IS学園の職員寮には長期休暇で過ごすラウラが暮らしている。無論、本来なら中華料理店織斑で過ごす筈がこないだの襲撃により下宿先が半壊して住めなくなってしまったからだ。
それに、娘のレナスは栄養失調により体調を崩したといえ復調してからは学園に編入して一夏の娘である双子姉妹の部屋でルームメイトとして過ごしている。
そして、編入したレナスは槍投擲術は得意だが逆に専用機たるヴァルキリーの専用武器である片手直剣は使えてはいるが使用するための剣術は私自身教えられないから剣術が出来る部下が教えていた。何故なら、自分が娘に教えられたのは軍隊式格闘術とナイフによる格闘術だけだった。
そんな時に剣術の指南役を買って出てくれたのはセシリアの親友であり元女王のメアリーだった。
彼女は古代剣術である王国式剣術を収めていたし、何よりレナスの初の友人である双子姉妹も半ば強制的に昔教官だった織斑千冬により参加させられている。
双子姉妹の専用機も西洋の女神を元にされている為に槍や弓だけでなく、レナスのヴァルキリーと同じ片手直剣を装備しているからだ。
そして、今日もアリーナでは
「おっホホホ!!
可愛い子猫ちゃん達、行きますわよ!!」
「あっだぁ!?」
「フッギャン!?」
「グッエ!?」
メアリーの遊び半分で高笑いしながら繰り出す剣撃を西洋剣を模範した木刀で受ける三人は文字通りにボコボコにされていた。織斑姉妹の得意な得物である槍と弓だったら食らいつけるだろうが、苦手とする西洋剣での剣術では全く太刀打ち出来ずに木刀を弾き飛ばされボコボコにされていた。
「んっ、ラウラ。
娘と馬鹿娘二人を観ていたのか?」
「きっ、教官!?」
観戦席で娘の訓練風景を観ていたら、声を掛けて来たのは教官(織斑先生)だった。
「織斑先生だ」
ベッシィ
「あっだぁ!?」
久しぶりに出席簿で叩かれた私だった。
「それよりも、ラウラに似て不器用ながらも剣術の訓練を頑張るな。私も姪に剣術を教えたが装備が西洋剣ではな」
確かに私に似て不器用な娘である。
「ですが、レナスは私の時と違い『仲間』に頼る事を6歳で知りました。これは、一夏に鈴音、あの双子姉妹に感謝でしょう。今は十夏から槍術を教わったり、勉強を頑張る姿にホッとします」
「ふん、自慢の家族だからな」
仲間に頼る。
一言で表せば簡単だろう。
しかし、あの頃は力を求める事に溺れ見失っていた。
それを一夏は気付かせてくれた。
そして、レナスには織斑一家が教えてくれたのだ。
深い縁すら感じていた。
そして、娘を観ながら今回の襲撃が気になっていた。
一夏の話からの話では以前からも襲撃はあり、日本政府の一部が一夏と鈴に加えて娘達の篠ノ之束博士謹製の専用機を狙った犯行らしい。
「織斑先生、今回の襲撃はどの様に?」
「ラウラ、一応機密だから他には喋るなよ?
