

 そして悲鳴でもわかるが、翌日には寮の窓に布団で素巻きにされ吊るされた新人教師だったと発見者だった生徒会書紀は語ったらしい。

 

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