中華料理店織斑   作:ロドニー

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時空旅行 駄女神再び

 

 夏休みも残す所で一週間。

 

 私と千秋はドイツから戻るレナス達三姉妹の部屋の片付けをしたり、中国から帰って来たパパとママに全力で甘えている最中だ。

 

 「「パパぁぁ…」」

 

 「ほら、十夏に千秋。ママが睨んでるぞ?」

 

 「別に良いじゃん。ママは散々パパに甘えたの知っているんだよ?」

 

 「なっ!?

 

 十夏、何故知っているのよ!?」

 

 「ほら、ソファーに寝てる人」

 

 「十夏に売られた!?」

 

 ソファーに寝転びながら週間ISストラトスを読んでいた香蓮は十夏に言われて焦っていた。

 

 「香蓮!!

 

 娘に何を喋ってんのよ!!」

 

 十夏の情報元の香蓮に駆け寄る鈴だが、香蓮は元中国の国家代表。ソファーから瞬時に立ち上がり、部屋ヘ逃げ込み籠城を決め込むが廊下で、イギリスから帰りそのまま入浴して来た風呂上がりのセシリア親子に遭遇する。

 

 「あら、香蓮じゃありませんか?」

 

 「げっ!?」

 

 「げっとは酷いじゃありませんこと?」

 

 「セシリア!!

 

 あの阿呆を確保しなさい!!」

 

 「鈴さんに何をやらかしたかは知りませんが、私も鈴さんには逆らえませんのでね?」

 

 「は〜な〜せ〜!!

 

 娘に鈴の中国でのホテルの出来事を話したのバレたから絶対に殺される!!」

 

 にっこり笑うセシリアは背中から香蓮の腰を抱き上げ

 

 「あら、そうでしたの?

 

 なら、鈴さんチャンスですわよ!!

 

 それと、死んでこいですわ!!」

 

 「セッ、セシリア!?」

 

 「でかしたわよ!!

 

 あんたは娘にホテルでの、あたしと一夏の『R18』を喋ってんのよ!!」

 

 「ゴッフッ!?」

 

 鈴が飛び蹴りを香蓮を蹴り飛ばし、セシリアは一緒に蹴られた反動を利用してプロレスラー顔負けのジャーマンスープレックスを香蓮にかましていた。確かに、夜の惰情を娘に知られるのは恥ずかしいし、鈴を気絶するまで貪るケダモノだと娘に思われたくないので香蓮に手を併せて拝む。

 

 「今度、シロウに覗かれたらやろうかお姉ちゃん?」

 

 「シロウより、駄女神かな?」

 

 織斑邸に居る女性陣が狂暴かつ物騒になっているのは気のせいだと一夏は観ながらだが思っていた。

 

 しかし、娘がシロウに?

 

 「あら、一夏様?

 

 新しい女ですか?

 

 それとも、愛人ですか?

 

 まさか、嫁候補でしょうか?」

 

 もう一人、セシリア親子と入り、風呂上がりの女性にして第三夫人予定のメアリーがにっこり笑って立っていた。だが、眼は全く笑っていない。

 

 「メアリー?」

 

 「はい、織斑様?」

 

 「苗字呼び⁉」

 

 「メアリー、安心して大丈夫よ。

 

 香蓮は割り込む気は無いし、一夏には本気になったらへし折るからって言ってあるわ」

 

 「夜が楽しめなくなるから、へし折っては駄目ですわよ?せめて、私とセッシーに子供が授かるまではね?」

 

 「メアリー、大丈夫ですわよ。そうなる前に私達三人で囲ってしまえば万事解決ですわよ」

 

 鈴とセシリアの助け舟に安堵する。

 

 しかし、ジャーマンスープレックスを食らった香蓮は床でぐったりしながら思う。

 

 この家の真の主は鈴音だと。

 

 しかし、中国で寝泊まりしたホテルでの二日間、ホテルの壁越しに響き聴こえて来る鈴音の嬌声に悶々とされたのは独り身の私には辛かった。

 

