中華料理店織斑   作:ロドニー

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臨海学校  Happy Birthday in the three-piece Angeles

 

 

 「はっ!?

 

 千秋!!」

 

 「お姉ちゃん…後、五分…」

 

 「良かった…レナスちゃん!!」

 

 「うにゃぁぁ…」

 

 ビーチバレーで気絶した筈なのに旅館の自室に寝かされ覚めた私達三人。忘れていたけど、隅っこで布団に寝かされたティナ先生も居たね…

 

 「やぁ、やぁ目が覚めた?

 

 十夏ちゃんに千秋ちゃん、れーちゃん」

 

 「あっ、ばば様〜♪」

 

 「甘えん坊だなぁ、れーちゃんは」

 

 「「何コレ!?

 

 レナスちゃんが束さんにあっ、甘えまくってる!?」」

 

 束さんが私達の様子を見に来たのだが、レナスは束さんの孫だったらしくて束さんの姿を見るなり抱き着き甘えまくっていた。

 

 そう、私達姉妹でも初めて見るが、ラウラさんの前では見られないくらいドン引きする程、子猫のように頭を撫でられながら甘えまくるレナスと孫をとことん甘やかす束さん。レナスはラウラさんの愛娘だが完全に甘える姿は婆っ子だった。

 

 まぁ、ラウラさんはクロエさんと姉妹でもあり、束さんとは複雑な親子関係であるらしいから置いておこう。

 

 正直に言えば子供には難しくて説明出来ない。

 

 「束さんも驚いたよ。

 

 まさか、三人とも7月16日で同じ誕生日だったとはね。それに、いっくんと鈴ちゃんの娘なら束さんはれーちゃん並みにドンと来いだから十夏ちゃんと千秋ちゃんも束さんに甘えるのだ〜」

 

 相変わらずのマシンガントーク。

 

 そして、束さんには私達姉妹は頭が上がらないし感謝している。

 

 だって、アテナとアルテミスを造ってくれたのは束さんだし、パパとママが結婚する事に一番に喜んでくれたのも束さんだったらしい。

 

 そして、私達の織斑家を陰ながら支えて居たのも知っていたし、私達姉妹をパパの時の様な誘拐事件の様に二度と危険が及ばない様にする為だけに、4歳の誕生日の時に私達の専用機を選ばせていや、正確には私にはアテナが千秋にはアルテミスのコアに選ばれて専用機としてプレゼントした。

 

 そして、私達が産まれた時には、IS委員会に織斑家の安全を守る為だけに家族全員に専用機の個人所有を認めさせる替わりに、自分の自由を捨ててまでIS学園の教員として働くと政治的取引に応じた事も知っていた。

 

 だから、レナスと同じく束さんは私達姉妹にしたら優しいお婆ちゃんであり、パパやママにマドカ叔母さんと同じくらいに甘えられる存在になっていた。

 

 今の学園に入る事が決まった4歳の夏からは、入るまでの二年間はIS関連知識を勉強する時は教育ママ化して、飽きてサボれば『少し、頭を冷やそうか』と言われて怖かった記憶もある。

 

 だけど、大好きなのは変わらない。

 

 「「うん♪」」

 

 姉妹で束さんに抱き着いてパパ並みに甘えたのだ。

 

 「早々、束さんからの誕生日プレゼントは明日の専用機持ちが集まる時に渡すから楽しみにするのだぁ」

 

 束さんから誕生日プレゼントと言われ、三人はとんでも無い事に気付いた。

 

 「「「えっ?……誕生日………あっ、今日は7歳の誕生日だった!?」」」

 

 「あれ?

 

 もしかして忘れてた?」

 

 「うん、ババ様。

 

 メアリーさんとの剣術訓練ですっかり忘れてた…」

 

 「えっ?

 

 あの脳筋と剣術訓練してたの?

 

 剣術なら束さんが教えるよ?」

 

 「だって、ババ様の剣術は日本刀主体の篠ノ之流剣術だし、私の剣術は西洋剣が主体で西洋の古代剣術だよ?」

 

 「あっははは!!

