中華料理店織斑   作:ロドニー

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臨海学校 落ちる女神と墜ちた女神

 

 楽しい時間は長く続けば良いのだろと思うけど、私達の誕生日パーティーは消灯時間となり終わりを迎えた。

 

 だけど、パパとママとの一緒に居る時間だけは千冬叔母さんが許してくれたが、マドカ叔母さんまで呼んだけどどうしてだろう。

 

 私達とパパとママは千冬叔母さんの部屋に連れて行かれたのだった。 

 

 「ほれ、これをやろう」

 

 「千冬叔母さん、ありがとう」

 

 部屋に着き座るなり、千冬叔母さんは冷蔵庫から出した缶ジュースを私達に配ったのだ。ちょうど良く喉が渇いていたから、渡された缶ジュースのプルトップを開けてオレンジジュースを飲もうとしたがパパとママが気付き止めようとしたが遅かった。

 

 「「待て、千秋、十夏!!」」

 

 ゴックリ

 

 「「冷えてて、美味しい…」」

 

 パパとママ止めたが遅く、私達はオレンジジュースを飲んでしまったのだ。

 

 「あっちゃー…遅かった」

 

 「義姉さん、私達の時と同じ手を…」

 

 「ほう、飲んだな?」

 

 「「えっ?」」

 

 「飲んだんだから黙ってとけよ?」

 

 疑問にする事なくジュースを飲んでしまった私達は、千冬叔母さんの罠だと気付かなった。叔母さんは部屋の備付けの冷蔵庫から黒い星マークの入ったビールを取り出して飲み始めたのだ。

 

 「所で、千冬姉。

 

 俺達を呼んだ理由は何だ?」

 

 「ほう、一夏らしく無いな?

 

 一応だが、娘に関する事だから誕生日を祝うついでに呼んだんだがな?」

 

 叔母さんに言われ、気付いたのはママだった。

 

 「義姉さん?

 

 まさか、臨海学校の最中に襲って来るって事じゃないわよね?

 

 ねぇ、まさかそこまで日本政府が馬鹿なの?

 

 お店の次は、あたしの大事な娘なの?

 

 答えなさいよ!!」

 

 「鈴、熱くなるな‼」

 

 「一夏、判ってるわよ!!

 

 でも、熱くもなるわよ!!

 

 あたしが、二人をお腹を痛めて産んだのよ!!

 

 今度は娘を…」

 

 そう、言ったままママが顔に手を覆いながら泣き出してしまった。

 

 「待て、今から答えてやる。

 

 私だって、可愛い姪が狙われてると知って腸が煮えくり返っているんだ。

 

 飲まずにはやっていられるか。

 

 いつもなら感付く鈴は教師達を見て何か気付かないか?

 

 今回、専用機を持つ教師を全員とはいかないが臨海学校に数名を連れて来ているから大丈夫だろが、念の為にお前達を呼んだのだ」

 

 「えっ?」

 

 早とちりして泣いていたママは抜けた様な返事をしたが、パパは先生達とは顔見知りだったらしくて何かに気付いた。

 

 無論、私達姉妹が狙われてると知って驚かない訳がない。

 

 「顔見知りばかりだと思ったよ。

 

 今回の教師陣は娘の担任のオータムに副担のティナ、スコールとダリル先輩にナターシャさん。千冬姉のクラスは箒に真耶先生辺りかな?」

 

 「理解したか。

 

 マドカはどうした?

 

 呼んだ筈だが?」

 

 確かに、マドカ叔母さんと束さんがいつの間にか居ないと言うより部屋に来ていない。

 

 「マドカなら、束さんに返却した現役時代の専用機だった帰蝶が返されたらしいけど、サイレント・ゼフィルスのコアが初期化されたにも関わらずにマドカを覚えていたらしくてな、学生時代に捕まえた時の黒騎士にセカンドシフトして、帰蝶はいらないからって解体してパーツ取りしている。

 

 ついでに、セシリアのブルーティアーズも束さんと一緒に解体した帰蝶のパーツで改修するって言ってたからな」

 

 「何だと!?

