謹慎が明け、私達姉妹はマドカ叔母さんと一緒に修理が終えた実家へと帰省していた。
私達の実家、中華料理店織斑は日本政府からの襲撃で半壊して住めなくなったが、日本政府が起こした織斑邸襲撃事件と臨海学校の最中に私達を狙った織斑姉妹殺人未遂事件やビスマルクⅡ襲撃事件が発覚して内閣は総辞職している。
そして、日本政府から何億円もの多額の賠償が払われて実家は綺麗に修理されたのだ。
マドカ叔母さんは一足先に帰省した姉が心配となり、学園での双子姉妹の監視と無慈悲な訓練を辞めて、自宅の地下アリーナで行う旨を中国で夫と居る義姉の鈴音にスマホ片手に報告していた。
『はぁ⁉
アンタ達よりも先に千冬義姉さんが帰った!?』
「ナターシャ先生の話だとそうなるね」
『まさか、30年物の白酒芽台酒が狙いじゃないでしょうね!!』
「えっ!?
それって、セシリア義姉さんとメアリー義姉さんとの結婚式用に、お兄ちゃんが中国から空輸便で取り寄せた超高級酒だよね!?」
『一本、20万円以上はするお酒よ!!
マドカ、良い?
絶対に飲ませるな!!
只でさえ、今度の結婚式はメアリーとセシリアの親戚関係でイギリスの貴族が来るのよ!!
飲まれて在りませんじゃ、いい恥さらしよ!!』
「頑張ってみるよ鈴姉さん……はぁ……」
スマホの通話を切り、溜息を吐く。
十夏と千秋には丸聞こえだった様で、黒騎士を展開して先に行けと言わないばかりの視線を送って居たが、鈴姉さんとお兄ちゃんから頼まれた双子姉妹の監視を投げ出すには行かなった。
「十夏?」
「先に行っても…」
「それは無しだ。
仕方ない。
SEだけ展開しろ。
お前等を抱えて飛んで行く」
「「えっ、マジ!?」」
「うるさい!!
駄姉より、鈴姉さんの方が怖いんだ!!」
最早、ママの怖さに涙目で叫ぶマドカ叔母さん。
こないだの決闘を観た事で、現役時代よりも恐怖が身に染みた様で、私達姉妹もママには逆らわない様にする様になったのだ。
あんな、必殺技を食らったらと思うとマジで怖い。
マドカ叔母さんと同じくママが怖い。
SEだけを部分展開して、マドカ叔母さんの黒騎士に抱えられて急遽、自宅に帰省したのだ。
肝心のメアリーとセシリア親子は結婚式で着るウェディングドレスとオーロラのサニードレスの採寸中らしく、イギリスに帰っていたりする。
一方、新しく直った織斑邸では鈴音とマドカの予想を遥かに裏切り織斑千冬達数名は酒を煽り、厨房では三姉妹が半泣きしながら無理矢理に料理を作らされ酒宴状態だった。
もし、家主の一夏が見たらブチギレ案件であり、織斑千冬の運命は既に決まっていた。
そう、裁判無しの死刑だと言える。
中華料理店の新しく作られた宴会会場では
「美味い酒だな」
帰って来た時に、搬送業者から受け取った木箱をこじ開けて中に入っていた高級酒を片手にラッパ飲みをする織斑千冬。
「そうだね。ちーちゃん」
酒の入ったグラスを片手にしながら、孫娘が作る料理を肴にして酒を飲む篠ノ之束。
「下界の酒は美味いな…」
正体に気付いた三姉妹の長女を一睨みで黙らせて銀杯を片手に飲むのは、金髪のロングヘアーの髪型に眼は碧眼で服装はジーパンにブラウスと男勝りの性格をしている美しい女性。
「お姉様、お替りのお酒です」
同じく、もう一人は銀髪で赤い眼をした女性は従姉妹の姉にベッタリしながら酌をしながら微笑む女性。
「「……」」
ドイツに帰るからと挨拶に来たのに、お酒を無理矢理飲まされ、下戸な為に気絶したラウラとクロエの姉妹。
「きっ、貴様は!?」
「黙れ…人に墜ちた女神などはな?」
「やはり、貴様は!?
レナス、シルメリア逃げるぞ!!」
「えっ、姉さん⁉」
「姉様!?」
「我から逃げられるとでも?」
「ぬっ、わァァァ⁉」
「「キャァァァ!?」」
「ヒック…ボーデビィッヒ三姉妹。
悪いが、つまみでも作くれ…」
「怒られますが?」
「知らん…」
金髪の女性の正体に気付いて、ヴァルキュリアを展開して妹二人を抱えて咄嗟に逃げようとするが呆気なく捕まり、千冬により厨房に押し込められて彼女達が酒を飲む為の肴となる料理を作らされる長女のアーリィと姉を手伝おうとする次女のレナスに三女のシルメリアの三姉妹。
カオスである。
自宅までマドカ叔母さんの黒騎士に抱えられて帰省した私達が見た光景は地獄だった。
修繕仕立ての綺麗だった中華料理店の宴席室は木箱が開けられて木片のゴミと飲んだだろう酒瓶が大量に散乱していると言う惨状。そして、飲んだだろう犯人達は泥酔して未だにどんちゃん騒ぎしており、厨房に閉じ込められた親友の三姉妹は大量の料理を作らされた為に体力を使い果たして蹲り屍のように果てていた。
先に、酔い潰れていた束先生を特殊ワイヤーでふん縛り、冷凍庫へ連行。
「まーちゃん!?
