私達には、一瞬の出来事だった。
一年三組のクラスメイトの一部は気絶して血の海に成り果てていた。
全く、斬殺とか銃殺の類いでは無いが、クラスメイトの全員が私達の姿のせいで鼻血を大量に吹き出しながら気絶したり、気絶からは辛うじて逃れたが、可愛い姿に笑ってはいけないと我慢しているのか腹筋を痙攣させて過呼吸になっていた。
そう、私達三人の今の姿が原因だろう。
幼稚園生の衣装を着せられ、羞恥心から泣き生徒会長としての威厳を無くした十夏お姉ちゃん。
良いように何度も着せ替え人形にされ、ショックから泣きながら幼児退行している所に、止めにと黒いゴスロリドレスを着せられ、とあるアニメの水銀燈の姿にされ蹲りながら泣くレナス。
私は何故か叫びたくなる様な、とある時空魔法管理局の白い悪魔の衣装を着せられ、窓から逃げる糞ババアに持たされたビームが撃てる魔法の杖で狙っても当たらないのは判ってはいたが、羞恥心から来る怒りでビームを乱射して息が絶え絶えになっていた。
そして、時を前にして学園長室でも同じく大爆笑で腹筋を痙攣させ、笑い過ぎで過呼吸を起こして酸欠で気絶した学園長と生徒会書紀の更織親子。
矛先にされたのは
「もう嫌だ…オウチカエル…オネエサマ…コワイ、コワイ、コワイ…」
「ぐっ、何故、おれがいつの間に、こんな格好を!?」
「あたしもよ!?
覚えてなさい!!
クロエェェェェ!!」
学園長室に入る瞬間を狙われ、アヒル付きのバレリーナの格好にされたパパと、泣き叫び完全にキレたがなんとも締まらない、とあるアニメの罰ゲームだったピンク色のあんこうスーツを着せられたママ。
極め付けはラウラさんだろうか?
抱きしめられ、暫く愛でられたかと思えば、何回も着せ替え人形にされた挙げ句、似合わなくもないが一瞬で金髪ツインテールにされた後に娘のレナスと同じシリーズのキャラクターなのだろう。真っ赤なゴスロリドレスを着せられ精神的ダメージで泣きながら幼児退行していた。
束先生も一緒になって楽しんでビデオカメラを回していたから判ってはいたが、過去に一緒に居ただけに二人して逃げる逃げ足の人外的速さに一同は項垂れるしか無かった。
だけど、私達はある物を失ったのは確かだった。
何故、こうなったのかは時間を遡らなければならない。
織斑家のリビングでは朝食後に何故かレナスはIS学園のワンピースタイプの制服を着ていた。
「エッ?レナスちゃんなんで?」
「うん、私も今日から学園に通うぞ‼」
元気一杯に答えるレナスだが、生徒会長だったお姉ちゃんは何も聴いてなかったらしく首を傾げる。
「十夏、レナスは国からの命令とお前達と同じ理由で学園に編入になったぞ」
「それって、まさか叔母さんからの指示?」
「あぁ、千冬姉からだ」
それをパパから聞いたお姉ちゃんがキレた。
それが、パパが大好きな叔母さんであってもだ。
「うがァァァァァ!?
あっ、あの糞ババアァァァァァァ!?
あれ程、何かあるなら生徒会に書類を前もって出せって言ってるのに!!
あぁぁぁ、もう嫌だ‼
可愛い姪に書類に埋れろって言いたいの!!
ねぇ、6歳の私に埋れって言いたいの!!
もう、決めた!!
絶対、殺ってやる!!
他の先生方を地獄に落としてでもやってやる!!
会長権限で職員寮にアルコールの類いの持ち込み禁止にしてやる!!
はぁ、はぁ、千秋みっ、水頂戴…」
「う、うん…」
キレたお姉ちゃんに呆気に取られ、壊れた玩具の様に首を縦に振りコップに水を入れて渡す私。パパはまるでママを見ていたかのように後ずさり顔が真っ青だった。
それもそうだ。
キレた時のお姉ちゃんはママと同じく気性が荒くなり手に負えなくなる。だけど、滅多にキレない事だけが救いなのだ。
だから、私とパパの間ではママ同様にキレさせてはいけないと同意していた。
そして、地雷を踏んだ?