束の分析だと、臨海学校の時に馬鹿娘共の専用機を狙って襲撃は確実に有るそうだ。
一応、臨海学校では更識の護衛集団とメアリーが臨海学校では私のクラスと四組に居るイギリス候補生の視察と訓練を兼ねて直属のロイヤルガードが護衛に当たる」
イギリスのロイヤルガードと聞き、青褪める私。
「ラウラ、顔色が悪かいがどうした?」
「いえ、イギリスのロイヤルガードには嫌な思い出しか無いので…」
教官の前にも関わらずに全身に冷や汗を出しながら答え思い出したが、本当に嫌な思い出しか無い。
メアリーがまだ女王だった時に行った世界最強の特殊部隊である黒兎隊とロイヤルガードナイトとの合同演習では、イギリスの三世代型量産機でるティアーズシリーズの中で近衛騎士団用に特殊にカスタマイズされたティアーズナイトに半数以上を撃破判定されたのだ。
そして、ロイヤルガードナイトに全滅判定は下せさたが、最後まで残ったのは私と部下のクラリッサ、リン、ハーネスを入れた四人だけだった。
遠距離からの狙撃に複数機同時によるBT兵器でのオールレンジ攻撃。
そして、味方からのレーザ射撃による嵐の中でもお構い無しに剣を片手にレーザを全て躱して高笑いしながら突撃して来る女騎士達の気狂い突撃とも言える光景。
変態的な回避技術を目の当たりにした黒兎隊の若手連中は恐怖してしまい戦意を失って武装を投げ捨てて逃げ出してしまい、逃げる若手連中に対しては追いかけ回してトラウマを植え付けただけで無く、圧倒的な技量で攻めて逃げた若手連中を薙ぎ払う女騎士達と逃げた若手を囮に使うしか無く、巧みに陣地移動しながら女騎士達を遠距離射撃の砲撃で吹き飛ばすベテランな私達。
そして、あの女騎士達は実は見習い騎士だと演習後に知り、黒兎隊の幹部隊員達全員が見習い騎士ではなく演習でロイヤルガードの正騎士だったらと思うと絶望の顔に染まっていた。
思い出しただけで鳥肌が立ったのだ。
もし演習に、団長にして元女王であるメアリーがロイヤルガードの正騎士と一緒に参加して居たら全滅は我々の黒兎隊だったと…
剣術の訓練が終ったレナスと手を繋ぎ寮へ向かう途中にレナスは臨海学校の準備する水着を強請って来たのだ。
「あっ、ママ臨海学校で水着使うから買って!!」
「うむ、水着か?
水着なら軍支給品にあっただろう?」
「ママ?
クラリッサ大佐が私への支給だらと送りつけたオタク趣味丸出しのスクール水着を着ろって言いたいのかな?
それと私用にとヴァルキリーメイルまで送り付けてますが?
私はコスプレする気もないし、ヴァルキリープロファイルのレナスじゃないですが?」
「なっ、何だと!?
あれは、クラリッサの趣味だったのか!?」
「私は部署が違うから言うけど、軍支給品には水着はありません‼
クラリッサ大佐をいい加減に更迭したらどうですか?
それとも、ママの親友のシャルロットさんにクラリッサ大佐の自室を再びシャルロットさん必殺のグレネードランチャーで灰にするように頼みましょうか?」
「レナス、それだけはやめ…」
「あっ、シャルさん。
また、ママがクラリッサ大佐から何かを吹き込まれた見たいで…」
『ごめん、仕事で日本に居るからクラリッサの部屋を灰に出来ないや。だけど、ハーネスにバズーカで吹き飛ばす様にお願いしとくね』
と言い切る前にレナスは私の親友、シャルロットに電話をしていた。スピーカーモードから聞こえるシャルロットのクラリッサへの無慈悲な返答。
一度、クラリッサはシャルに部屋を灰にされている。
趣味である日本のアニメ文化たるコレクションの全てをポテトマッシャーもとい手榴弾とグレネードランチャーで寮の部屋ごと吹き飛ばされ、残骸であるフィギュアを掴みながらな泣き崩れて真っ白になったクラリッサを観ているからだろう。
それを観ていたレナスはオタク文化を私とレナスに教え込もう(布教)とするクラリッサを目の敵としている。
ただ、完全にオタク文化に染まり切った姉であるクロエだけには流石のレナスも抗えない。
でも、ここは話題を変えないとクラリッサが大変だし泣き付かれる。確か、先程レナスは臨海学校で水着を所望していた。
なら…
「クラリッサの事より、レゾナンスに行くか?」
「うん、だから水着買ってね」
「判った。
休みにレゾナンスに行くぞ」
「やったぁ!!
じゃあ、お昼は@クルーズだね!!
ハンバーグ楽しみ!!
でも、クラリッサ大佐の話は別だよ?」
「なっ、何だと…」
話題を替えてクラリッサを弁護する事も叶わず、クラリッサのアニメコレクションが再び灰になる事が確定し、お昼が@クルーズと聞いて何かフラグが立った気がするが気しないで娘と楽しむか…
「クラリッサ、すまない」
と部屋で一人、クラリッサに謝るのだった。
当日
レナスとお揃いの白いワンピースを着て出掛けるのは何年振りだろう。
最後に思い出すのはハンスとベルリンでまだ幼い娘を抱えてデートした以来だろうか?
