私と楯無先輩との決闘から数日。
「十夏ちゃんお願いだから、副会長をお願い!!」
「だから、絶対にやらない!!」
「お姉ちゃん、道場で近接格闘訓練を理由に締めたら?」
「ちっ、千秋ちゃん!?
サラリと怖いこと言わないで!?
お姉さん、マジで死んじゃうから!?」
「えっ?
楯無先輩とは言って無いよ?」
「「「「じゃあ、誰だ!!(ですわ!!)」」」」
「さぁ?」
「「「「「千秋(ちゃん)は千秋(ちゃん)で、尚更心臓に悪いわ!!」」」」」
専用機持ちのツッコミはさておき、この様に楯無先輩がしつこく生徒会勧誘をして来るのだ。
決闘の翌日には、サラリと『お願い!!生徒会長をやって』と叫び一組に来たが『やらない』と言ったのだが、ヒートアップした二人は織斑先生が来るまで額と額を合わせてメンチの切り合いとなった。
そして、織斑先生が来ると同時に先生に承諾を貰い、道場に連行して再び第二次最強対最凶の決闘となったのだが、超重量級の近接武器で私の背丈よりも巨大な両刃の戦斧をコールして出して、『さあ、殺ろうか?』と言いながら軽く片腕だけで振っただけで先輩は『死にたくないから!?』と叫び、ジャンピング土下座で謝ったのだった。
因みに、その後に先輩も私の武器に興味を持ち、軽いだろうと舐めて戦斧を持ってみたいと騒ぎ渡した瞬間に余りの重さに下敷きになりながら叫んだのだ。
「何て、重さなのよ!!
可弱い、私に持てる訳が無いじゃない!!」
と叫び、戦斧の下敷きになったのだった。
仕方ない。
戦斧は重量だけなら、軽く100kgを越える重量級の武器なのだ。更に重い戦槌、ゴルディオンハンマーもある。
まぁ、使わないけど…
そう言えば、こっちでの束さんは真っ白な束さんへとビフォーアフターしていた。
理由は知っいるけど、わかり易く言えばパパとママが肉体的言語で束さんを徹底的にシメた。
あの時のパパとママはハッキリ言って怖い。
思い出しただけでも泣きたくなる程だった。
だって…
アリーナで、お姉ちゃんと楯無先輩との決闘する前日だった。
私のアテナと妹のアルテミスを学園への編入に伴い四世代型まで性能を落とす事を話し合う為に織斑先生を交えた家族会議で決まった夜の事だった。
家族会議で決まり、その日の内に織斑先生に許可を貰って、放課後に無人になる時間を利用して整備室で作業する筈だった。
しかし、作業中の無人の整備室に忍び込んだのが束さんだった。
「ねぇねぇ、君達のその専用機を解析させてくんないかな?
それ、六世代型機だし、君達には不相応だよ」
向こうでの束さんからの誕生日プレゼントであり、束さんから可愛がられていると実感できるパートナーだ。
答なんて、決まっている。
「「やだ、絶対に渡さない!!」」
「うるさい、渡せ!!
解析して箒ちゃんの紅椿をグレードアップするんだ!!」
紅椿を臨海学校で瞬殺された事が気に食わない事が理由だと思う。
そもそも、箒さんの技量など私達姉妹と比べたら無いに等しい。でも、シールドエネルギー回復系の単一仕様は紅椿以降は登場していない。
順番は狂ったが、紅椿を瞬殺した事には変わらない。
渡す事に拒否すると、癇癪をおこしながら私達姉妹の専用機を奪おうと格闘戦を仕掛けて来る。
私達も奪われたくないから、アテナの待機状態の金の腕輪を私は抱き締めながら束さんの蹴りを蹴り飛ばしながら守り、千秋もアルテミスの待機状態の三日月型の飾りが付いた銀のペンダントを握り拳を捌きながら守っていたのだ。
「束さん、俺の娘の専用機が不相応だって?」
「そうね。
あたしの娘から専用機を奪うつもりだった?」
「げっ⁉
大人のいっくんと鈴ちゃん!?」
「「助かった…」」
私達姉妹が整備室内を逃げ回る最中、如何にも不機嫌な顔でパパもママも束さんを睨みながら、パパとママの専用機も整備に来た所だったのだ。
そして、状況を見ただけで把握したパパはお玉をコールして取り出して束さんにお玉を向けながら夕飯のメニューを教えてくれた。
「十夏、千秋喜べ。
今日の夕飯は中華風子兎のリゾットだ」
「そうね。
丁度良く、食材が其処に居るから狩るわよ!!」
ママは束さんを物理的に狩るらしい。
「「わぁぁぁい!!
兎のリゾットだ!!」」
勘違いしたママを無視しても、子兎のリゾットは一度は食べたいと思っていた。
「ちょっと待って!?
