中華料理店織斑   作:ロドニー

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時空旅行 銀の福音事件 前編

 

 目が覚めると砂浜で、先に目覚めただろ鈴が泣きながら錯乱していた。何時もなら気丈な鈴の面影は一切無く泣きじゃくる。

 

 まるで、迷子で母親と離れた幼子の様に…

 

 「一夏…

 

 一夏が…

 

 一夏がまた傷付くの?

 

 嫌ァァァァァ!?」

 

 白椿のモニター示す日付はやはり…

 

 「鈴!!」

 

 「ふっ、ふぇ?

 

 い…ち…か…な…の?」

 

 「そうだ‼

 

 俺の心臓の音が聞こえるだろ?」

 

 「うん…聞こえる…」

 

 錯乱する鈴を優しく抱きしめる。

 

 抱き締められ左胸に埋める鈴が、俺の心臓の音を聴き落ち着いていく。少女と言ったら殺されるが、一人の少女の様に小さくなり安心した様に抱き締め返して甘える。

 

 「大丈夫だ。

 

 俺が居る」

 

 「うん…い…ち…か…」

 

 やはり、鈴が錯乱した原因なのは銀の福音事件だった。過去に俺は鈴を庇い死に掛け、今回は十夏もだったから無理も無い。

 

 そして、今日の日付があの日なのだから仕方ない。

 

 そう、あの日…

 

 一度は銀の福音を専用機持ち全員で撃墜するが、セカンドシフトした銀の福音には一切敵わず一度は壊滅的打撃を受けた。

 

 その時に、俺は紅椿を纏う箒を銀の福音の凶弾から我が身を盾にして庇い、背中には大火傷とお腹を貫かれて一度撃墜された。

 

 そして、俺は銀の福音から受けた攻撃により海に落下して意識不明の重傷を負いセシリアに抱えられ、シャルが護衛して搬送される形で旅館へ運ばれた。

 

 旅館で目覚めた時には、鈴やラウラにセシリアやシャルに箒に簪が旅館から抜け出してセカンドシフトした銀の福音と戦っていた。そして、皆の危機にセカンドシフトした白式・刹那で皆の所に合流して銀の福音を再び撃墜した。

 

 だが、ここで銀の福音は終わりナターシャを保護する筈だった。

 

 しかし、銀の福音はサードシフトしてしまったのだ。

 

 銀の福音は自分を愛し大切にしてくれるナターシャが大好きで、大切な一人の女性いやパートナーを守る為に世代間シフトしてまでも…

 

 手が付けられ無い程の圧倒的な戦闘能力を有したサードシフトした銀の福音は、回復能力がある最も厄介だと自己判断して箒の紅椿を狙い秒殺し撃墜するが箒は海に落ちて無事だった。

 

 次に、低燃費で戦闘持続能力で厄介だと判断した鈴の甲龍を狙い、リミッターを切っただろう収束ビーム砲は鈴をロックオンしていた。

 

 もし、直撃すれば鈴が貫かれて死ぬ。

 

 だから、俺は再び庇った。

 

 この時には、鈴が好きだと気付き鈴も同じ気持ちだと判ってしまったから…

 

 鈴を突き飛ばしたが、収束ビーム砲は絶対防御が貫通して俺の胸を貫いた。胸を貫かれ意識を無くしながら俺は大量出血して鈴の胸の中に落ちて抱えられた。

 

 抱き締めながらも、俺から流れる大量の血でISスーツと甲龍が血で染まり、泣き叫ぶ鈴の姿を俺は意識が朦朧としたまま観ていた。

 

 今でも、あの日の泣きじゃくり泣き叫ぶ鈴の姿を忘れられない。

 

 この時に、庇われた鈴が力の無さを目の当たりにして、俺の隣を歩みながら強くなろうと決断したと鈴から聞いていた。そして、卒業と同じくして無理矢理ついて来た理由でもある。

 

 この時に、俺も普通の人ではない事に気付いた瞬間でもあった。

 

 貫かれた胸は俺の本来の回復能力(後に、千冬姉と束さんを問い詰め、織斑計画の全貌を知り文化祭で襲撃して来たマドカと早期和解を果たす事になる。そして、娘二人が俺の遺伝子により人外化する理由だった。無論、鈴には全て話している)と白式の人体回復能力が傷口を瞬時に塞ぎ、白式も俺を失いたくない一心からコアが独自に進化してサードシフトしてしまった。

 

 白式のサードシフトした名前は白式・織天。

 

