闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第十三話『交渉開始とラストミッションへの道! by.トウヤ/ああ、光栄に思え。 by.キバットバットⅡ世』

王(キング)の立場と言うのはリスクも有るが同時に便利でもある。

 

結界の一つも張ればいいのだろうが、念の為にトウヤのキングの権力を最大限に利用して人払いもしている。

 

 

公園を選んだのはレジェンドルガの存在を考えて戦闘になった時の事を考えての事だ。冷静な者が一人でも居れば、サガであるオトヤとダークキバであるトウヤの二人に対して態々仕掛けてくるとは思えないが。

 

 

トウヤが時計で時間を確認するともう直約束の時間だ。そんな事を考えていると転送魔法によって三人の人物が現われる。翠色の髪の女性『リンディ・ハラオウン』と、クロノ・ハラオウンともう一人の女性が現われた。だが、その中にダイルの姿は無い。

 

 

「初めまして、時空管理局提督、アースラ艦長の『リンディ・ハラオウン』です」

 

 

「通信担当の『エイミィ・リミエッタ』です」

 

 

「…クロノ・ハラオウンだ」

 

 

そう挨拶する三人。

 

 

「この地に存在する魔族の王…トウヤ・F・クリムゾンだ」

 

 

「オレはこいつの父親で先代の王、オトヤ・F・クリムゾンだ」

 

 

トウヤとオトヤの二人が名乗るとキバットバットⅡ世がゆっくりとトウヤの肩に降りる。

 

 

「それでこっちはオレの相棒の…」

 

 

「オレはキバットバットⅡ世。今はトウヤに使える立場にある魔族の一派、キバット族の名門・キバットバット家の二代目頭首だ」

 

 

トウヤの言葉に促されてキバットバットⅡ世はそう自己紹介する。キバットバットⅡ世の事を見せたのは、態と自分達の存在を明らかにした上でその証拠を見せて相手の反応を見る事に有るが、相手の反応から考えると…

 

 

(…オレ達魔族の事は本当に知らなかった様子だな…)

 

 

推測でしかないが、相手側の反応から推測してそう考える。

 

 

「それでこっちは…」

 

 

「わ、私は高町なのはです!」

 

 

「ぼくは、ユーノ・スクライアです」

 

 

「彼が今回この町にばら撒かれた石…ジュエルシードの持ち主で、彼女はその現地での協力者だ」

 

 

そう言って、トウヤが隣に立っているなのはと人間の姿のユーノを紹介すると、二人が名乗る。

 

 

「まず初めに、此方の非礼については深く謝罪します。ですから、息子への判決は…取り消して頂けませんか」

 

 

「………………。すみませんでした……」

 

 

リンディに促されてクロノは頭を下げる。特に彼女達にしてみれば、先日はトウヤ自身が不問にした所で、ダイルの部下になっているオルトロスレジェンドルガの暴走で折角の交渉の結果が無駄になったと考えるべきだ。

 

 

先日のオルトロスレジェンドルガとダークキバの戦いを目撃した結果だろう。トウヤの力を目の当たりにしている上に、それと同等以上の力を持っているであろう彼の父のオトヤの存在、何より今まで時空管理局でも確認できなかった未知の魔法技術を有する者達の存在を知ってしまった。

 

その魔族の王の下した判決の意味を先日オトヤの口から説明されている以上、下手に判決が下されたまま、保留にされたままでは、地球に居る限りは少なくともクロノの命はトウヤの気紛れ次第で奪われる事になる。

 

ジュエルシードの探索と言う組織の仕事の下で、地球で活動しなければならない以上、トウヤと遭遇する危険が有り、判決を下されたままではクロは危険で探索など出来ない。

 

 

「条件次第だ」

 

 

「…ありがとうございます…」

 

 

条件こそ言われていないが、少なくとも交渉の余地がある事に安堵する。

 

 

「ですが…彼等は局員を殺害「…随分と懐が広い組織なんだな。奴はレジェンドルガ族、オレ達魔族の一派だ。」レジェンドルガ?」

 

 

「あの、彼は管理世界の出身ですよ、それは何かの間違いでは?」

 

 

トウヤの言葉にクロノとリンディの二人が反応する。

 

 

「いや、あの姿、そして、あの魔力は間違いなくレジェンドルガ族だ。…何より、奴はトウヤの事を、ダークキバの事を知った上で、兄の仇と言っていた」

 

 

「情報を誤魔化す方法は幾らでもあるな。奴等レジェンドルガの能力を考えればそれも簡単だ」

 

 

キバットバットⅡ世とオトヤのリンディ達は言葉に黙り込む。自分達の調査に間違いは無いと言いたいが、それでも、ファンガイア族を初めとする魔族の存在を知らなかった事で何も言えなくなったのだろう。

 

 

