中華料理店織斑   作:ロドニー

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時空旅行 文化祭 未来のママに青椒肉絲

 

 夏休みも終わり、二学期が始まった。

 

 私達姉妹には辛うじてだが、一夏さんが四世代機まで性能を落としたアテナ・シルバーソウルを駆る私に一撃を入れられるまでには強くなったと思うがやはり、本来での六世代機のアテナには全く対抗出来なかった。

 

 「十夏の本気の槍さばきが捌けねぇ」

 

 「パパと織斑先生から許可が下りたからね。本来での性能のアテナは臨海学校以来だけど、アテナのフル加速に着いて来られた。それだけは自信を持っても構わないかな」

 

 「それにしても、アテナは展開装甲と光の翼を併せた加速は速過ぎだろ」

 

 「エネルギーが馬鹿食いするのが難点だけどね」

 

 「そんなにか?」

 

 「全力で加速したら零落白夜より酷いの一言だよ」

 

 「うわぁ…酷いな…」

 

 零落白夜を使う一夏ですら、アテナの展開装甲と光の翼の燃費の悪さを知り顔を顰めた。

 

 「まぁ、イージスの盾で拘束してタコ殴りにするから、余り燃費は気にして無いけどね」

 

 「タッグだと、私がアルテミスで仕留めるのが仕事だし」

 

 「うっわぁ、極悪姉妹…」

 

 「「何か、言った?」」

 

 タッグトーナメントでアテナの単一仕様『イージスの盾』で拘束しながら姉妹で相手をタコ殴りにする光景を想像し、極悪姉妹と言ったのが聴こえたのか同時に姉妹から睨まれる。

 

 だが、現世界最速を誇るイタリアのイグニッションプラン機のテンペスターⅡを駆る国家代表でも、姉妹の前では絶対に涙目に成ると俺は思う。

 

 それに、死にたくない。

 

 「なっ、何も…」

 

 席に座り、SHRが始まると文化祭の出し物について話し合いとなるが彼女持ちの一夏さんに酷な内容の出し物には私達姉妹でも頭を抱える。

 

 たがら、私は意見を言ったのだ。

 

 「皆が言っていたポッキーゲームとかツイスターゲームなどをやっても構いませんが『マジ!?』『とっ、十夏!?』当日、生徒会の見回りが有り、女子生徒が言った内容で営業すれば即時営業停止なりますが嫌ですよね?」

 

 歓喜する女子生徒と嫌がる一夏。

 

 しかし、後半の生徒会の見回りによる即時営業停止を聞いた途端、女子生徒は一斉に静まった。

 

 「さて、これらに代わる意見はあるか?」

 

 「そう言えば、織斑姉妹は中華料理店の娘だよね?」

 

 相川さんが織斑姉妹の実家が料理店だと知っていた。

 

 「そうだけど?」

 

 「なら、中華喫茶はどうかな?」

 

 嫌な予感しかしない。

 

 確か、ママが学生の頃の文化祭の出し物は確か中華喫茶だった気がする。そして、パパのクラスはご奉仕喫茶だった。

 

 「ちょっと待って!!」

 

 「なら、十夏さんと千秋さんに指導して貰って、中華料理店はどう?」

 

 流れは確かに変わったけど、中華料理店をやる勢いだった。

 

 『じゃあ、中華料理店で!!』

 

 クラスの一声により中華料理店と決まったのだ。

 

 

 料理が出来る生徒を中心に簡単に出来るメニューと私達姉妹が作るのは中華料理店織斑のメニューと決まった。

 

 ただ、セシリアさんだけは納得して無かった。

 

 「何故、私がチャイナドレスを着てのウェイトレスですの!?」

 

 「なら、作って貰おうかな?」

 

 「この、セシリア・オルコットに掛かれば調理なと!!」

 

 千秋は目は笑っていないが物凄い笑顔で調理器具と食材を出してチンゲン菜炒めをセシリアに作らせたが、試食した一夏さんは

 

 「見た目は普通のチンゲン菜炒めだな……⁉⁉…グッハァ!?」

 

 「一夏さん!?」

 

 「一夏!?」

 

 「「やっぱり…」」

 