 白式も銀の福音のお互いのコアはパートナーを無くしたくない想いでサードシフトしながらも、世代間シフトまでも果たした五世代型同士の恐竜対決となったのだ。

 

 結果的には銀の福音を撃墜し、ナターシャを保護するも白式・織天も銀の福音との激戦で中破する。

 

 これが、銀の福音事件の真相と鈴のトラウマの原因だ。

 

 因みに、ナターシャはこの事件で兵士として使い捨てにされていた為にアメリカでの戸籍が抹消されていた。そこで、俺と千冬姉の提案により学園の教師となったのも、この事件が原因だったりする。

 

 

 そして、未だに胸の中で甘える鈴。

 

 「エッへへ…い…ち…か…」

 

 「「んっ、んん!!」」

 

 わざとらしい咳払いにジト目で母親を睨む目覚めたばかりの娘が二人。

 

 「目覚めたか?」

 

 「うん、目覚めたよ。パパ」

 

 「うん、だね。

 

 なんで、ママが子猫みたいに甘えているのかな?」

 

 「あっ…十夏と千秋に…見られたァァァァ!?」

 

 鈴がトラウマから復帰し、これみよがしに甘えていたが娘二人が目覚めた事に見られ絶叫するも遅かった。

 

 「何時もの事だしね?」

 

 「そうだね、お姉ちゃん…」

 

 「何ですって…」

 

 「ママ、そんな激甘の空間に居たら誰でも起きるよ?

 

 事実、千秋が砂糖を吐きかけていたしね」

 

 「お姉ちゃん、口の中がザラザラしてまだ甘ったるいよ…」

 

 コレをネタに娘から弄られる鈴。

 

 何時もの光景だが、そんな時に白椿のレーダーに写る7つの反応。

 

 レーダーに映る友軍表示から示される機体は白式、紅椿、甲龍、シュバルツア・レーゲン、ラファール・リヴァイブカスタム、ブルーティアーズ、打鉄弍式の7機だった。

 

 「一夏、始まったわね…」

 

 「あぁ、不味いな…」

 

 「「うん?」」

 

 娘二人は銀の福音事件を資料でしか知らないから、首を傾げるのは仕方ない。

 

 しかも、資料は事実を隠す為に銀の福音がセカンドシフトした段階で解決した事になっており、ナターシャさんはアメリカ軍を退職する形で教師になった事だけしか資料にない。

 

 謂わば、事実を隠す為に嘘で塗り固められた資料なのだ。

 

 ナターシャの身の安全と銀の福音を護る為に。

 

 「なら、一夏を助けなきゃ!!」

 

 再び、鈴が錯乱する。

 

 「落ち着け!!」

 

 「一夏が傷付くのを、あたしに観ろって言うのあんたは!!」

 

 「だから、落ち着け!!」

 

 「むっぐっ!?

 

 んっ…」

 

 「「わっおぉぉ…パパ大胆…」」

 

 遂には、黒椿を展開しようとするが、俺が鈴を無理矢理抱き締め唇を奪う。そして、娘は咄嗟の出来事に顔を真っ赤にしながら手で覆うが指の隙間からまじまじと覗いていた。

 

 「ぷっはぁ…あんた、娘の前で何してんよ!!」

 

 二人の唇の間に唾のアーチを作りながら唇を離す。そして、顔を真っ赤に鈴は怒るが何時もの鈴に戻っていた。

 

 「でも、落ち着いただろ?」

 

 「まぁね。

 

 十夏と千秋は見た事を忘れなさい!!」

 

 「「……」」

 

  まだ、親の濃厚なキスを前に免疫の無い娘二人は固まったままだった。

 

 

 

 「一夏は暫くは手を出さないと?」

 

 「歴史改変となったら恐ろししな」

 

 「パパ、私と千秋が行けば?」

 

 「駄目だな。

 

 只でさえ、十夏と千秋は俺と鈴に似ているからな、勘の良い千冬姉だとバレる可能性が在るし、この時代の俺と鈴の関係が崩れかねない場合ある」

 

 「一夏、平行世界の可能性は?」

 

 「だからの様子見だ。

 

 一応、何時でも介入が出来る様に準備だけはして置いてくれ」

 

 パパの締め括りに、ハイパーセンサーで監視する。

 

 ママの言う通り、学園の一学年の専用機持ちがナターシャ先生の専用機銀の福音を撃墜していた。

 

 「ちぃ!?

