中華料理店織斑   作:ロドニー

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中華料理店織斑 学園の食堂で奮闘中? 夕食編

 

 夕飯は昼よりは少なかったが、それでも生徒や教師は多かった。

 

 「一夏、刀奈さんに相談して昼と夜だけにして欲しいわね。

 

 流石に仕込みがつらいわよ」

 

 「あぁ、相談はするさ。

 

 昼と夜だけにしないと、仕込みだけで寝不足になるしな」

 

 他愛のない夫婦二人の会話。

 

 店では昼だけなのは仕込みが大変でもあるが夜の店は昼の半分だけ仕込み、後は居酒屋として酒の摘みだけを仕込むだけだった。

 

 学園では今迄とは全く違い定食など作る量が多く、サラリーマンなど大衆向けの濃い味付けだったがここは女子校で味付けと脂っこさは控えなければならない。

 

 そんな女子高生達と同性であるが為にカロリーを気にする年代だと理解する鈴にしては大切なあの店の方が気にしないで済むと気楽だったと思っていた。

 

 それから食堂は閉まり、時刻は既に生徒達の就寝前だが私達料理人は翌日に向けての仕込み作業をしなければならず、特にマドカは手間の掛かるスープを煮込んでいる所だったし、笊一杯の刻まれた野菜は冷蔵庫へ仕舞う夫と包丁を研ぐ作業の鈴の二人の会話からして朝の朝食の提供に憂鬱気味だった。

 

 ただ、笊を仕舞った夫だけは許可が降りた居酒屋をやる為に大量の鶏もも肉と葱を切り始めて串に刺したり鶏レバーの焼き鳥の準備を始めていたし、私も初めてだが焼き鳥の一部だけは夫が学園に来てからは許されてつくね作り練り上げながら竹串に刺して準備していた。

 

 そんな時だった。

 

 「ハァハァ…す〜い〜ま〜せ〜ん!!」

 

 食堂は既に閉まり、居酒屋の準備中に駆け込んで来た一人の女性。

 

 特徴的な間の伸びたような口調にたゆんたゆんに揺れる巨乳にしては40歳前とは思えない童顔に見覚えがあった。

 

 「麻耶先生!?」

 

 私は懐かしさと驚きに叫んだ。

 

 「まだ、食堂は…」

 

 そう、駆け込んで来たのは御手洗麻耶先生だった。

 

 またの名を年下バスター。

 

 私達夫婦の中学からの悪友である御手洗数馬と結婚して三人目の産休から復帰したと娘から聞いていた。

 

 そして余談だが、もう一人の悪友である五反田弾は布仏虚と結婚して五反田食堂を継いでいる。

 

 妹の蘭は現在の日本の国家代表であるが、大会での結果は一回戦敗退していた。

 

 「食堂は終わりだけど、居酒屋はやるわよ?」

 

 「よっ、良かったです〜

 

 産休から復帰しつ早々から、織斑先生と篠ノ之先生に仕事を押し付けられて終わったのが今でしたし、娘達を預けた千葉の実家に帰るにしても銀座につく頃には終電で帰るより学園に泊まるのは確定でしたから」

 

 「そっ、その…うちの義姉がすいません…」

 

 私は相変わらずの義姉の暴君ぶりに頭を抱えるが、被害者である麻耶先生に謝るしか無かった。

 

 内心、義姉に結婚出来ない理由がそれだと気付いて欲しいが無理だろう。

 

 「いえ、いえ…織斑さんが謝る必要は…」

 

 「いや、愚姉が本当にすみません」

 

 「一夏、お詫びに居酒屋でも軽食メニューは有ったわよね?」

 

 「そうだな。

 

 お詫びにご馳走するか…

 

 マドカ!!」

 

 「お兄ちゃん何?」

 

 「また、愚姉が麻耶先生に御迷惑を掛けたから何か出してやってくれ」

 

 「また、駄姉!!

 

 産休から復帰したてだから残業はさせるなって言ったのに!!」

 

 マドカは怒りながらも、冷蔵庫に寝かせてある製麺前の玉をと取り出して青竹で踏みながら玉を伸ばしながら麺を製麺して行く。

 

 佐野ラーメンの様な麺打ちだが、かん水を使わなくても強いコシが生まれるらしい。

 

 製麺した麺を茹でている間に器に特製焦がし醤油、魚粉、鶏油、鶏ガラスープを順番に投入して茹で上がった麺を入れて叉焼とメンマを乗せて醤油ラーメンを麻耶先生に出したのだった。

 

 出したメニューは裏メニューである宇都宮ラーメンだった。何故、マドカがと思うが神奈川にある店で宇都宮ラーメンを出せるのはマドカただ一人だけだった。 

 

 まぁ、マドカはご当地ラーメンなら全て作れるのだ。

 

 麻耶先生はと言うと、宇都宮ラーメンを見た途端に目を輝かせてラーメンを食べていた。

 

 「まさか、夫の転勤先のラーメンが食べれるなんて…」

 

 奴は、宇都宮に転勤中らしい。

 

 「あれ?