「ママ、ベルリンじゃないよ。
最後は私の3歳の誕生日だったブリッセルのレストランだよ」
そうか、あの時以来なのかと、私はつくづく駄目な母親だと認識される。
ドイツでは軍の休日以外はクロエ姉様の自宅に預けていたからな…
「ラウラちゃん!!レナスちゃん!!
お姉ちゃんを置いていくなんて酷い!!」
「「クロエ姉様⁉(叔母様⁉)」」
モノレールのホームで待つ中、姉様が呼ぶ声に反応して振り向けば黒いゴスロリドレス姿の姉様だった。
姉様も離婚した後は、束さんの研究の手伝いを理由に学園に戻っており、簪博士と仕事をしていた筈だったが私と娘のお出かけを多分、盗聴で知り付いて来たのだろう。
「可愛い二人の洋服と水着はクロエが選びます!!」
最早、シスコン極まり。
レナスは姉様の宣言に若干涙目となるが、たまには姉妹と私の娘で出掛けるのは良いだろ。
「そこの、美人さん。
お茶でも…」
「娘と一緒なので結構だ」
「娘なんか、ほっといてさ」
だが、何故かホームで私達がナンパされるのだけが理解出来ない。
だが、娘をほっとくだと?
「きみ、ウザい」
ドッボン
「「…」」
「さあ、行きましょ?」
と私よりに先に動く姉様は防犯カメラにハッキングしながら映像が映らない様にしてからナンパして来た男を姉様の専用機である冬椿の腕を部分展開して男を掴み、駅前の噴水に投げ捨てていた。
ちょっとしたハプニングがあったものの、レゾナンスの水着売り場に着くなりレナスは姉様に試着室へ投げ込まれ水着の着せ替え人形化していた。
「叔母さま…嫌ぁ…」
「ちょっと、違うわね…今度はコレかしら?」
「もう、いやぁぁ…たしゅけて〜」
レナスの履いていた白いパンツとワンピース脱がされて試着室の上に舞い、試着室の中ではレナスがクロエ姉様に新たな水着を着せられる光景。次は我が身と姉様に恐怖するが、レナスが姉様の手に落ちている以上は逃げられない。
そして、水着を試着する事20着目で白いワンピースタイプの水着に決まり満足する姉様。その後、私も姉様に試着室に投げ込まれてレナスと同様に着せ替え人形にされたのだった。
水着も買い、お昼は娘と約束した@クルーズへ入ったのだが、@クルーズ店内のテーブルではコーヒーを飲みながら商談をする二人うちの一人がシャルロットだと気付いた。
「あれは、シャルだな…」
「ママ、シャルさんの反対に座って居るの学園長だよ?」
「うむ、確かに更識さんだな」
「ラウラちゃんにレナスちゃん。
多分、学園長は学園の分と更識家用にデュノア社製量産機のサーペントカスタムを買うんじゃないかな?
確かサーペントカスタムの整備用のマニュアルが束様の所に」
「姉様、待ってくれ!!
学園で3.5世代型のサーペントカスタムを購入するのは判るが、更識家には元簪博士の専用機だった打鉄弐式をベースに開発した三世代型量産機の打鉄参式が有るだろ?」
久々に真面目モードで淡々と説明する姉様。
「打鉄参式は確かに優秀。
でも、打鉄参式は打鉄弐式をベースに改修して追加で増設されたマイクロミサイルポットと荷電粒子砲である春雷をライフル化したビームライフルと薙刀の替わりにビームサーベルだけの平凡な機体よ。打鉄参式がガンダムで例えるならジムⅢ程度なの対して、サーペントカスタムを例えるならハードウェポンシステムによるマルチロール機であるF−90を簡易量産機にした様なもので、既に打鉄参式は三世代型ながら旧式なの」
そして、私も襲撃された時に見たが、襲撃者達を回収に来た空自の機体は打鉄参式だった。鈴が肘鉄を喰らわせてパイロットを気絶させて更識に回収させたが…
「あれ?