 

 鈴、十夏、千秋行くぞ!!」

 

 パパが舌打ちした時には、セカンドシフトした銀の福音がママやセシリアママにラウラさん、簪博士を纏めて一掃し、箒先生を狙う銀の福音と箒先生を庇おうとするパパだった。

 

 

 パパとママは白椿と黒椿を展開して、展開装甲と光の翼を展開して加速する。

 

 私も千秋もアテナとアルテミスを展開して、同じ様に展開装甲と光の翼を展開してパパ達を追ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、織斑邸では親子四人のISコアの反応が消えた事に慌てたのがドイツから戻った束だった。学園の車庫に走り乗り込むのは、自分の愛車である赤いトヨタ2000GTに乗り国道1号線を疾走する。

 

 「いっくん、鈴ちゃん、十夏ちゃん、千秋ちゃん…」

 

 呟きながら、クラッチを蹴り急カーブをセンターラインを割らないまま時速120km/hを維持して慣性ドリフトしながら曲がっていく。

 

 「凄えドリフトだったな…」

 

 「あぁ…」

 

 最早、レーサー顔負けの技術であり細胞レベルの人外は現在だった。

 

 

 織斑邸に着き、店内と二階と三階の部屋を探すがマドカと脳筋に残念貴族を探すが居ない。居るのは、セシリアの娘のオーロラと厨房に居たシロウと新しい女性(香蓮)だったが女性からアリーナに向かったと聴き、地下アリーナへ向かう。

 

 そして、束が見たのはアリーナの床には二丁のドラムマシンガンを持ったまま倒れて気絶したセシリアと二人の女性(アテナとアルテミス)とマドカと脳筋の二人が戦う光景だった。

 

 「貴様!!

 

 お兄ちゃん達を何処にやった!!」

 

 「一夏様達を返しなさい!!」

 

 マドカはナイフで二人に斬りかかり、メアリーも同じく二人に大剣片手に斬りかかる。

 

 そして、アリーナの空中の中心に浮かぶ砂浜時計。

 

 二人の激闘はまだまだ続く。

 

 

 

 

 セカンドシフトした銀の福音は余りにも強かった。

 

 「箒、無事か!!」

 

 「あぁ、無事だ一夏!!」

 

 白と紅のコントラストに銀色の戦う光景は砂浜に倒れている赤と黒と蒼に橙に緑の機体は鈴達だった。まだ、シールドエネルギーはあるが戦闘能力は既に無かった。

 

 牙を折られた獣の様に

 

 「La♪」

 

 全身から放たれるビーム砲の弾幕に近付く事は勿論の事だが、ここまで濃密な弾幕は大切な女性を守るナイトだとハイパーセンサーから見る俺は思ってしまう。

 

 「カウントダウンで零になったら、千秋は遠距離からの狙撃、十夏は俺と鈴が斬り込むからイージスの盾で銀の福音を拘束する良いな!!」

 

 「「「了解!!」」」

 

 

 

 

 「くっ!?

 

 近寄れない!?」

 

 「一夏!!

 

 単一仕様『絢爛舞踏』を発動!!」

 

 「箒、助かる」

 

 俺達二人でも勝てない状況と更に狂暴化する銀の福音。

 

 そんな時だった。

 

 「セカンドアビリティ『アルテミスの矢』を発動!!

 

 アローレイン!!」

 

 「「えっ!?」」

 

 銀の福音に多数刺さる矢。

 

 「単一仕様『イージスの盾』を発動!!

 

 メデューサに睨まれて固まりなさい!!」

 

 「「へっ!?」」

 

 針鼠化して逃げようとする銀の福音は真っ赤な鎧の様なISを纏う少女に拘束されていた。

 

 「行くわよ!!

 

 単一仕様『獅子奮迅』を発動!!

 

 これでも、食らいなさい!!

 

 デッドリーアサルト!!」

 

 「「なっ!?」」

 

 赤いISを纏い、鈴を大人にしたような女性が消えると銀の福音が上下左右に揺れながら装甲を撒き散らす。

 

 そして、最後は俺が使う単一仕様と同じだった。

 

 「単一仕様『零落白夜』を発動…」

 

 唯の一閃だが、俺には全く見えなかった。

 

 そして、謎の4人は俺達の前に現れた。

 

 「無事だったか?」

 

 「ちょっと、一夏狡いわよ!!」

 

 「「そうだそうだ!!」」

 

 金髪の女性は白いISを纏う男性にお姫様だっこで抱えられているが、三人の女性からジト目で睨まれて抗議していたのは気のせいだと思いたい。

 

 だが、よく男性を見れば俺の顔に似た顔だったが、漂う雰囲気は千冬姉と同じだった。

 

 そして、腕に抱き着く女性は鈴を大人にしたような女性だが、口調そのものは鈴だったと言える。

 

 しかし、もう二人いた筈だが居ない。

 

 「なぁ、鈴。

 

 アレは不味くないか?」

 

 「そうね。

 

 アレは流石に、あたしでもキレるかも…」

 

 「「えっ?」」

 

 下の砂浜を見れば、二人の女性が鈴音を抱き締めていた。

 

 「ママの若い頃だ〜!!」

 

 「本当だ!!