 

 お子さんはどうしたのよ?」

 

 鈴は母親なのか麻耶先生のお子さんを心配していた。

 

 「さっきも言いましたが、子供達なら私の千葉の実家に預けてますよ。数馬くんは転勤が多いですし、私は学園の教師で中々帰れませんから」

 

 と言っていた。

 

 鈴も自分の夜食であるラーメンを作り、麻耶先生と一緒にラーメンを食べながら子供談義に夢中となっている最中、俺が焼き始めた焼き鳥の匂いに釣られて教師達が集まり出していた。

 

 「焼き鳥盛り合わせと枝豆にビールだ一夏!!」

 

 焼き鳥の匂いに釣られてやさぐれ気味の箒が注文すれば、連れのナターシャ先生は何時ものメニューを注文していた。

 

 「私はコーラにフライドポテトの盛り合わせを頂戴」

 

 ナターシャ先生は今日は飲む気が無いのかコーラを注文したがLLサイズを頼んだ事から、やさぐれ気味の箒の事だから束さんに対する愚痴でも聞くのだろ。

 

 いつの間にか来たティナも仕込みを終えたマドカを連れて話し込んでいる鈴と麻耶先生の輪に入り、持参しただろうアメリカ産のビールとナッツで話を盛り上げていた。

 

 「おい、一夏!!

 

 オレとスコールにチーズの盛り合わせと赤ワインだ!!」

 

 プライベートな時間を楽しもうと普段着姿のオータムとスコールは三種のチーズの盛り合わせとイタリア産の赤ワインを注文して生徒達の授業での実技談義をしていた。

 

 「全く、織斑姉妹は…」

 

 「まぁ、それでもクラスでは優秀なんでしょ?」

 

 「だがよスコール。

 

 最近、オレに影響されたのか戦闘狂になって来てやがる」

 

 「確かにねぇ…織斑姉妹だけじゃなくて、クラス全体があなたの戦い方に似てきてるわよ?ティナちゃんじゃ、経験不足であなたを抑え切れないものね…」

 

 「スコール、うるせぇ…

 

 だから、悩むんだよ…

 

 荒々しいのは自分でも分かってるからよ…」

 

 

 娘の担任だけに頭を抱えるのだろ。

 

 サービスで赤ワインに合う串焼きの牛バラ肉の塩焼き付けたのだった。

 

 「おっ、一夏済まねぇな…」

 

 「いえ、馬鹿娘の事ですいません…」

 

 「気にすんなって。

 

 元から荒々しいのは鈴音に似たんだろ?」

 

 「そうね。

 

 容姿からしても似てるもんね。

 

 でも、双子なのに見分けるのが楽で良いわね。

 

 十夏は一夏に似て黒髪で、千秋は鈴音ちゃんに似て茶髪だもの。

 

 将来は美人確定ね」

 

 スコールは三年生の担任たから双子姉妹を褒めるが、オータムだけは担任であり娘の実状を知るだけに頭を抱える。

 

 昔なら見られない光景だと思う。

 

 「でもよ、国家代表資格を取りながら生徒会の権力を使って自由国籍を修得しようとしてんだぜ?」

 

 「多分、フリーランスでタッグトーナメントを出る気ね…」

 

 「おい、ちょっと初めて聴くんだが!?」

 

 馬鹿娘の行動力には脱帽だが、まさか自由国籍からの出場を狙っていたとは知らなかった。

 

 多分、束さんと千冬姉は知っているだろう。

 

 「あら、あの二人なら知らないわよ。国家代表の資格は取れたのに年齢制限で駄目っぽかったからね」

 

 俺の思考を読み、知らないと答えるスコール。

 

 「ただ、もし資格があるなら日本政府が黙ってねぇだろうな。

 もうすぐ、臨海学校だけに心配だぜ…

 

 一学年の専用機持ちは確か一組に二人とオレのクラスの三人を併せて5人だけだった筈だ。

 

 学園だけなら何とか護れるがな…」

 

 オータムは更に憂鬱な表情で心配事を愚痴っていた。

 

 確かに、今の学園なら元国家代表や元亡国企業などのIS乗りのベテラン級の専用機持ちは多数いるから安全だと言える。

 

 それでも、娘はトラブルを呼ぶ性質だけは俺と似ているから余計に心配だった。

 

 

 シリアスな空気の中、あの二人がとうとうやって来たのだ。

 

 「いっく〜ん!!

 

 焼き鳥盛り合わせと黒霧島のボトルを頂戴!!」

 

 とやって来た束さんと

 

 「一夏!!

 

 私にも刺し身の盛り合わせと大吟醸だ!!」

 

 最凶の飲ん兵衛である千冬姉。

 

 麻耶先生の悲惨さを考え、やる事は同じだった。

 

 「お前に食わせるタンメンはねぇ!!」

 

 「「ぎゃァァァ!?」」

 

 ズゴォォ

 

 お玉を全力で投げて二人を撃沈するが、鈴を始めとした他の連中の全員が何故かズッコケている事に疑問すら感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一夏、あんたねぇ!!

 

 くだらないギャグかましてんじゃないわよ!!」

 

 「グッハァ!?」

 

 

 ただ、復帰した妻(鈴)から全力のドロップキックを喰らった事だけは懐かしく思うのだった。

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