いや、地雷を踏み抜いた千冬叔母さん。
それと同じく、更織の仕事をせずに私達姉妹に情報を渡さなかった書紀の白百合先輩にもお灸を据えてやると決める私だった。
多分、怒りから落ち着いただろうお姉ちゃんと三人仲良く学園へ登校。
しかし、お姉ちゃんだけは一部展開したアテナの腕で抱えていた様で見れば人を布団に丸め込んで掴んでいた。
「う〜ん…ここは…はっ!?
なっ、何で素巻きなのよ!!
って、十夏ちゃん!?
良い子だから、私を放しなさい!!
ちょっ、ちょっと!!
私、下着姿のままじゃない!!
元女王としての威厳を喪うから止めて!!」
「大丈夫。
学園の教師寮を潰したら終わりだから。
会長権限で許可する」
「そこが問題じゃなァァァァァァい!!」
それは、布団に包まれていたのが下着姿で意識が覚醒してからずっと叫ぶメアリーさんを素巻きにしており、メアリーさんを連行もとい同行させてる辺り、お姉ちゃんの本気度が伺える。
無論だが、お姉ちゃんの行き先は職員寮だと予想出来る。
勿論、お酒大好きな一部の先生方に起きる悲劇も…
私はお姉ちゃんと別れてレナスを一度、職員室へ案内する。
「失礼します。本日から編入するレナスさんを案内して来ました」
「おぉ、来たか織斑妹とレナス。クラスは一年三組でアタシが担任の巻紙礼子だ。まさか、あのチビの娘が来るとは思わなかったがな。ティナ、悪いがSHRは任せた。アタシは織斑姉が居ない事に嫌な予感がするから職員寮に戻る。じゃあ、任せた!!」
と副担任のティナ先生に丸投げして寮に走り出す巻紙先生。多分、巻紙先生も飲ん兵衛なのだろう。
丸投げされたティナ先生は額に手を当てながらゲンナリしていた。
「エッ!?巻紙先生!!
はぁ…
レナスさん、私は副担任のティナ・ハミルトンです。
レナスさんよろしくね?」
「はい、よろしく頼む」
「キャッ!!レナスさん昔のラウラさん並に可愛い!?
お持ち帰り…じゃなかった。
SHRの時には教室に案内するから職員室に居てね。
千秋さん、案内ありがとうね」
レナスを任せたが、ケダモノ化したティナ先生に心配したが、私も遅刻する訳には行かず職員室を後にした。
そして、レナスとはクラスが私達と同じだとティナ先生と巻紙先生から聞いたのだった。
私は教室行くとクラスメイト(変態共)が騒いでいた。
「ねぇ、織斑姉妹の様に可愛い娘(幼女)が編入するらしいよ!!」
「「「「「エッ!?」」」」」
「マジ!?よっ、幼女が三人に増えるの!?」
「らしいよ。あぁ、三人揃ったらマジ天使‼」
「母性がくすぐられるわ!!」
「お持ち帰りして愛でたいわ!!」
「じゃあ、林間学校は三人の天使な水着姿を…ジュルリ…」
「涎出さないでよ!!」
と変態共が騒ぐ。
私は顔を引き攣らせながらも、流石に学園最強姉妹である私達には手は出さないだろうと思うが、変態共の会話から貞操の危機を感じるのは気のせいだろうか?
だが、私が教室に入るタイミングが非常に悪かった。
職員寮から爆発音。
多分、お姉ちゃんが叔母さん達飲ん兵衛(教師達)のアルコール類を灰にしたあげく、メアリーさんと寮で暴れているのだと判る。
そして気付かれ、一斉に振りい向いた方角には、そっと入ろうとした私。
そう、ケダモノ達の視線が私に向いたのだ。
「「「「「あっ、丁度良いところに!!」」」」」
「ひっ!?」
そして、一人の生徒が爆弾を落とした。
「そう言えば、今朝の登校時に見たんだけど千秋ちゃんと十夏ちゃんが三人で一緒に歩いていた娘が編入生じゃない?」
「「「「「なっ、何ですとぉぉぉ!?」」」」」
「もしかして…私、ピンチ?」
「諸君、あの天使に突貫!!」
「「「「「おぉぉぉ!!」」」」
「ひっ、ぴぃぃぃ!?」
一斉に振り向き、私に更に視線が集中する。
質問しようと、にじり寄る変態共いやケダモノ達とジワリと後ずさり逃げる私。
気付けば、既に壁際だった。
「こっ、怖い…」
Buuuu
「「「グッハァ⁉」」」
恐怖心から床に尻餅を付いた状態で上目遣いだったのがいけなかったのだろ。
にじり寄る変態共の数人が鼻血を吹き出して気絶する。
だが、変態共は未だに近寄ってくる。
貞操の危機に瀕していた所に出席簿がブーメランの様に飛び、ケダモノ達を一掃していた。
投げたのは、悲壮感丸出しで機嫌が最悪な巻紙先生だった。
「テメェ等!!
