中華料理店織斑   作:ロドニー

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臨海学校 女神アテナに導かれし者

 

 何故か雲海の上に倒れていた私。

 

 目の前に見えるのは、雲海に囲まれた山頂には大理石で出来たギリシャ神話の宮殿を思わせる巨大な神殿だった。

 

 『さぁ、此処に来なさい』

 

 私は、頭の中に聞こえる女性の声に導かれて神殿の中に入る。

 

 「此処は?

 

 私、死んだのかな?」

 

 『人の子よ、よくぞ我の神殿に来られた』

 

 頭に直接語られるな様な感覚に振り向くとギリシャ神話に出て来る女神が着ているドレスの様な服装とドレス上に装飾された革製の鎧を着ている金髪碧眼の美しい女性が槍を持ち玉座に座っていた。

 

 「此処は?」

 

 『人の子が無礼である。跪け、人の子よ』

 

 目の前に居る女性の前では、抗うことは勿論の事だが立つ事さえ許されず跪かなけばいけない威厳のある言葉。

 

 女性は何時までも立ち続ける私に対して、手を下に払っただけで私の身体は言う事が聞かずに強制的に跪かせられる。

 

 「何するのよ!!」

 

 『子供故に許すが、我の名はアテナ。知性と戦を司る女神である』

 

 「えっ?

 

 本物の女神様…」

 

 『如何にも』

 

 私は本物の女神様を目の当たりにして言葉を失った。

 

 アテナは玉座から立ち上がると、私に向けてアテナ自身が持つ槍を投げつけ、目の前の床に槍が突き刺さる。

 

 「ちょっ、危な!?」

 

 『人の子よ、その槍を持ち、我と歩むに相応しいか力を示せ。何故、力を求めるのか我に見せよ』

 

 「前置きなしで、戦えってねぇ!!」

 

 『そうなのか?

 

 なら、人の子いや織斑十夏。

 

 我の名を冠する者(IS)に如何に力を求め、如何に欲する』

 

 一瞬、ボケまくるアテナに反応して全力でツッコミを入れようと考えてしまったが、力を求める答えは一つだった。

 

 「決まってるじゃない!!

 

 私は大切な物を守る為に力が欲しい!!

 

 そして、大好きな家族を守りたい!!」

 

 そう、私が叫ぶと無表情だったアテナの表情はニヤリと口角を上げて獰猛な笑みで笑う。

 

 まるで、最高の玩具を手に入れたかのように…

 

 そして、腕を払うと風景が瞬時に一変して神殿が消えて雲海の上に立ち戦闘モードの女神アテナと槍を構えた私。

 

 『ならば、力を示せ人の子!』

 

 槍を構えたアテナに寸分の空きはない。

 

 「やってやろうじゃない!!」

 

 私も槍を構えて突進しながらアテナに槍での高速の連続突きを入れるが、アテナはただ槍を払うだけで私の槍が簡単に弾かれる。

 

 「嘘!?

 

 私の槍の技が全く通じない!?」

 

 『ん、如何様した?

 

 我に歯向かう心意気をしかと見せよ』

 

 「上等よ!!」

 

 何十、何百と突いたり払ったりと繰り返してアテナを攻め続ける。

 

 『どうした人の子よ。汝は守りたいから力を欲するのではないか?口だけなら、神罰を与えようぞ!!』

 

 しかし、アテナには槍の刃が一切掠らないし、腕に装備した神盾アイギスを使う事なく全ての攻撃は槍を軽く振るうだけで簡単に弾かれる。

 

 戦を司る女神なだけに槍術は達人以上の腕前であり、アテナとの力をの差を見せ付けられたのだ。

 

 体力を使い果たして朦朧としていたが、私は諦めない。

 

 「私はパパやママの様に家族を守れる様に成りたいんだ!!

 

 だから、負けるかぁぁぁぁぁ!!」

 

 朦朧としていて判らないが無我の境地だったのだろう。

 

 それとも会心の一撃とも言うのだろ。

 

 アテナからの一撃を躱して、朦朧とした中での私の一撃がアテナの革製の肩当てに槍が掠る。

 

 『うぬ!?