 

 確かに西洋剣術じゃあ基礎が違うから、れーちゃんには教えられないや。

 

 十夏ちゃんと千秋ちゃんはどうしたのだ?」

 

 「私と千秋は生徒会の書類整理と決済を臨海学校の前日までに全部処理して、放課後はレナスちゃんと一緒にメアリーさんから西洋剣術の訓練かな」

 

 「じゃあ、脳筋から西洋剣術学んでたんだだね。

 

 じゃあ、束さんの孫をお世話してくれたお礼に脳筋改め、メーちゃんと呼ぶことにしようかな。

 

 ついでに束さんはメーちゃんにも専用機をばっばんとあげちゃおう。

 

 メーちゃん、確かIS適応値は…えぇと…あった…えっ?

 

 C−だったの!?

 

 箒ちゃんの学生時代より酷いや…コアが反応するかな…

 

 でも、あの機体なら近接特化だから順応性に賭けてみようかな?

 

 いや、逆にベースにして身体にフィットする様に造り替えれば順応性はかなり高くなるかな…

 

 でも、メーちゃんの得物って斬馬刀並みに大きい大剣なのか…

 

 束さん並みのオーバースペックなのね…

 

 専用武器まで考えたら…」

 

 まさか、臨海学校中に誕生日が来ると忘れていたのだが、束さんはパソコンを開きメアリーさん専用の機体を造るべく思考モードになっていたのだった。

 

 「束さん?

 

 私達に何か用が…」

 

 「……あっ、そうだったのだ。

 

 今日の夕飯は宴会場じゃなくて、大ホールに変更になったから、君たちを診るついでに、そこに寝てる乳牛(ティナ先生)を起こしに来たんだった…

 

 おい、起きろ乳牛!!」

 

 ゲッシィ

 

 「イヤン…三人とも止めて…変な方に…」

 

 ティナ先生は変な方に目覚め掛けて、夢の中では私達の様な幼女に襲われてる夢でも見ているのだろうか?

 

 「束さん、私達だけでも移動しませんか?」

 

 「だね…」

 

 変な性癖に目覚めさせてしまった私達も悪いが、ティナ先生も千冬叔母さん同様に放置して大ホールヘ移動したのだった。

 

 

 

 

 大ホールでは急ピッチで料理を準備するあたしと一夏。

 

 娘達も知っていたが、食堂での仕事は学園長の許しを得て早目の夏休みを貰っていた。無論、中国での特級厨師の試験があるからだ。

 

 その前に、今日が娘達の誕生日を祝うつもりであったがまさか、レナスまで同じ誕生日だとは知らなかった。

 

 だけど、夫である一夏は調理人だ。

 

 大量の食材を仕入れて臨海学校で盛大に祝おうと言い出したのだ。

 

 娘にバレないように送り出してからは、あたしと一夏は築地市場に向かい、いつの間にか取ったかは知らないが仲買人の許可証で野菜や肉を大量に仕入れ、更に銚子市場へ専用機を展開してステルスモードを使って飛び、新鮮な魚介類を仕入れたのだった。

 

 そして、今は

 

 ホールに並ぶテーブルには私達が仕上げた大量の料理が並び、更識の女中達が出来た料理を運び並べる。

 

 一夏は中華料理では無く、バースデーケーキを作るべくケーキを焼き上げる作業中だった。

 

 「あんたも相変わらずに女のプライドを圧し折るわよね」

 

 「そうか?

 

 ケーキ位、レシピ見れば普通に焼けるだろう?」

 

 確かに、あたしでもケーキは焼けるがセシリアの様なしっとりとしたガトーショコラを焼ける腕前はないけど、点心の分野なら負ける気は無い。

 

 それでもだ。

 

 目の前のケーキは普通だろうかと疑問が浮かぶ。

 

 四重にそびえるケーキ。

 

 高さだけでも軽く3メートル以上はあり、各層の中間を支える白い柱と柱とケーキの間に敷かれる白い皿は全て飴細工で作られていてプロのパティシエが作るケーキにすら見える。そして、白く高いケーキは、まるで…

 

 「ウェディングケーキじゃない!!」

 

 とあたしが一夏に全力で突っ込むが

 

 「いや、バースデーケーキだ!!」

 

 と言い張っていた。

 

 「コレの何処にバースデーケーキの要素があるのよ!!