 夫婦の営みと言われてしまえばそれまでだが、退職金すら貰えず文無しの私をホテルへ泊めて貰った以上は文句は言えない。

 

 そして、鈴音の娘の十夏は学園の生徒会長らしい。

 

 学生時代、本来なら学園に行くのは私だった。鈴音はオーナーに逢いたい為に学園に行く事を選んだ。

 

 私は軍に残り研鑽を重ねても、国家代表選定会議では学園の卒業後に鈴音が内定していた。しかし、鈴音はオーナーについて行く事を選び、代表候補生すら上層部と喧嘩して辞めてしまった。

 

 そして、舞い込む様に私が国家代表になったのだ。

 

 辞めなければ、鈴音が国家代表だったのに…

 

 そして、私はモンドグロッソ第四回大会では三回戦ではイギリスの元国家代表の近衛騎士団団長となり引退したサラ・ウィルソンに代わり国家代表となったセシリアと戦った。

 

 彼女の戦い方は、セシリアの専用機であるティターニアが妖精を従える女王の様にビットを巧みに従え、レーザーの嵐と偏向射撃で私を蹂躙した。

 

 そして、専用機になる筈だった神龍を受領すること無く引退したのだ。そして、元から料理が得意だったのと漢方薬を取り扱う店が実家だった私は母親に弟子入りして違う道を選び、薬膳料理を専門とする料理人として研鑽した。

 

 鈴音も第五回のタッグトーナメントを最後に引退して夢だった中華料理店を開いた時には違う道で競える事に喜びを感じた。だが、私は母親の実家である大連飯店は虐めの温床で私の母親を知らない料理人から虐められたのだ。

 

 母親から学んだ薬膳料理の素晴らしさを貶す様に…

 

 ここで働く様になってからは充実していた。

 

 私が処方する漢方薬の効き目に喜ぶ老人やダイエットをしたい女子高生には薬膳料理を勧めたりと忙しくもあり楽しいと思える。

 

 最後に一夏さんと博士の尽力により、引退しなければ受領する筈だった神龍は、二次試験で亡国機業の残党から奪い返して中国へ返還されたが、博士が中国政府と交渉してくれて新たなコアと引き換えに私が神龍を受領したのだ。

 

 だから、この子と一緒に戦いたいし、空を自由に飛びたい共思う。

 

 無限の空へ…

 

 

 

 

 翌日、私は漢方薬が届くまでは暇な為に鈴音の娘である十夏に模擬戦を申し込んだ。

 

 「うん、香蓮さんやろう」

 

 地下アリーナで展開される彼女の専用機は名前のアテナの様にギリシャの女神アテナを思わせる様な美しいISだった。

 

 私は中国版ハルバードであり、三国志の英傑呂布の武器だった方天画戟を振り回しながら、瞬時加速しながら斬り付けようとするが学園の最強である生徒会長と思わせる様にシールドで受け流しながら、三叉槍で三連続の突きをカウンターの様にしてくる。

 

 「くっ!?

 

 まさかのファランクス!?」

 

 「じゃあ、行くよ!!」

 

 二重瞬時加速のスピードを生かしてシールドバッシュから体勢を崩しに掛かられ、突きや払いに連続突きなどを流れる動作で攻めてくるが元中国の国家代表の私は簡単にはやられない。突きは払い返し、連続突きはスラスターを軽く吹かして左右に動いて躱す。

 

 そして、方天画戟を振り回しながら遠心力とパワーでシールドを叩き込み後退させる。

 

 「香蓮さん、強い!!