 

 遂に当てて来たか。

 

 我も本気で行くとしよう』

 

 「げっ、まだ、強くなるの!?」

 

 『さぁ、我を愉しませろよ?』

 

 アテナから神々しい光りが輝き始めると、私の動きが悪く…いや、アテナが遂に本気になって動きが早くなったと言える。

 

 アテナからの振るわれる槍の突きや斬撃が全て私の衣服だけを正確に斬り捨てて行く。

 

 『このままでは汝は裸ぞよ?

 

 今の時代の下界では、その姿は痴女と…』

 

 確かに私の制服はズタボロに斬り捨てられてパンツ丸出しだ。

 

 まだ、ギリギリ幼女な私を痴女と言い捨てる糞女神を絶対にぶっ飛ばす。

 

 『ほう、我を糞女神とな。うむ、ぶっ飛ばすか?』

 

 「思考まで読むな!!」

 

 『フッベェ!?』

 

 思考を読まれた私は恥ずかしくなり、槍を雲海の上に投げ捨ててまで、全力で突進してアテナの前まで行くと、ツッコミながら放ったアッパーがアテナの顎を捉えて殴り飛ばしたのだ。

 

 『汝は良い拳を持つ。

 

 その拳で世界を狙わぬか?』

 

 「誰がボクシングのチャンピオンにならなきゃ成らないのよ!!」

 

 『ギャフン!?

 

 良い、拳だった…』

 

 ドッサァ

 

 「もう、嫌…」

 

 私は結局、アテナに思考を読まれながらボケられたりおちょくられたりと完全に遊ばれていたのだった。

 

 それから、数時間後にはアテナが振るう槍を何とか受け止められる様になる頃にはパンツ以外は槍で斬り捨てられて裸にされたのだった。

 

 『ふむ、やはり汝は痴女よな』

 

 「あんたが斬り捨てたからでしょうが!!」

 

 『ゲッフン!?』

 

 私に慣れたのか、元からそうなのかは判らない。しかし、子供の様に無邪気に笑うアテナと彼女の掴みどころの無い性格。そして、更にボケをかますアテナに鉄拳制裁と言う名のツッコミを入れるが更に本人が笑うだけで諦めて肩を落す。

 

 『うむ、槍は飽きたのう…これで、遊ぶか』

 

 「ねぇ、今遊ぶって言わなかった!?」

 

 『気のせいだ。行くぞ!!』

 

 アテナが具現化し取り出したのは片手直剣だった。

 

 私の槍もいつの間にかアテナが持つ同じ剣へと変わり、アテナが踏み込むなり私の視界から消えた。

 

 スッパン

 

 「へっ?」

 

 間抜けな声を出して剣先を見れば、いつの間にか表れたアテナの斬撃で私の剣が根元から先が斬られて無くなっていた。

 

 『さあ、十夏!!

 

 我と遊び(戦い)我を愉しませて見せよ!!』

 

 どうやら、力を示す以前にアテナの玩具となる定めになった様だと泣きたくなったのだった。

 

 

 

 あれから、日々の時間と年月の流れが早い物でいつの間にか十年が経っていた。

 

 「せっぃ!!」

 

 『うぬ!?』

 

 「はぁぁぁぁ!?」

 

 『ギャフン』

 

 神殿前での訓練での光景はアテナの剣から放つ斬撃を躱して上段切りでアテナを吹き飛ばすがアテナに一撃をツッコミ以外で未だに入れられなかった。

 

 あれから十年の修行は正直言って長かったし辛かった。

 

 毎日、槍術や剣術などの様々な武術の訓練ではアテナに玩具の様に遊ばれながら、ぶっ飛ばされる日々だった。

 

 私の身体も十年の歳月が成長させ、未熟なロリ体型から大人の身体へと成長して今では千冬叔母さんの様な鍛え抜かれた美しい身体へと成っていた。他に変わったと言えば、髪の色が艶のある黒色から綺麗なプラチナシルバーに変わってしまったのは何故だろうか。

 

 修行の成果は、今では槍や剣でもアテナと対等に戦えるだけの腕前になっていた。

 

 ただ、不便な事がある。

 

 まさか、千冬叔母さんの様に余りにも育ち過ぎた胸が邪魔だとは全く思わなかった。幼き日に、この今くらいの胸の大きさに羨ましく思ったのが懐かしく思う。 

 

 だけど、剣や槍を振るう度にぶるんと揺れる胸に邪魔だと思うし、弓術訓練では引いた弓の弦が胸の先に当たり痛がったりした。

 