サッサと席に着きやがれ!!
ブッ殺すぞテメェーら!!
サッサとSHR始めんぞ!!」
と言われながら生徒達はシュンとして席に着く。
私も恐怖心から腰が抜けたので這いずりながら席に着く。
巻紙先生から漂う悲壮感は多分、未だに教室に来ないお姉ちゃんが原因だろう。
未だに職員寮から鳴り響く爆発音はアルコール類を処分する為に奮闘するお姉ちゃんとメアリーさん。叔母さんを中心にアルコール類を護ろうとする教師達の攻防だろう。
そして、巻紙先生は既にアルコール類は全て処分されたから悲壮感を漂わていると私は思う。
だが、暫くして爆発音は聞こえなくなりお姉ちゃんがウキウキ顔で教室に戻って来てSHRが始まった。
「巻紙先生、戻りました」
「糞がアタシのコニャック…」
お姉ちゃんに処分された事を根に持ち睨む。
「先生?
恨むなら、織斑先生を恨んで下さい。
アルコールにうつつを抜かして、書類を溜めて出さなかったのが悪いのですから」
「ちっ、SHRを始めるぞ!!
まずは、ドイツからの編入生を紹介する。
入れ!!」
とバツが悪そうにレナスちゃんを呼ぶ。
「私はドイツから来た、レナス・ボーデヴィッヒだ。一応、6歳ながらもテストパイロットをしている。今は、治療の為に織斑姉妹の元で暮らしている。よろしく頼む」
と自己紹介をする。
シーンとするクラスメイト達(変態共)
しかし、レナスを見た瞬間に騒ぎだす。
『きゃ、キャァァァァァァ!?』
「ぐっはぁ!?」
至近距離で音響兵器を食らった巻紙先生は気絶。
ティナ先生に至ってはケダモノ教師に変貌していた。
「レナスちゃん、マジ可愛い!!」
「私の妹になって!!」
「三人共、お持ち帰りしていい!?」
「もう、嫌だ。
何なの?
この変態共」
と変態共に毒気付くお姉ちゃん。
レナスちゃんは変態共に怯え、モビルドールビットを呼ぼうかと悩み、私は溜息を吐くばかりだった。
そして、三人で生徒会室へ避難しようと判断した時だった。
教室に乱入してきた一人の女性に捕まるレナスちゃんは見覚えある顔に悲鳴を上げた。
「ひっ!?」
「レナスちゃん、可愛いですねぇ…いっぱい、お着替えしましょうねぇ」
「嫌ァァァァァ!?クロエ叔母ちゃん嫌ぁぁぁぁ!?」
ラウラさんそっくりで、レナスちゃんを抱きしめて愛玩動物の様に愛でられていて着せ替え人形化していた。嫌々と抵抗するが成すがままにされていた。
「今度はコレですねぇ♪」
「嫌ぁぁぁぁ!?」
漸く、着せ替えが終わり見てみれば、レナスはローゼンメイデンの水銀燈の衣装を着せられていた。
「オバチャン…コワイ…うぇぇぇん!?」
と幼児退行して蹲り泣いて居たのだが終わりでは無かった。
ブッフォォォ
と吹き出した様な音に振り向けば、変態共が一斉に鼻血を吹き出していた。
そして、お姉ちゃんを見たら服装が変わっていた。
「おっ、お姉ちゃん!?
ふっ、服装が!?」
「エッ?
嫌ぁぁぁぁ!?」
お姉ちゃんの服装が幼稚園生の服装になっていた。
そして、変態共も腹筋が痙攣しているのか笑いを堪えていた。
そして、私もだった。
「千秋ちゃん、コレ上げるね♪」
と手渡されたステッキとセリフが書かれた紙。
そして、着せられられた衣装から導き出した衣装は
「何で私だけ、時空魔法管理局の白い悪魔なのよ!!
良いわよ!!
殺って、やろうじゃない!!
行っけぇぇ!!
スターライトブレイカー!!」
ステッキから放たれた魔導収束砲ではなくビーム砲は躱されたのだ。
あの糞ババアは身軽に躱すと、窓から飛び出して逃げていったのだった。
逃げた糞ババアはパパ達に厄災になるだろと理解した瞬間だった。
そして、クラスメイト達は
『尊い』
と呟き鼻血を流しながら気絶していた