 

 かなり、可愛いだけど!?」

 

 「うっがァァァ!!

 

 誰が、あんた達のママよ!!

 

 デカイ胸であたしの顔を挟むなぁァァァ!!

 

 デカイ胸は嫌味か?

 

 あたしに対する嫌味よね?

 

 頭を撫でるなァァァ!!」

 

 十夏と千秋が『ママだ‼』と叫びながら、若い頃の鈴音(若い方)を抱き締めて愛でている最中だった。急成長した二人の胸は千冬姉クラスまであり、二人の胸に挟まれた鈴音には少し拷問に近い。

 

 そして、カオスは更に混迷を極める。

 

 「鈴さんを抱き締めているのが娘ですって!?

 

 一夏さん、ご説明を!!」

 

 スナイパーライフルを構え、青筋を浮かべるセシリア。

 

 「へぇ…一夏にこんな可愛い娘が居たんだ…

 

 しかも、鳳さんの娘なんだ…」

 

 ヤンデレ顔のシャルロットはショットガンを構え、一夏と鈴音を狙う。

 

 「シャル!?

 

 違わうわよ!!

 

 そうしたら、あたしは何歳で生んだのよ!!

 

 それよりも、あたしはまだ処女よ!!」

 

 顔を真っ赤にしながら叫び、処女だとカミングアウトする鈴音。

 

 「ほう、嫁には娘が居ると?

 

 浮気は良いが、娘が居たとなるとな?」

 

 パンツァーカノーネを一夏に狙いを定めるラウラ。

 

 「なぁ、一夏の娘なのか!?

 

 いつの間に鈴音と作ったんだ!?」

 

 白式の肩を揺らしながら問答を始める箒。

 

 娘が巻き起こしたカオスである。

 

 そして、無邪気に今度はセシリアを抱き締める。

 

 「あっ、セシリアママだ!!」

 

 「若くて、お肌がスベスベだよ!!」

 

 「ちょっと、辞めてくださいまし!?

 

 私も処女ですのに⁉」

 

 「なぁ、止めた方が良いか?」

 

 「そうね。

 

 十夏、千秋

 

 辞めなさい!!」

 

 「「は〜い!!」」

 

 セシリアと鈴音はカミングアウトしたせいで顔を真っ赤にしていた。あたしでも恥ずかしい。

 

 戻って来た二人に拳骨を鈴が落として騒ぎは沈静化する。

 

 「ちゃんと二人に謝りなさい!!」

 

 ゴッチン

 

 「「はっう!?」」

 

 (((((アレ、絶対に食らったら頭が吹き飛ぶ…)))))

 

 若き一夏を含み、鈴の拳骨を観て同じ意見で合意していた。

 

 「で、あんた達は誰よ?」

 

 「あんた、少しは敬語を覚えなさい」

 

 鈴がため息を吐き、若き鈴に忠告する。

 

 「悪かったわ。あたしは鳳鈴音よ」

 

 「あたしは織斑鈴音、隣に居る織斑一夏の妻よ。若き日のあたし」

 

 「「「「「「えっ?

 

 えぇぇぇぇぇ!?」」」」」

 

 鈴が落とした爆弾に絶叫の嵐だった。

 

 「じゃあ、隣りに居るのはまさか?」

 

 シャルの質問に鈴は答える。

 

 「あたしと一夏の娘で双子の十夏と千秋よ。

 

 で、十夏は学園の生徒会長よ」

 

 「「「「「なっ、何だってぇぇぇ!?」」」」」

 

 既に鈴は若き日の俺達で未来を暴露しながら遊んでいた。

 

 暴露され絶叫するのは当然だが、十夏と千秋は若き日の鈴とラウラが気に入り抱き締めながら愛でている。

 

 若き日の俺は、砂浜の隅っこでラヴァーズに問答無用でズタボロにされ放置されていたのは言うまでもない。

 

 そして、一先ずエネルギー切れで展開出来ないシャルとラウラを抱えて旅館へと戻ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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