 

 じゃあ、本気で‼」

 

 アテナの全身に至る所にある展開装甲がを展開し、更に加速する。そして、翼の様なウイングバインダーは巨大な光の翼を形成していたのだ。

 

 まるで、女神の様に…

 

 「光の翼…まさか、七世代!?」

 

 「残念、六世代機だよ」

 

 「六世代!?」

 

 六世代だと聞き驚愕する。

 

 六世代の特徴は小型化高性能機を示していた。四世代はマルチロールと展開装甲、五世代機は巨大化とビーム兵器の採用が特徴だった。そして、高出力と巨大化してきた機体を小型化して、さらなる高性能化を示すのが第六世代なのだ。

 

 さらに、言えばナノマシンを利用した超高出力の光の翼とバイオセンサーシステムのオーバーロードにより全体に高熱を帯びるが展開装甲を排熱利用として展開し(その際、全身が黄金色に輝く)超ハイパワーとハイスピードを可能にしたスーパーモードは第七世代の特徴だったりする。

 

 副産物として、唯一の七世代型の白椿と黒椿は質量のある残像が理論上可能となっているが燃費が悪くなったのは言うまでもない。

 

 十夏は知らないが実はアテナはセカンドシフトした際に6.5世代型に世代間シフトしている。なので、光の翼の展開が可能となったのだ。

 

 ハイパーセンサーでも、捕らえきれないスピードに加速するアテナはラピッドスイッチで片手直剣である魔剣レヴァティンを抜き、神龍の方天画戟を細切れにする。

 

 「くっ、はっ早い!?」

 

 「これで!!」

 

 超加速したアテナはシールドを前面に構えてシールドバッシュで私を吹き飛ばす。

 

 そして、何故かアリーナの端にある岩に叩きつけられ岩が一緒に砕ける様に、私も気絶し神龍のシールドエネルギーもゼロになったのだ。

 

 

 

 

 香蓮さんには勝ったけど、嫌な予感しかしないのは何故だろと私は思う。

 

 砕けた岩?

 

 「あっ、ヤバイ…」

 

 思い当たる節はあった。

 

 それは…

 

 『ふっ、ははははは!!

 

 やっと、出られたぞ!!』

 

 『そうですわね!!

 

 十夏、千秋覚悟なさい!!』

 

 綺麗だった髪はボサボサで締め縄で締めていたせいで古代ギリシャの純白ドレスはヨレヨレの姿だが、あの二人だった。

 

 女神アテナと女神アルテミス

 

 慌てて、妹の千秋がアルテミスを展開してアリーナに来る。

 

 「お姉ちゃん!!」 

 

 そして、パパとママも管制室から飛び出し、パパが白椿を展開して、ママは直ったばかりの黒椿を展開して来たのだ。

 

 「十夏、まさか彼女達が?」

 

 「一夏、まさかよ」

 

 「うん、パパ、ママ。

 

 アレがアテナとアルテミスだよ」

 

 『十夏、我をアレとは酷いでは無いか?』

 

 「駄女神、酷くないよ? 

 

 アテナもアルテミスもメアリーママとセシリアママの結婚式用のお酒飲んだでしょ?

 

 だから、当然!!」

 

 「お姉ちゃんの言う通り‼

 

 パパとママが苦労して集めた年代物のお酒だったんだよ!!」

 

 「良い娘に育ったわね、一夏」

 

 「そうだな、鈴」

 

 『だが、我達を封印した報いは受けてもらう!!』

 

 「「「「なっ!?」」」」

 

 アテナが胸の谷間から取り出した砂時計。

 

 砂時計を逆さにすると、私達姉妹とパパとママの4人の下に魔法陣の様な模様が浮かび上がり吸い込まれたのだ。

 

 「「「「きゃぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

 そして、私達4人は意識を失ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い砂浜、奇麗な海。

 

 目覚めたあたしの他には砂浜で娘達と一夏が気絶していた。

 

 黒椿のモニターに映る日付は…

 

 「嘘!?

 

 20■■年7月■■ですって!?」

 

 

 決して忘れもしない。

 

 大好きで大切な一夏が重傷を負った、あたしが学生時代に起きた銀の福音事件の当日の朝だった。

 

 そして、あたしが力の無さを実感した事件なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

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