 

 黒騎士だと!?」

 

 私達姉妹はマドカ叔母さんの亡国機業時代最後の専用機、黒騎士を知らないし見た事が無い。ただ、千冬叔母さんの驚いた姿に察しが付く。

 

 黒騎士は敵だったら、厄介この上ないと。

 

 結局、マドカ叔母さんと束さんは私達が部屋に戻り寝るまで部屋に来なかったのだ。 

 

 

 翌日、私達姉妹や学年の同級生が食べた朝食はパパとママが作ったらしく、厨房に見えるコックの落ち込み具合からプライドを圧し折ったのだろう。

 

 朝食を済ませて、一組から四組と私達を含めた専用機持ちは他の生徒とは別に集まり、各国または企業から送られたコンテナを開けて新しい武装をインストールしたり、新たに送られた専用機の調整に勤しんでいた。 

 

 そして、私達もIS学園から送られたコンテナの前に千冬叔母さんや束さんと立っていたのだ。

 

 「レナスちゃん、十夏ちゃんに千秋ちゃん。

 

 お待たせなのだ。

 

 コンテナを開けるね」

 

 束さんが胸の谷間から出した鍵でコンテナを開けると武装が入っていた。

 

 「まずはレナスちゃんからね。

 

 レナスちゃんの専用機、ヴァルキリーに追加武装として『神槍グングニール』を追加するよ。

 

 本来なら、女神シリーズの最終タイプ、オーディーン専用の武器で北欧神話に因んで投げれば必中、投げたあとは必ず手元に戻るよ。ヴァルキリー専用に改修したから使って見てね」

 

 「ばば様〜ありがとう」

 

 「次は、十夏ちゃんだね。

 

 追加武装は神盾アイギスの完成版と神剣パラスだよ。

 

 十夏ちゃん、アイギスの盾はギリシャ神話の伝説に因んでメデューサの首が飾られているけど、絶対にリミッターを切っちゃ駄目だぞ。束さんでも原因が判んないけど、通常なら全体拘束だけどリミッター無しだとメデューサの眼で本当に石化するから、大事な事だから本当に切っちゃ駄目だからね。

 

 もう一つの装備、神剣パラスはギリシャ神話のアテナが装備していたと言われる片手直剣で炎を纏い全てを切り裂くと伝承が在るよ。これも伝承に因んだ作りだからリミッター付きなのは同じだよ」

 

 「束さん、ありがとう」

 

 「最後は千秋ちゃんだね。 

 

 アルテミスの追加武装は『神弓ユグドラシル』と『零百の矢』だよ。

 

 神弓ユグドラシルは北欧神話の武器だけど、神樹ユグドラシルの強い生命力で壊されても直ぐに元通りになる弓だよ。それに、セカンドアビリティー『女神の狩場』の効果を強化する働きもあるからね。

 

 次は、零百の矢はちーちゃんやいっくんの零落白夜を何のコスト無く撃てる矢だよ。零落白夜はいっくんかちーちゃんから聴いてね」

 

 説明を聞いたがトンデモ装備だと判る。

 

 「束、なにとんでも無い物を渡しているんだ!!」

 

 案の定、千冬叔母さんが危険な装備だと言いながらキレて束さんをお説教していた。

 

 

 

 

 同じ頃、九十九里沖ではレナスの誕生日を祝い終えた黒兎隊の隊員と隊長のラウラを回収したドイツ海軍の戦艦ビスマルクⅡは訓練地であるトラック諸島へ向けて準備中だった。

 

 「休暇も終わりか…」

 

 レナスとの日々の幸せを懐かしみながら、長期休暇で溜まった書類を用意された士官室で処理していた時だった。

 

 艦内で鳴り響く警報。

 

 「何事だ!!」

 

 と叫びながら艦橋へ走り、指令所へ入り込んだ。

 

 「司令!!

 

 対空レーダーに多数の反応あり!!

 

 レーダーからレナスお嬢様がいる旅館を中心に三方から大編隊が接近中。数は百以上‼

 

 なお、一つの編隊は我が艦を通過する模様!!」

 

 「判ってるわ。

 

 機関始動し抜錨!!

 

 微速前進‼

 

 全艦対空戦闘を用意!!

 

 これは、訓練ではない!!