ラウラじゃないか」
クロエ姉様に説明されているうちにシャルが私達に気付き皆を相席させる。
「シャル、更識学園長と商談か?」
「う〜ん、言っていいのかな…」
「生徒のレナスちゃんが居るし、臨海学校の件もあるから構わないわよ」
「ラウラの言う通り学園との商談だよ。
僕の会社、デュノア社製の量産機サーペントカスタム10機と専用パッケージの高機動白兵戦用パッケージのB(ブースター)タイプと長距離砲撃戦用パッケージA(アサルト)タイプ、重装甲遠中距離支援戦用パッケージのC(キャノン)タイプの三種類のパッケージセットの値段交渉だよ。学園長は臨海学校に行く教師部隊用に先行購入として臨海学校に間に合うギリギリの10機纏めて買うし、臨海学校後は旧式化した教師部隊の専用機の代替え機の採用条件に値段を半額以下としたんだ」
「訓練機はラファールとテンペスターで、サーペントカスタムはあくまで教師部隊の専用機よ。それよりも、お腹が空いたわね。お昼にしましょ」
とお昼となったのだ。
レナスの頼んだお昼はハンバーグセットだった。
「ママ、おいひいです〜」
「「「「可愛い…」」」
ナイフで一口大に切り、口一杯に頬張る姿はリスの様で愛らしくて堪らない。クロエ姉様はポトフセットを食べているが、更識学園長と同様に娘の愛くるしくハンバーグを頬張る姿に『可愛い…』と呟き鼻血を流していた。
そんな、家族と旧友との食事の最中だった。
ガッシャァァァン
と食器が割れる音に振り向けば
「テメェ等!!
床に伏せて大人しくしやがれ!!」
と@クルーズに入って来たのは拳銃を持った強盗だった。
「ふん!!」
私が机を蹴り上げ、簡易の盾としたがレナスと更識さんは反対側のソファの裏に隠れ、レナスはハルバードを展開し更識さんはバックから拳銃を取り出していたのだった。
私とシャルと言えば
「ラウラ、ボクは何かデジャヴを感じるよ」
「うむ、懐かしな」
学生時代で起きた同じ光景。
しかし、クロエ姉様が居ないと思えば
「ねぇ、クロエのラウラちゃんとレナスちゃんの可愛らしくご飯を眺める楽しい一時を邪魔しないでくれる?」
「グッエ!?」
バッキィ
ドッガァ
ガッシャァァァン
と入って来た強盗の男達を殴り気絶させてから腕を掴み、窓の外に投げ飛ばす光景。
「僕達、出番無くない?」
「ねぇ、クロエちゃんがあんなに強いって私、知らなかったですけど!?」
「うむ、流石は束母上の娘だな」
「えっ?篠ノ之博士の娘だって!?
ねぇ、ラウラ。
今、束母上と言わなかった?」
「言ったが?」
クロエ姉様は私とは遺伝子的に姉妹であり束さんは、今の私の義理の母親と言える。
姉様と私はドイツの研究所で産まれた試験管ベビーで成功体が私で姉様は失敗作として破棄される筈だったが、母上に救助され育てられたのが姉様だった。
姉様は度重なる人体実験で失明と心臓が弱り長く生きれない身体だった。母上が開発した生体同期型のISにより一命を取り留めていたが最終決戦後に亡国企業から回収した生体製造器のカプセルで弱った心臓と失明した眼を新たに製造した心臓と眼を移植たのだ。
私も部隊の皆もその製造器のお掛けで眼を移植している。
母上が言っていたが、大変だったのはクロエ姉様や部隊の仲間では無く、学園の教師をしている旧姓キャシー・ケーシー、今の名前は雨宮茜で元亡国企業の幹部だったスコールだったらしい。
スコールは頭や腕を除く上半身以外が全てサイボーグで移植手術が大変だったらしい。
そして、話を戻すが移植手術では母上の細胞の一部を眼や心臓を作る際のベースとして貰った事で、私とクロエ姉様は人外レベルへとなってしまった。
眼のリハビリは大変だったが卒業後は正式に姉妹となったのだ。私のファミリーネームには入れてないが姉様だけはクロニクル出はなくSを入れて篠ノ之と私のファミリーネームであるボーデヴィッヒを名乗っているのだ。
だから、シスコンだがクロエ姉様は大好きだと言える。家族の居なかった私に姉様と母上が出来たのだが、レナスも秘密にしている様だが母上が大好きらしく「ばば様〜」と研究所の研究室で見られない様に甘えているらしい。