中華料理店織斑   作:ロドニー

44 / 53
時空旅行 臨海学校終結

 

 

 模擬戦終了後は、大広間ではズタボロに負けて包帯やら湿布やらで怪我人姿で落ち込む七人とラウラを抱きしめて愛でながら、昼食を食べる双子姉妹の光景は異様な空気を醸し出していた。

 

 「はい、あ〜ん」

 

 「ひっ、一人で食べれる!!」

 

 「は〜い、お口開いてあ〜ん」

 

 「うむ…モグモグ…」

 

 「「マジ、レナス並みに可愛い…」」

 

 (((((ラウラさんにあんな事が出来るなんて勇者だ!?))))

 

 双子姉妹に抱き締められながら、あ〜んされながら昼食を食べさせられ、見守る生徒達は双子姉妹を勇者だと思ってしまう。

 

 しかし、ラウラの服装は浴衣姿では無く、クロエ謹製でありレナスの小さい頃の黒のゴスロリドレスに着せ替えられている事を生徒達は気付いているが、似合い過ぎて愕然としなからもサラリと流してくれている当たりはラウラへのせめてもの情けだったと言える。

 

 そして、もう二人は模擬戦で負けて落ち込みながらも、二人だけの甘い空間を作り上げていた。

 

 「一夏、はいあ〜ん」

 

 「鈴、美味いな。

 

 じゃあ、鈴にもあ〜ん」

 

 「もう///一夏ったら…」

 

 ((((((甘過ぎる…)))))

 

 二人で食べさせ合っている空気に、醤油やら塩やらの減りが早くて仲居は別の意味で忙しかった。

 

 だが、もう一組を忘れてはいけない。

 

 調理服を纏う二人の男女は厨房で食べていたが、甘過ぎる空間から耐え切れなかった仲居達から厨房を追い出されて娘の隣りで賄い飯を仲良く食べている。

 

 「一夏、頬にご飯粒が付いてるわよ」

 

 チュ

 

 「あっ、悪いな鈴」

 

 (((((もう、イヤ!!)))))

 

 そう、その男女二人とは十夏と千秋の両親であり織斑夫妻だった。

 

 夫妻の天然ないちゃつき振りは、二人仲良く食べる若い二人よりも、新婚の夫婦のような濃厚でピンク色空間へと大広間全体を染め上げていた。

 

 流石の娘である十夏と千秋ですら、ラウラを甘やかしながらも更に愛でる事で甘ったるい空間を誤魔化すが他の生徒からしたら迷惑この上ない。

 

 「ブラックコーヒーを買いに行ってくる!!」

 

 一人の生徒が我慢出来ずにとうとう砂糖を吐き、ピンク色空間に耐え切れずに自販機へ逃げ出すと

 

 「私も行く!!」

 

 「「「私も!!」」」

 

 芋づる式の様に一斉に大広間から自販機へと逃げ出したのだった。

 

 「「「「学園最強の実力の半分だなんて…」」」」

 

 ただ、唯一逃げなかったのは織斑先生により双子姉妹が実力の半分も出していなかった事と単一仕様無しでズタボロに負けて、事実を知って落ち込む専用機持ち達だけと言って置こう。

 

 

 場所は変わり、旅館の側の崖では

 

 「ちーちゃん、この世界は楽しい?」

 

 「まぁまぁだな」

 

 「そう…ちーちゃん、バイバイ…グッェ!?」

 

 束は帰ろうと崖から落ちようとするが、千冬に慌てた様に首根っこを掴まれて行くことが出来ない。

 

 「待て、束!!

 

 学園の地下にある暮桜の封印を解いて欲しい」

 

 「へっ?