 そして、服装もだが私自身もアテナが着る同じ服で神殿の中で過ごすが、下着の概念すらない為にパンツは手作りの紐パンでブラは作れずノーブラでる為に余計に胸が揺れる。

 

 「本当、邪魔ね…」

 

 と思いながら、竈で今日の夕飯を作る。

 

 『と〜お〜か、ご飯まだか〜』

 

 腹を空かせた駄女神が手に持つナイフとフォークをテーブルに打ち付けながら鳴らして催促して来る。

 

 「もう少しだから、待ちなさい」

 

 母親の様に嗜め、アテナに出す料理を仕上げて行く。

 

 

 そう、訓練ではボコボコにされるが、タダでやられる私では無い。

 

 食材選びにはかなり苦労したが、十年掛けてアテナの胃袋を掴み、私の手料理の虜にしてやったのだ。

 

 そして、今日は修行で魔界に行かされた時の休憩で暗黒海で海水浴を楽しもうとしたら、海から飛び跳ねたジェノサイドキングサーモンと遭遇した。

 

 浜に居た私を食べようと襲うが、逆に私の身長以上に大きい重量級の戦斧を具現化して振り下ろし、ジェノサイドキングサーモンの頭を叩き割って倒して夕飯の材料としたのだ。

 

 「はい、今日は魔界で狩ったジェノサイドキングサーモンの石狩焼きよ!!」

 

 『あら、魔界の暗黒海の最強の鮭ね。

 

 良く勝てたわね。

 

 普通ならレッサーデーモンがジェノサイドキングサーモンに襲われて、美味しく食べられてる巨大な鮭よ。

 

 でも、折角だから頂きます。

 

 うむ…おいひぃー』

 

 美味しそうに石狩焼きを食べるアテナ。

 

 私はジェノサイドキングサーモンから採ったイクラを塩漬けにしたりイクラを解したりして、白いご飯と一緒にイクラ丼にして楽しんだのだ。

 

 今でも食材を取りに行くときは、アテナに色々な場所に飛ばしてもらいながら、こうして朝昼晩の他に訓練後には料理を作り振る舞う。

 

 何故か、アテナの休息は神酒を飲み、私が作る料理を肴にする光景は学園での千冬叔母さんを思い出す。

 

 そして、私にも身体を強くする為に神酒を飲まされ、酔って眠くなればアテナを抱きまくらに私は眠る。

 

 私はアテナとこんな生活をして訓練しながら、そんな日々を送ったのだ。

 

 

 そして、今日はアテナからの試練が待っていた。

 

 十年前と同じ、雲海の上では最初から本気で来るアテナが待ち構えており、神々しいアテナに思わず跪かなければ、私の首が飛ぶ光景しか見えない。

 

 それほどにアテナが本気だと判る。

 

 雲海の上では神盾アイギスと長槍を持ち構えるアテナ。しかし、長槍は雲海に突き刺して片手直剣を具現化する。

 

 『十夏、来たか』

 

 「今日こそ、ぶっ飛ばす!!」

 

 私は剣を抜き構えた瞬間、お互いに踏み込み姿が消えるとお互いに斬撃を繰り出し何合も斬り合う。

 

 真夜中に咲く花火の様に剣がぶつかり合う度に火花が飛び散る。

 

 『ほう、やる様になった』

 

 「当然じゃない!!」

 

 アテナから私に与えた権能は武器の具現化とアテナによって治された神に近い肉体だった。

 

 理由は、この世界に呼ばれた時には流された高圧電流による感電により全身が黒焦げで腕や足もだが顔の半分までが炭化していた。この状態でよく生きていたと思う程に瀕死状態だったらしくて人間界の治療では完全に手遅れだったらしい。

 

 私の専用機アテナのコアに懇願された女神アテナは瀕死状態だった私を神界へ召喚し治療する為に自身の肉体の一部を与えて肉体再生をしたと食事の時にアテナに言われた。

 

 しかし問題もあった。

 

 神の肉体は普通の人間には猛毒で、神の肉体は普通の人間が耐えられる訳では無く崩壊してしまうらしく、対応策として最初は薄めた神酒を飲ませて慣らし、次第に濃度を調整した神酒を飲ませて肉体が合うように造り替えたのだった。

 

 そして、アテナ自身が助けた事を恥ずかしがり、意識が戻る前に制服まで直して冒頭の様に雲海の上に放置して、目覚めた私を神殿に呼んだらしい。

 