束さんを物理的に狩る気なの!!」
「「「「そうだけど?」」」」
一家揃って束さんにボケるが、本人はママの言葉を鵜呑みしたらしい。
「いやぁぁぁぁぁぁ!?」
脱兎の如く、束さんは叫びながら逃げ出したのだ。
だが、私達にした事を親二人が許す訳が無く、追いかけたのだ。
パパはお玉を片手に束さんを追いかけ、ママは撲殺用の黒檀製の棍棒を持ち追いかけ、私は狩猟で使う解体用ナイフを抱えて二人を追いかけ、千秋は矢筒を腰にベルトで引き下げて弓を持ちながら私達を追いかけたのだ。
織斑一家による兎(束さん)狩りの始まりだった。
逆に束さんは四人から逃げなくてはならないデスマーチの始まりだった。
兎に角、束さんの逃げ足は早かった。
「待てや!!
駄兔!!」
「いっくん、キャラが変わっる!?
何処のヤクザ!?」
「待ちなさい!!
待たないと、本気で駄兔のリゾットにするわよ!!」
「束さん、美味しくないから!!
さっきの事は謝るから、解体用ナイフは辞めて!!」
「大人しく捕まれ!!」
「チャ〜ンス!!」
千秋が矢を放ち、束さんの機械仕掛けのうさ耳が片方に矢が当たり飛び散る。
「うっげぇ、マジで狩る気だよ⁉」
「「「「待て、駄兔!!」」」」
「こう成ったら、あそこの窓に!!」
束さんは逃げながら学生寮の寮官の部屋の窓ガラスを割り中へと逃げ込む。
パパは女性部屋だと判り窓から入るのを諦めて入口へと周り、私達三人は束さんを追い窓から侵入する。
そして、その部屋の住人はお約束の人物だった。
部屋の中はゴミ、ゴミ…
ゴミ部屋は学園では一人しかいない。
窓から侵入した私達三人は先に束さんに踏まれて悶絶する女性を三人同時に踏みつけたのだ。
仕事も終わり寝酒を飲み、床に入るとガラスが割れて私の腹部にアホが降り立つ。
「グッハァ!?」
「ちーちゃん!?」
気を抜いていた為にお腹がかなり痛い。
そう、窓ガラスを突き破り私のお腹に踏み付けて降り立ったのは束だった。
「束、貴様!!」
「ゴメン、ちーちゃんそれどころじゃぁ…」
窓から再び入り込む三人の影。
「「「駄兔!!」」」
「グッヘェ!⁉」
「あっ、織斑先生だった…」
「相変わらず汚い部屋ね。
十夏、1025室の一夏を呼んで来なさい!!」
「一夏さんと説教ね?」
「じゃあ、ママに束さんを任せる。お姉ちゃんと一夏さんの三人で説教タイムに入るよ」
「待て!!
一夏に、この部屋を見られたら…」
「だったら、綺麗に片付けろ!!
そして、怒られろ!!」
ゴッチン
「はっう!?」
何故か、私は理不尽にも織斑姉から拳骨を貰ったのだ。
そして、向こうでの私も同じ扱いだろうと思ったのだ。
鈴が束を追いかけている間、私は織斑妹に監視され正座をさせられた。
「なぁ、織斑妹?」
「せ・い・ざ」
「あっ、はい…」
お姉ちゃんに呼ばれた一夏さんが寮官室へ来たのだ。そして、部屋を見るなりプルプルと怒りを露わにする。
そして、拳骨を落とすと同時に一夏さんがキレた。
「十夏さんに呼ばれて来たんだが、千冬姉、部屋を綺麗にしろって言ったよな?」
「一夏?」
「一昨日、部屋を綺麗にしたのにゴミ部屋じゃねぇか!!
三人で説教だ!!」
「そんなぁ…」
織斑先生はガックリ項垂れ、夜通しで三人から説教されたのだ。
十夏、千秋の二人は織斑先生を説教する為に離脱。
学園内を逃げ回る束さんに追い回す二人。
ただ、可哀想なのは黒兎で部屋のベッドで寝ていたら
、私達の『兎待って!!』の叫び声に自身が狩られると勘違いしてルームメイトの寝ているシャルのベッドに忍び込み、抱き着きながら一晩中震えていたらしい。
追いかけ回すこと、一時間で駄兔はパパによって確保された。
「捕まえたぞ、駄兔!!」
「食われる!!」
「一夏、まさか性的な意味で食べないでしょうね?」
「食うか!!
これから、いろんな意味でやらかすからぶっ飛ばす!!」
「辞めて!?
束さん、死んじゃうから!!」
「そう言えば、キャノンボールファストやエクスカリバー、束さんの潜伏先の王女様のアイリス王女にも召使いにされそうだったわね…」
なのじゃ王女に召使いにされかけたのは、確かに懐かしい。
だが、未だにエクスカリバーの一件とワールドパージをやらざらる負えなかったクロエは後悔の念を抱いている。
だから、ここでシメる。
「束さん、覚悟!!」
「ギャァァァァ!?」
束さんの断末魔が学園中に響き渡り、束さんは鈴によって医務室へと搬送されたのだ。
そして、十夏と刀奈との決闘から一週間後に全世界を震撼させる出来事が起きたのだ。
束さんが、学園所属の教師として赴任すると、束さんが世界に公表したのだった。