 

 ちーちゃん?」

 

 「本気で闘いたい奴が出来た」

 

 「もしかして、大人のいっくん?」

 

 「あぁ、私ですら無し得なかった二連覇をした一夏と本気でやりたい。我が儘だと言われても仕方ないがな」

 

 「でもさ、世代間による性能の差はでかいよ、ちーちゃん?」

 

 「そこは、束の領分だろ?」

 

 「ちーちゃんから逃げられそうに無いし、仕方ないから束さんも学園に行くよ…」

 

 束は暮桜の封印の解除と改修の為に学園へ行く事になるとは当初は全く思ってもなく、多分だが行けば必ず織斑親子に玩具に成るだろうと内心思いながら肩を落とすしか無かった。

 

 

 

 

 

 IS学園の生徒会室では水色の跳ねた癖毛の女性が、織斑先生からの秘匿回線より送られた報告書では平行世界の生徒会長とその両親が学園に来るから頼むとしかない内容に頭を抱えていた。

 

 「虚ちゃん、向こうの世界の生徒会長って…」

 

 「報告書では、2対7の模擬戦では無傷で勝ったとしか…」

 

 「マジなの?」

 

 「映像ありますが?」

 

 「………」

 

 そんなの知りたくも無かったし見たくも無い。

 

 化け物じみた向こうの生徒会長に喧嘩でも売れば唯では済まない。

 

 だが、大人となった姿の一夏くんには興味がある。

 

 何せ、二代目ブリュンヒルデにして二連覇を果たし、タッグトーナメントでは怒涛の四連覇を果たした猛者。

 

 気になるし、悪戯をしてみようかとは思ってしまう。

 

 

 だが、この時の彼女の思い付きは伴侶と娘の逆鱗に触れてしまうとは知らなかったのだ。

 

 自宅で甘えるセシリアとメアリーなら新しい妻であり母親でもある為に娘の嫉妬の嵐は吹き荒れないが、箒やシャルが腕を組んだだけで台風の様に娘が荒れる。

 

 

 

 そして翌日、旅館では生徒達がバスに乗り込み学園へと帰る準備をしている最中だった。

 

 「大人の方のイチカ・オリムラはいるかしら?」

 

 一組のバスに乗り込んで来たのは、学園に一緒に帰り教師となる予定のナターシャ・ファイルスだった。

 

 「俺だが?」

 

 「貴方がイチカなのね。

  

 私とゴスペルを助けてくれてありがとう。

 

 それと、私に新しい場所もね♪

 

 私の王子さま♪」

 

 「ムッグゥ!?」

 

 「「「なっ!?」」」

 

 『キャァァァァ!?』

 

 お礼を言うと胸倉を掴み引き寄せると、一夏の唇を無理矢理奪ったのだ。

 

 大人の濃厚なキスに黄色い悲鳴を上げる生徒達。

 

 再び、一夏のフラグ一級建築によりナターシャが墜ちて、目の前でのキスと言う光景にこめかみに青筋を浮かべる伴侶はズカズカと車内を歩き、一夏の肩を掴んだのだ。

 

 「一夏、アッチでちょっとO・HA・NA・SHIでもするわよ?」

 

 「待て!!

 

 話せば判る!!」

 

 「問答無用よ‼」

 

 問答無用で一夏は鈴に首根っこを掴まれてバスから引きずり降ろされ、ズルズルと引き摺りながら旅館の側の林へと二人は姿を消したのだった。

 

 「一夏、悪いことは言わないから鈴と付き合うのは考えたらどうだ?」

 

 「多分、大丈夫だろ?」

 

 「何故、疑問系なんだ?」

 

 「大丈夫だ……多分、浮気さえしなければ…」

 

 「多分しか言ってないぞ一夏!?」

 

 夫婦のやり取りを見ていた箒は、将来的に鈴と一夏の仲を予想して心配だった。

 

 逆に、一夏はヤキモチを妬いた鈴の怖さを知り、絶対に浮気をしないと誓うのだった。

 

 そして、林から聴こえたのは鈴の折檻する音と一夏の断末魔だった。

 

 『一夏の馬鹿ぁぁぁぁ!!

 

 我流奥義、デッドリーアサルト!!』

 

 『待て、そんなの食らったら死ぬ!!』

 

 『死ねって、言っているのよ!!』

 

 『ギャァァァァ!?』

 

 チュドォォォォン

 

 (((((あっ、これは死んだな…)))))

 

 しかし、二人がバスに戻ると一夏の頭にたんこぶが出来ているだけで、無事だった事には生徒達は驚愕するも双子姉妹だけはいつも通りだとため息を吐くだけだった。

 

 「全く、一発以外は防ぐんじゃないわよ…」

 

 「いや、防がないと普通に死ぬから!?」

 