 アテナは刃こぼれで使えなくなった剣を捨てて、新たに戦斧を具現化してから踏み込み消える

 

 『はァァァァァ!!』

 

 私の上空に表れてアテナは戦斧を振りかぶり、私へ振り下ろす所なのだろ。

 

 「甘いわよ!!」

 

 私は逆に剣を投げ捨てて、戦槌を具現化して打ち上げる様にフルスイングして、振り下ろされた戦斧の刃を叩いて反発する力を利用して逆にアテナごと吹き飛ばす。

 

 『あっ、読まれた!?』

 

 「おりゃァァァァ!!」

 

 『ちょっ!?我は野球ボールじ…フッギャン!?』

 

 「ホームラン!!」

 

 『我を野球ボールにしよって!!

 

 まだまだ、行くぞ!!』

 

 「ちょっ!?せっい、せっい、せっい、せっい!?」

 

 戦斧を手放して雲海の上をバウンドしながら吹き飛ぶアテナだが、吹き飛んだ先で槍を多数具現化して投げつけるが、剣を二本具現化して全て叩き斬ったのだった。

 

 そして、アテナに一撃を入れる瞬間が来たのだ。

 

 槍を叩き斬った時にアテナは槍を構えて突進。

 

 『はぁァァァァ!!』

 

 私も、カウンターを入れるべく具現化した短槍と盾を構え、アテナの槍の突きを盾で受け流しながら短槍でアテナの肩に突き刺したのだ。

 

 「やぁぁぁぁ!!」

 

 『うっぐぅ!?』

 

 肩を槍で突き刺されたアテナは膝を付き、刺された肩を抑えて苦悶の表情となる。

 

 「これで、止めぇぇぇ!!」

 

 『ヘッブラァ!?』

 

 私は槍も盾も投げ捨てて拳で殴るべく、アテナの顔面に拳を打ち込み勝ったのだった。

 

 『いたたた…流石だ。

 

 我の負けだ。

 

 我に勝った褒美にこれをやろう』

 

 「これ、ギリシャ神話の本で見た事が…」

 

 気絶はしなかったがアテナは自身の負けを潔く認め、私に玉座の裏に立て掛けてあった三叉の槍を渡して来たのだが嫌な予感しかしない。

 

 『うむ、我が処女神だと知りながらポセイドンの奴に襲われた時に抵抗して奴の金的を蹴り飛ばして奪った槍が神槍ネプチューヌだ。奴は未だに無くしたと思うとるし構わんだろ?』

 

 案の定、他の神から奪った神槍だった。

 

 ただ、一つだけ文句は言いたい。

 

 「何、私に厄介物を押し付けてるのよ!!

 

 これって、ポセイドンに狙われるじゃない!!」

 

 『うぬ、そうか?』

 

 「当たり前よ!!」

 

 全力で突っ込み、アテナの顔面を再び殴る。

 

 バッキィ

 

 『ヘッブラァ!?

 

 やはり、良いパンチよ。

 

 このまま、世界を狙わぬか?』

 

 「なんで、ボクシングのチャンピオンを狙わなきゃいけないのよ!!」

 

 と最後までボケをかますアテナだったが、私を送る際真面目な顔になった。

 

  『十夏よ、済まぬが我が従姉妹のアルテミスを止めてやってくれ。あ奴は、主が汝を失ったと思い泣き続ける主に怒り狂い、アルテミスは闇と病を司るヘカーテとなり権能を使いながら暴走するだろう。もし、権能を使われたら病魔が人々を襲い病気に侵して殺めるだろう。我の可愛いアルテミスを…』

 

 「千秋だって、私の可愛い妹よ。

 

 ぶっ飛ばしてまで、二人を助けるわよ」

 

 私はアテナにアルテミスの事を託され、あの世界に戻ったのだ。

 

 

 

 

 しかし、アテナが駄女神だと忘れていた私。

 

 

 『あっ、十夏を元の幼い姿に戻すのを忘れてた…

 

 まぁ、楽しそうだから良いよね?』

 

 と下界を見ながら私は更に楽しくなるだろうと降臨する為に神殿へと戻ったのだった。

 

 『うふふ…織斑十夏。

 

 我の至高の玩具。

 

 また、我を愉しませてくれるだろう』

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