 

 実戦である」

 

 艦隊司令のオルケスト元帥が司令席から立ち上がり艦橋クルーに激を飛ばす。

 

 「ボーデヴィッヒ中将、貴様等の黒兎隊にも出撃を命じる。ただし、まだ攻撃はするな。攻撃をして来た場合のみ、自衛処置として攻撃を許すが絶対に殺すなよ?」

 

 と下命をした時だった。

 

 ビスマルクが爆発音と共に揺れたのだ。

 

 「所属不明機から発砲!?

 

 右舷対空指揮所付近に被弾!!」

 

 「ちぃ、黒兎隊はスクランブル発進!!

 

 敵機と断定し対空射撃を始め!!

 

 それと、ダメコンと消火活動はどうした!!

 

 寝てるコックのケツを蹴っ飛ばしてでも消火に当たらせろ!!」

 

 私は艦内を走り、黒兎隊が待機する待機所へと向かったのだ。

 

 

 

 

 専用機持ちの装備のインストールや新しい専用機の調整が終わる頃、上空にはイギリス国家代表の専用機ティターニアと『血塗れの白百合の王国旗』を掲げたティアーズナイトの4機に黒い騎士の様なISとブルーティアーズだと思う機体の2機に守護される様に姫騎士を思わせる白銀のISの合計8機の編隊が木更津方面へと飛んで行く。

 

 そんな時、旅館の方からシルバリオ・ゴスペルを展開して飛んで来たナターシャ先生が私達の前に降り立った。

 

 「織斑先生!!

 

 襲撃です!!

 

 既に、ドイツ海軍の戦艦ビスマルクⅡが襲撃され交戦中よ!!」

 

 「まさか、本当に来るとはな。

 

 専用機持ちは直ぐにコンテナに片付けて旅館の地下シェルターに避難しろ!!

 

 十夏、千秋にレナスも避難だ。

 

 良いな?」

 

 避難しろと言われても避難する気は無かった。

 

 だって、私は

 

 「織斑先生、私達姉妹の避難は断ります。私は学園の生徒会長、織斑十夏だから!!」

 

 「お姉ちゃんが行くなら、私も行く」

 

 「私もママが襲撃されているなら行く!!」

 

 「駄目だ!!

 

 いくら、生徒会長の権限でも許さん!!」

 

 と千冬叔母さんは許可を出さない。

 

 しかし、レナスは行くと言い張っていた。

 

 「私は行く!!

 

 パパが死んだ時みたいに成るのは嫌だ!!」

 

 「レナス、我が儘を言うな!!

 

 母親のラウラをお前は悲しませる気か!!」

 

 「織斑先生には判んないよ!!

 

 ママには黙っていたけど、パパが死んだ瞬間をテレビで見てたから!!

 

 今度はママを失うの?

 

 そんなの絶対に嫌だァァァァァ!!」

 

 泣きながら、ヴァルキリーを展開して九十九里沖へ飛んで行くレナスだった。

 

 私達が千冬叔母さんと言い争う間に、遠目から見える百里基地方面から来た米粒が浮かぶような小さな編隊。

 

 「ちっ、来たか!?

 

 お前達は避難だ!!」

 

 「織斑先生、既に遅いかと?」

 

 「何だと?」

 

 「二人は専用機を展開して行きましたが…」

 

 「この、馬鹿どもがぁぁぁぁ!!

 

 ナターシャ、馬鹿双子を追え!!」

 

 「はっ、はいぃぃぃ!?」

 

 私達は生徒会長としての責務を果たす為、いやクラスメイトや同級生を守る為にアテナとアルテミスを展開して、ペガサスに牽かれた戦車(チャリオット)に乗り百里基地方面から来る敵機がいる戦場へと繰り出したのだ。

 

 

 

 一方、対空戦闘が続くビスマルクでは

 

 「主砲用意!!

 

 弾種、対IS用対空散弾の装填急げ!!」

 

 「「了解!!」」

 

 艦隊司令のオルケスト元帥自ら対空指揮所に立ち、陣頭指揮を取り対空戦闘をしていた。ビスマルクⅡの主砲である60口径406ミリ連装砲の主砲塔が可動して編隊へ照準を合わせる。

 

 「照準よし!!」

 

 「撃てぇぇ!!」

 

 主砲が火を吹き、主砲弾を放つ。

 

 ズッバァァァァァァン

 

 と空中で対空散弾が巨大な花火となって敵編隊中央で炸裂し、大量に内蔵された散弾と主砲弾の破片をばら撒きながら敵機に襲い、絶対防御を強制的に発動させてシールドエネルギーを瞬時に奪い去る。

 

 やられた打鉄参式は解除され海に落ちるパイロット達。

 

 しかし、数は暴力だった。 

 

 ビスマルクⅡを護るべく黒兎隊も出撃して善戦するが同世代型同士では苦戦からは逃げられない。

 

 それでも、ビスマルクⅡからの対空射撃で撃たれる大中小の砲弾が空中で炸裂しながら数を減らして行ったのだ。

 

 「チッ!?