 林に向かった二人のやり取りを影から見ながら、一夏を折檻した鈴の拳の速さに全く見えなかったナターシャと織斑先生の二人は

 

 「ナタル、アレ見えたか?」

 

 「見えなかったわね。チフユ…」

 

 「夫の一夏に私は挑もうと思うが?」

 

 「親友として、棺桶と葬儀だけは準備しますね…」

 

 「ありがとうと言いたいたが」

 

 ベッシン

 

 「痛ぁ!?」

 

 「多分、死ないだろ?」

 

 「……」

 

 「ナタル、無言はないだろ!?」

 

 こんな二人のやり取りが合ったとか無かったとは知らないが、元世界ランカー一位の一夏と二位の鈴音の実力を垣間見た瞬間だったのは事実だろう。

 

 

 

 

 学園に戻り、双子姉妹は寮部屋に入る事になり学生寮へと向かい、俺達夫婦は一時的に実技担当臨時教員と食堂で調理人として働く事となる。

 

 織斑先生から職員寮の鍵を貰い部屋へと向かったが、ドアを開けると水色の癖毛のある少女は学園の生徒会長の更識楯無、本名は更識刀奈が裸エプロンもとい水色エプロンでいたのだ。

 

 

 ガチャリ

 

 「お帰りなさいませご主人様。

 

 ご飯にします?

 

 それとも、お風呂?

 

 それとも、わ・た・し?」

 

 俺と鈴は慌ててドアを閉める。

 

 「なぁ、デジャヴなんだが?」

 

 「あたしに聞かれても困るわよ…」

 

 学生時代に刀奈本人に一度やられているから慣れてはいたが流石に困る。

 

 「一夏、次はあたしが開けるわ」

 

 「あぁ…」

 

 鈴が扉を開けると

 

 「お帰りなさいませご主人様。

 

 私にします?

 

 それとも、わたし?

 

 それとも、わ・た・し?」

 

 「一夏、廊下で待ってなさい。

 

 この、痴女を再教育してくるわ」

 

 「私は痴女じゃないわよ!?」

 

 「黙らしゃっい!!」

 

 バッタン

 

 「……刀奈、死ぬなよ…」

 

 刀奈を猫を首根っこを掴む様に部屋の中へ連行する鈴は勢い良く扉を閉めたのだが、中からは刀奈の悲鳴が響いたのだ。

 

 『あんたねぇ、裸エプロンはこうやるのよ!!』

 

 『やっ、辞めて!?

 

 水着取られたら、本当の裸エプロンになっちゃうから!?』

 

 『裸エプロンであたしの夫を誘惑するんでしょ?

 

 だったら、水着は邪魔よ!!』

 

 『いやぁぁぁぁぁぁ!?』

 

 しばらくしてから静かになり、扉が開いた。

 

 そして、刀奈が裸エプロンで立っていた。

 

 「あなた、お帰りなさいませ。

 

 ご飯にしますか?

 

 それとも、お風呂にしますか?

 

 それとも、あ・た・し?

 

 ……いやぁぁぁぁぁぁ!?

 

 恥ずかしい!?

 

 うわぁぁぁん、虚ちゃぁぁぁん!!」

 

 「痴女が出た!?」

 

 「痴女じゃないもん!!」

 

 顔を真っ赤して、やり切ると泣き叫びながら逃げ出し、室内には刀奈が履いていただろう水着の残骸と浴室にはたたまれた制服が置きっぱなしだったのだ。

 

 裸エプロン姿で逃げた為か、見られた教師や生徒には痴女扱いされたのは言うまでもない。

 

 だが、その話を聞いた十夏は織斑先生から生徒会長の部屋番を聞き出して白い手袋を楯無の顔面に投げつけたのだ。

 

 「なっ、何すのよ!!

 

 って、決闘!?」

 

 「パパを裸エプロンで誘惑したの許さないから。

 

 明日の13時に第三アリーナで貴女と公開戦をやるから来なさいよ。逃げたら、妹と探しだすから…」

 

 「えっ………」

 

 自分で喧嘩を売らないようにとしていたのに、図らずも喧嘩を売ってしまった事に気付くが公開戦をやると聞いて、目先が暗くなったのだ。

 

 

 こうして、キレた十夏と更識楯無(刀奈)との公開試合する話は瞬く間に学園内に広がったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。