中華料理店織斑   作:ロドニー

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日本政府の暗躍と刀奈と麻婆豆腐

 

 「何故、あの中華料理店織斑から莫大な金額の請求書が来てるんだ!!」

 

 怒鳴る日本政府の官僚。

 

 「更織簪博士が日本代表と代表候補生用に制作中の専用機を急がせる為に匿おうと航空自衛隊の特殊部隊が動きましたが尽く失敗はしましたが中華料理店は半壊。

 

 しかし、報復に元日本代表の織斑姉妹によって百里基地は半壊して所属の打鉄参式率いる部隊は半数以上が壊滅的な被害です。

 

 尚、作戦失敗の原因としましてベテランならあの店に手を出さない筈でしたが、今回は若手ばかりで中華料理店織斑だと知らなかったようです」

 

 「バカモン!!

 

 あの店にはイギリスの元女王のメアリー殿下の下宿先でもあり織斑家の自宅でも在るんだぞ!!

 

 しかも、メアリー殿下と織斑一夏によって撃退されているじゃないか!!

 

 貴様等のせいで更織家だけならましだが、イギリス政府からはメアリー殿下襲撃に対する賠償と謝罪要求とIS学園から抗議が殺到しているんだぞ!!

 

 どうすんだ!!」

 

 「知りませんよ!!

 

 百里基地の修理と織斑一夏の自宅の修繕費をどうするかが先ですよ!!

 

 中国政府まで敵にしたくない!!」

 

 最早、官僚同士の責任転嫁の応酬。

 

 そして、人気店である中華料理店織斑の地下にあるIS用アリーナを除き、地上施設の自宅兼店舗は半壊しており、一夏から修理を受けた中国の工務店からは中国政府経由して4億円近い請求が来ているのだ。

 

 当然、官僚の一部の暴走で無理矢理行った作戦であり内閣を通してないのだから払える予算は全く無い。

 

 しかし、払わなければ中国政府から抗議は必須だと顔を真っ青にしていた。

 

 「そもそも、あの夫婦はIS委員会公認だからと専用機を日本政府に渡さず、引退しているのだから専用機を素直に渡せば良いのだ!!」

 

 官僚が無茶苦茶な事を言ってはいるが、織斑夫妻と織斑姉妹の専用機は篠ノ之束博士自身が開発した機体であり一夏と鈴音へプレゼントした機体だ。それに、織斑姉妹の専用機は姉妹が身を守る為に博士自ら開発して渡した機体である。

 

 日本政府がとやかく言う権利は一切無く、織斑家の全員は篠ノ之束博士と委員会との政治的な取り引きによりIS委員会からは個人的な所有を特例で認められている。

 

 それでも、日本政府は進化して7世代型とは言え喉から手が出る程欲しい超高性能な機体でもあり、あの夫婦の娘である織斑姉妹の専用機も全世界が開発困難を極める6世代型だから同じ事が言えるのだった。

 

 織斑夫妻の日本政府への不信感は根強く、過去に白椿を日本の専用機にすべく学園在学中である織斑一夏を無理矢理に代表候補生にしたが、姉の織斑千冬と開発者である篠ノ之束博士により魂胆を見抜かれて卒業と同じくして自由国籍を取得されて失敗。

  

 幾度も無く専用機の引き渡し要求を行ったが拒否されてしまい、無国籍によるフリーランスの選手として出場して世界大会二連覇の偉業とタッグトーナメントでは後に妻になった鳳鈴音とタッグを組んでの4連覇の偉業をしたのだから日本政府としては面白く無かった。

 

 そして、暗殺と潜入捜査を主にする政府特別調査機関の第零課を使って第三回タッグトーナメントの1回戦後に更織姉妹とのディナーで会うと情報を入手して中国政府の刺客を装いながら鈴音の専用機を強奪を企てて実行するが、タッグパートナーだった鳳鈴音への襲撃が逆に全員が彼女一人によって撃退されて逮捕された。  

 

 逮捕された連中の荷物からは偽造した中国秘密警察のIDカードにより中国政府の襲撃とIS委員会は判断して中国の国家代表選手二人が出場禁止となったが、逆に織斑千冬と篠ノ之束、織斑一夏を更に警戒させる事になるとは思わなかった。

 

 二人が引退後も日本政府は専用機を渡すように強要したが、篠ノ之博士並びに織斑千冬により委員会を通じて警告して来たのだがそれを無視して襲撃していた。

 

 ところが、襲撃はするが襲撃者達は一夏や鈴音の手によって撃退または瞬殺されて全員が仲良く逮捕となる。

 

 元生徒会の更織楯無により更織家からもこれ以上襲撃するなら日本政府から手を引くと警告されて襲撃を一時凍結したのだったが、今回の襲撃でどうなるかもわからない政府官僚だった。

 

 元を辿れば、第一回以降の優勝が無い日本は後が無かったとも言える。それでも、唯一の戦果は元イギリスの国家代表のセシリア・オルコットと組んでタッグトーナメントを準優勝した元日本の国家代表である織斑マドカだけだった。

 

 そして、現在の国家代表は織斑一夏の後輩の五反田蘭と更織白百合だけだった。

 

 五反田蘭は個人戦は一回戦敗退していて、無理矢理出したタッグトーナメントではドイツの国家代表であり黒兎隊にいる学園時代の同級生と組んで出てはいるが敗退していた。

 