れっ、冷凍庫は凍るからダメだよ!?」
「駄兔は凍ってろ!!
結婚式用の酒を飲みやがって!!
それと、駄姉!!」
「まっ、マドカ!?」
千冬叔母さんを見付けてキレたマドカ叔母さん。
私と千秋も見覚えがある女性に近づき
「「駄女神!!」」
「げっ、十夏!?」
「ち、千秋!?」
とキレた三人は首根っこを掴み地下アリーナへ連行。そして、怨み晴らすべくついて来たアーリィーさんとシルメリアにレナスの三姉妹。
私は得物である神槍ネプチューヌを持ち
「覚悟は良いわね?」
千秋は神弓アルテミスを構え
「頭を冷やそうか?」
アーリィーさんは漆黒のヴァルキリーメイルを纏い神槍ブリューナクを構えて
「レナスが私達を再び、ヴァルキュリアに戻してくれた。覚悟は良いな?」
シルメリアさんも同じく群青色のヴァルキリーメイルを纏い、神弓ユグドラシルを構えて
「お姉様を泣かした罰、受けて貰います」
レナスも蒼穹のヴァルキリーメイルを纏い、神槍グングニールを構えて
「人に墜ちた訳じゃない。こんな力は要らないから封印しただけ。
さあ、神々の黄昏でも始めましょうか?」
と女神アテナと女神アルテミスを睨み対峙したのだ。
そして、マドカ叔母さんも黒騎士を展開して
「今日と言う今日は許さない!!
駄姉、覚悟!!」
「待て!!
そんなので撃たられたら死ぬ!!」
「死ねって言っている!!」
と酔って居ながらも走って逃げる千冬叔母さん。
そして、スターゲイザーを足元に狙い撃ち、追いかけるマドカ叔母さん。
「このままでは…来い、暮椿!!
って、何故展開が出来ない!?」
「駄姉、暮椿は連行する途中で没収した!!
大人しく、クタバレ!!」
「なっ、何だと!?」
暮椿を没収されていた事に更にピンチになる千冬叔母さんは逃亡を選択するが、生身で逃げ切れる訳でも無くマドカ叔母さんにより瞬時加速からのラリアットを食らって半殺しにされ、千冬叔母さんは全身打撲と両足の骨折で全治2ヶ月の重傷を負うことになった。
そして、私達はアテナとアルテミスをぶっ飛ばす為に戦うが
「我に刃向かう愚か者が!!」
とアテナは叫び、私達は光に包まれた。
「「「「「きゃぁ!?」」」」」
光に包まれた私ダボダボが感じた違和感。
それは…
「うっぇぇ…ふくがゆるゆる…」
「あてな、なにしゅるのだ!!」
「姉さん!?」
「おねえしゃま?」
「あるてみす、ゆるしゃない!!」
そう、私達は幼女にされていたのだ。
臨海学校前よりも幼く、舌足らずな喋り方になる私達は、幼女にされた事で持っていた得物は重くて持てなくなり、レナスだけが何か違うBGMが流しながら女神二人を睨んでいた。
「「なっ!?」」
「ふむ、お二人は私がOSでは隠れた裏ボスだったの忘れたか?」
凛々しくもあるが所詮、幼女レナスだと舐めていたアテナ。
「まさか……セラフィックゲートのレナス・ヴァルキュリア!?」
漸く、正体に気付きたじろぐ駄女神。
「フッン!!」
「キャウン!?」
「にっ、逃げになくては!?」
「逃さん!!」
「お尻を叩くのいやぁぁぁ!?」
「悪い子にはお尻ペンペンだ!!」
「いやァァァァァ‼」
レナスはグングニールの石突で逃げるアテナのお尻を叩き躓かせて、コケた所を柄で頭を殴り意識を刈り取ったのだ。
そして、逃げるアルテミスにも同じ様にダッシュで近付き腰を抱えると、パンツを脱がしてお尻丸出しでお尻を叩いたのだ。
そして、レナスは再び私達を元に戻すと何も無かった様にアリーナの壁に寄り掛かり眠ってしまったのだ。
「お姉ちゃん、駄女神どうするの?」
「そうね…こうしましょ!!」
拡張領域から出した神社にある様な締め縄を出して、頭を叩かれ気絶しているアテナとお尻を叩かれてお尻を真っ赤に腫らしたアルテミスをふん縛り捕獲して、アーリィさんがアリーナの隅の床に穴を開けていたらしくて、二人を開けた穴に蹴り落とすと拡張領域から出した岩で蓋をして締め縄で縛ったのだ。
「日本古来の封印方法だが、奴等には良い薬だろう。後、お婆様達が散らかした後の片付けも私達姉妹もやるとするよ」
私達とマドカ叔母さんの六人で宴席室を片付けてからマドカ叔母さんの特製ラーメンをお昼に食べたのだった。
そして、忘れていたが冷凍庫に投げ込まれた束先生は細胞レベルでオーバースペックなだけに、白く霜が付いただけだったが、酔が覚めたクロエさんとラウラさんにコッテリ絞られて素巻きのまま、二階のベランダから逆さ吊りで一晩中放置されたらしい。