 

 ビスマルクⅡに近づけさせるな!!

 

 必ず3機一組で1機に当たれ!!」

 

 ラウラは3個小隊の指揮を取りながら、シュバルツァ・レーゲンを展開してビスマルクⅡを護衛する。

 

 「クラリッサ大佐!!

 

 我が隊の被害は?」

 

 「戦死者は今の所なし。

 

 ですが、被弾して退却したのは4機です」

 

 「やはり、数の暴力は流石にキツイか…」

 

 クラリッサの指摘通り、黒兎隊のメンバーは元々レナスを祝う為に来ている為に隊員は選抜された9人しか居ない。そして、被弾して撤退した者を抜けば5人しかいないから苦戦は必須だった。

 

 夫のかっての戦闘機のナンバーだった14をお守りとして肩のアーマーに入れていた。

 

 それを撫でながら死を覚悟して突撃をしようとした、そんな時だった。

 

 「ママァァァァ!!」

 

 レナスが泣き叫びながら、単一仕様『英霊召喚』を発動させて、ヴァルキリーの兵装であるBT兵器のモビルドールビットを拡張領域にある全てを展開しながら私の所に来たのだ。

 

 しかし、4機が限界なの筈なのに8機の同時操作は完全に無謀とも言える。

 

 それでも、限界以上の最大数である8機を同時に動かして打鉄参式を数機を撃墜する。

 

 「ママも黒兎隊の皆も、私の大切な物は奪わせない!!

 

 行け、ビット達‼」

 

 ラウラは娘の正気を疑った。

 

 8機の同時操作なんてしたら、凄まじい脳への負担から脳が焼き切れる可能性だってある。

 

 だから、『娘を失いたく無い』と強い思いで、戦場であっても娘の無茶を止めさせ無ければならない。

 

 「レナス、ビット8機の同時操作を辞めるんだ!!」

 

 ラウラの叫びも虚しく、8機同時に瞬時加速させながらビスマルクに取り付く敵機達を殺さない様にスラスターユニットだけを斬り裂きながら瞬く間に全て海へ撃墜していた。

 

 「ハァ、ハァ…もう、何も奪わせない…ぐっ!?

 

 ヴァルキリー、動いて!?

 

 アイツ等を…落さなきゃ…

 

 お願いだから、動けぇぇぇ!!」

 

 だけど、レナスは私達を守る為にビットの操作で無茶をやり過ぎた。

 

 無茶な操作から脳に掛かる負担で精神的に疲弊してしまいレナスのヴァルキリーの動きが止まる。 

 

 そこを襲撃者に狙われたのだ。

 

 「動きが止まっている今がチャンスよ!!

 

 ドイツの最新鋭機を落して奪うわよ!!

 

 パイロットは殺しても構わない、掛かれぇぇぇ!!」

 

 打鉄参式数機がISを撃墜して奪おうと数機が構えたバズーカランチャーでレナスを狙う。

 

 「貰ったぁぁぁ!!」

 

 「あっ…動けない…」

 

 「レナスゥゥゥ!?」

 

 ラウラが叫び、シュバルツァ・レーゲンで庇おうと二重瞬時加速で加速して間に入ろうとするが間に合わないのは明確だった。

 

 「私の孫娘をやせるかァァァ!!

 

 全艦全速前進、敵機とヴァルキリーの間に突撃せよ!!