 

 あたし達の結婚式のウェディングケーキよりでかいじゃない!!」

 

 「いや、新郎新婦の飴細工を着けてないだろ?」

 

 「確かにそうね。

 

 でも、セシリアが観たら卒倒レベルよ。

 

 そこは判ってるの?」

 

 料理下手なセシリアだが、デザート関連なら腕前は下手なパティシエより腕がある。

 

 だが、一夏が本気で作るこれを見てセシリアは逆に大丈夫だろうか心配になる

 

「あぁ、セシリアには悪いが卒倒するな。

 

 娘とレナスの誕生日為だけのバースデーケーキだ。

 

 文句は言わせない」

 

 とセシリアの卒倒は確定で、八尺ある脚立に跨りながら手に持ったのはボールに入ったカットされた果物や無病息災や学業成就を願う中国の寺院をモチーフに作った飴細工の飾りを段々に盛り付けて、娘達とレナスのバースデーケーキが完成したのだった。

 

 「ねぇ、コレはどうやって運ぶのよ…」

 

 「あっ…」

 

 完成したケーキの総重量は約300kgをどう運ぶかあたしは頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、九十九里沖に10kmでは

 

 「機関停止!!

 

 錨を降ろ〜せ!!」

 

 巨大な艦影。

 

 錨を降ろし、九十九里沖に停泊したドイツ海軍の海軍旗を掲げる艦はドイツ海軍の最新鋭の戦艦であるビスマルクⅡだった。太平洋で訓練を行う為、日本へ寄港したが別の理由として黒兎隊を乗せて九十九里まで送る事だった。

 

 水兵達が停泊準備を進める中、艦橋では二人だけで黒兎隊副隊長のクラリッサ大佐とドイツ海軍の初の女性の艦隊司令のクラーディア・オルケスト元帥と話していた。

 

 「元帥、久しぶりであります」

 

 「大佐も人が悪いな。

 

 ただ、あの実験に私の受精卵を提供して成長したのが、娘のラウラとクロエだなんてな…」

 

 「ですが、元帥閣下と閣下のDNAは一致してます。

 

 また、閣下には我々黒兎隊は洋上訓練ではお世話になっております。

 

 それに、レナスお嬢様ご自身は閣下の孫であると全く知りません」

 

「構わんよ。

 

 今はラウラとクロエは仲の良い姉妹になり、二人は篠ノ之博士の愛娘だ。

 

 老骨である私の出番はもう無かろう?

 

 それに、私はあの訓練の時に孫を見られたんだから十分に満足だよ。

 

 これ以上、何を望む?」

 

 「ですが!!」

 

 「くどい!!

 

 クラリッサ大佐、この話は墓場まで持って行く事を固く命じる。

 

 二度と私の前でこの話をするな!!

 

 話は別だが、レナスを私の代わりに祝ってやっってくれ」

 

 「ハッ、全力でレナスお嬢様を祝います!!」

 

 「下がれ」

 

 とクラリッサ大佐を艦橋から追い出して司令席に座る。

 

 「試験管ベビーだった二人の娘は大人になり幸せを掴んだか…あの研究に無関係と言えども、私には娘と孫を抱きしめる資格は無いのだ…」

 

 帽子を深く被り、夜の海を眺めたのだった。

 

 自分の娘と孫が幸せにあらんと願って…

 

 

 

 

 ホールを前に千冬叔母さんに止められた私達。

 

 「待て、主賓は後から入場するものだ」

 

 叔母さんまでがグルだった。

 

 叔母さんと束さんに連れられて更衣室に行くと、ワンピースタイプのドレスを渡された。

 

 「今日くらいは着飾っても構わんだろ?