 案の定、チンゲン菜炒め(世界一辛い青いババネロのペースト入り)を食べた一夏さんは大量の吐血をして気絶したのだった。気絶した一夏さんを箒さんが抱えて保健室へと運ばれ、セシリアさんを正座に座らせてから千秋は言ったのだ。

 

 「と、言う事でセシリアさんは調理は一切禁止です!!」

 

 千秋に言われて、意気消沈しながらウェイトレスとなったセシリアだった。

 

 クラスメイトとの話し合いの末にメニューが決まる。

 

 一夏さん達、料理が出来る生徒達の作るメニュー

 

 棒々鶏 海老炒飯 回鍋肉 マンゴープリン 杏仁豆腐 天津飯 カシューナッツとピーマンのオイスターソース炒め エビチリ炒め 胡麻団子 五目春巻

 

 の10品。

 

 私達姉妹が担当する料理は

 

 業火野菜炒め 青椒肉絲 鶏の塩釜蒸し 上海蟹のピリ辛炒め 酢豚(広東風) 鴨肉のナッツ炒め 各種の焼売 四川麻婆豆腐など含む中華料理店織斑の正規メニューだった。

 

 一応、私達姉妹も料理店の跡継ぎとして修行はしている。

 

 特に業火野菜炒めと青椒肉絲だけは、お昼時の看板メニューだけにパパの指導は厳しかった思い出がある。

 

 「お姉ちゃん、大丈夫だよね?」

 

 「まぁ、何とかなる」

 

 私も心配には成りながらも、パパに連れられて豊洲市場へと買い出しへ向かった。

 

 私達が産まれた頃には無かった豊洲市場。

 

 築地市場の建て替えにより代わりの市場となったのが豊洲市場だった。漂白された束さんにより、パパの仲買資格はハッキングして今の年代に更新してあるが、それよりも前に学園長と話し合いで、帰るまでは食堂で働く事を条件に新しく貰っていた。

 

 聞いた束さんは

 

 『じゃあ、十夏ちゃんに上げるね』

 

 と私が仲買資格を貰ったのだ。

 

 しかし、パパはこの際だから食材の良し悪しを見極める修行をすると鶴の一声で決まってしまった。

 

 文化祭で出す料理は各100皿を目安に買い揃える予定だ。

 

 まずは、海鮮問屋からだ。

 

 買い揃える食材は

 

 上海蟹 ナマコ スズキ 真鯛 黒鯛などだ。

 

 パパが上海蟹が入った発泡スチロール前に立ち

 

 「まずは十夏からだ。

 

 上海蟹を選別してみろ」

 

 「うん」

 

 腹を見たり甲羅の感触で身入りを確認しながら、卵がある雌の上海蟹だけを選別して行く。元の世界で、マドカ叔母さんに見てもらいながら広州から入った上海蟹を選別したのは記憶に新しい。

 

 「どうかな、パパ?」

 

 「うん、マドカからの教えを忠実に守って選別したな。おじさん、選別したこれを三十箱くれ」

 

 「まさか、子持ちだけを正確にか。

 

 全部で15万だな」

 

 パパが現金一括で支払い、学園の冷蔵庫付きのトラックに運び、千秋が魚類を選別して運ぶ。

 

 青果でも同じ様に買い込み学園へと戻ったのだ。

 

 

 文化祭まで、後一日。

 

 前日に仕込まなくてはいけない、鶏ガラや完熟した渋柿のペースト、各種料理に使う合わせ調味料などをママに見て貰いながら仕上げたのだった。

 

 寮へ戻ろうと調理室を出ると、隣の調理室には鈴音さんが仕込みの真最中だった。

 

 「鈴音さん、仕込み中?」

 

 「あんた達姉妹もなの?」

 

 「そうだよ。明日からの文化祭用に出汁と調味料一式全部かな」

 

 「そう言えば、一夏からは聞かなったけど一組の出し物は何よ?」

 

 「「中華料理店」」

 

 「はぁあ!?