 

 我が艦でヴァルキリーを何としても盾になるのだ!!」

 

 海面ギリギリの高さで戦っていたレナスのヴァルキリーと数機の打鉄参式の放つバズーカの弾丸は戦艦ビスマルクⅡが割って入り盾となってレナスのヴァルキリーを守ったのだ。

 

 ヴァルキリーを守ったビスマルクⅡの被害は甚大で艦橋の最上部にある観測測定儀にある主砲射撃指揮所をバズーカで吹き飛ばされて主砲は射撃不能となり、射撃指揮所にいたクルー全員は爆発した衝撃で指揮所ごと消し飛び即死していた。

 

 無論、指揮所の破片は対空指揮所にも落下し、対空指揮所にいたクルーや元帥を負傷させていた。

 

 「元帥!?」

 

 「大艦巨砲主義の化石が邪魔よ!!」

 

 ビスマルクⅡを盾に守られたヴァルキリーを撃墜し奪うチャンスを邪魔された打鉄参式のパイロットは激昂するのだった。

 

 パイロットはハイパーセンサーから砲撃指揮所をやられた煽りで頭から血を流す元帥を階級章から見付けると対空指揮所に向かってバズーカを放ったのだ。

 

 撃たれる瞬時、元帥は私とレナスを見つめて優しい笑みを浮かべ、母親が娘を見る様な優しい眼差しの顔になりながら最上位敬礼をして部下に発光信号で送らせた。

 

 『我、孫ト娘ノ幸福ヲ願ウ』

 

 これが、老将にして女元帥のクラーディア・オルケスト元帥の最後だった。

 

 彼女は娘と孫を守る事が出来た事に安堵しながらバズーカの弾頭が対空指揮所内で爆発し、爆炎と共に身体は焼かれ燃え尽きるとビスマルクⅡの艦橋に居た多数のクルーを飲み込みながら爆炎を上げて吹き飛んだのだった。

 

 バズーカにより艦橋が吹き飛ばされたビスマルクⅡは黒煙を上げながら操舵不能となって大破漂流状態となったのだった。

 

 

 

 私は元帥から送られた発光信号の意味を理解しなければ良かったと思う。

 

 本当の母親を知らなければどれだけ良かったと思うし、どれだけ幸せだったかと思えば思うほど、母親と知り元帥を守れなかった私に対する怒りが湧いてくる。

 

 何故、名乗り出なかった事を知りたかったのにと…

 

 「クラーディア元帥が私とクロエ姉様の母上だと!?

 

 貴様等が、貴様等がやったのか!!

 

 許さんぞ!!

 

 貴様ァァァァ!?」

 

 ビスマルクがやられた事と本当の母親を殺された怒りが爆発して、打鉄参式のパイロットを睨みつけて弾切れとなったパンツァカノーネをパージしながら手刀で斬り掛かる私だった。

 

 

 

 

 

 束さんがばば様だと産まれた時からずっと思っていた。

 

 だけど、ビスマルクの艦橋が吹き飛ぶ瞬間、ヴァルキリーが全て見せてくれた元帥の過去。

 

 白い壁の部屋の中でクラーディア元帥が研究員に冷凍された受精卵を入れた試験管を渡す光景。

 

 そして、二つの育成カプセルの中で双子の赤ちゃんを見ながら

 

 「あぁ、愛しい娘よ…」

 

 呟き愛しそうな顔をするクラーディア元帥。

 

 

 そうだったんだ。

 

 クラーディア元帥が私の本当のお婆ちゃん…

 

 あいつが、奪ったんだ。

 

 あいつが、あいつが、あいつが…

 

 ワタシノタカラモノヲウバッタンダ…

 

 意識が戻ると、バズーカを構えたままのアイツ等が居た。

 

 「お前等がお婆ちゃんを‼

 

 許さない、許さない、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ…

 

 うわァァァァァァァァァァ!?」

 

 怒りと悲しみと憎しみが全て混ざり合い、私の頭の中が真っ白になった。

 

 そして、ヴァルキリーが私の意思を汲む様に光り輝き光の繭を形成したのだ。

 

 その、光り輝く光に包まれた私は意識を失ったのだ。

 

 

 

 

 同じくして、私達はチャリオットに乗りながら戦場を駆け回り襲撃者達を文字通りに蹂躙していく。

 

 無論、攻撃などさせない。

 

 私のアテナの追加武装の神盾アイギスで広範囲拘束攻撃で拘束し、千秋のアルテミスが追加された零百の矢で確実に仕留めて海へ撃墜する。

 

 私達姉妹のタッグでのコンビネーションアタックだ。

 

 「神盾アイギス!!