「まあ、条件についての交渉は後にして、重要事項は他にあるはずだろ? 少なくとも、この話し合いの場では、そちらが手を出さない限りはクロノ・ハラオウンへの判決は凍結する事を、キングの称号に誓って約束しよう」

 

 

そう、トウヤとしては飽く迄教える為に告げたクロノへの判決についてはどうでも良い事だ。寧ろ、優先すべき事はこっちだ。

 

 

「はい、私達は…」

 

 

そう話を切り出してリンディはトウヤ達に時空管理局、ロストロギアについて説明していく。前もってユーノから話を聞いていた事から嘘は無い事は分かる。

 

 

そして、話し合いの場にたったユーノは今回の事件、ジュエルシードの一件についての経緯を話す。

 

 

「それで、ぼくが回収しようと…」

 

 

「立派ね」

 

 

「だが、同時に無謀でもある」

 

 

リンディがユーノの行動を褒め、それにクロノが付け加える形で口を挟む。

 

 

オトヤはそんなトウヤ達の話を黙って聞いていた。飽く迄今回の事件はトウヤが主体となって解決するべきとなっているので、オトヤはサポートに廻る事に決まっている。

 

 

「無謀である事は同意できる。だが、結果的にユーノの行動で此方の被害は抑えられた。自分達の行動の遅さを反省すれば、そっちは感謝するべき立場じゃないのか?」

 

 

「こっちは他の事件を「人手不足を言い訳にするな。お前達にとっては幾つも有る仕事の中の一つなんだろうが、こっちの立場にしてみれば、確実な被害が出る所だった。どんな理由があれ、警察組織がして良い事じゃないだろう? 寧ろ、他の事件で疎かになった等恥ずべき事だ。遅れた事を謝罪したとしてもな」…くっ」

 

 

トウヤの言葉に切り捨てられ、クロノは思わず唇を噛む。そして、一呼吸置くと、

 

 

「だが、つい数日前にジュエルシードによって発生した次元震が確認されている。これ以上素人の手には任せては置けない」

 

 

「…それについては同意しておこう」

 

 

「そうね、クロノの言う通りだわ。これより、ロストロギア『ジュエルシード』の回収については時空管理局が全権を持ちます」

 

 

取り方によっては命令にも取れる発言にトウヤ、なのは、ユーノの三人はそれぞれ違った反応を見せる。なのはは戸惑い、ユーノは申し訳なさ、トウヤは…

 

 

「これは次元干渉に関わる事件だ。一般市民が介入して良いレベルじゃない。キミ達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元道りの生活に戻ると良い」

 

 

「待って「ストップ」」

 

 

食い下がろうとするなのはの口を塞ぐ形でトウヤがそれを留める。

 

 

「確かにそちらの言う通りだ。オレ達は元の生活に戻るとしよう」

 

 

「でも、彼女は急に言われても気持ちの整理も出来ないみたいよ? 一度家に帰って、今晩ゆっくり話し合うといいわ。この事はその上で、改めてお話しましょう」

 

 

リンディの言葉にトウヤは冷たい笑みを浮かべる。

 

 

「いや、その必要は無い。折角心配してくれているんだ、貴女の心遣いを無には出来ない」

 

 

そう言ってトウヤはリンディ達に背中を向けて、

 

 

「これまで通り、オレは『魔族に対して危険な代物である魔石の回収』と、『王の仕事』を続けさせてもらおう」

 

 

そう告げる。オトヤやキバットバットⅡ世のように事情に通じている者達は『なるほど』と言う表情を浮かべているが、なのは達には事情が分かっていない様子だ。

 

 

簡単な話だ。トウヤにとって元の生活の中にはそれを含まれている。

 

 

「魔石は下手に拾った者が出ると危険な上に、王に反逆する者達にはこの上ない兵器だ。…当然、仕事の一環として回収しなければならないな。高町さん、それからユーノ…魔石『ジュエルシード』の封印を手伝ってもらえないか?」

 

 

「ふぇ?」

 

 

「ええ!?」

 

 

「キミは…話を聞いてなかったのか!?」

 

 

なのは、ユーノ、クロノの順番に反応を見せる。

 

 

「それはこっちの台詞だ。王の役割を果たす過程でジュエルシードの処理をしなければならない。その協力者として…“地球”の“魔族の王キング”として、魔族の存在を知っている彼女達に協力を要請しただけだ」

 

 

「ジュエルシードは時空管理局が回収すると…」

 

 

「ああ、手に入れた物は近くに居るようならそちらに渡す。数が集まったら、連絡するから取りに来てくれ。執務官以外に」

 

 

そう言った後、トウヤはなのはへと向き直る。

 

 

「そう言う訳で高町さん、オレはフェイトさんと協力関係にある。少なくとも…敵対せずに話をする事は出来るけど…高町さんもオレに協力してくれないかな?」

 