 

 他の生徒達は制服でホールに行くようにと言ってあるから気にするな」

 

 「まさか、学園長まで絡んで無いよね?」

 

 「絡んでいるさ。

 

 あの祭好きは今も昔も変わらん。

 

 それに、お前ら三人の誕生日だから余計だろうな」

 

 千冬叔母さんに言われて恥ずかしくなる私。

 

 ドレスに着替え、ホール前に戻った。

 

 『主賓入場です〜』

 

 何とも締まらない御手洗先生のアナウンス。

 

 目の前の扉が開くと同時に

 

 パッパパパン

 

 とクラッカーが鳴り、一学年の同級生や先生が

 

 『お誕生日、おめでとう!!』

 

 と一斉に言ってきたのだ。

 

 そして、沢山のテーブルには大量の料理が並んでいたのだ。

 

 これには私でも感極まって泣いてしまう。

 

 だって、レナスは

 

 「あっ、ありがどう〜」

 

 と泣いていた。

 

 千秋も万編な笑みでありがとうと言いながら、同級生を『あぁ、尊い』と呟かせ、鼻血を噴出させながら撃沈していた。

 

 私達が壇上に着くと、臨海学校に居るはずのない人が居た。

 

 「十夏、千秋にレナス。

 

 お誕生日おめでとう」

 

 とパパが居て

 

 「お誕生日おめでとう」

 

 ママが居て

 

 「うむ、レナスお誕生日おめでとう」

 

 ラウラさんが居たのだった。

 

 そして、周りを見ればセシリアさんやメアリー師匠にクロエさんが『おめでとう』と言いながら私達を祝福してくれる。

 

 そして、御手洗先生が

 

 『では、バースデーケーキどうぞ!!』

 

 巨大な扉に目を向ければ、余りにも巨大なバースデーケーキが入ってきたのだ。

 

 それを見たセシリアさんは

 

 「なっ、何ですの!?

 

 デカ過ぎですわよ!!」

 

 と驚きそのまま倒れて気絶し、メアリーさんは獰猛な眼でパパを見ていた。

 

 多分、ママが居るのに諦めていないのだろうと思う。

 

 だけど、ママと和解してもう一人のママになる様な予感がしたのは気のせいだと思いたい。もしかしたら、ママが三人か四人に増えるとは思いたくも無い。

 

 そして、誕生日パーティーの余興では

 

 『黒兎隊、参上‼

 

 レナスお嬢様、お誕生日おめでとうございます!!』

 

 『マジで黒兎隊だ!?』

 

 「ねぇ、眼がおかしく成ったのかな?

 

 クラリッサ大佐や黒兎隊のメンバーが居るんだけど?」

 

 何故か、レナスは黒兎隊を見て涙目になっていた。

 

 「気のせいじゃないよ?」

 

 「お姉ちゃん、何で疑問系なの?」

 

 ドイツにいる筈の黒兎隊の参上に騒ぎ出す同級生。

 

 しかし

 

 スッパーン

 

 と軽快な音に反応して見てみれば

 

 「あんた達の登場に突っ込むあたしの身になりなさいよ!!」

 

 「グッハァ!?

 

 これが、日本文化のハリセンでのツッコミ…」

 

 「はぁ、本当にシャルに頼んで灰にして貰おうかしらね?」

 

 「それだけは!?」

 

 「うっさいわよ!!」

 

 スッパーン

 

 とママがクラリッサさんをハリセンでしばき倒して居たのだった。

 

 同級生から漫才だと思われ、笑いに包まれたが、しばかれたクラリッサさんは隊員に引き摺られ退場。

 

 何故か、これが漫才として成り立つのはおかしいと思うが、キレのあるママのツッコミで成り立つのではと思ってはイケないと思い考えるのを辞めたのだった。

 

 私達の誕生日パーティーは皆が楽しく過ごしていて、私もママやパパに甘えながら過ごせた誕生日だった。

 

 ただ、クラスメイトからは

 

 『尊い…』

 

 と呟き両親に甘える姿が可愛かったらしくて鼻血を出しながらパパとママが作った料理を楽しんだ。

 

 

 そして、この宴は就寝時間ギリギリまで続いたのだ。

 

 

 まるで、私と千秋にレナスの最後の晩餐かと。

 

 だだ、私達は知らない。

 

 臨海学校に悪意の手が迫っている事を…

 

 

 

 

 

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