 

 千秋、今よ!!」

 

 「うん、お姉ちゃん!!

 

 零百の矢でも喰らえ!!」

 

 千秋が放つ矢が相手のスラスターユニットに突き刺さり爆発する。スラスターユニットが爆発してバランスを取れなくなった敵機は黒煙を吐きながら海へ落ちたのだった。

 

 「ウワァァァァ!?

 

 墜ちる!?」

 

 「次、行くよ千秋!!」

 

 「うん、お姉ちゃん!!」

 

 「ちょっと、貴女達はまだやる気なの!?」

 

 ナターシャ先生がセカンドシフトした姿のシルバリオ・ゴスペルで私達に追い付き止める。

 

 「教師部隊が着き次第、撤退しますよ」

 

 「そう、それを聞いて安心したわ。

 

 あと、数分で教師部隊の精鋭が来るから援護するわね。

 あれだけ固まっていれば、広範囲殲滅型のシルバリオ・ゴスペルの独壇場よ!!

 

 落ちなさい!!」

 

 ナターシャ先生が叫ぶと広範囲攻撃のビームを一斉に放ち一気に十数機の打鉄参式を撃墜する。

 

 学生時代のパパ達が苦戦した相手だと納得できる破壊力だった。

 

 私達姉妹も教師部隊が来るまで奮闘したのだ。

 

 教師部隊が来る直前に、これが日本政府の襲撃だとわかってしまう機体が私達の目の前に現れたのだ。

 

 「えっ、嘘だよね?」

 

 「どうして!!

 

 蘭お姉ちゃん!!」

 

 目の前に現れたのはパパのかつての専用機の白式に似た機体は白式の後継機として倉持技研が開発した機体で名前は紅式改だった。

 

 紅式改を専用機とするのは一人しかいない。

 

 日本の国家代表の五反田蘭だったのだ。

 

 「うるさい!!

 

 母親を人質にされたのよ‼

 

 だから、お母さんを助ける為に大人しく貴女達のアテナとアルテミスを渡しなさい!!」

 

 何処までも腐っている日本政府だと怒りを覚えるが、私達はアテナもアルテミスも渡す気は無い。

 

 「蘭お姉ちゃん、断る!!」

 

 「やっぱり、鈴さんに似て生意気よ!!」

 

 「褒め言葉、ありがとう♪」

 

 「やっぱり、姉妹ね!!

 

 その盾、動きを止められてうざいわよ!!」

 

 しかし、紅式改を駆る蘭お姉ちゃんはリボルバーイグニッションブーストで加速させながら無茶とも言える瞬時加速で一気に加速して姿を見失う。

 

 「嘘⁉

 

 斬られた!?」

 

 「厄介物は斬り捨てる!!」

 

 と急に目の前に表れて、私のアテナの神盾アイギスを斬り捨てたのだ。

 

 「やったな!!

 

 パパと同じく戦えると思うな!!」

 

 アテナの神剣パラスを構えて居合抜きで、零落白夜を使わせない為に雪片弐型を切り裂く。切り裂かれた事に驚愕しているが、私に言われた事に激昂して掴み掛かる。

 

 「娘だからって、憧れた一夏さんの何がわかるのよ!!」

 

 「パパの事が判るから、言って居るんだ!!

 

 何度でも言ってやる!!

 

 蘭お姉ちゃんじゃ、パパなんかになれない!!

 

 私達姉妹はパパ達の七光りと言われない為に日々、努力してるんだ!!

 

 憧れだからって、パパの真似すんな!!」

 

 「うるさい!!」

 

 ドッカァ

 

 「グッエェ!?」

 

 「十夏なんかに言われたくないわよ!!」

 

 「グッェ!?」

 

 蘭お姉ちゃんにお腹を殴られて潰れた蛙の様な声を出す。

 

 蘭お姉ちゃんに掴まれたまま、私は地面に叩き着けられたりしたが、千秋が零百の矢を使い、セカンドアビリティー『アルテミス矢』を発動させて蘭お姉ちゃんの肩を射抜く。

 

 「お姉ちゃんをやらせない!!

 

 セカンドアビリティー『アルテミスの矢』を発動!!

 

 喰らえ!!」

 

 「ぎゃあ!?