 「こう成ったら、あの姉妹をやるしか…」

 

 「道は無いな…」

 

 

 

 一方、更織家とIS学園の上層部は近々IS学園の臨海学校では日本政府の襲撃があると睨み警戒しておりデュノア社から最新鋭量産機のサーペントカスタムを大量購入して打鉄参式改と機種変更して臨海学校で使う更織家傘下の宿にベテランのIS乗りと併せて集中配備していた。

 

 無論、集中配備の指示を出したのは先代楯無であり現IS学園の学園長である更織刀奈本人だった。

 

 「ああっ、もう!!」

 

 学園長室で書類に埋もれ日本政府に対してキレる刀奈。

 

 当然だろう。

 

 学園の生徒である織斑姉妹の実家と自身の妹の簪が中華料理店織斑が襲撃を受けた時に居たと聞きいた時に刀奈は泣き出しそうになる程に慌てた。

 

 現在でもシスコンぶりは健在だった。

 

 直に更織の暗部を送って倒された襲撃者達を捕縛し連行。尋問から襲撃したのは航空自衛隊の特殊部隊だったと知り顔を真っ青にしたのだ。

 

 そして、織斑姉妹の実家は半壊。

 

 襲撃時に居たお客さん達は地下アリーナに強制避難させられて無事だったと安堵はするが明らかに更織家が出した警告を無視した襲撃だと見ていた。

 

 「この案件は一夏君に知られたら…」

 

 一度は惚れた男性。

 

 刀奈自身は嫌われたくないので必死だったが、報告しない方が逆に怖い。

 

 何より現在、織斑一家は学園の寮を仮住まいとして住まわせており、見返りに学園の食堂で仮店舗を出して貰って常連客である生徒や教師達の不満を回避させているのだから下手な事は出来ない。

 

 「心配なのは、一年生の臨海学校ね…」

 

 新たな書類を見ながら頭を抱える刀奈は、娘に当主を譲った事を軽く後悔していた。

 

 「う〜ん、白百合ちゃんにこの案件は荷が重いかな…」

 

 そう想いながら刀奈は宿泊施設の防衛任務を更織に命令書として書き判を押し学園長室を出ようとしたが、扉を開けた途端に目に隈を作り疲れ切った顔をした織斑鈴音が立っていたのだった。

 

 「先輩♪

 

 夕飯を持ってきたわよ」

 

 「えっ?

 

 たべ…」

 

 にこやかに笑う鈴音に食べたと言おうとしたが、鈴音の無言の圧力に負けてソファに座らされて目の前に出されたのは麻婆豆腐だった。

 

 「お腹が空いたでしょ?

 

 さぁ、どうぞ♪」

 

 「えぇ…」

 

 鈴音が持って来たのは本場四川の麻婆豆腐だった。

 

 正直に言えば、日本人の舌に合うのは豆板醤の辛みと山椒による痺れる辛さを調整してあるからだ。

 

 つまり、鈴音が持って来た麻婆豆腐は日本人向けに調整していない麻婆豆腐なのだ。

 

 この麻婆豆腐を作ったのは、中国の四川省にある国営の四川飯店で修行をしていたマドカだった。

 

 明らかに辛そうな匂いに顔を引き攣った刀奈は無言の圧力を掛ける鈴音に負けてレンゲを取って食べる事にしたのだ。

 

 「辛っ!?ヒーハァー!?舌が痺れる!?何これ!?」

 

 唐辛子による辛みと山椒による舌の痺れが口内を交互に責め立てる。そして、豆腐による甘みが両者を引き立てる。

 

 そう、永遠のワルツを踊るかの様に…

 

 辛いのが苦手な私にしたら地獄かもしれないが止まらない旨さと辛みと痺れに最早中毒者の様に麻婆豆腐を掻っ込み食べて行く。

 

 気付けば、麻婆豆腐が入っていた大皿は空となり、私は鈴音を見る。

 

 「お仕置きにもならかったわね…」

 

  「えっ?お仕置き…」

 

 「一夏からの伝言よ。

 

 明日からは昼と夜のみだけにするからな。

 

 だって」

 

 「朝はどうするのよ!?」

 

 「私の目の隈を見て判らない?」

 

 「もしかして、かなり寝不足?」

 

 「当たり前じゃない!!

 

 あんた、中華を舐めるな!!

 

 仕込みが九割で調理が一割と中華では言われているのよ!!

 

 仕込みだけで寝不足よ!!

 

 工場で作れた物と本格中華を一緒にするんじゃないわよ!!」

 

 鈴音がキレている理由が判った気がしたのだ。

 

 「ごめんなさい…」

 

 「まぁ、先輩の苦労は判るけどね。それと、夏休みは

一家で中国に行くから食堂は出来ない事だけは言っとくわね」

 

 「旅行なの?」

 

 「違うわよ。

 

 一夏の特級厨師の試験よ」

 

 聞いた事が有った。

 

 中国では最高最難関の国家資格があると…

 

 「試験⁉」

 

 生徒達は夏休みも中華料理店の特別デザートが食べれると思ったままだ。

 

 「ちょっと待ちなさい!!」

 

 と叫ぶが、既に皿は片されており、鈴音が学園長室から居なくなっていたのだった。

 

 「絶対、生徒の暴動が起きるじゃない!!」

 

 どうやって暴動を防ぐか刀奈は更に頭を抱えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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