 

 マジなの?」

 

 鈴音さんの空いた口が塞がらない様な驚き方をする。

 

 「うん、向こうの世界の実家は中華料理店だから、中華料理を出す出し物だよ」

 

 「うわぁ、そりゃあないわ。

 

 あたし達の二組と一組との潰し合いじゃない。

 

 ねぇ、あんた達姉妹の料理の腕前知りたいから一品ご馳走しなさいよ。あたしも看板メニューの酢豚をご馳走するわ」

 

 「いいよ。

 

 じゃあ、私達姉妹は明日出す、中華料理店織斑の看板メニューの青椒肉絲を作るわ」

 

 鈴音さんは各種材料を揃えて作り始め、私達姉妹も調理室に戻り青椒肉絲に使う牛肉、筍、ピーマンを揃えて調理を始めたのだ。

 

 「千秋、行くわよ!!」

 

 「うん!!」

 

 二人で自分用の中華包丁を握りピーマンと筍を細切りにして行く。(中華包丁だけはパパが知り合いの鍛治師に特別注文した私達姉妹の癖に併せた一品物の中華包丁)

 

 だが、ただ切るだけでは火の通りにムラが出るから、全て均等に切らねけばならない。

 

 その技術は、跡取りとしてパパとママに厳しく鍛えられた刀工技術。

 

 私は拡張領域にある自分用の中華鍋を出して、細切りにした材料を炒めていく。

 

 合わせ調味料と完熟した渋柿のペーストを入れ、一気に強火で炒めて青椒肉絲は完成したのだ。

 

 

 出来た青椒肉絲をお盆に乗せて、ご飯も欲しくなるだろうから夕飯用に炊いたご飯と私が炒めている間に仕上げた帆立出汁の卵スープを持ち、隣の調理室へと向かったのだ。

 

 

 三人で夕飯を食べながらの実食。

 

 あたしは、織斑姉妹が作った青椒肉絲に箸を着ける。

 

 「頂くわよ……」

 

 噛めば噛むほどシャキシャキと歯応えのある筍とピーマン、牛肉の旨味が口の中に広がる。

 

 「美味いわね」

 

 確かに美味い。

 

 此れだけ美味いならお店に出しても文句がないレベルだった。そして、僅かに感じる甘味だけは何だかは判らない。

 

 「お姉ちゃん、ママが作る酢豚と同じ味の酢豚だよ!?」

 

 「本当だ!?」

 

 向こうでは、織斑姉妹があたし謹製の酢豚を絶賛していた。だが、酢豚のタレの合わせ調味料の割合は一夏を唸らせる為に試行錯誤してきたのだ当然だ。

 

 だけど、気になる単語が一つ。

 

 ママ?

 

 ママとは母親の別称…

 

 違うわ!!

 

 内心、頭に浮かんだ広辞苑の内容に自分に全力で突っ込んでいた。

 

 そして、『ママが作る酢豚と同じ味』もどういう事なのか知りたかった。

 

 「どういう意味よ?」

 

 「あれ、鈴音さんはママに臨海学校で会っているじゃん?」

 

 「あっ、会っていたわね。

 

 じゃあ…」

 

 「同じ味になるのは……鈴音さんが未来の私達姉妹のママだからだよ」

 

 千秋に言われて気付いた。

 

 「あっ……」

 

 二人はもしかしたら違うかも知れないけど、未来のあたしの娘だった事に気付いたのだ。

 

 

 三人で囲み、未来の娘と食べる嬉しさを噛み締めながら夕飯を食べたのだ。

 

 

 

 「鈴、三人で楽しそうに食べてるな」

 

 「そうね。

 

 あたしも羨ましくなるわ」

 

 三人仲良く食べる光景を観る夫婦二人。

 

 「一夏、元の世界に戻ったら産婦人科に付き合いなさい」

 

 「どうしてだ?」

 

 「あんたねぇ、盛った猿みたくあたしを抱いておきながら言えるわね?

 

 生理が来ないって言えば分かる?

 

 馬鹿一夏////」

 

 「まさか、鈴?」

 

 「出来たかも…」

 

 まさかの鈴が三人目を妊娠したらしい。

 

 「でも、馬鹿娘には言うじゃないわよ。

 

 一夏がスコールを、あたしが逃げ出すオータムか回収に来たマドカをやるから」

 

 「無理はするなよ」

 

 二人は仲良く手を繋ぎながら廊下を歩き寮の部屋に戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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