 

 絶対防御が!?」

 

 絶対防御を貫き肩を射抜かれた蘭お姉ちゃんは肩から血を流しながら反転して逃走する。

 

 「「逃さない!!

 

 パパとママの前に突き出して言ってやる‼」」

 

 「何て言うのよ?」

 

 ママと性格が似ている為に怪我して流血する肩を押さえながら何て言われるか冷や汗を流し聞き返す蘭お姉ちゃん。

 

 「「蘭お姉ちゃんがいじめったって言ってやる!!」」

 

 「辞めて!!

 

 鈴さんと一夏さんに殺されるから本当に辞めて!!」

 

 「「嫌だったら、落ちろぉぉぉ!!」」

 

 「キャァァァァ!?」

 

 私と千秋は剣を構えると瞬時加速して、蘭お姉ちゃんの紅式改のウイング型のスラスターユニットを剣で斬り裂き海へ落としたのだ。

 

 「「「国家代表が落とされた!?」」」

 

 伊達に自由国籍からタッグトーナメントの世界大会に出る為の努力はしていない。

 

 いつか、本気のパパとママに試合をしたいから…

 

 蘭お姉ちゃんとの戦いで疲弊した私。

 

 まだまだ、敵機はいる。

 

 疲弊からの油断から、千秋が打鉄参式の対物ライフルから狙われた事に気付く。

 

 「千秋!?」

 

 「あっ、やられる!?」

 

 「千秋ぃぃぃぃ!!」

 

 ドン

 

 「えっ?

 

 お姉ちゃん?」

 

 大好きで大切な妹の千秋はやらせない。

 

 構えた対物ライフルが罠だと気付かず、瞬時加速から加速して千秋のアルテミスを槍の石突で突き飛ばす。

 

 そして、突き飛ばした勢いまま止まれない私の目の前に光る網はIS鎮圧用ネットだった。

 

 ネットに絡まる私とアテナ。

 

 しかし、剣で斬り裂こうとするが斬れない。

 

 「今だ!!

 

 電流を流せ!!」

 

 電流と聞いて、見える未来は…

 

 

 「しまった!?

 

 アッガガガガガガガガガ!?」

 

 電流で痺れる身体と人肉が焼ける匂い…

 

 あぁ、私死ぬんだ…

 

 

 

 

 お姉ちゃんに庇われた私が見た光景。

 

 目の前では対IS用鎮圧ネットに絡まり電流を流され感電しながら苦しむお姉ちゃんの姿。

 

 ユルサナイ…

 

 そして、ネットも電流に耐え切れなくなって焼き切れてアテナは解除され黒焦げとなったお姉ちゃんだった物が海へと落下して行く。

 

 ユルサナイ…ユルサナイ

 

 私の心が何かどす黒い何かに支配されて行く。

 

 だけど、落下するお姉ちゃんを

 

 「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

 

 空中でキャッチして抱きしめる。

 

 「今だ!!

 

 落とせぇぇ!!」

 

 私の背中に色んな弾丸が襲いかかる。

 

 だけど、お姉ちゃんだけは守りたいと背中を盾にするが、余りの衝撃から手を離してしまいお姉ちゃんは海へと落下したのだ。

 

「あっ、お姉ちゃん!?

 

 あっ、あぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

 許さない、許さない、許さない、許さない、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ…スベテ、キエテシマエ…」 

 

 そして、私の心は完全にどす黒い物に支配されたのだ。

 

 禍々しい黒い光りは私を包み込んだのだった。

 

 

 

 

 

 海へと落下しながら私が見たのは、どす黒い光りに包まれたまま千秋とアルテミス。

 

 私の全身は酷い火傷で腕なんかは炭化していた。

 

 「ごめんね…」

 

 ザッバァァァァン

 

 私の意識はここで途切れたのだ。

 

 

 

 

 

 「えっ、嘘だよね?

 

 アテナの反応が消えた?

 

 アルテミスとヴァルキリーに異常エネルギー反応?」

 

 「どうした、束?」

 

 「ちーちゃん、十夏ちゃんが!!」

 

 「落ち着け!!」

 

 「十夏ちゃんのアテナの反応が消えちゃったよ!!

 

 うわぁぁぁ」

 

 「なっ、何だと!?」

 

 泣き崩れる束を見ながら、指揮所から出る事を許されない私の怒りは誰にぶつければ良いのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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