 

「え? わ、私は…」

 

 

「いや、返事は直じゃなくて良い。寧ろ、今すぐの返事はやめてもらいたい」

 

 

「ど、どうして!?」

 

 

「危険な事に巻き込む以上はご家族に相談して、お願いしないと。だから、高町さんの返事を聞くのは、士郎さん達に話してからだよ」

 

 

「うん」

 

 

少しだけなのはの表情が暗くなったのは気になるが、それでも、トウヤとしてはこれだけは譲れない。

 

 

「そう言う訳だ。高町さんの返事にもよるけど、少なくとも、オレは協力はしない」

 

 

「そ、それじゃあ、あの子はどうするの?」

 

 

「既にオレは彼女と協力関係にある。それに…彼女がそちらの世界の住人なら、行動も変わるだろう」

 

 

言外に『もうキャッスルドランには来ないだろう』と言う意思を込めて呟く。なら、現場で接触するしかないし、次の探索場所は管理局が現われる前に伝えてあるので、可能性の高い所にこっちから向かえばそれでフェイトとの接触はどうにでもなる。

 

 

「そう…ならこの話はここまでにはます。ユーノ君、貴方はどうするの?」

 

 

「ジュエルシードが回収し終わるまで、なのは達と一緒に行動してます」

 

 

「そう…終わったら、連絡するわね」

 

 

「此方も、終わり次第ユーノを通じて連絡します」

 

 

それで交渉は終わりと話を切りやめようとした時、

 

 

「待って頂戴。トウヤ君、貴方にはもう一つ聞きたい事が有るわ」

 

 

「聞きたい事?」

 

 

「貴方の所有するロストロギアについてよ」

 

 

リンディの言葉に思わず顔をしかめてしまう。

 

 

「…闇のキバの鎧とザンバットソードの事か?」

 

 

「ロストロギアは所持しているだけで罪になる」

 

 

「だから、鎧と剣を渡せと?」

 

 

「そうだ!」

 

 

クロノの言葉に思わず溜息を吐く。

 

 

「…では聞こうか…? 何故、お前達はレジェンドルガと同じ組織に居る?」

 

 

「何を…」

 

 

「レジェンドルガと言う脅威を有するお前達に、レジェンドルガに対する最大の対抗手段でもある一族の至宝を渡す訳が無いだろう」

 

 

冷たい目でクロノ達を見据えながらも、殺気はクロノ達だけに向けて、器用にもなのはとユーノ…主になのはには感じさせずに向け続けている。付け加えるならば、しっかりとオトヤが彼女達とトウヤの間に立ってトウヤの殺気を防いでいる。

 

 

「もし、闇のキバの鎧を奪おうと言うのなら…オレを含む…レジェンドルガを除く13の魔族全てを敵に廻すと言う事を覚えておけ」

 

 

殺気にこそ圧倒されているが、何処か余裕の表情が見える。魔族には次元世界に向かう方法は無いのだと。

 

 

「…ところで…忠告も兼ねて一つ良い事を教えておこう。レジェンドルガは他の種族を同族に変える事が出来る。それが、自ら『最強種』を名乗っている奴等を、他の種族がそれを認めて脅威としている由縁だ」

 

 

「それが…」

 

 

「例外は無い。人間も他の種族の中に含まれる。…さて…お前達の組織の中に…人間と断言できる奴がどれだけ残っているかな?」

 

 

トウヤの言葉を聞きリンディ達の顔が真っ青になった。理解してしまったのだろう…内部にレジェンドルガが居た自分達の艦がどれだけ危険なのかを。

 

 

「それでは…失礼する。行こうか、高町さん」

 

 

「う、うん」

 

 

トウヤはなのはを促して立ち去っていく。後に残されたリンディ達管理局勢は…

 

 

「か、艦長…」

 

 

話を聞いていたエイミィが震えながら口を開く。

 

 

「ええ…分かっているわ…」

 

 

どうすれば安心できるのか、トウヤからは何も聞いていない。寧ろ、トウヤから聞かされた事実は不安だけが煽られてしまう。間違いなく、其処まで計算した上でそう伝えたのだろう。リンディ達にとって今から戻る艦は既に人間が自分達だけかも知れないと言う恐怖心を隠すことは出来ない。だが、艦を預かる者の責任から彼女に戻らないという選択は出来ないのだ。

 

 

「…やっぱり…奴等は危険だ」

 

 

一人立ち去って言ったトウヤの背中を姿が見えなくなっても睨み続けているクロノはそう呟く。

 

 

「…トウヤ・F・クリムゾン…」

 

 

そして、唇を噛みながらトウヤの名を呼ぶクロノの声に込められた意志は…憎悪の感情。

 

 

 

 

 

様々な思惑を持って、第一の物語は終幕へと収束していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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